部署別 / 教育委員会事務局
教育委員会事務局の職務経歴書|悪い例と良い例、数字の出し方
教育委員会事務局の職務経歴書で、いちばん多い失敗はこれです。
「学校施設の整備、就学事務、教科書採択、学校給食、社会教育に関する業務」
担当した事務が、6つも7つも並んでいます。
幅が広いこと自体は事実なのですが、並べただけでは「雑多な事務をしていた人」になります。どれも浅く見えてしまうからです。
この記事では、職務要約・担当業務・実績の3つに分けて、悪い例と良い例を並べます。鍵は、並べないで束ねることです。
言い換えは教育委員会事務局の経験は民間で何と呼ばれるか、行き先は教育委員会事務局からの転職先に書いています。
毎年、自分たちの仕事を点検して公表しています
書き方に入る前に、この部署が持っている習慣を条文で押さえます。書類に直接使える部分です。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第26条第1項は、こう定めています。
教育委員会は、毎年、その権限に属する事務の管理及び執行の状況について点検及び評価を行い、その結果に関する報告書を作成し、これを議会に提出するとともに、公表しなければならない。
3つのことが義務になっています。
1. 毎年、点検と評価を行う
2. 報告書を作成する
3. 議会に提出し、公表する
つまり、この部署は、自分たちの仕事を毎年評価し、外に出る形で公表してきました。
これは、書類に直接使えます。
なぜなら、点検と評価の報告書には、自分が担当した事務について、「何を目標にして、何をして、どうだったか」が整理されているからです。
職務経歴書に書くべきものと、ほぼ同じ形です。
そして、これは公表されています。つまり、そこに書かれている範囲なら、書類に使えます。
先に、自分の団体の点検・評価の報告書を開いてください。自分が担当した事務の項目に、目標、実施した内容、指標、評価が並んでいるはずです。書類の材料は、そこにあります。
職務要約
冒頭の3〜5行で、読まれ方が決まります。
悪い例
> ◯◯市役所に入庁後、複数の部署を経験し、直近では教育委員会事務局に所属。学校施設の整備、就学事務、教科書採択、学校給食などの業務を担当しました。
事務が並んでいるだけで、規模も機能も入っていません。
良い例
> ◯◯市の教育委員会事務局で◯年間、小中学校◯校(児童生徒約◯人、教職員約◯人)を所管する本部の機能を担当しました。施設と資産の管理(延べ床面積約◯万平方メートル、長寿命化計画の策定)、要員の配置に関する調整、調達と標準の展開(端末約◯台の導入、教材の選定)、拠点からの照会への対応を扱っています。あわせて、教育委員会の会議の運営と、年次の点検・評価の報告書の作成を担当しました。
入っているもの
- 規模(学校数、児童生徒数、教職員数、延べ床面積)
- 機能で束ねた担当(施設と資産/要員/調達と標準/拠点支援)
- 合議体の事務局と、点検・評価
2つ目が要点です。事務を並べるのではなく、機能で束ねる。これだけで、多拠点の本部の経歴として読まれます。
担当業務
事務の名前を並べるのではなく、機能で束ねて、その中に工程を書いてください。
悪い例
> ・学校施設の営繕、工事の発注> ・就学事務、学区に関すること> ・教科書採択に関する事務> ・学校給食の運営> ・社会教育施設の管理
良い例
> 【施設と資産の管理(◯校・延べ床面積約◯万平方メートル)】> 修繕と改修の計画、工事の発注と監理、長寿命化計画の策定。工事は長期の休業中にしか実施できないため、予算の年度と学校の暦の両方に合わせて工程を組む運用を担当。>> 【要員の配置に関する調整(教職員約◯人規模)】> 配置に関する意見の取りまとめ、非常勤の職員の任用、服務に関する事務。任命権が都道府県にあるため、意見を根拠とともに整理して伝える形で調整。>> 【調達と標準の展開】> 端末約◯台の導入と運用、教材の選定に関する事務、給食の運営に関する委託の管理。通知をそのまま流さず、「何を、いつまでに、どうするか」に整理し直して学校に渡す運用を担当。>> 【拠点からの照会への対応(◯校)】> 学校からの相談の受付と仕分け。その学校だけの問題か、他校にも関係するか、制度の見直しが要るかを区分し、必要なものを全校に展開。>> 【合議体の事務局】> 教育委員会の会議の運営、議案の作成、会議録の作成と公表。>> 【点検・評価】> 年次の点検・評価の報告書の作成。担当する事務について、目標・実施内容・指標・評価を整理し、議会への提出と公表まで担当。
太字にした部分が、他の応募者と差がつく場所です。事務の名前ではなく、そこで何を設計していたかを1つずつ足してください。
実績
ここが書きにくい部分です。成果が、学校の側に現れるからです。
悪い例
> 学校との連携を密にし、教育環境の充実に努めました。
工程も数字も入っていません。
良い例(3つの型)
型1:配分の設計をした
> 学校施設の修繕について、緊急性・安全への影響・経年の3つを基準に優先順位をつける枠組みを整理。限られた予算の中で、どの学校のどの工事を先にするかの判断を、基準に沿って説明できる形にした。
型2:標準の展開を設計した
> 端末約◯台の導入にあたり、通知をそのまま流さず、学校が実施する手順を「何を、いつまでに、誰が」の形に整理して配布。あわせて、実施状況を確認する項目を定め、未実施の学校を個別に支援する運用を導入した。
型3:拠点からの照会を仕組みにした
> 学校からの照会について、「その学校だけの問題」「他校にも関係する」「制度の見直しが要る」の3つに区分する手順を整理。2つ目に区分したものは全校に展開し、同じ照会が繰り返されることを減らした。
