財政課転職PUBLIC → PRIVATE 無料で相談する

部署別 / 人事課

人事課からの転職先|経験が値になる5つの方向

人事課から動こうとすると、困るのは求人票の「人事」が広すぎることです。

採用の求人、労務の求人、制度設計の求人、人材開発の求人。どれも「人事」と書かれていますが、読まれる経験がまったく違います。同じ書類で全部に出して、どれも通らない、という例をよく見ます。

この記事では、人事課の経験が値になる方向を5つに分けて並べます。あわせて、合いにくい方向も同じだけ書きます。

言い換えの一覧は人事課の経験は民間で何と呼ばれるかに整理しているので、そちらと合わせて読んでください。

評価は1つ作って、3つに使います

先に、人事課の経験の値がどこにあるかをはっきりさせます。

地方公務員法第23条第1項は、職員の人事評価は、公正に行われなければならないと定めています。

そして第2項がこうです。

任命権者は、人事評価を任用、給与、分限その他の人事管理の基礎として活用するものとする。

ここに書かれているのは、こういうことです。

評価は1つ。使い道は3つ以上。

任用(採用・昇任・配置)にも、給与にも、分限(降任・免職など)にも、同じ評価を使う。

これは民間でも同じ構造です。人事評価の結果を、昇格にも賞与にも配置にも使います。そして、どの企業でもここで同じ問題が起きます。

1つの評価で3つのことを決めようとすると、どれかが歪みます。

昇格に使うと分かれば評価は甘くなります。賞与に使うと分かれば差がつきにくくなります。降格の材料になると分かれば、誰も低い評価をつけなくなります。

この歪みを、制度としてどう抑えるか。人事課はこれを法律に基づいて運用してきました。民間の人事制度の担当者が、いちばん苦労している部分です。

そして第1項が「公正に行われなければならない」とだけ定めていることにも意味があります。何をもって公正とするかは書かれていません。評価者の訓練、基準の明文化、結果の開示、苦情への対応。公正さを担保する仕組みは、自分たちで組み立てるしかありません。

「評価が1つで用途が複数」という構造を理解している。これが、この経歴の芯にある値です。

方向1:事業会社の労務

求人の数がいちばん多い方向です。

勤務時間の管理、時間外の縮減、休暇制度の運用、育児・介護の両立支援、分限・懲戒の手続、職員団体との交渉。これらがそのまま労務の仕事です。

とくに効くのが2つあります。

1つは、労使の交渉を経験していること。職員団体との協議を担当していたなら、民間の労働組合との交渉と構造が近くなります。経験者は多くありません。

もう1つは、手続の要件が厳格な環境で処分を扱ってきたこと。分限は法定の事由に限られ、懲戒には手続があります。「正しい手順で処分する」という経験は、企業の労務でそのまま求められます。

財政・会計の経験が効く求人を見てみる

方向2:人事制度の設計・運用

給料表の管理、人事評価制度の設計、手当の見直し、等級と昇任の基準づくりを担当していた方の接続先です。

企業側では、人事制度企画、報酬設計、等級制度の運用といった職種になります。

ここで効くのは、制度を変えるときに外部の手続まで通した経験です。条例や規則の改正が要る制度を変えるには、財政課との協議、職員団体との交渉、議会の議決まで通す必要があります。民間でも制度変更には合意が要りますが、ここまで外部の手続を通した人は多くありません。

「制度を変えるのに、外の手続まで通してきた」という説明は、人事制度の改定を控えている企業には強く響きます。

方向3:採用

採用試験の設計と実施、募集、選考、内定者の対応を担当していた方の接続先です。

企業側では、新卒採用、中途採用、採用企画といった職種になります。

効くのは、大量の応募者を決まった基準で公正に選考してきた経験です。地方公務員法第15条が「能力の実証に基づいて」任用することを求めているため、基準を作り、その基準で説明できる形で選ぶという進め方が身についています。新卒採用の領域で直接使えます。

ただし注意点があります。採用は景気と企業の採用計画に左右され、求人の増減が大きい領域です。募集が絞られる時期に当たると、活動が長引きます。方向1と並行して見ておくのが現実的です。

方向4:人材開発・組織開発

研修の企画と運営、評価者研修、階層別の育成を担当していた方の接続先です。

企業側では、人材開発、組織開発、育成企画といった職種になります。

ここで効くのは、受講を「させる」側の設計をしてきたことです。企業の研修は希望者を募る形が多いのに対し、自治体は階層別に対象者を決めて全員に受けさせます。対象者の選び方、日程の組み方、受講できない人への手当てまで設計してきた経験は、全社研修を組む場面で直接使えます。

この方向も求人の数が限られます。方向1か方向2と並行して見てください。

方向5:人材サービス・人事系の支援企業

人材紹介、採用支援、研修サービス、人事給与システムの会社です。

自治体を顧客にする事業を持つ企業では、試験の仕組み、給与計算の複雑さ、手当の種類、評価制度の運用の実態を知っていること自体が値になります。

とくに手当の認定をしてきた経験は希少です。住居、通勤、扶養、単身赴任。それぞれに要件と証明書類があり、変更のたびに認定し直します。この細かさを知らずに作られたシステムは、現場で使われません。

