部署別 / 道路課
道路課の職務経歴書|書き出しから実績の出し方まで
道路課の職務経歴書で、いちばん多い失敗はこれです。
「道路の維持管理及び工事に関する業務」
この1行で終わってしまいます。
読む側は、ここから「道路を直していた人」という像しか作れません。実際には、自分が発注した工事だけでなく、他人が道路に対して行う工事まで、全部を見ていたわけですが、それが書かれていません。
この記事では、職務要約・担当業務・実績の3つに分けて、悪い例と良い例を並べます。
言い換えは道路課の経験は民間で何と呼ばれるか、行き先は道路課から転職しやすい業界と職種に書いています。
道路に手を入れる人は、全員が承認を受けます
書き方に入る前に、この仕事の性格を条文で押さえます。書類の芯になる部分です。
道路法第24条は、こう定めています。
道路管理者以外の者は、……ほか、道路に関する工事の設計及び実施計画について道路管理者の承認を受けて道路に関する工事又は道路の維持を行うことができる。
「道路管理者以外の者は……承認を受けて」。
ここが要点です。
道路に手を入れるのは、道路管理者だけではありません。
宅地を造成する人が取付けの道路を作る。開発に伴って歩道を切り下げる。電線や管路を入れるために掘る。沿道の店が出入口を作る。
そのすべてが、設計と実施計画について、承認を受けます。
つまり、道路課は、「道路の上で起きること全部」を見ているということです。
自分が発注した工事だけではありません。
他人がやる工事の設計を確認し、施工を見て、復旧を確認する。
この量が、書類には書かれていません。
民間でいえば、これは自社の設備に対して、他社が工事をするときの管理です。構内で他社が作業するときの、計画の確認と立会い。どの業種にも、同じ場面があります。
書類には、この部分を書いてください。
- 管理した延長と施設の数
- 自分が発注した工事の件数と金額
- 他人の工事(占用・承認)を見た件数
「維持管理及び工事」ではなく、この3つです。
職務要約
冒頭の3〜5行で、読まれ方が決まります。
悪い例
> ◯◯市役所の道路課に配属され、道路の維持管理及び工事に関する業務を担当しました。
延長も、件数も、規模も入っていません。
良い例
> ◯◯市の道路の部門において、市道◯路線・延長約◯キロメートル、橋梁◯橋の維持管理を担当しました。点検の結果と交通量、通学路の区分から優先順位を付け、年間◯件・総額約◯万円の修繕を発注しています。あわせて、道路の占用の許可を年間約◯件、承認工事を年間約◯件審査し、設計の確認から施工の立会い、復旧の確認までを行いました。除雪と災害時の対応では、出動の基準と路線の優先順位を定めた体制の運用を担当しています。
入っているもの
- 延長と施設の数(=管理していた資産の量)
- 発注した工事の件数と金額
- 占用と承認工事の件数(=他人の工事を見た量)
- 緊急時の体制
3つ目が、書かれていない部分です。ここを書くと、「道路の上で起きること全部を見ていた人」として読まれます。
担当業務
「維持管理及び工事」で丸めず、機能に分けて書いてください。
悪い例
> ・道路の維持補修> ・道路工事の発注> ・道路占用の許可> ・その他庶務
良い例
> 【維持と修繕(延長約◯キロメートル)】> 定期の巡回、通報の受付と現地の確認、補修の発注、点検の委託と成果の確認。傷んだ箇所は常に予算を超えるため、危険度・交通量・通学路の区分で優先順位を付ける基準を運用。>> 【工事の発注と監督(年間◯件・約◯万円)】> 設計、積算、発注、施工の監督、完成の検査。通行を止められないため、夜間や片側交互通行を前提に工程を組み、近隣への周知も含めて設計。>> 【占用の許可と承認工事(年間約◯件)】> 電柱、管路、看板、工事の一時使用の許可。他人が行う工事の設計と実施計画の承認、施工の立会い、復旧の確認。道路の下は既設で埋まっているため、関係する事業者を集めて位置を確認する調整を担当。>> 【道路台帳・境界・認定】> 台帳の整備と更新、官民の境界の立会い、路線の認定と区域の決定。>> 【緊急時の対応】> 除雪、災害、事故。出動の基準と路線の優先順位を定め、委託先◯社・車両◯台の体制で運用。>> 【住民対応と関係機関との協議】> 通報や要望への対応、自治会との協議、警察との交通規制の協議。
