部署別 / 河川・砂防課
河川・砂防課出身者が面接で必ず聞かれること
河川・砂防課から民間に移るとき、面接でよく来るのはこの形の質問です。
「その判断、外れたらどうするんですか」
これは、川の話を聞いているのではありません。
確実でない材料で、先に動くかどうかを決めた経験があるかを聞いています。そして、この経歴の方は、その経験をいちばん多く持っている側です。ところが、答え方を用意していないと、「運が良かっただけです」という形に落ちてしまいます。
この記事では、実際に来る質問を7つ挙げて、避けたい答え方と組み立て方を並べます。
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答え方の芯は、「許可を出す側だった」ことです
質問に入る前に、答え方の芯を1つ作っておきます。河川法第26条です。
> 河川区域内の土地において工作物を新築し、改築し、又は除却しようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。
川に手を入れる人は、全員がこの許可を通ります。
つまり、この経歴の方は、「やりたい」と言ってくる相手に対して、条件を付けて通すか、通さないかを決める側にいたということです。断る側にいた、ではありません。通せる形を探して、条件を設計していた側です。
ここが、面接の答え方の芯になります。
民間の面接で来る質問の多くは、「制約がある中で、どうやって前に進めたか」を聞いています。許可の場面も、避難の場面も、構図は同じです。やりたいことと、守らなければならない線があって、その間で条件を作っていた。
この形で答えられると、7つの質問はほとんど同じ骨で答えられます。
実際に来る質問7つ
1. 「河川や砂防の経験は、うちのどこで使えると思いますか」
避けたい答え方
> 直接は関係ないかもしれませんが、粘り強さは自信があります。
組み立て方
> 3つあると考えています。1つ目は、降った雨がいつどこに出てくるかを読む部分です。これは、御社の拠点がどこまで浸かるかを見積もる作業と同じ手順です。2つ目は、区域の指定に伴う説明です。歓迎されない内容を、資料を作って説明し、質問を持ち帰って返す。この工程を年に数回やってきました。3つ目は、許可の審査です。相手のやりたいことに条件を付けて通す形を作る仕事でした。
3つに割って、それぞれに「同じ手順です」を添える。この形が通りやすい形です。
2. 「避難の情報で、判断が割れたことはありますか」
避けたい答え方
> 上が判断することなので、私は資料を作るだけでした。
組み立て方
> 判断そのものは市長が行いますが、その材料を作る側にいました。割れるのは、たいてい「まだ降っていないが、上流で降っている」場面です。そこで私たちがやっていたのは、判断を早くすることではなく、判断の順番を先に決めておくことでした。どの水位で誰に連絡し、どこから伝えるか。決める人が夜中に一から考えなくて済むようにしておく。これが、材料を作る側の仕事だと考えていました。
「決めていない」ではなく、「決める人の負荷を下げる設計をしていた」と言い換えてください。これは、逃げではなく、そのまま職務の説明です。
3. 「許可を出せないと言う場面は、どうしていましたか」
避けたい答え方
> 法律で決まっていることなので、そう説明していました。
組み立て方
> 最初から出せないと言ったことは、ほとんどありません。多いのは、出せる形に変える相談です。位置をずらす、構造を変える、時期を出水期の外にする。条文で決まっているのは基準であって、やりたいことを止めることではないので、基準に収まる案を一緒に探していました。それでも収まらないときは、どの条文のどこに当たるかを示して、理由を文書で残していました。
「基準に収まる案を探していた」という言い方が、受注や営業の側に回る会社にいちばん届きます。
4. 「災害のときは、何時間くらい働いていましたか」
避けたい答え方
> 泊まり込みで、3日ほど帰れないこともありました。
組み立て方
> 長時間になった時期はありますが、面接でお伝えしたいのはそこではなく、体制のほうです。当番を組んで、水位の段階ごとに誰が出るかを決めていました。一人で抱えない形にしておかないと、二晩目で判断が鈍るからです。実際に、連絡の手順を文書にして、当番が単独で決めなくて済むようにしました。
この質問は、体力を聞いているのではありません。「うちでも長時間でいけますか」という確認であることも、「消耗しやすい人かどうか」の確認であることもあります。どちらにも、体制の話で答えるのが安全です。
この質問に固有の事情もあります。出水の対応は、呼ばれて出ていく形でした。予定に入れて備えるものではなく、降り始めたら動く。だから、「忙しかった時期」を月や年で答えにくいという特徴があります。ここで「年に数回です」と短く答えると、軽く見られることがあり、「ほぼ毎年、何度もありました」と答えると、消耗の印象になります。回数ではなく、段階で答えてください。「水位が第一の段階に達した時点で待機、第二で参集、という形で年に◯回程度動いていました」——段階が入ると、体制を持っていた話として伝わります。
5. 「数字で成果を出した経験はありますか」
避けたい答え方
> 行政なので、売上のような数字はありません。
組み立て方
