部署別 / 学校事務
学校事務の面接|聞かれることと、答え方の型
学校事務の面接には、最初に越える関門があります。
「学校で、どういうお仕事をされていたんですか」
ここで「学校の事務です」と答えると、受付や書類整理をしていた人という像で固定されます。
そして、その像から抜け出すのは、後から説明しても難しいのが実際です。
答えるべきは、「一つの拠点の管理部門を、一人で担っていました」です。
この記事では、実際に出てくる質問を並べ、それぞれをどう答えるかを整理します。
言い換えは学校事務の経験は民間で何と呼ばれるか、行き先は学校事務からの転職先、書類は職務経歴書に分けています。
学校には、教育以外の法定の仕事が積み上がっています
答え方の前に、この仕事が何を引き受けてきたかを条文で確認します。
学校教育法第12条は、こう定めています。
学校においては、別に法律で定めるところにより、幼児、児童、生徒及び学生並びに職員の健康の保持増進を図るため、健康診断を行い、その他その保健に必要な措置を講じなければならない。
健康診断が、学校の義務として書かれています。
授業とは別の仕事です。それでも、学校がやらなければなりません。
そして、これは一例にすぎません。学校には、教育以外の法定の仕事が積み上がっています。
- 健康と保健に関すること
- 安全と防災に関すること
- 給食に関すること
- 記録の作成と保存に関すること
- お金と物の管理に関すること
これを誰が回すのか。
教員が授業に集中できるように、それ以外を引き受けているのが学校事務です。
この構造は、民間の管理部門とまったく同じです。
営業や開発が本業に集中できるように、経理・総務・人事・施設を引き受ける。役割の位置が一致しています。
面接では、この構造を一度言ってください。
> 学校には、教育以外に法律で決められた仕事が積み上がっています。教員が授業に集中できるように、それ以外を引き受けるのが事務職員の役割でした。民間の管理部門と、位置は同じです。
質問1:「学校で、どういうお仕事をされていたんですか」
ここで決まります。
避けたい答え方
「学校の事務です。庶務や経理などを担当していました」。
受付や書類整理をしていた人という像で固定されます。
組み立て方
枠 → 規模 → 範囲の順です。
> 一つの拠点の管理部門を、一人で担っていました。児童生徒約◯人、教職員約◯人の学校です。担当は、予算の執行管理(年間約◯万円)、調達と支払、保護者から預かるお金の管理(年間約◯万円)、給与・旅費・勤務の記録に関する事務、施設の修繕と備品の管理、そして法令で定められた記録の作成と保存です。
1文目が要点です。「拠点の管理部門を、一人で」——この一言で、事務員から管理部門の担当者に変わります。
質問2:「一人で、どうやって全部を回していたんですか」
この経歴でいちばん強く答えられる質問です。
避けたい答え方
「忙しかったですが、なんとかこなしていました」。
設計が見えません。
組み立て方
時期を押さえる → 区分する → 引き継げる形にするの3段です。
> 全部を同時にはできないので、時期で分けていました。学校の支出は、使う時期が学校の暦で決まっているものが多くあります。年度の初めに教材、行事の前に消耗品、修繕は長期の休業中。年度の初めに、費目ごとに「いつ必要か」を一覧にして、執行の時期を先に押さえます。次に、手続を区分しました。金額と内容によって、学校で決められる範囲と、設置者の手続が要る範囲が分かれます。この区分を一覧にしておくと、教員に聞かれたときに即答できます。そして、引き継げる形にしておくこと。記録には保存年限があるので、綴りの単位と保存年限を一覧で管理していました。
「使う時期を先に押さえる」という一言が効きます。限られた枠を、時期まで含めて設計してきた人として読まれます。
質問3:「上司が事務の専門家でない中で、どう進めていましたか」
少人数の事業所や、専門職の事務所の求人で出ます。
組み立て方
> 校長は教育の責任者であって、経理や契約の専門家ではありません。だから、「どうしますか」と聞くだけでは、判断できません。やっていたのは、判断の材料を整えて出すことです。選択肢を2つか3つに絞り、それぞれの費用と、期間と、手続上の制約を並べて示します。そのうえで、自分の意見も添える。「事務としては、この案を勧めます。理由は◯◯です」。決めるのは校長ですが、決められる形にして出すのが事務の仕事だと考えていました。
「決められる形にして出す」——これは、代表や院長が事務の専門家でない職場で、そのまま必要になります。
質問4:「お金の話を、どう伝えていましたか」
集金や請求を扱う職種で出ます。
組み立て方
関係が続く相手であることを、先に言ってください。
> 学校の集金は、相手が毎日顔を合わせる保護者です。役所の窓口なら手続が終われば相手は帰りますが、学校では関係が続きます。行事で会い、翌年も担当します。だから、強く言って済ませるという選択肢がありません。やっていたのは3つです。1つ目は、早く伝えること。期限の直前ではなく、余裕をもって案内します。2つ目は、選べる方法を示すこと。支払いの方法や時期に幅があるなら、先に伝えます。3つ目は、記録に残すこと。いつ、何を伝えたか。担当が変わっても、同じ対応ができるようにするためです。
