部署別 / 人事課
人事課の面接|聞かれることと、答え方の型
人事課からの面接には、他の部署にはない特徴があります。
面接官が、同じ仕事をしている人です。
人事の求人では、人事の担当者や責任者が面接に出てきます。だから説明が雑だとすぐ分かります。一方で、話が通じるのも早い。制度の話をすれば、そのまま議論になります。
この記事では、実際に出てくる質問を並べ、それぞれをどう答えるかを整理します。
言い換えは人事課の経験は民間で何と呼ばれるか、行き先は人事課からの転職先、書類は職務経歴書に分けて書いています。
従う先が2つあり、順番がついています
答え方の前に、人事課の立ち位置を条文で確認します。そのまま答えの組み立て方になります。
地方公務員法第32条は、職員は、その職務を遂行するに当たって、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならないと定めています。
従う先が2つ書かれています。
法令・条例・規則・規程。そして、上司の職務上の命令。
そして、順番がついています。法令等が先で、上司の命令が後です。
人事課は、この条文を職員に守らせる側にいます。そして同時に、自分たちも守る側にいます。
処分の手続でも、採用の選考でも、給与の認定でも同じです。上から急げと言われても、法令の要件を満たさなければ進められません。
面接で問われるのも、まさにここです。「圧力があったとき、どうしたか」という質問は、ほぼ必ず出ます。
質問1:「なぜ転職しようと思ったのですか」
避けたい答え方
「制度を変えたくても条例の改正が必要で動けない」「組織が硬直している」。
いまの職場を否定する形に聞こえると、次の職場でも同じように言うと思われます。しかも、制度変更の重さは民間にもあります。
組み立て方
やってきたことを起点にします。
> 人事課で6年、労務と人事制度を担当してきました。評価制度の改定に関わったときに、制度そのものより、評価者が実際に使えるかどうかが結果を決めると分かりました。ただ、自治体では制度を変えるのに条例や規則の改正が要るため、細かく試して直すという進め方が取りにくい。運用しながら直していける環境で、同じ仕事に関わりたいと考えています。
否定していません。やってきたことの延長線上に、次の希望を置いています。
質問2:「公務員の人事と民間の人事は、違いますか」
定番です。違いを正確に説明できるかが見られています。
避けたい答え方
「基本的には同じです」で済ませることです。違いを把握していない人に見えます。
組み立て方
同じところと違うところを両方挙げてください。
> 考え方の骨格は近いと考えています。地方公務員法は、任用を「能力の実証に基づいて」行うこと、給与を「職務と責任に応ずる」ものとすることを定めていて、評価と昇格の関係や職務給の考え方は民間と同じです。違うのは3つあります。1つは、制度を変えるのに条例や規則の改正が要ること。2つ目は、解雇に相当する分限の事由が法定で限られていること。3つ目は、労働基準法の適用範囲に差があり、争議行為や労働協約の扱いが違うことです。この3つは経験していない領域なので、入ってから学ぶ部分だと考えています。
「違いを3つ挙げて、経験していない領域を自分から言う」——この形が、いちばん通ります。
質問3:「上や現場から圧力があったとき、どうしましたか」
人事の面接では、ほぼ必ず出ます。この経歴でいちばん強く答えられる質問です。
組み立て方
状況 → 何を根拠にしたか → どう決着したかの順で話します。
> 処分の手続で、早く結論を出すよう求められた場面がありました。ただ、法定の事由に当たるかの確認と、本人に説明の機会を設ける手続が済んでいませんでした。地方公務員法は、法令等に従うことと上司の命令に従うことの両方を求めていますが、順番としては法令等が先に書かれています。そこで、手続に何日必要かを示したうえで、並行して進められる部分を先に片付ける形を提案しました。結果として、当初の希望より数日遅れましたが、手続を欠かさずに決裁まで進めています。
「断った」ではなく「必要な日数を示して、進められる部分を先に片付けた」という形が効きます。止めただけの人ではなく、進め方を作れる人として読まれます。
質問4:「いちばん難しかった判断を教えてください」
処分の手続か、労使の協議を話してください。経験者が少ない領域です。
組み立て方
> 職員団体との協議で、勤務時間の制度変更について合意に至らなかった議題がありました。当局として提案した内容に対し、影響を受ける職種から強い反対がありました。そこで、影響の出る職種を洗い出して人数と時間帯を数字で示し、例外的な扱いを設ける範囲を先に議論する形に切り替えました。全体の合意は次の協議に持ち越しましたが、例外の範囲については先に決めています。
まとまらなかった話でも構いません。むしろ、議題を分けて先に決められる部分を決めたという進め方のほうが読まれます。
⚠ 話すときは、相手方の発言や個別の事案の詳細は出さないでください。構造だけで十分に伝わります。
質問5:「制度を変えた経験はありますか」
人事制度の求人で出ます。運用と設計は別のものとして聞かれています。
組み立て方(変えた経験がある場合)
