部署別 / 道路課
道路課出身者が面接で必ず聞かれること
道路課から民間に移るとき、面接でよく来るのはこの形の質問です。
「直してほしいと言われて、直せないときはどうするんですか」
これは、道路の話を聞いているのではありません。
限られた資源の中で、断る場面をどう扱ってきたかを見ています。
そして、それは民間のどの現場にもある場面です。
この記事では、実際に聞かれる質問を7つ挙げて、避けたい答え方と、組み立て方を並べます。
書類の書き方は道路課の職務経歴書、行き先の絞り方は道路課から転職しやすい業界と職種に書いています。
「何人も」——相手を選ばない基準です
答え方の前に、この仕事の立ち位置を条文で押さえます。
道路法第43条は、こう定めています。
何人も道路に関し、左に掲げる行為をしてはならない。
一 みだりに道路を損傷し、又は汚損すること。/二 みだりに道路に土石、竹木等の物件をたい積し、その他道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある行為をすること。
「何人も」。
ここが要点です。
相手が誰であっても、同じ基準が当てはまります。
長年そこに住んでいる人でも、有力な事業者でも、市の他の部署でも。
そして、道路課の担当者は、この「誰に対しても同じ」を、日々の現場で運用してきました。
塀がはみ出している。樹木が垂れている。資材が置かれている。
相手に悪意がないことがほとんどです。それでも、基準は同じです。
この「相手を選ばずに、同じ基準を適用する」という経験は、民間でもそのまま求められます。
取引先でも、社内の別の部門でも、基準を曲げずに話を通す場面があるからです。
質問1:「道路課では、どういうお仕事をされていたんですか」
避けたい答え方
> 道路の維持管理と、工事の発注をしていました。
「道路を直していた人」で固まります。
組み立て方
管理していた量を、先に置いてください。
> 市道◯路線、延長で約◯キロメートル、橋梁◯橋を見ていました。点検と通報で状態を把握して、限られた予算の中でどこから直すかを決め、年間◯件・約◯万円の修繕を発注しています。あわせて、占用の許可を年間約◯件、他人が行う承認工事を年間約◯件審査していました。除雪や災害のときは、出動の基準と路線の優先順位を決めて、委託先◯社の体制で動かしています。
「延長」と「他人の工事の件数」の2つが、この経歴の規模を示す数字です。
質問2:「通報が来たら、どう動くんですか」
実務の進め方を見ています。
組み立て方
場所の特定から始めてください。
> まず、場所を特定します。通報は、「◯◯の交差点の近く」「バス停の手前あたり」といった形で来るので、そこから現地を絞り込みます。次に、現地を見て、危険度を判断します。すぐに人が転ぶような穴なら、その日のうちに応急の処置をします。そうでなければ、記録して、修繕の順番に入れます。そして、通報してくれた方に、どうするかを伝えます。「見に行きました。すぐには直せませんが、こういう理由でこの順番です」と。
最後の一文が、いちばん効きます。
「対応できないことを、伝える」——これができる人は、民間の窓口でも信頼されます。
質問3:「直してほしいという要望に、どう答えていましたか」
冒頭に挙げた質問です。
避けたい答え方
> 予算がないので、お待ちいただくようお願いしていました。
基準がない人に見えます。
組み立て方
基準を示して答えてください。
> 要望は、予算をはるかに超えて来ます。だから、順番を決める基準を作りました。危険度、交通量、通学路かどうか、前に直してからの年数。この4つで点数を付けて、上から直していきます。要望をいただいた方には、「見に行きました。この基準では、いまは◯番目です」と伝えます。そのうえで、危険な状態であれば、応急の処置だけは先にします。「できない」と言うだけでは終わらせない——ここは意識していました。
「基準」と「応急の処置」の2つが揃うと、対応の設計ができる人として読まれます。
質問4:「道路に物を置かれていたら、どうするんですか」
相手を選ばない対応ができるかを見ています。
組み立て方
> 条文では、「何人も」置いてはいけないことになっています。ただ、実際には、悪意がない場合がほとんどです。昔から置いている、隣もそうしている、置いても支障がないと思っている。なので、いきなり文書を出すことはしません。まず、現地で状況を確認して、記録を残します。そのうえで、口頭で説明して、期限を決めて片付けをお願いします。動かない場合は、文書にします。ただ、大事なのは、誰に対しても同じ手順で進めることです。相手によって対応を変えると、他の方に説明できなくなります。
「誰に対しても同じ手順」——これが、この質問の答えです。
質問5:「うちは申請する側ですが、抵抗はありませんか」
立場の反転を、どう受け止めているかを見ています。
組み立て方
> 立場は入れ替わると思っています。これまでは許可を出す側でしたが、今度は申請する側です。ただ、道路管理者が何を見て、どこで止めるかは分かっているので、書類の作り方と、協議の順番は速くできるはずです。とくに、既設の位置の確認や、関係する事業者との調整は、先に済ませておくべきだと分かっています。逆に、「前はこちら側だった」という態度では臨みません。整った申請を出すほうが、結果的に速いので。