太字にした部分が、他の応募者と差がつく場所です。やったことではなく、そこで何を設計していたかを1つずつ足してください。
実績
ここが書きにくい部分です。成果が、直ったこととして現れるからです。
悪い例
> 道路の適正な維持管理に努め、安全な交通の確保に貢献しました。
工程も数字も入っていません。
良い例(3つの型)
型1:優先順位の基準を作った
> 修繕の箇所の選定について、それまで通報の順や要望の強さで決まっていたものを見直し、危険度・交通量・通学路の区分・過去の補修の履歴で点数化する基準を作成。限られた予算の中で、どこから直すかを説明できる形にした。住民への説明でも、「なぜこの順番か」を示せるようになり、要望への対応の説明が一貫した。
型2:手戻りを減らした
> 占用と承認工事について、申請の前に確認する事項(既設の位置、関係する事業者、復旧の方法、施工の時期)を一覧にして、相談の段階で示す運用に変更。設計の差し戻しが◯件から◯件に減り、掘削の後の再施工も減った。
型3:緊急の体制を設計した
> 除雪について、出動の基準(積雪の深さと時刻)と、路線の優先順位(幹線、通学路、バス路線、生活道路)を定めて文書化。委託先◯社・車両◯台の配置を路線に割り当て、連絡の手順を決めた。その結果、出動の判断から作業の開始までの時間が短くなり、問い合わせの件数も減った。
型1が、この経歴でいちばん効く形です。「限られた予算で、どこから直すかを決める基準を作った」という話は、民間の設備の保全で、まったく同じことをします。
型3も強いです。緊急時の体制を設計したという話は、事業継続の計画と同じ構造として読まれます。
数字の出し方
公表されている資料と、手元の記録から取ってください。
| 数字 | どこで使うか | 注意 |
|---|---|---|
| 管理した延長(キロメートル) | 職務要約 | 資産の量。公表されている |
| 橋梁・トンネル等の施設の数 | 職務要約 | 点検の方向では必須 |
| 発注した工事の件数と総額 | 職務要約、実績 | 扱った予算の規模 |
| 占用と承認工事の件数 | 職務要約、実績 | 他人の工事を見た量。書かれていない |
| 通報の件数と対応の件数 | 担当業務、実績 | 利用者からの申告の処理量 |
| 点検の件数(橋梁・舗装) | 担当業務 | コンサルの方向で効く |
| 除雪の出動の回数と路線の延長 | 担当業務、実績 | 緊急時の体制の規模 |
| 委託先の数と車両の台数 | 担当業務 | 外注の規模 |
1行目から4行目が中心です。延長・施設の数・発注の件数・他人の工事の件数。この4つが揃うと、「どれだけの量を見ていたか」が一発で伝わります。
盛った数字は、面接で必ず確認されます。
自分の数字がどう読まれるかは、話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
並べ替え:応募先によって前に出すものを変える
同じ経歴でも、順番を変えるだけで通りやすさが変わります。
| 応募先 | 1番目 | 2番目 | 3番目 |
|---|---|---|---|
| インフラの事業者 | 占用と承認工事の審査 | 既設の位置の調整 | 復旧の確認 |
| 建設会社・維持管理 | 発注の仕様と監督 | 検査の視点 | 緊急時の体制 |
| 建設コンサル | 点検と優先順位の基準 | 台帳とデータ | 長寿命化の考え方 |
| 自治体を顧客とする企業 | 通報から対応までの流れ | 台帳の管理 | 委託の運営 |
| 交通・物流 | 規制の手続と警察との協議 | 通行止めと迂回 | 交通量の把握 |
1番目に何を置くかだけでも、書類の読まれ方は変わります。全部を書き直す必要はありません。
