制度とお金 / 退職の手続き
個人データ・メールの整理
退職前のデータ整理は、「自分が使っていた端末だから中身は自分で処分する」という作業ではありません。本人に交付された給与や証明の資料と、住民・事業者・職場の情報、組織の業務記録を分けます。保存と引継ぎ、私的な資料の扱い、アカウント終了、端末返却を所属の手順で確認してください。
本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。国・自治体の一般的な確認項目を説明し、個別のシステム操作を指示するものではありません。保存・削除・転送・書出しの可否は、上司、文書管理、情報システム、個人情報管理の担当へ確認します。
端末を触る前に整理の責任者を確認する
最初に、誰が保存対象を決め、誰が引継ぎを確認し、誰がアカウントを終了するかを尋ねます。本人、所属長、文書管理者、システム管理者では権限が違います。退職者がまとめてすべてのデータを削除するという前提にはしません。
正式な退職日と、端末を使える最終日、共有先へデータを移す日、メールの利用終了日を分けます。休暇や在宅勤務がある場合も、返却に必要な作業をいつ誰と行うかを確認します。最後の日に初めて保存先を考えないようにします。
整理の目的は、本人の手元を空にすることだけではありません。次の担当者が業務を続けられ、組織が必要な記録を管理でき、不要な私的情報が残らない状態を、それぞれの手順で整えることです。
本人の給与・証明資料と業務情報を分ける
本人に交付された給与明細、給与所得の源泉徴収票、共済の通知、雇用や任用に関する本人向けの証明などは、退職後に必要になる資料を給与・人事担当へ確認します。利用中のシステムでいつまで閲覧できるか、正式な取得方法、再交付先を尋ねてください。
国税庁は、給与所得の源泉徴収票を給与の受給者へ交付する取扱いを説明しています。本人へ交付される税の票と、給与担当が保有する職員全員の台帳は別です。自分の名前が載っているからといって、台帳や人事資料の全体を私的に保存しません。
本人の控除申告、相談記録、個人番号等がある場合も、どの資料を本人へ交付できるかを担当へ確認します。本人が関係する情報であることだけで、組織の保有文書を自由にコピーしてよいとは考えません。第三者の情報が含まれる資料は特に区別します。
業務文書は本人の判断で消さない
公文書等の管理に関する法律は、国の行政機関について第4条に文書作成、第5条に整理・保存期間、第8条に移管・廃棄の仕組みを定めています。退職する担当者が不要と感じたという理由だけで、保存が必要な記録を消してよいものではありません。
地方公共団体については同法第34条と、本人の自治体の文書管理条例・規程等を確認します。国の廃棄手続きをそのまま地方の個別操作へ当てはめるのではなく、所属の保存期間と廃棄・引継ぎの権限に従います。
下書きや作業メモも、経緯や判断を確認するために必要な場合があります。ファイル名が「メモ」、保存先がデスクトップ、作成者が本人というだけで私物と決めません。正本・重複・作業用データの区分と処理方法を文書管理担当へ確認してください。
保存場所と閲覧権限を引継ぎ一覧にする
引継ぎ用には、業務名、記録の名称、正本の保存先、現在の担当、次の期限、確認が必要な点を整理します。ファイルを大量に複製するより、組織内で参照する場所と最新版を明確にします。複製が必要な場合も所属の方法に従います。
共有フォルダーへ置いただけでは、受取担当が開けるとは限りません。必要な権限の付与を管理者へ依頼し、本人の利用終了後も業務が続くかを確認します。個人用の領域へしか資料がない場合は、退職前に正式な移管先を決めます。
一覧自体へ住民の詳細な情報や認証情報を増やしすぎず、必要な人が管理された原資料へ到達できる形を検討します。引継ぎの記載方法は引き継ぎ書の作り方も参照できます。
メールは本文・添付・進行状況を組織で確認する
業務メールには、照会回答、合意の経緯、未決定事項、添付資料などが含まれます。受信箱を一括削除する前に、記録として保存する範囲と、次の担当へ渡す方法を確認します。自分のメールだから自由に処分できる、とは考えません。
必要なメールを選ぶ際は、件名だけでなく、添付の正式版、回答期限、相手へ返事をしたかを整理します。業務の最新の結論が共有資料に反映されていない場合は、担当へ伝えます。未返信の案件を、受信済みというだけで完了にしないようにします。