> 売上の数字はありませんが、扱っていた量と、減らした数はあります。管理していた河川の延長が約◯キロメートル、施設が約◯か所、土砂災害警戒区域が◯か所です。点検の結果を4段階に区分して優先順位の基準を作り、修繕の発注を年間約◯件、約◯万円で回していました。基準を作る前は、要望が来た順に手を付けていたので、年度末に集中していました。それが平準化しました。
「ありません」で終わらせない。量と、変えた前後を出す。これで足ります。
6. 「うちは決めるのが速いですが、ついていけますか」
避けたい答え方
> 行政は慎重なので、慣れるのに時間がかかるかもしれません。
組み立て方
> 決めるのが遅い仕事ばかりではありませんでした。出水のときは、数十分で次の手を決めます。時間をかけていたのは、後戻りができない決定のほうです。区域の指定や、用地に関わる話です。御社で速さが求められるのが、後から直せる判断なのであれば、そこは合わせられます。後から直せない判断について、どこまで自分の裁量なのかは、伺っておきたいところです。
速い遅いの話に、「どの種類の判断か」を持ち込むと、印象が変わります。
この質問に固有の事情もあります。この経歴の方は、「決めるのが遅い組織にいた」と言われることに慣れていません。出水のときに数十分で動いてきた自覚があるからです。そこで反論したくなりますが、面接では逆効果になりやすい。相手が見ているのは速度そのものではなく、遅いと言われたときの反応です。否定から入らず、種類を分けて説明する。この順番だけ決めておけば、言われても揺れません。
7. 「なぜ、今のタイミングで辞めるのですか」
避けたい答え方
> 人が減って、回らなくなってきたからです。
組み立て方
> 災害への備えの仕事を、行政の側から続けてきましたが、区域を指定するのも、事業を実施するのも、市町村より上の判断であることが多い立場でした。自分で設計して、自分で回すところまでやりたいと考えたのが理由です。御社であれば、備えを作る側の仕事として続けられると考えました。
内部の事情を理由にしない。やりたい形が変わった、という組み立てにしてください。
逆質問で確かめておくこと
3つに絞ってください。
1. 判断の権限が、どこにあるか
> この職務では、現場で判断してよい範囲と、上に上げる範囲は、どのあたりで分かれますか。
在職中は、決定が上にある形に慣れています。移った先で急に裁量が広いと、最初の数か月で消耗します。逆に、思ったより狭いこともあります。先に聞いておくほうが、双方にとって早いです。
2. 起きていない期間の費用を、どう扱っているか
> 防災や事業継続の取り組みは、平時は効果が見えにくいと思いますが、社内ではどのように説明されていますか。
この質問は、そのまま自分の経験の説明にもなります。相手の会社が、そこに答えを持っているかどうかも分かります。
3. 行政が相手の場合、窓口の分担
> 自治体が発注者になる案件では、協議の窓口は担当の方が持たれますか。
この経歴の方は、行政の側の動き方が読めます。その強みが使われる形になっているかを、先に確かめてください。
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
まとめ
- 河川法第26条は、河川区域内で工作物を新築・改築・除却するには河川管理者の許可が必要と定めています
- つまり、この経歴の方は「通せる条件を設計する側」にいました。断る側ではありません
- 面接の質問の多くは、「制約の中でどう前に進めたか」を聞いています。許可も避難も、同じ骨で答えられます
- 空振りの体制を説明し続けた経験は、そのまま話してください。民間で通しにくい判断の経験そのものです
- 災害対応は、時間の長さではなく、体制の話で答えてください
- 逆質問は、①判断の権限 ②平時の費用の扱い ③行政が相手のときの窓口の3つに絞ってください
よくある質問
技術職ではないので、専門の質問に答えられるか不安です
事務であることを、先に言ってしまって構いません。面接で困るのは、分かるふりをして踏み込んだときです。言い方は、「設計と積算は技術職が担当していました。私は許可の審査、区域の周知、予算の執行、地元との協議を担当していました」で足ります。そのうえで、自分の範囲の中身を具体的に話してください。とくに、許可の審査と地元との協議は、技術の有無に関わらず、そのまま評価される部分です。線を引いた説明のほうが、聞く側は安心します。
「行政は決めるのが遅い」と言われたら、どう返しますか
否定しないほうが早いです。そのうえで、種類を分けてください。「後から直せる判断は速く、直せない判断は遅い仕事でした。出水のときは数十分で決めます。区域の指定や用地は、年単位です」という形です。遅かったことを弁解するのではなく、何が遅くて何が速かったかを言えると、判断の設計を考えている人だと読まれます。なお、自分の経歴を低く見積もって話す必要はありません。面接は、できることの説明の場です。
災害の経験を、どこまで具体的に話してよいですか
地区の名前と、個別の被害の詳細は避けてください。住んでいる方が特定されることがあります。話すなら、「山あいの集落で、道が一本しかない区域」のように、類型で言い換えてください。そのうえで、自分が運用した手順を具体的に話す。聞いている側が知りたいのは、どこで何が起きたかではなく、そのときに何が動いていたかです。公表されていない資料の中身も、同じ理由で話せません。この線を守ることは、守秘の意識がある人だという評価にもつながります。働き方の変化は河川・砂防課から民間に移ると働き方と評価はどう変わるかに整理しています。