「強く言って済ませるという選択肢がない」——継続して取引する相手を持つ会社では、まったく同じ条件です。
質問5:「民間の制度は、一から覚え直しになりますが」
正直に答えたほうが通ります。
組み立て方
> 会計の制度も、決裁の範囲も、使うシステムも違うので、制度そのものは一から覚え直しになります。ただ、「決められた手続に合わせて、正確に回す」という部分は同じです。学校でも、設置者が定めた手続に合わせて動いていました。どこまで自分で決められて、どこから上の手続が要るのか。その線を覚えて、間違えずに回すという仕事の仕方は変わりません。制度を覚えるまでの時間はいただきたいですが、覚えた後の回し方は同じだと考えています。
できないことを隠さない。そのほうが、入ってからの評価が安定します。
質問6:「うちで何ができますか」
応募先の方向によって、答えを完全に変えます。
| 応募先の方向 | 前に出すこと |
|---|---|
| 拠点の管理 | 範囲の広さと「一人で」、執行の時期の設計 |
| 少人数のバックオフィス | 経理・総務・人事の全部、判断の材料を整える進め方 |
| 本部の経理・総務 | 支払と伝票の処理、拠点から照会する側の経験 |
| 学校法人・専門学校 | 学校の事務の構造、徴収金の管理、法定の記録 |
| 学校向けの企業 | 買う側の事情と時期、手続の通り方 |
質問7:希望する条件について
給与や勤務条件の話も出ます。ここで長く話す必要はありません。
「現在の水準を基準に考えています」と伝え、具体的な調整は選考が進んでからにするのが一般的な進め方です。
なお、退職手当や共済の扱いは在職期間で変わる部分があります。手続きの前に、必ず所属の人事担当課と共済組合で確認してください。公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
逆質問で聞いておくこと
1. この拠点(部署)に、事務は何人いるか
一人なのか、分業しているのか。ここで、この経歴の活きる度合いが変わります。一人または少人数なら、範囲の広さがそのまま強みになります。
2. 決められる範囲はどこまでで、どこから上の手続が要るか
学校では、この線を覚えて回してきました。同じ線が、会社にもあります。先に聞いておくと、入ってからの立ち上がりが早くなります。
3. 記録の保存年限は、誰が管理しているか
「決まっていない」と答える会社は少なくありません。その場合、保存年限の管理を作る側に回れます。この経歴の強みが、直接活きる状況です。
つまずきやすい点
1. 「学校の事務です」から始める
「一つの拠点の管理部門を、一人で担っていました」と言ってください。
2. 「なんとかこなしていました」で答える
時期を押さえる → 区分する → 引き継げる形にするの3段で答えてください。
3. 規模を小さく見積もる
規模は人数ではなく、扱った金額と対象の数で決まります。4つの数字を並べてください。
4. 覚え直しになることを隠す
制度は一から、回し方は同じ。この線で正直に答えるほうが通ります。
5. 個別の事案に触れる
児童生徒、保護者、教職員、就学援助、未納。すべて話せません。手順と規模で話してください。
答え方の組み立ては、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
まとめ
- 学校教育法第12条は、健康診断を行い、その他その保健に必要な措置を講じなければならないと定めています。授業とは別の、法定の仕事です
- 学校には、教育以外の法定の仕事が積み上がっています。教員が授業に集中できるように、それ以外を引き受けるのが事務職員でした
- 最初の質問には、「一つの拠点の管理部門を、一人で担っていました」から入ってください
- 「どうやって全部を回したか」には、時期を押さえる → 区分する → 引き継げる形にするの3段で答えます
- 上司が事務の専門家でない環境では、「決められる形にして出す」という進め方を話してください
- 規模を小さく見積もらないでください。規模は人数ではなく、扱った金額と対象の数で決まります
よくある質問
学校しか知らないことを、どう説明すればよいですか
「職場の数は少ないが、担当の範囲は広い」と言ってください。多くの人は逆で、職場は変わっても担当は狭いという経歴です。範囲の広さは、職場の数では手に入りません。そのうえで、複数校を経験しているなら、「学校によって運用が違う中で、設置者の手続に合わせて整理し直してきた」と添えると、拠点ごとの違いに対応できる人として読まれます。
教員との関係について聞かれたら、どう答えますか
役割の違いとして答えてください。「教員は授業と児童生徒への対応が本業で、私はそれ以外を引き受ける側でした」。そして、個別の話は避けてください。特定の教員や学校の内部の事情は話せません。役割の構造で話せば、関係を築ける人かどうかは十分に伝わります。むしろ、個別の話をしてしまうほうが、評価を下げます。
年齢や在職年数が長いことは、不利になりますか
職種によります。分業が進んだ大きな会社では、若手を採って育てる前提の求人があります。一方、少人数の拠点や事業所では、「一人で任せられる人」が求められるため、経験の長さがそのまま評価されます。面接では、「範囲を全部見てきた年数」として言ってください。働き方の説明は働き方と評価に整理しています。