部署別 / 子育て支援課
子育て支援課の職務経歴書|悪い例と良い例、数字の出し方
子育て支援課の職務経歴書で、いちばん多い失敗はこれです。
「保育所の入所事務、児童手当の支給、子育て支援に関する業務」
制度の名前が並んでいるだけで、何をどう判断していたかが1行も入っていません。
読む側は、ここから「受付をしていた人」という像しか作れません。実際には、区分を判定し、限られた定員を公開された基準で配分し、数万件規模の支払を期日どおりに回していたわけですが、それが書かれていません。
この記事では、職務要約・担当業務・実績の3つに分けて、悪い例と良い例を並べます。
言い換えは子育て支援課の経験は民間で何と呼ばれるか、行き先は子育て支援課からの転職先に書いています。
「区分」が、法律で決まっています
書き方に入る前に、この部署の判断の性格を条文で押さえます。書類の芯になる部分です。
子ども・子育て支援法第19条は、教育・保育給付の支給要件について、対象となる子どもを3つの区分に分けています。
一 満三歳以上の小学校就学前子ども(次号に掲げる小学校就学前子どもを除く。)
二 満三歳以上の小学校就学前子どもであつて、保育を必要とするもの
三 満三歳未満の小学校就学前子どもであつて、保育を必要とするもの
年齢と、保育を必要とするかどうか。この2つで区分が決まります。
そして、区分によって、使える施設も、給付の内容も、利用できる時間も変わります。
つまり、この部署の認定は、「どの区分に当たるかを決める」という判断です。
そして、その判断は連鎖します。
- 区分が決まると、使える施設の種類が決まる
- 使える施設が決まると、申込みの対象が決まる
- 申込みが定員を超えれば、配分の対象になる
- 配分の結果が、その家庭の働き方に直接影響する
一つの分類の判断が、そこから先を全部決めていくという構造です。
これは、民間の審査業務でも同じ形です。区分の判定が、その後の条件と扱いを決める。保険の引受区分、料金の階層、会員の等級。構造はまったく同じです。
書類には、「認定した」ではなく「区分を判定した」と書いてください。そこから先が決まっていくという構造まで書けると、読まれ方が変わります。
職務要約
冒頭の3〜5行で、読まれ方が決まります。
悪い例
> ◯◯市役所に入庁後、複数の部署を経験し、直近では子育て支援課に所属。保育所の入所事務、児童手当の支給、子育て支援に関する業務を担当しました。
制度名が並んでいるだけで、規模も判断も入っていません。
良い例
> ◯◯市(対象児童数約◯万人、確認している施設◯か所)の子育て支援課で◯年間、制度の運営側の実務を担当しました。教育・保育給付の支給認定(年約◯件)では、年齢と保育の必要性による区分を判定し、利用の調整(年約◯件の申込み)では、公開された基準に基づく配分を担当しています。児童手当(対象約◯万人・年間支給額約◯億円)の認定と支払、保育料の算定と徴収、施設の確認と指導、第◯期の子ども・子育て支援事業計画への参加も担当しました。
入っているもの
- 規模(対象児童数、施設数、支給額、件数)
- 立場(制度の運営側の実務)
- 判断の中身(区分の判定、基準に基づく配分)
3つ目がいちばん効きます。「区分を判定し」「基準に基づいて配分し」と書くだけで、判断をしてきた人として読まれます。
担当業務
制度名を並べるのではなく、工程として書いてください。
悪い例
> ・保育所等の入所事務> ・児童手当、児童扶養手当の支給> ・保育料の賦課、徴収> ・施設の指導監査> ・子育て支援事業の企画
良い例
