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人事課の職務経歴書|書き方と、そのまま使える記述例

人事課の職務経歴書で、いちばん多い1行目はこれです。

「人事課にて人事全般を担当。職員数◯人。」

事実です。ただ、読んだ側には何も残りません。「人事全般」は範囲の広さを示しますが、何ができる人かは示さないからです。

しかも民間の人事の求人は、採用、労務、制度設計、人材開発に分かれています。全般と書いた書類は、どの求人でも「他の領域の人」として読まれます。

この記事では、人事課の仕事を職務経歴書にどう落とすかを、悪い例と良い例を並べて整理します。

言い換えの一覧は人事課の経験は民間で何と呼ばれるかに、行き先の選び方は人事課からの転職先に分けて書いています。この記事は、書類そのものの話です。

「なぜそう扱ったか」を説明できることが前提です

書き方の前に、一つ押さえます。

地方公務員法第13条は、全て国民は、この法律の適用について、平等に取り扱われなければならず、人種、信条、性別、社会的身分若しくは門地によって、又は第16条第4号に該当する場合を除くほか、政治的意見若しくは政治的所属関係によって、差別されてはならないと定めています。

差別してはならない事由が、名指しで列挙されています。

これが意味するのは、扱いに差をつけるなら、列挙された事由以外の理由を示さなければならないということです。採用でも、昇任でも、配置でも同じです。

人事課の仕事は、すべての判断に根拠が要るという前提の上に成り立っています。

だから職務経歴書に書くべきなのは、担当した領域の名前ではありません。どういう判断を、何を根拠にしてきたかです。

書類全体の形を決める

人事課の場合、応募先の領域を先に決めてから書くのが鉄則です。

  1. 職務要約(5〜8行。応募する領域を先頭に)
  2. 担当業務(箇条書き。領域ごとに分ける)
  3. 実績(3〜4件。応募する領域のものを2件以上)
  4. 活かせる経験・スキル(応募先に合わせて並べ替える)

読まれるのは職務要約と実績です。時間は実績に使ってください。

職務要約の書き方

悪い例

> ◯◯市役所に入庁後、市民課、税務課を経て人事課に配属。採用、給与、人事評価、労務、研修等、人事全般を担当。現在は人事課主査として、職員◯人の人事管理に従事している。

領域が並んでいるだけです。どの求人に出しても「他の領域の人」に見えます。

良い例(労務の求人に出す場合)

> 市役所に入庁後、市民課と税務課で計7年、人事課で6年。人事課では労務を中心に担当し、職員◯人の勤務時間と休暇の管理、時間外の縮減、育児・介護の両立支援の制度運用にあたった。時間外については、部署ごとの実績を月次で確認し、上位◯課に個別の要因を聞き取って対応を分ける形に変えている。職員団体との協議は年◯回、勤務条件に関する◯件の議題を担当した。分限・懲戒の手続は年◯件を扱い、事由の確認から本人への説明、記録の作成までを担当している。加えて、採用試験の設計、給料表の管理、人事評価制度の運用にも通しで関わった。

違いは4つです。

1. 応募する領域(労務)が先頭に来ている2. 何をどう変えたかが書いてある(月次で確認し、上位◯課に聞き取る形に変えた)3. 手続を扱った件数が書いてある4. 範囲の広さは最後に1行で添えている

4つ目が重要です。範囲の広さは強みですが、先頭に置くと広く浅い人に見えます。最後に添えると、「その領域もできる人」として効きます。

担当業務の書き方

領域ごとに分けてください。

悪い例

> ・採用、給与、人事評価、労務、研修、組織機構に関する事務全般

これでは何も伝わりません。

良い例

> 【労務(6年)】> ・勤務時間と休暇の管理(職員◯人、部署◯課)> ・時間外勤務の縮減(月次の実績確認、上位課への聞き取り、対応の設計)> ・育児休業・介護休暇の制度運用(年間◯件)> ・分限・懲戒の手続(年間◯件、事由の確認から記録の作成まで)> ・職員団体との協議(年◯回、勤務条件に関する議題◯件)>> 【採用(3年・労務と並行)】> ・採用試験の設計と実施(申込◯人、採用◯人、試験日程と会場の設計を含む)> ・面接官の配置と評価基準の作成>> 【給与・制度(3年・労務と並行)】> ・給料表の管理、諸手当の認定(年間◯件)> ・人事評価制度の運用(対象◯人、評価者研修の企画を含む)

