部署別 / 学校事務
学校事務の職務経歴書|悪い例と良い例、数字の出し方
学校事務の職務経歴書で、いちばん多い失敗はこれです。
「学校における庶務、経理に関する業務」
この1行で終わってしまいます。
読む側は、ここから「受付と書類整理をしていた人」という像しか作れません。実際には、一つの拠点の総務・経理・調達・人事・施設を、ほぼ一人で回してきたわけですが、それが書かれていません。
この記事では、職務要約・担当業務・実績の3つに分けて、悪い例と良い例を並べます。
言い換えは学校事務の経験は民間で何と呼ばれるか、行き先は学校事務からの転職先に書いています。
備えるべき記録も、保存する年数も、決まっています
書き方に入る前に、この仕事の性格を条文で押さえます。書類の芯にもなり、同時に制約にもなる部分です。
学校教育法施行規則第28条第1項は、こう定めています。
学校において備えなければならない表簿は、概ね次のとおりとする。
そして、列挙が続きます。学則、日課表、学校日誌/職員の名簿、履歴書、出勤簿/指導要録、出席簿及び健康診断に関する表簿/入学者の選抜及び成績考査に関する表簿/資産原簿、出納簿及び経費の予算決算についての帳簿並びに図書機械器具等の教具の目録/往復文書処理簿。
そして第2項が、こう続きます。
前項の表簿は、別に定めるもののほか、五年間保存しなければならない。ただし、指導要録及びその写しのうち入学、卒業等の学籍に関する記録については、その保存期間は、二十年間とする。
備える記録の種類も、保存する年数も、法令で決まっています。
この一覧を見ると、この仕事の範囲が分かります。
- 人(職員の名簿、履歴書、出勤簿)
- 金(資産原簿、出納簿、予算決算の帳簿)
- 物(教具の目録)
- 文書(往復文書処理簿)
- 学籍と健康(指導要録、出席簿、健康診断の表簿)
総務・経理・人事・資産・文書管理が、一つの条文に並んでいます。
そして、これを備え、保存するのが学校事務です。
民間でいえば、拠点の文書管理と記録管理です。しかも、保存年限が法定されているという点で、規制のある業種の記録管理と同じ水準になります。
書類には、この範囲と、保存の規律を書いてください。
ただし、記録の中身は書けません。指導要録も、健康診断の表簿も、職員の履歴書も。書けるのは、「何を備え、どう管理し、何年保存したか」までです。
職務要約
冒頭の3〜5行で、読まれ方が決まります。
悪い例
> ◯◯市の小学校に勤務し、学校事務として庶務、経理に関する業務を担当しました。
範囲も規模も入っていません。
良い例
> ◯◯市立の小中学校(児童生徒約◯人、教職員約◯人規模)において、事務職員として拠点の管理部門にあたる業務を単独で担当しました。予算の執行管理(年間約◯万円)、物品の調達と契約の手続、支払の処理、学校徴収金(年間約◯万円)の管理、教職員の給与・旅費・勤務の記録に関する事務、施設の修繕の要望と工事の立会い、備品の管理、法定の表簿の作成と保存を扱っています。◯校を経験し、学校ごとに異なる運用を、設置者の手続に合わせて整理し直す経験もしています。
入っているもの
- 規模(児童生徒数、教職員数、予算額、徴収金の額)
- 「単独で」という一語
- 範囲を漏れなく並べたこと
- 複数校の経験(あれば)
2つ目が要点です。「単独で」がないと、分業していた一部だけを担当していた人に読まれます。
担当業務
「庶務」「経理」で丸めず、機能に分けて書いてください。
悪い例
> ・学校予算の執行> ・物品の購入> ・給与、旅費の事務> ・学校徴収金の管理> ・その他庶務
良い例