> 【教育・保育給付の支給認定(年約◯件)】> 年齢と保育の必要性による区分の判定、事由ごとの証明書類の確認、認定の通知。就労・疾病・介護・求職・就学という事由ごとに確認する書類と判定の順序を整理し、担当が変わっても同じ基準で判定できる形で運用。変更の申請と、年次の確認も担当。>> 【利用の調整(年約◯件の申込み)】> 公開された基準に基づく利用の調整。同一の指数となる場合の優先の考え方を整理し、決定後の説明に用いる資料として文書化。決定・不決定の通知と、その後の相談への対応まで担当。>> 【児童手当・児童扶養手当(対象約◯万人)】> 認定、変更、年次の確認、支払。支払は期日が固定されているため、対象全件の処理の工程と確認の手順を定型化して運用。>> 【保育料の算定・徴収】> 所得の階層に応じた算定、課税資料の確定に伴う年度途中の切り替え、収納と滞納の管理。>> 【施設の確認・指導(施設◯か所)】> 確認の審査、運営基準への適合の確認、指導(年約◯件)。指摘事項を「基準への不適合」と「運用上の改善」に区分し、改善報告の提出と確認まで追跡。>> 【計画・整備】> 地区別の児童数と申込みの動向の分析、必要量の見込み、整備の方向に関する資料の作成。
太字にした部分が、他の応募者と差がつく場所です。制度名ではなく、そこで何を設計していたかを1つずつ足してください。
実績
ここが書きにくい部分です。成果が、制度が適正に回っていたこととして現れるからです。
悪い例
> 保護者に寄り添った対応を行い、待機の解消に努めました。
工程も数字も入っていません。
良い例(3つの型)
型1:判断の基準を整理した
> 支給認定について、事由ごとに確認する書類と判定の順序を整理し、担当が交代しても同じ基準で判定できる手引きとして文書化。あわせて、同一の指数となる場合の優先の考え方を整理し、決定後の説明に用いる資料を作成した。
型2:一括処理を安定させた
> 児童手当の支払について、対象約◯万人分の処理の工程と確認の手順を定型化。支払の期日が固定されているため、処理の順序と確認の担当を事前に割り当てる形にし、◯年間、支払の遅延と誤りをゼロで維持した。
型3:分析を判断につなげた
> 地区別の児童数と申込みの動向を分析し、需要が伸びている地区と、減少に転じた地区を区分して整理。必要量の見込みと整備の方向に関する資料として、計画の検討に用いた。
型1が、この経歴でいちばん強い形です。個別の家庭に一切触れずに、判断の仕組みを作った話として書けます。
数字の出し方
公表されている資料から取れる数字を使ってください。
| 数字 | どこで使うか | 注意 |
|---|---|---|
| 対象児童数(就学前児童数) | 職務要約 | 規模がいちばん伝わる。公表されている |
| 確認している施設数と、種類の内訳 | 職務要約、担当業務 | 種類の内訳まで書く |
| 支給認定の年間件数 | 職務要約、担当業務 | 事業の概要から取れる |
| 利用の調整の申込件数 | 職務要約、実績 | 配分の規模が伝わる |
| 児童手当の対象者数と年間支給額 | 担当業務、実績 | 一括処理の規模が伝わる |
| 指導の年間件数 | 担当業務 | 事業者側への転職で効く |
| 保育料の調定額・収納率 | 担当業務 | 決算資料から取れる |
| 地区数と、分析の対象とした期間 | 実績 | 計画に載っている範囲で |
4行目と5行目が効きます。利用の調整の申込件数は配分の規模を、児童手当の対象者数と支給額は一括処理の規模を示します。どちらも、民間の同種の業務と直接比べられる数字です。
盛った数字は、面接で必ず確認されます。
並べ替え:応募先によって前に出すものを変える
同じ経歴でも、順番を変えるだけで通りやすさが変わります。
| 応募先 | 1番目 | 2番目 | 3番目 |
|---|---|---|---|
| 事業者の本部・運営管理 | 施設の確認と指導 | 運営基準への適合の確認 | 施設の種類ごとの違い |
| 事業者の請求・給付管理 | 施設型給付の支払 | 加算の要件の確認 | 給付の点検 |
| 人材サービス | 配置の基準と資格の要件の理解 | 施設の種類ごとの体制 | 事業者の事情の理解 |
| 企業の両立支援・人事 | 保育の利用の仕組み | 手当の制度 | 申込みの時期と見通し |