最後の一文が効きます。
道路管理者がいちばん困るのは、調整が済んでいない申請だからです。
質問6:「うちで、何ができると思いますか」
| 応募先 | 当てる工程 |
|---|---|
| インフラの事業者 | 占用の審査で見ていた点と、既設の調整の進め方 |
| 建設会社・維持管理 | 発注の仕様と、検査で見ていた点 |
| 建設コンサル | 優先順位の基準と、点検の成果の見方 |
| 自治体を顧客とする企業 | 通報から対応までの流れ |
| 交通・物流 | 規制の手続と、警察との協議の順番 |
> 御社の工事の申請でいえば、入って最初にできるのは、申請の前に潰しておく項目を一覧にすることだと思います。既設の位置、関係する事業者、復旧の方法、施工の時期。ここが整っていない申請は、必ず戻されます。逆に、設計そのものの経験はないので、そこは学ぶ側になります。
できないことを1つ添えると、できることの信用が上がります。
質問7:働き方と条件について
組み立て方
> 夜間の工事や、除雪、災害のときの出動がありました。時間を選べない仕事だということは、理解しています。確かめたいのは、緊急時の呼び出しの体制と、その場合の勤務の扱いです。
「時間を選べない仕事に慣れている」は、インフラや設備の分野で、そのまま評価されます。
働き方の違いは道路課から民間に移ると働き方と評価はどう変わるかに整理しました。
逆質問で聞いておくこと
3つに絞ってください。
1. 「道路管理者との協議は、誰が行いますか」
自分が窓口に立つのか、外注しているのか。この経歴が中心になるかどうかが分かります。
2. 「緊急時の出動は、どういう体制ですか」
当番があるのか、その都度なのか。行政と同じ形か、違う形かを確かめてください。
3. 「工事が止まったとき、誰が判断しますか」
現場の判断か、上に上げるのか。自分の裁量の範囲が見えます。
つまずきやすい点
1. 「予算がないので」と答える
基準を作って、それで説明していたと話してください。
2. 通報の対応を、単なる受付として話す
場所の特定 → 危険度の判断 → 応急か記録か → 通報者への説明。この流れが実務です。
3. 「相手によって対応を変えていた」と受け取られる話し方をする
誰に対しても同じ手順——これが、この仕事の芯です。
4. 立場が反転することに触れない
採用する側が心配している点です。自分から線を引いてください。
5. 管理していた延長を言わない
経験の規模を示す数字です。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
まとめ
- 道路法第43条は、「何人も」道路を損傷したり、物件をたい積したりしてはならないと定めています
- つまり、相手を選ばずに、同じ基準を適用する——それを日々の現場で運用してきました
- 「直せないと伝えた場面」の話ができるかどうかが、面接の分かれ目です
- 危険度・交通量・通学路・補修からの年数で順番を決める基準を作り、それで説明していたと話してください
- 「できない」と言うだけで終わらせず、応急の処置は先にする——この2つが揃うと、対応の設計ができる人として読まれます
- 逆質問は、①協議は誰が行うか ②緊急時の体制 ③工事が止まったときの判断の3つです
よくある質問
苦情の対応が多く、そればかり話してしまいそうです
苦情の対応は、この分野では中心的な実務です。ただし、「大変でした」で終わらせないでください。構造として話すなら、①通報や要望の受付 ②現地の確認 ③危険度の判断 ④応急か計画かの判断 ⑤相手への説明 ⑥記録という6つの工程です。この形にすると、感情の話ではなく、運用の話になります。そして、民間の窓口や、設備の保全の部門でも、まったく同じ工程です。件数を添えて書くと、処理の量も伝わります。
技術職ですが、現場の施工はしていません
それで構いません。道路課の技術職は、設計、積算、発注、監督、検査が中心で、施工そのものは請負者が行います。書くときも話すときも、「発注する側として、何を求め、何を確認していたか」を前に出してください。民間の建設会社では、受注する側に回ります。そのとき、「発注者が何を見ているか」を知っていることが、そのまま強みになります。施工の経験がないことは、先に言っておけば問題になりません。
転職の理由を、どう説明すればよいですか
「管理する側から、実際に手を動かす側に回りたい」——この形が通ります。道路の維持管理は、発注して、監督して、検査するところまでです。実際に直しているのは、請負者です。それを何年か見ていると、自分で施工の側を持ちたいと思うのは自然です。あるいは、「占用の審査で見てきたことを、申請する側で使いたい」という理由も成り立ちます。注意点は、「行政は予算がないから何もできない」と言わないことです。予算の制約は、民間にもあります。そして、制約の中で判断してきたことが、この経歴の値です。