型3が、多拠点の本部への転職でいちばん効く形です。「個別対応で終わらせず、横に展開した」という話は、本部の機能そのものだからです。
数字の出し方
公表されている資料から取れる数字を使ってください。
| 数字 | どこで使うか | 注意 |
|---|---|---|
| 所管する学校数(小・中の別) | 職務要約 | 拠点数として読まれる。公表されている |
| 児童生徒数と教職員数 | 職務要約 | 規模がいちばん伝わる |
| 学校施設の延べ床面積 | 職務要約、実績 | 施設・資産の方向で最重要 |
| 端末の導入台数 | 担当業務、実績 | 調達の規模が伝わる |
| 委託の件数と年間の委託料 | 担当業務 | 決算資料から取れる |
| 就学援助の認定件数 | 担当業務 | 事業の概要から取れる |
| 点検・評価の対象とした事務の項目数 | 実績 | 報告書に載っている |
| 統廃合や整備計画の対象校数 | 実績 | 計画に載っている範囲で |
1行目から3行目が中心です。学校数は拠点数として、児童生徒数と教職員数は規模として、延べ床面積は資産の大きさとして読まれます。
盛った数字は、面接で必ず確認されます。
並べ替え:応募先によって前に出すものを変える
同じ経歴でも、順番を変えるだけで通りやすさが変わります。
| 応募先 | 1番目 | 2番目 | 3番目 |
|---|---|---|---|
| 多拠点の本部 | 拠点数と規模 | 標準の展開と実施状況の確認 | 照会の仕分けと横展開 |
| 委託先・加盟店の管理 | 任免できない相手の監督 | 委託の種類と規模 | 根拠と合意での調整 |
| 施設・資産の管理 | 延べ床面積と学校数 | 長寿命化計画 | 優先順位の基準 |
| 自治体向け企業 | 学校の実務の理解 | 調達と導入の経験 | 現場で起きることの把握 |
| 教育産業の本部 | 教材と研修の設計 | 教育課程の基準の理解 | 学校の意思決定の仕組み |
1番目に何を置くかだけでも、書類の読まれ方は変わります。全部を書き直す必要はありません。
書いてはいけないこと
この部署は、児童生徒と教職員に関する情報を扱います。
- 児童生徒や保護者に関する一切の情報
- いじめ、事故、不登校など、個別の事案
- 教職員の個別の人事、服務に関する事案
- 特定の学校の内部の状況や、評判に関すること
- 就学援助の認定に関する個別の状況
- 公表前の統廃合の検討や、整備の計画
- 委託先の選定に関する未公表の情報
- 教育委員会の会議の非公開の部分
書けるのは、「機能」と「規模」と「自分が整理した仕組み」までです。
> ✕ 「◯◯小学校で発生した事案について、保護者への説明を行った」> ○ 「学校からの照会を『その学校だけの問題』『他校にも関係する』『制度の見直しが要る』に区分し、2つ目は全校に展開する手順を整理した」
後者のほうが、書類としても強くなります。個別の事案ではなく、自分が整理した仕組みが書かれているからです。
つまずきやすい点
1. 担当した事務を並べる
機能で束ねてください。施設と資産/要員/調達と標準の展開/拠点支援の4つです。
2. 点検・評価の報告書の作成を書かない
「評価の枠組みを運用してきた」と書くと、管理の素地がある人として読まれます。公表されているので安心して使えます。
3. 規模の数字を書かない
学校数・児童生徒数・教職員数・延べ床面積。これがないと、拠点の規模が測れません。
4. 照会の仕分けを書かない
「個別対応で終わらせず、横に展開した」は、本部の機能そのものです。
5. 個別の事案を書いてしまう
児童生徒、保護者、教職員、特定の学校。すべて書けません。機能と規模と仕組みで書いてください。
書類は一度見てもらったほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
まとめ
- 地方教育行政法第26条は、毎年、事務の管理及び執行の状況について点検及び評価を行い、報告書を議会に提出し、公表することを義務づけています
- 点検・評価の報告書には、目標・実施内容・指標・評価が整理されています。職務経歴書に書くべきものと、ほぼ同じ形です
- 職務要約には、規模・機能で束ねた担当・合議体の事務局と点検評価の3つを入れてください
- 担当業務は、事務の一覧ではなく、機能で束ねて、その中に工程を書きます
- 実績は、①配分の設計をした ②標準の展開を設計した ③拠点からの照会を仕組みにしたの3つの型で書けます。③が多拠点の本部でいちばん効きます
- 学校数・児童生徒数・教職員数・延べ床面積が、拠点数と規模と資産を示す中心の数字です
よくある質問
職務経歴書は何枚くらいが適切ですか
2枚が目安です。教育委員会事務局は担当の幅が広いため、全部書くと3枚を超えます。機能で束ねたうえで、応募先に関係の薄い機能は、見出しと1行だけにとどめてください。たとえば施設・資産の方向に応募するなら、就学の事務は1行で足ります。削ったほうが、残した部分が読まれます。
複数の係を経験している場合、どう書けばよいですか
時系列ではなく、機能でまとめてください。「◯年〜◯年 学務係」「◯年〜◯年 施設係」と時系列で書くと、係の名前だけが並びます。そうではなく、「施設と資産の管理(◯年間)」「要員の配置に関する調整(◯年間)」と機能で束ね、それぞれに担当した年数と規模を添えるほうが、何ができる人かが伝わります。
社会教育(公民館・図書館)も担当していた場合は
「施設の運営と、講座の企画・委託管理」として、別の機能で立ててください。施設数、利用者数、年間の講座数、委託の件数。学校とは別の拠点を持っていたことになるので、所管していた拠点の総数が増えます。多拠点の本部の方向では、学校と社会教育施設を合わせた拠点数を書くと、規模が正確に伝わります。