| 自治体向け企業 | 利用調整の仕組み | 一括処理の実務 | 委託先の管理 |
1番目に何を置くかだけでも、書類の読まれ方は変わります。全部を書き直す必要はありません。
書いてはいけないこと
この部署は、家庭の事情に関する情報を大量に扱います。
- 世帯の状況、就労の事情、家族の構成
- 個別の認定の結果や、利用調整の選考の結果
- 個別の家庭の指数や、優先の判断の内容
- 保育料の階層や、滞納の状況
- 相談の内容、通告に関する一切の情報
- 施設への個別の指摘の内容と、施設名
- 公表前の整備の計画や、委託先の選定に関する未公表の情報
- 特定の家庭や施設が推測できる記述
書けるのは、「工程」と「件数」と「自分が整理した仕組み」までです。
> ✕ 「ひとり親で求職中の世帯について、指数を加算して優先的に決定した事例がある」> ○ 「利用の調整について、公開された基準に基づき、同一の指数となる場合の優先の考え方を整理し、決定後の説明に用いる資料として文書化した」
後者のほうが、書類としても強くなります。個別の事案ではなく、自分が整理した仕組みが書かれているからです。
つまずきやすい点
1. 「入所事務」と書く
配分の設計として書いてください。抽選係のように読まれます。
2. 「認定した」と書く
「区分を判定した」と書いてください。そこから先が決まっていく構造まで書けると、読まれ方が変わります。
3. 地区別の分析を書かない
民間でいう商圏の分析です。縮む局面では、むしろ価値が上がります。
4. 一括処理の規模を書かない
児童手当の対象者数と支給額は、企業の請求処理と直接比べられる数字です。
5. 個別の事案を書いてしまう
世帯の事情、選考の結果、指数、施設名。すべて書けません。工程と件数で書いてください。
書類は一度見てもらったほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
まとめ
- 子ども・子育て支援法第19条は、給付の対象を年齢と保育の必要性によって3つの区分に分けています
- 区分が決まると、使える施設も給付も変わります。一つの分類の判断が、そこから先を全部決めていく構造です
- 職務要約には、規模・立場・判断の中身の3つを入れてください
- 担当業務は、制度名の一覧ではなく工程として書き、そこで何を設計していたかを足します
- 実績は、①判断の基準を整理した ②一括処理を安定させた ③分析を判断につなげたの3つの型で書けます。①がいちばん強い形です
- 利用の調整の申込件数と児童手当の対象者数・支給額が、配分と一括処理の規模を示す数字です
よくある質問
職務経歴書は何枚くらいが適切ですか
2枚が目安です。子育て支援課は扱う制度が多いため、全部書くと3枚を超えます。応募先に関係の薄いものは、見出しと1行だけにとどめてください。たとえば事業者の本部に応募するなら、児童扶養手当は1行で足ります。削ったほうが、残した部分が読まれます。
保育所の現場の経験がないことは、不利になりますか
本部や管理の職種では、大きな支障になりません。むしろ、複数の施設を横断して見てきたことが強みになります。現場の経験がある方は一つの園の運営に詳しい一方で、種類の違う施設を比べた経験は持っていないことが多いためです。書類では、確認している施設の数と種類の内訳を必ず書いてください。それが、横断して見てきた証拠になります。
待機の状況について、書いてよいですか
公表されている数字の範囲なら書けます。多くの団体が、待機の状況を公表しています。ただし、書くなら「数字が減った」ではなく、「どう分析し、何に使ったか」にしてください。待機の増減は、保育の需要、施設の整備、制度の変更など複数の要因で動くため、担当者の成果としては説明しにくい数字です。分析の対象として扱うほうが、数字の扱いが分かっている人として読まれます。面接で聞かれることは面接で聞かれることに整理しています。