行政が相手の求人を見てみる

合いにくい方向も書いておきます

個人の売上目標が明確に立つ職種

人材紹介の営業職などがこれに当たります。人事課の仕事は、決まりに照らして公正に扱うことに価値があります。営業は取ってくることに価値があります。評価される行動が違います。方向5を狙うときは、営業職なのか、支援・企画の職種なのかを必ず確認してください。

制度も規程もこれから作る段階の組織

人事課の強みは、決まりに照らして判断することです。照らす先が無い環境では力が出にくくなります。逆に言えば、規程を作る側に回る前提なら合います。面接で「就業規則と評価制度はどの段階か」を確かめてください。

成果を数字で個別に測る人事

営業成績と連動した報酬設計や、採用の単価と歩留まりを厳密に管理する採用組織では、測り方の前提が違います。公務の人事は公正さと手続の正しさを軸にしてきたので、「速さと単価」を軸にする組織では、最初に戸惑う場面が出ます。

人を減らす場面が中心になる職種

事業の再編に伴う人員の整理を中心に担当する役割は、公務の人事とは前提が違います。分限は法定の事由に限られ、そもそも人を減らすための制度として作られていません。この領域を狙うなら、経験していない領域だと自分から言えるようにしておいてください。隠して入ると、入社後に苦しくなります。

資格は、方向を決めてから考える

社会保険労務士

方向1(労務)で、募集要項に挙がることがあります。ただし実務経験のほうが先に読まれます。労使の交渉や処分の手続を扱ってきたなら、資格より直接的な材料です。なお、社会保険や労働保険の実務は公務員の身分では扱いが違う部分があるので、そこは入ってから学ぶ前提になります。

キャリアコンサルタント

方向4(人材開発)と方向5(人材サービス)で、話の入口になることがあります。ただしこれも実務が先です。

取る前に考えること

人事課の繁忙は、採用の時期と、人事異動・給与改定の時期に重なります。この時期に学習を始めて中断する例が多いので、始めるなら山を越えてからにしてください。そして、資格を取ってから動こうとすると、動くのが1年以上先になります。いま応募できる方向があるなら、先に受けてから必要性を判断するほうが早く終わります。

探すときに使う言葉

持ち出すもの検索に使う言葉
勤務時間・休暇の管理労務管理、勤怠管理、人事労務
分限・懲戒の手続労務対応、就業規則、コンプライアンス
職員団体との交渉労使交渉、労務
給料表・手当の管理報酬設計、給与制度、等級制度
人事評価制度の設計人事制度企画、評価制度、目標管理
採用試験の設計と実施新卒採用、採用企画、選考設計
研修の企画・運営人材開発、教育研修、育成企画
定数管理要員計画、人員計画

部署ごとの対応は自治体の部署別 仕事ガイドにもまとめています。

つまずきやすい点

1. 「人事」で検索して止まる

領域ごとに求人が分かれています。上の表の言葉に分けて探してください。

2. 同じ書類で全方向に出す

労務と採用では読まれる経験が違います。先頭に置く経験を入れ替えてください。

3. 方向3(採用)だけに絞る

募集の増減が大きい領域です。方向1を並行して見ておくと、選択肢が減りません。

4. 方向5で職種を確認せずに応募する

営業職なのか支援・企画の職種なのかで、仕事の中身がかなり違います。必ず確認してください。

5. 制度を作った話を持っていない

運用だけだと、方向2は難しくなります。改定に関わる機会があるなら、通してから動くほうが材料が増えます。

自分の経歴がどの方向に向いているかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。

LINEで短く聞くこともできます

まとめ

よくある質問

人事課にいたのが数年でも、応募できますか

できます。方向1(労務)は、在籍年数よりどの手続を扱ったかが問われます。勤務時間の管理と休暇制度の運用だけでも、規模と件数を説明できれば材料になります。一方、方向2(制度設計)は制度を変えた経験が効くので、そこが薄いなら方向1を先に見てください。

職員団体との交渉は、書類に書いてよいですか

書いてください。民間でいう労使交渉にあたり、経験者は多くありません。ただし、個別の交渉の中身は書かないでください。「何について、どういう手順で協議し、どう決着させたか」という構造で書きます。相手方の発言や、まとまらなかった案件の詳細は不要です。

分限・懲戒の経験は、面接で話しにくくありませんか

話し方で伝わります。事案の中身ではなく、手続と判断の構造で話してください。「法定の事由に当たるかを確認し、本人に説明の機会を設け、記録を残したうえで決裁を取った」という形なら、個人に触れずに済みます。正しい手順を踏める人かどうかが見られているので、手順の話で十分です。

出典

  1. 地方公務員法 第23条(人事評価の根本基準)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

「自分の経験に、どこで値段が付くのか」から相談できます

在職中でも、情報収集だけでも構いません。応募する求人が決まっていない段階のほうが、むしろ整理する意味があります。ご利用はすべて無料です。