書いてはいけないこと
申請も、通報も、立場があるから知り得たものです。
- 占用や承認工事を申請してきた事業者の名称、個別の計画の内容
- 通報や要望をした住民が特定できる書き方
- 事故や苦情の個別の経緯
- 入札の予定価格、業者ごとの評価
- 公表前の工事の計画や、用地の交渉の状況
- 埋設物の位置の詳細な情報
- 特定の自治体の内部の状況や、部署の評判に関すること
書けるのは、「どういう類型を、何件、どういう手順で処理したか」と「規模」までです。
> ✕ 「◯◯町内会から強い要望があり、他の路線より先に舗装を打ち換えた」> ○ 「修繕の優先順位について、危険度・交通量・通学路の区分・補修の履歴で点数化する基準を作成し、選定の理由を説明できる形にした」
後者のほうが、書類としても強くなります。個別の経緯ではなく、自分が作った基準が書かれているからです。
つまずきやすい点
1. 「維持管理及び工事」で丸める
維持と修繕/発注と監督/占用と承認/台帳と境界/緊急/住民と関係機関の6つに分けてください。
2. 占用と承認工事の件数を書かない
他人の工事を見た量です。書かれていない部分なので、差が付きます。
3. 優先順位の基準を書かない
限られた予算の配分を、説明できる形で決めてきた——この仕事の中心です。
4. 緊急時の対応を、苦労話にする
基準を決めて、体制を組んで、運用していたと書いてください。
5. 個別の案件を書いてしまう
事業者、住民、経緯、予定価格。すべて書けません。類型と手順で書いてください。
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まとめ
- 道路法第24条は、道路管理者以外の者も、設計と実施計画について承認を受けて工事ができると定めています
- つまり、道路課は「道路の上で起きること全部」を見ています。自分が発注した工事だけではありません
- 職務要約には、延長と施設の数・発注の件数と金額・占用と承認工事の件数・緊急時の体制を入れてください
- 実績は、①優先順位の基準を作った ②手戻りを減らした ③緊急の体制を設計したの3つの型で書けます
- 「限られた資源の配分を、説明できる形で決めてきた」——これが、この仕事の中心です
- 占用と承認工事の件数は、数えていないことが多いので、1か月分だけでも数えてください
よくある質問
事務職で、設計や積算はしていません
それでも書けます。道路課の事務は、占用の許可、承認工事の受付、台帳の管理、通報の受付と処理、委託の契約、予算の管理など、技術以外の部分が広くあります。とくに、占用の許可は、インフラの事業者への転職でそのまま効く経験です。書くなら、「道路の占用の許可を年間約◯件審査。設計や施工の監督は技術職が担当し、許可の審査と復旧の確認を担当」と、自分の範囲を明示してください。線を引いた応募は、読まれます。
小さな市で、管理している延長が短いのですが
延長の長短は、それほど問題になりません。むしろ、小規模な自治体ほど、一人が見る範囲が広いことがあります。維持も、発注も、占用も、除雪も、台帳も、全部を数人で回している。その場合は、「範囲の広さ」を前に出してください。書くなら、「延長約◯キロメートルの市道について、維持、修繕の発注、占用の許可、台帳の管理、除雪の体制までを少人数で担当」という形です。「単独で」「少人数で」という一語が、幅の証明になります。
工事の監督が中心で、計画には関わっていません
それは、むしろ書きやすい形です。民間の建設会社や維持管理の受託の会社では、現場の監督の経験が直接効きます。書くべきは、①監督した工事の件数と金額 ②工種(舗装、側溝、橋梁、法面など)③交通を止めずに施工する段取り ④検査で見ていた点の4つです。とくに、④の「検査で何を見ていたか」は、受注する側に回ったときに、そのまま「どこを押さえれば通るか」の知識になります。面接で聞かれることは道路課出身者が面接で必ず聞かれることに整理しています。