部署別 / 障害福祉課
障害福祉課からの転職先|向いている5方向と、合いにくい方向
障害福祉課からの転職には、他の福祉部署にない有利さがあります。
事業者側が、この経歴を必要としていることです。
理由は制度の構造にあります。市町村の決定がなければ、サービスは始まりません。事業者から見れば、決定の仕組みを内側から知っている人は、そのまま実務の戦力になります。
ところが、求人サイトで「障害福祉」と検索すると、支援の現場職ばかり出てきます。資格が前提のものが多く、制度を運営してきた経験が使われません。
この記事では、向いている5方向と、合いにくい方向、それに資格と検索語を並べます。
仕事の言い換えは障害福祉課の経験は民間で何と呼ばれるかに書いています。
「支給決定を受けなければならない」——入口を持っています
方向の話に入る前に、この部署が制度のどこにいたかを条文で確認します。
障害者総合支援法第19条第1項は、こう定めています。
介護給付費、特例介護給付費、訓練等給付費又は特例訓練等給付費の支給を受けようとする障害者又は障害児の保護者は、市町村の介護給付費等を支給する旨の決定を受けなければならない。
「受けなければならない」です。
決定がなければ、給付は支給されません。そして、給付が支給されなければ、事業所はサービスを提供しても報酬を受け取れません。
つまり、この部署は、制度の入口に立っていました。
- 決定がなければ、利用者はサービスを使えない
- 決定がなければ、事業者は事業として成り立たない
この位置にいた経験が、民間でそのまま価値になります。
事業者側から見れば、「どういう場合に決定が出て、どういう場合に出ないのか」「決定の内容が何で決まるのか」を知っている人は、利用者の受け入れの見通しを立てられる人です。
面接では、この位置を一度言ってください。
> 市町村の支給決定を担当していました。決定の内容が、利用者が使えるサービスの種類と量を決め、事業所の運営の前提にもなります。
「制度の入口にいた」という説明は、事業者側の採用担当に対していちばん速く通じます。
向いている5つの方向
1. 障害福祉サービス事業者の運営管理・本部
いちばん需要がある方向です。
指定の基準、運営の基準、請求の仕組み、実地指導で何を見られるか。監督する側にいた経験は、事業者側にとって直接の価値です。
| 見るべき求人 | 前に出す経験 |
|---|---|
| 事業所の管理者、エリア管理 | 運営基準、実地指導、記録の整備 |
| 本部の運営支援・品質管理 | 指定と監査、基準への適合の確認 |
| 請求・報酬の管理部門 | 給付費の点検、過誤の調整、加算の要件 |
書くときは、監督してきた規模も入れてください。指定事業所の数、年間の実地指導の件数、扱った事業の種類。何十という事業所を横断して見てきたという事実は、一つの法人しか知らない管理者との違いになります。
もう一点、この方向で見落とされやすいのが「相談支援事業の委託」の経験です。相談支援の事業所に委託し、委託料を積算し、実績を確認し、質を見る。発注者として支援の事業を管理してきたという経験は、事業者側で受託する立場に回ったときにそのまま使えます。委託の件数と、積算の考え方を控えておいてください。
2. 就労支援・人材サービス
就労移行支援や就労継続支援の利用調整に関わっていた方は、この方向が直接つながります。
そして、企業側の障害者雇用の支援という領域があります。採用の設計、職場での配慮の調整、定着の支援。
「働きたいが働けていない状態の要因を分けて、順序を決めて進める」という工程は、福祉の側でやってきたことと同じです。
3. 相談支援・地域の機関
相談支援の事業所、基幹相談支援センター、地域の支援機関。
制度を横断して見られることが強みになります。障害、介護、医療、就労、教育、生活。この範囲を日常的に横断してきた人は、多くありません。
ただし、この方向は資格が要件になっている求人が多いので、必須要件を先に確認してください。
4. 自治体を顧客にする企業・福祉分野のシステム
障害福祉のシステム、請求の支援、相談支援の受託、事業所向けのサービス、計画の策定支援。
発注する側にいた経験に加えて、制度の実務を知っていることが提案の材料になります。
この方向は、経歴の説明に時間がかかりません。自治体を顧客にする会社は、制度側から来る人材を前提に募集を出しているためです。一方で、入ってから事業者向けのサービスの担当になることがあるので、会社の顧客の内訳は先に確認してください。
5. 企業の障害者雇用の推進担当
一般の企業や、特例子会社の雇用の推進担当です。
法定雇用率への対応、職場での配慮の設計、支援機関との連携、定着の管理。
この役割で難しいのは、支援機関とどう組むかです。就労移行支援、就労定着支援、地域の就労支援センター。どこが何をしてくれるのかを知っている人は、企業側に多くありません。福祉の側から来た人が、そこを埋められます。
合いにくい方向
正直に書いておきます。
1. 支援の現場職
資格や研修の修了が前提になることが多い領域です。制度を知っていることと、支援ができることは別です。目指すなら、資格から入る前提で考えてください。
2. 医療の専門職
医師の意見書を扱ってきたことから医療系に見えますが、医学的な判断は医師や専門職が担います。接続するのは、制度の運用と給付の管理の側です。