> 【予算の執行管理(年間約◯万円)】> 配分された予算の費目ごとの管理、年間の執行計画の作成、不足が見込まれる場合の要求。学校の暦で使う時期が決まる費目が多く、年度の初めに執行の時期を押さえる運用を担当。>> 【調達と支払(年間約◯件)】> 見積の徴取、発注、検収、支払の処理、伝票の作成。金額と内容によって、学校で決められる範囲と設置者の手続が要る範囲が分かれるため、区分の基準を整理して運用。>> 【学校徴収金の管理(年間約◯万円)】> 教材費等の費目ごとの徴収、記録、支払、年度末の精算。公費とは別に管理し、費目ごとに使途を限定して残額を精算する運用を担当。>> 【人に関する事務(教職員約◯人)】> 給与、旅費、諸手当、勤務の記録、任用に関する書類。学校・設置者・都道府県をまたいで書類が動くため、提出の期限と経路を一覧として整理。>> 【施設と備品(延べ床面積約◯平方メートル)】> 修繕の要望、工事の日程の調整と立会い、備品の管理と目録の整備、安全の確認。>> 【法定の表簿の作成と保存】> 学校教育法施行規則に定める表簿の整備と、定められた年数の保存。年度ごとの綴りと保存年限の管理を担当。
太字にした部分が、他の応募者と差がつく場所です。やったことではなく、そこで何を整理していたかを1つずつ足してください。
実績
ここが書きにくい部分です。成果が、間違いなく回ったこととして現れるからです。
悪い例
> 教職員が働きやすい環境づくりに努め、円滑な学校運営に貢献しました。
工程も数字も入っていません。
良い例(3つの型)
型1:仕組みを作った
> 予算の執行について、費目ごとに「いつ必要か」を年間の一覧として整理。学校の行事と長期の休業の日程に合わせて執行の時期を先に押さえる形にし、年度後半の不足と、年度末の余剰の両方を減らした。
型2:手続を短くした
> 調達の手続について、学校で決められる範囲と設置者の手続が要る範囲を金額と内容で区分した一覧を作成。教員が判断に迷う場面を減らし、発注から検収までの期間を短縮した。
型3:引き継げる形にした
> 法定の表簿と、年度ごとに作成する書類について、保存年限と綴りの単位を一覧にして整理。担当が交代しても、どれをいつまで保存し、いつ廃棄するかが分かる形にした。
型1が、この経歴でいちばん効く形です。「限られた枠を、時期まで含めて設計した」という話は、拠点の管理でそのまま求められます。
数字の出し方
公表されている資料と、自分が扱っていた実務から取ってください。
| 数字 | どこで使うか | 注意 |
|---|---|---|
| 児童生徒数と教職員数 | 職務要約 | 拠点の規模がいちばん伝わる。公表されている |
| 年間の予算の執行額 | 職務要約、実績 | 扱っていた金額。規模を示す中心の数字 |
| 学校徴収金の年間の額 | 職務要約、実績 | 預かり金の規模。公費とは分けて書く |
| 調達・支払の年間の件数 | 担当業務 | 概数で可 |
| 経験した学校数 | 職務要約 | 複数校なら必ず書く |
| 施設の延べ床面積 | 担当業務 | 公表されている |
| 備品の登録件数 | 担当業務 | 資産管理の規模が伝わる |
| 保存年限を管理していた表簿の種類数 | 実績 | 記録管理の実務として効く |
2行目と3行目が中心です。公費と、保護者からの預かり金。この2つを分けて書くことで、性質の違うお金を混ぜずに管理してきたことが伝わります。
盛った数字は、面接で必ず確認されます。
並べ替え:応募先によって前に出すものを変える
同じ経歴でも、順番を変えるだけで通りやすさが変わります。
| 応募先 | 1番目 | 2番目 | 3番目 |
|---|---|---|---|
| 拠点の管理 | 範囲の広さと「単独で」 | 予算の執行管理 | 施設と備品 |
| 少人数のバックオフィス | 経理・総務・人事の全部 | 上司が事務の専門家でない環境 | 手続の区分の整理 |
| 本部の経理・総務 | 支払と伝票の処理 | 拠点から照会する側の経験 | 手続の期限と経路 |
| 学校法人・専門学校 | 学校の事務の構造 | 徴収金の管理 | 法定の表簿と保存 |