メールボックスの閲覧、共有化、書出しは管理者が定める方法で行います。個人の私用メールへ全件転送して退職後も質問に答える準備をすることはしません。業務上の情報を個人の端末やクラウドへ移すことも避けてください。
経験を次の役割へ説明する際は、行政に関わる求人の業務内容を確認することもできます。応募資料では公開できる経験を説明し、業務データの持出しで証明しようとしないことが大切です。
守秘義務と個人情報の取扱いは退職後も確認する
地方公務員法第34条、国家公務員法第100条は、職務上知った秘密を守る義務が退職後も続くと定めています。個人情報保護法第67条も、業務で知った個人情報をみだりに他人へ知らせたり、不当な目的へ使ったりしない義務を、元職員等にも定めています。
同法第66条の安全管理、第69条の利用・提供の制限も踏まえ、職場の名簿、相談記録、連絡先、契約・審査の資料を私的に保存しません。本人の転職や挨拶のために役立つという事情だけで、業務目的以外の利用を認められたと考えないようにします。
すでに私用の場所へ業務情報を送っていたことに気づいた場合は、本人で消して終わりにせず、所属の事故・報告手順に従って担当へ伝えます。隠すための削除や自己判断の証拠整理をしないでください。対応する権限を持つ担当の指示を確認します。
私的なデータは所属と処理方法を決める
職場端末へ私用の写真や個人の文書等がある場合も、自己判断で外部媒体を接続したり、端末を初期化したりしません。情報システム担当へ、本人の私的資料をどう区分し、何をどう処理できるか相談します。業務情報が混ざっていないかも確認します。
個人のアカウントでログインしたサービスがある場合は、利用の事実と終了方法を担当へ確認します。勝手にアプリを消すことで組織の設定や記録へ影響が出ないようにします。ブラウザーの履歴や保存データについても、所属が指定する手順を優先してください。
机上の紙や外部媒体も対象です。本人の証明書と住民の書類、業務用の記録媒体を区別し、回収、保管、廃棄は定められた方法で行います。自宅で後から分別するために一式を持ち帰ることはしません。
アカウントと認証の終了を管理者へ引き継ぐ
職場メール、業務システム、共有サービス、会議予約、電子申請等について、本人の権限がいつ終わるかを一覧にします。本人が管理者や連絡担当になっているサービスは、必要な役割の変更を管理者へ相談します。
後任へパスワードをそのまま渡して、本人名義のアカウントを使い続けてもらうことはしません。新しい担当へ必要な権限を正式に付けてもらいます。多要素認証の端末、認証器、緊急連絡先等が本人へ結び付いている場合も、終了・変更の方法を確認します。
メールの自動返信や転送が必要な場合は、表示する期間、業務の正式窓口、管理する人を所属で決めます。私用アドレスへ継続転送する設定はしません。アカウントを使えなくすることと、記録を保存することを別に確認してください。
返却前に受取担当と確認記録を残す
端末本体、付属品、外部媒体、認証器等を、貸与の一覧と照合します。データの保存・引継ぎを誰が確認したか、返却した日、受け取った担当、残る作業を記録します。本人が独自に消去済みと宣言するより、所属の点検手順へ合わせます。
退職後に必要な本人向けの通知や証明は、個人の正しい連絡先へ受け取れるよう人事・給与担当と確認します。職場アカウントが終了した後の照会窓口も控えます。必要な資料は正式に再交付を求め、旧アカウントへのログインを続ける方法にしないようにします。
仕事の希望と入社までの準備は、相談窓口で経験と予定をもとに整理できます。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担)。保存や削除、アカウントの操作は所属の担当へ確認してください。
よくある質問
自分が作った業務ファイルなら保存してよいですか
作成者が本人でも私物とは限りません。組織の記録や住民等の情報を私的に保存せず、文書管理・情報管理の担当が定める保存と引継ぎに従います。
退職前にメールを全件削除してよいですか
保存すべき記録や進行案件が含まれる場合があります。独断で削除せず、保存対象、移管方法、アカウント終了を所属の担当と確認してください。
給与明細や源泉徴収票はどう準備しますか
本人へ交付される資料を、担当が認める取得方法で受け取ります。閲覧期限と再交付窓口を確認し、職員全員の台帳や業務情報と分けて保管してください。
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