> 人事評価制度の改定を担当しました。評価者によって分布が大きく違っていたので、評価基準の文言を行動の記述に置き換え、評価者研修で同じ事例を使って擦り合わせる形にしています。改定には規則の改正が必要だったので、職員団体との協議と、規則改正の決裁を通しました。
組み立て方(運用のみの場合)
無理に作らないでください。運用で何を変えたかを話します。
> 制度そのものの改定は担当していませんが、運用では変えた部分があります。時間外の縮減について、全庁一律の通知を毎年出していたものを、部署ごとの実績を見て原因別に対応を分ける形に切り替えました。
「制度は変えていませんが、運用でここを変えました」と正確に言うほうが、盛るより通ります。
質問6:「うちで何ができますか」
応募先の領域によって、答えを完全に変えます。
| 応募先の領域 | 前に出すこと |
|---|---|
| 労務 | 勤務時間と休暇、時間外、処分の手続、労使協議 |
| 人事制度の設計 | 給料表、評価制度、外部の手続まで通した経験 |
| 採用 | 試験の設計、応募者数、選考基準、面接官の配置 |
| 人材開発 | 研修の企画、対象者の選び方、評価者研修 |
| 自治体を顧客にする企業 | 制度の細部、手当の認定、給与計算の実態 |
質問7:希望する条件について
給与や勤務条件の話も出ます。人事の面接では、この話の運び方も見られています。
「現在の水準を基準に考えています」と伝え、具体的な調整は選考が進んでからにするのが一般的な進め方です。人事の担当者が相手なので、過度に細かく詰めようとすると、入社後の交渉も同じだと見られます。
なお、退職手当や共済の扱いは在職期間で変わる部分があります。手続きの前に、必ず所属の人事担当課と共済組合で確認してください。公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
逆質問で聞いておくこと
1. 人事制度がいまどの段階にあるか
評価制度や等級制度が整備済みなのか、これから作るのかで、求められることが違います。人事課の強みは決まりに照らして判断することなので、作る側に回る前提なら、そう言われたほうが準備できます。
2. 労働組合があるか、協議の場はどうなっているか
労使の交渉を経験しているなら、そこが強みになるかどうかが分かります。組合がない会社では、その経験は直接は使えません。
3. この職種は、どの領域を担当するか
「人事」という募集でも、実際は労務中心だったり採用中心だったりします。入ってからのずれを減らすために、必ず確認してください。
つまずきやすい点
1. 「基本的には同じです」で済ませる
違いを3つ挙げて、経験していない領域を自分から言ってください。
2. 数字を持っていない
「多くの職員を担当しました」では答えになりません。対象の職員数、部署数、手続の年間件数、採用の申込者数、評価の対象人数。この5つは暗記しておいてください。概数で構いません。
3. 個別の事案を話してしまう
処分、相談、交渉。構造だけで話してください。相手方の発言や個人が特定できる情報は不要です。
4. 制度を変えた経験を盛る
面接官が人事の担当者なので、踏み込んで聞かれるとすぐ分かります。「運用で変えた」と正確に言うほうが通ります。
5. 「人事全般」で答える
書類と同じです。応募する領域を先頭に置いてください。
答え方の組み立ては、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
まとめ
- 地方公務員法第32条は、法令等に従うことと上司の職務上の命令に従うことの両方を求め、法令等を先に置いています
- 人事課は、この条文を職員に守らせる側であり、同時に自分たちも守る側です
- 面接では「圧力があったとき、どうしたか」がほぼ必ず出ます。「断った」ではなく「必要な日数を示し、進められる部分を先に片付けた」と答えてください
- 「公務員の人事と民間の人事は違うか」には、違いを3つ挙げて、経験していない領域を自分から言うのがいちばん通ります
- 制度を変えた経験は盛らないでください。面接官が人事の担当者なので、踏み込まれるとすぐ分かります
- 逆質問では、人事制度がどの段階か/労働組合があるか/どの領域を担当するかを確認します
よくある質問
面接官が人事の人だと、やりにくくありませんか
やりやすい面のほうが大きいです。制度の話が通じるので、説明に時間を使わずに済みます。注意点は1つで、盛るとすぐ分かることです。「運用は担当したが制度の改定は担当していない」「協議には同席したが主担当ではない」といった線引きは、自分から正確に言ってください。正確さ自体が、人事を任せられる人の条件として見られます。
労働組合がない会社では、労使交渉の経験は無駄になりますか
無駄にはなりません。組合との交渉そのものは使えなくても、「立場の違う相手と、記録を残しながら条件を詰める」という形は残ります。従業員代表との協議、労使協定の締結、就業規則の意見聴取。これらは組合がなくても発生します。面接では「協議の相手が変わっても、進め方は同じだと考えています」と説明してください。
何社くらい受けるものですか
決まった数はありません。ただ、人事の求人は領域ごとに求められる経験が違うため、1つの領域に絞ると選択肢が少なくなります。労務と人事制度のように、説明の型が近い2領域を並行して見ておくと、書類の作り直しが少なく済みます。領域ごとの違いは人事課からの転職先に整理しています。