部署別 / 子育て支援課
子育て支援課の働き方と評価|一年の波と、成果が残りにくい理由
子育て支援課の働き方には、一年の中に、動かせない山が一つあります。
冬から春にかけての、利用の調整です。
秋に申込みを受け付け、冬に選考し、春に結果を出す。この日程は、4月の入所から逆算して決まっているので、動かせません。
そして、結果を出した後が、もう一つの山になります。
この記事では、一年の波と、成果が残りにくくなる構造、そして民間に移ったときに何が変わるかを整理します。不満の話ではなく、構造の話として読んでください。転職の場面で、自分の仕事をどう説明するかに直結します。
言い換えは子育て支援課の経験は民間で何と呼ばれるか、行き先は子育て支援課からの転職先、書類は職務経歴書、面接は面接で聞かれることに分けています。
「五年を一期とする」と書かれています
まず、この部署が持っているもう一つの周期を条文で確認します。
子ども・子育て支援法第61条第1項は、こう定めています。
市町村は、基本指針に即して、五年を一期とする教育・保育等及び地域子ども・子育て支援事業の提供体制の確保その他この法律に基づく業務の円滑な実施に関する計画(市町村子ども・子育て支援事業計画)を定めるものとする。
「五年を一期とする」です。
介護保険や障害福祉の計画は3年を1期としています。この分野だけ、5年です。
5年先までの必要量を見込み、提供体制の確保の方向を決める。
つまり、この部署は、
- 一年の中に、動かせない山(利用の調整)がある
- その上に、5年周期の計画が乗る
- しかも、需要は減る方向にあり、地域差が大きい
5年先を見通すのは、3年より難しくなります。とくに、児童数が動いている局面では、5年の幅は大きいからです。
面接では、この構造を一度言ってください。
> 計画は五年を一期とするので、5年先の必要量を見込んで体制の確保を考える仕事でした。児童数が動いている分野で、5年先を置くのは、前提の作り方が問われます。
「長い期間の見通しを、前提を明示して置いてきた」——これは、民間の中期計画でそのまま必要になる姿勢です。
一年の波
| 時期 | 主な仕事 | 忙しさ |
|---|---|---|
| 10〜12月 | 利用の申込みの受付、認定の処理、案内の作成 | 高 |
| 1〜2月 | 利用の調整(選考)。一年でいちばん重い | 最も高い |
| 2〜3月 | 決定・不決定の通知、二次の調整、相談の集中 | 最も高い |
| 4月 | 入所、年度替わりの認定の更新、制度改正の反映 | 高 |
| 5〜6月 | 課税資料の確定に伴う保育料の階層の切り替え、手当の年次確認 | 高 |
| 7〜9月 | 施設の確認・指導、次年度の予算、計画の進捗 | 中 |
| 通年 | 認定、変更、手当の支払、相談、施設との調整 | — |
| 5年に1度 | 子ども・子育て支援事業計画の策定(上記に上乗せ) | 最も高い |
山は実質2つあります。
1つ目は1〜3月。選考と、通知と、その後の相談。通知を出した直後から、問い合わせが集中します。しかも、希望が通らなかった方にとっては、働き方に直結する結果です。
2つ目は5〜6月。課税資料が確定すると、保育料の階層が切り替わります。対象は在園している全員分です。同じ時期に、手当の年次確認も重なります。
そして、通年で止まらないのが認定と手当の処理です。申込みも、変更も、いつでも来ます。
成果が残りにくいのは、役割の構造によるものです
子育て支援課の成果が評価に結びつきにくいのには、3つの構造的な理由があります。評価してもらえないという話ではなく、役割の構造からそうなるという話です。
1. 待機の数は、複数の要因で動く
需要の変化、施設の整備、制度の変更。待機の数は、これらが同時に効いて動きます。
担当の努力と切り分けられません。だから、「減らしました」と言うと、要因の切り分けを聞かれて答えに詰まります。
2. 配分は、「決めた」ことが成果になりにくい
限られた定員を、基準どおりに配分した。これは、適正に処理したという以上の意味を持ちません。
一方、外れた方には不満が残ります。成果としては数えられず、不満だけが表に出るという構造です。
3. 整備の成果は、数年後に現れる
施設を増やす、定員を変える。効果が出るのは数年後で、そのころには担当が変わっています。
この3つのうち、2つ目と3つ目は、書き方で置き換えられます。
2つ目は、「配分の仕組みに何をしたか」です。事由ごとの当てはめの整理、同一の指数となる場合の優先の考え方、説明に使う資料。これは、結果ではなく仕組みとして書けます。
3つ目は、「分析に何をしたか」です。地区別の児童数と申込みの動向、どこで足りず、どこで余り始めているか。整備の結果ではなく、判断の材料を作ったこととして書けます。
民間に移ると変わる4つのこと
1. 配分する側から、配分を受ける側に変わる
事業者側に移ると、利用調整は「与えられる条件」になります。自分たちで決められません。
ただし、仕組みを知っていることは、そのまま強みです。どの時期に、どういう基準で決まるのか。入園の見通しを立てられる人として読まれます。
2. 需要の見通しが、そのまま事業の前提になる
行政では、需要の見通しは計画の資料でした。事業者では、出店と統廃合の判断の材料になります。
地区別に見てきた経験が、そのまま商圏の分析として使えます。縮む局面では、どこを残すかの判断が必要になるので、むしろ価値が上がります。
3. 成果が定員の充足で測られる