3. 新規開拓の営業
判定と決定と点検で成り立つ仕事です。目標を持って新規に働きかける仕事とは、求められるものが変わります。事業者向けの提案やカスタマーサクセスのほうが接続します。
4. 立ち上げ期の会社の管理部門一人目
制度と基準がある前提で、それを正確に運用するのが強みです。仕組みそのものを一から作る場面では、前提が変わります。
5. 短期の数字で評価される職種
この経歴の成果は、制度が適正に回ることと、支援が実を結ぶことで、どちらも時間がかかります。月次の目標を積み上げる形の職種では、働き方の前提が変わります。
役に立つ資格
必須の資格はありません。ただし、方向によっては書類の通りやすさが大きく変わります。
| 資格 | 効く方向 | 補足 |
|---|---|---|
| 社会福祉士 | 相談支援、地域の機関、事業者 | 必須要件の求人が多い。優先度が最も高い |
| 精神保健福祉士 | 就労支援、精神障害の分野 | 対象を絞った支援で強い |
| キャリアコンサルタント | 就労支援、障害者雇用 | 企業側への支援で効く |
| 日商簿記2級 | 事業者の本部、経営管理 | 収支と請求の話に入れる |
| 産業カウンセラー | 企業の雇用推進担当 | 面談の裏づけになる |
優先順位をつけるなら、社会福祉士です。必須要件として書かれている求人が多く、ここで足切りになることがあります。行政での実務経験が受験資格に関わる場合があるので、在職中に条件を確認しておいてください。
求人を探すときの検索語
「障害福祉」だけで探さないでください。
| 見たい方向 | 検索語 |
|---|---|
| 事業者の運営管理 | 運営管理/管理者/エリアマネージャー/運営基準 |
| 品質管理・本部 | 品質管理/実地指導/内部監査/コンプライアンス |
| 請求・報酬 | 障害福祉サービス 請求/報酬/返戻/加算 |
| 就労支援 | 就労移行/就労定着/職場定着/職業リハビリテーション |
| 企業の雇用推進 | 障害者雇用/法定雇用率/特例子会社/合理的配慮 |
| 自治体向け企業 | 自治体向け/福祉システム/計画策定支援/公共 |
「障害者雇用」は必ず一度回してください。企業側の求人で、福祉の制度を知っている人を探しているものが出てきます。
つまずきやすい点
1. 「障害福祉」で検索する
「運営管理」「品質管理」「請求」「障害者雇用」で探してください。
2. 必須要件を確認しない
資格名が書かれているかどうかで、実務経験で読まれる求人かが分かります。
3. 「制度の入口にいた」ことを説明しない
決定がなければ、利用者は使えず、事業者も成り立ちません。事業者側にいちばん速く通じる説明です。
4. 監督してきた規模を書かない
指定事業所数、実地指導の件数。何十という事業所を横断して見てきたという事実が、管理者との違いになります。
5. 方向を1つに絞りすぎる
事業者の運営管理と、自治体向け企業は、説明の型が近いので並行して見られます。
どの方向で値が付くかは、募集の出方で変わります。どの経験に値が付くのかから相談できます。
まとめ
- 障害者総合支援法第19条は、給付を受けようとする者は市町村の支給決定を受けなければならないと定めています
- 決定がなければ、利用者は使えず、事業者も成り立たない。この制度の入口にいた経験が、民間でそのまま価値になります
- 向いているのは、①事業者の運営管理と本部 ②就労支援・人材サービス ③相談支援・地域の機関 ④自治体向け企業と福祉システム ⑤企業の障害者雇用の推進担当の5方向です
- 合いにくいのは、支援の現場職/医療の専門職/新規開拓の営業/立ち上げ期の一人目/短期の数字で評価される職種です
- 資格を1つ選ぶなら社会福祉士。必須要件の求人が多く、ここで足切りになることがあります
- 求人票は、必須要件に資格名があるかと、業務内容に「運営基準」「実地指導」があるかで見分けてください
よくある質問
支援の経験がないのに、福祉の事業者に採用されますか
本部や管理の職種では、採用されています。事業者が困っているのは、制度の変更に運営を合わせることと、指導で指摘を受けないように記録と体制を整えることです。支援の経験が長い方ほど、この部分が手薄になりがちなので、制度側から来た人が補える領域があります。面接では、「支援の実務は経験していないが、指定と運営の基準、請求の仕組み、指導で見られる点は実務として扱ってきた」と正確に言ってください。
企業の障害者雇用の担当は、未経験でも務まりますか
福祉の側から来る人は、むしろ必要とされています。企業側の担当者が困るのは、支援機関とどう組むかです。就労移行支援、就労定着支援、地域の就労支援センター。どこが何をしてくれるのかを知っている人は、企業側に多くありません。面接では、制度の仕組みと、支援機関の役割の違いを説明できることを前に出してください。
何社くらい受けるものですか
決まった数はありません。ただ、この経歴は「事業者側」と「企業の雇用推進」で求められるものが違うため、1方向に絞ると選択肢が少なくなります。事業者の運営管理と、自治体向け企業のように、説明の型が近い2方向を並行して見ておくと、書類の作り直しが少なく済みます。書き方は職務経歴書に整理しています。面接で聞かれることは面接で聞かれることに整理しています。