領域ごとに分けて、それぞれに年数と規模を添えます。これで、どの領域が中心だったかが一目で分かります。

実績の書き方――ここに時間を使う

実績は3〜4件に絞り、応募する領域のものを2件以上入れます。書く形は状況 → 論点 → 自分の判断 → 結果です。

悪い例

> 時間外勤務の縮減に取り組み、全庁の時間外を前年度比◯%削減した。

削減率しかありません。何をしたのかが分かりません。

良い例

> 【時間外の多い部署に、原因別の対応を組んだ】> 全庁の時間外勤務が高止まりしており、一律に「削減せよ」という通知を毎年出していたが、数字が動かない状態が続いていた。部署ごとの実績を見ると、突出している◯課とほとんど発生していない課に分かれており、一律の通知は効いていないことが分かった。> そこで、時間外の多い上位◯課に個別に聞き取りを行い、原因を「業務量そのものが多い」「特定時期に集中する」「特定の職員に偏っている」の3つに分類した。1つ目は人員配置の見直しを人事課から提案し、2つ目は応援体制の仕組みを作り、3つ目は所属長との面談で業務分担の見直しを求める形にしている。> 結果として、上位◯課の時間外が◯%減った。通知の一律送付は取りやめ、原因別の対応に切り替えている。

長く見えますが、10行です。ここに書かれているのは削減率ではありません。一律の通知が効いていないという発見、3分類という手段、原因ごとに違う対応を組んだこと、そして通知をやめたことです。

やめた判断が入っているのが効きます。

実績に使える題材

人事課なら、次のような題材が使えます。

数字の出し方

人事課の書類では、対象の人数と件数を使います。

使える数字使いにくい数字
対象となる職員数、部署数自治体の人口
採用の申込者数と採用者数在籍年数だけ
手続の年間件数(休業・処分・認定)削減率だけ
評価の対象人数、評価者数―
研修の回数と受講者数―
協議の回数と議題の数―

削減率を書いてはいけない、という話ではありません。それだけを実績にしないということです。何をしたのかを先に置いてください。

求人票の言葉に合わせて並べ替える

応募先の領域先頭に置くもの
労務勤務時間と休暇、時間外、処分の手続、労使協議
人事制度の設計給料表、評価制度、手当、外部の手続まで通した経験
採用試験の設計、応募者数、選考基準、面接官の配置
人材開発研修の企画、対象者の選び方、評価者研修
自治体を顧客にする企業制度の細部、手当の認定、給与計算の実態

方向ごとの詳細は人事課からの転職先に整理しています。

書いてはいけないこと

人事課は、扱う情報の性質が他の部署と違います。注意が要る点を挙げます。

1. 個人が特定できる記述

分限・懲戒、健康管理、ハラスメントの相談。事案の詳細は書かないでください。「法定の事由に当たるかを確認し、本人に説明の機会を設け、記録を残した」という手続の形で書きます。

2. 個別の交渉の中身

職員団体との協議は書けますが、相手方の発言や、まとまらなかった案件の詳細は不要です。「何について、どういう手順で協議し、どう決着させたか」の構造で書きます。

3. 採用選考の具体的な基準や問題

試験の設計は書けますが、評価の観点の細部や出題の内容は書かないでください。在職中の団体の選考に関わります。

4. 職員個人の評価結果

当然ですが、誰がどう評価されたかは書けません。制度の設計と運用の形で書いてください。

この4点を外せば、書ける材料は十分に残ります。この線引きができること自体が、人事を任せられる人として読まれます。

つまずきやすい点

1. 「人事全般」で止める

領域を選んで先頭に置いてください。範囲の広さは最後に1行で添えます。

2. 応募先によらず同じ書類を出す

労務と採用では読まれる経験が違います。先頭を入れ替えるだけでも効きます。

3. 制度を作った話を書かない

運用した話は書かれていても、変えた話が書かれていないことが多くあります。設計した経験は、運用した経験より強く読まれます。

4. 主語が消える

「制度を改定した」では、課としてなのか自分なのかが分かりません。課の成果と自分の関与を分けてください。

5. 数字に期間が付いていない

「◯件を担当」だけでは、年間なのか在籍期間の合計なのか分かりません。必ず期間を添えてください。

自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。

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まとめ

よくある質問

職員数を書くと、自治体の規模が分かってしまいませんか

分かりますが、問題ありません。むしろ規模を示す数字として必要です。読み手は、職員数から対象の規模を推し量ります。避けたいのは、個人が特定できる記述のほうです。職員数や部署数は公表されている情報の範囲なので、書いて差し支えありません。

労務と採用の両方をやってきた場合、どちらを書きますか

応募先で決めてください。労務の求人なら労務を先頭に、採用の求人なら採用を先頭に置きます。両方に出すなら、書類を2通用意したほうが早く終わります。労務では「手続を正しく踏める人」として、採用では「人を見て選べる人」として読まれるので、求められる印象がかなり違います。

人事の経験があると、逆に転職しにくいと聞きましたが

そう言われることがありますが、制度の違いを説明できれば問題になりません。公務の人事は、労働基準法の適用範囲や処分の要件が民間と違います。この違いを自分から正確に説明できる人は、準備してきた人として読まれます。逆に、違いを把握しないまま「人事は同じです」と言うと、そこを突かれます。違いは人事課の経験は民間で何と呼ばれるかに整理しています。

出典

  1. 地方公務員法 第13条(平等取扱いの原則)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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