事業者では、定員に対する在籍、稼働、職員の定着が指標になります。「適正に運営した」では止まりません。
4. 周期が短くなる
5年周期から、年度や四半期の周期に変わります。振り返りの間隔が短くなるので、ずれに早く気づけます。
一方で、5年先まで見通して体制を考えるという仕事の重さは、民間ではあまり経験できません。この経験は持ち込む価値があります。
在職中に残しておくべき記録
転職を考え始めたら、在職中に手元に控えておくものがあります。辞めてからでは集めにくくなります。
| 残すもの | 使う場面 | 注意 |
|---|---|---|
| 就学前児童数と、地区別の内訳 | 職務要約、実績 | 計画に載っていることが多い |
| 確認している施設数と、種類の内訳 | 職務要約 | 種類の内訳まで書く |
| 利用の調整の申込件数と、決定の件数 | 職務要約、実績 | 配分の規模が伝わる |
| 支給認定の年間件数 | 担当業務 | 事業の概要から取れる |
| 児童手当の対象者数と年間支給額 | 実績 | 一括処理の規模が伝わる |
| 指導の年間件数 | 担当業務 | 事業者側への転職で効く |
| 保育料の調定額・収納率 | 担当業務 | 決算資料から取れる |
| 担当した計画の期と、自分が担当した部分 | 面接 | 5年に1度しか積めない経験 |
8行目が最重要です。「第◯期の計画で、地区別の必要量の見込みを担当」と書けるのは、その年に在籍していた人だけです。5年に1度しか回らないので、経験した期と担当した部分を必ず控えてください。
そして、書いてはいけないものも確認しておきます。
- 世帯の状況、就労の事情、家族の構成
- 個別の認定の結果や、利用調整の選考の結果
- 個別の家庭の指数や、優先の判断の内容
- 保育料の階層や、滞納の状況
- 相談の内容、通告に関する一切の情報
- 施設への個別の指摘の内容と、施設名
- 公表前の整備の計画や、委託先の選定に関する未公表の情報
公表されている計画と事業の概要、決算資料に載っている範囲で書くのが原則です。
つまずきやすい点
1. 1〜3月を「問い合わせが多くて大変だった」と説明する
「結果が生活に直結する通知を出した後に、基準に沿って説明し、次に取れる手を示す期間が続く」と言い換え、来る前提で用意していたことを添えてください。
2. 待機の数を成果として書く
複数の要因で動きます。分析の対象として扱うほうが、数字の扱いが分かっている人として読まれます。
3. 配分を「適正に処理した」で終える
配分の仕組みに何をしたかを書いてください。
4. 担当した計画の期を控えていない
5年に1度しか積めない経験です。期と、自分が担当した部分を必ず書いてください。
5. 退職後の手続きを確認しないまま動く
退職手当や共済の扱いは在職期間で変わります。所属の人事担当課と共済組合で先に確認してください。公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
どの経験がどの方向で値が付くかは、募集の出方で変わります。どの経験に値が付くのかから相談できます。
まとめ
- 子ども・子育て支援法第61条は、市町村の計画を五年を一期とすると定めています。介護保険や障害福祉の3年より長い周期です
- 一年の山(利用の調整)の上に、5年周期の計画が乗ります。しかも児童数が動いている分野なので、5年先を置くのは前提の作り方が問われます
- 一年の山は1〜2月の選考と2〜3月の通知とその後の相談、そして5〜6月の保育料の階層の切り替えです
- 成果が残りにくいのは、待機の数が複数の要因で動く/配分は「決めた」ことが成果になりにくい/整備の成果は数年後に現れるという3つの構造によるものです
- 「配分の仕組みに何をしたか」と「分析に何をしたか」は、結果を待たずに書けます
- 民間に移ると、配分を受ける側に変わる/需要の見通しが事業の前提になる/定員の充足で測られる/周期が短くなるの4点が変わります
よくある質問
残業は多い部署ですか
団体や年によって違うため、一般化はできません。ただし、構造として、1〜3月に選考と通知とその後の相談が集中すること、5〜6月に保育料の階層の切り替えと手当の年次確認が重なること、認定と手当の処理が通年で止まらないことは、どこでも共通します。面接で聞かれたら、4月の入所から逆算して日程が決まっているため、冬から春の山は動かせないという構造を説明するのが正確です。個別の職場の事情をそのまま話す必要はありません。
問い合わせ対応が多い部署は、民間でも同じですか
性質が変わります。行政では、結果に納得できない方にも、手続として最後まで対応します。相手を選べません。民間の事業者側では、契約した利用者への対応が中心になり、入園の可否を決めるのは行政なので、決定に関する説明は行政が担います。この違いは楽になる部分ですが、逆に「決められない立場」のもどかしさは出てきます。逆質問で、入園の相談にどこまで関わるかを確認しておくと、入ってからの誤差が減ります。
異動して1年ですが、経歴として使えますか
冬から春の山を一度越えていれば使えます。この部署は、申込みの受付から選考、通知、その後の相談、入所までを一巡して、初めて全体が見えます。一巡していれば、配分の仕組みと、通知後の対応の設計を説明できます。逆に、手当の事務だけを担当している段階だと、書ける範囲が給付の管理にとどまります。判断の目安は、利用の調整を一度通したことがあるかです。書き方は職務経歴書に整理しています。