| 学校向けの企業 | 買う側の事情と時期 | 手続の通り方 | 現場で起きることの理解 |
1番目に何を置くかだけでも、書類の読まれ方は変わります。全部を書き直す必要はありません。
書いてはいけないこと
第28条に並ぶ表簿は、どれも中身を書けません。
- 指導要録、出席簿、健康診断に関する表簿の内容
- 児童生徒や保護者に関する一切の情報
- 就学援助の申請や認定に関する個別の状況
- 徴収金の未納に関すること
- 教職員の履歴、給与、勤務、服務に関する個別の情報
- 入学者の選抜や成績に関すること
- 特定の学校の内部の状況や、評判に関すること
- 公表前の工事や整備の計画
書けるのは、「何を備え、どう管理し、何年保存したか」と「規模」までです。
> ✕ 「就学援助の対象となる世帯が◯件あり、うち◯件について個別に相談に応じた」> ○ 「就学援助について、申請の案内、書類の確認、設置者への取次ぎ、認定後の費用の扱いの調整という手順を整理して運用した」
後者のほうが、書類としても強くなります。個別の情報ではなく、自分が整理した手順が書かれているからです。
つまずきやすい点
1. 「庶務、経理」で丸める
予算/調達と支払/徴収金/人/施設と備品/表簿の6つに分けてください。
2. 「単独で」と書かない
これがないと、分業の一部を担当していた人に読まれます。
3. 扱っていた金額を書かない
公費と徴収金を分けて書いてください。規模を示す中心の数字です。
4. 「文書整理」と書く
「保存年限の管理」と書いてください。同じことでも、扱いが変わります。
5. 個別の事案を書いてしまう
児童生徒、保護者、教職員、就学援助、未納。すべて書けません。手順と規模で書いてください。
書類は一度見てもらったほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
まとめ
- 学校教育法施行規則第28条は、学校が備えるべき表簿を列挙し、原則五年間、学籍に関する記録は二十年間の保存を定めています
- 列挙されているのは、人・金・物・文書・学籍と健康——総務・経理・人事・資産・文書管理が一つの条文に並んでいます
- 職務要約には、規模・「単独で」・範囲を漏れなく・複数校の経験の4つを入れてください
- 担当業務は、「庶務」「経理」で丸めず、6つの機能に分けて書きます
- 実績は、①仕組みを作った ②手続を短くした ③引き継げる形にしたの3つの型で書けます。①がいちばん効きます
- 「文書整理」ではなく「保存年限の管理」と書いてください。言葉で扱いが変わります
よくある質問
職務経歴書は何枚くらいが適切ですか
1〜2枚で足ります。学校事務は担当の範囲は広いのですが、職場の数が少ないため、経歴そのものは長くなりません。範囲を漏れなく並べ、規模の数字を添えることに紙面を使ってください。複数校を経験しているなら、学校ごとに規模が違うことを書くと、幅が伝わります。
経理の経験として、どこまで書いてよいですか
予算の執行管理、調達、支払、伝票の作成、徴収金の管理は、すべて経理の実務として書けます。ただし、「決算を組んだ」とは書けません。学校は設置者の会計の一部であり、決算を組むのは設置者です。書くなら、「予算の執行と支払の実務を担当。決算は設置者が行うため、その基礎となる記録の整備までを担当」と、線を引いて書いてください。正確に書くほうが信用されます。
学校の規模が小さく、書ける数字が少ないのですが
小規模でも、範囲の広さは変わりません。むしろ、小規模校ほど一人が見る範囲が広いことがあります。数字が小さいなら、「◯人規模の拠点で、経理・総務・人事・施設のすべてを単独で担当」という形で、範囲の広さを前に出してください。そのうえで、複数校を経験しているなら、それぞれの規模を並べると、対応できる幅が伝わります。面接で聞かれることは面接で聞かれることに整理しています。