部署別 / 契約検査課
契約検査課の職務経歴書|書き方と、そのまま使える記述例
契約検査課の職務経歴書で、いちばん多い1行目はこれです。
「契約検査課にて入札・契約事務を担当。年間◯件。」
事実です。ただ、読んだ側には何も残りません。「入札事務」という言葉は、民間では手続の処理係として読まれます。
実際にやっていたのは、仕様を確認し、価格の妥当性を判断し、契約の方法を選び、途中を見て、受け取る前に確認する仕事です。民間でいう調達と検収の中核です。
この記事では、契約検査課の仕事を職務経歴書にどう落とすかを、悪い例と良い例を並べて整理します。
言い換えの一覧は契約検査課の経験は民間で何と呼ばれるかに、行き先の選び方は契約検査課からの転職先に分けて書いています。
発注者の仕事は、6つ名指しされています
書き方の前に、一つ押さえます。この列挙が、そのまま職務経歴書の骨格になります。
公共工事の品質確保の促進に関する法律第7条は、発注者等の責務として、発注者が基本理念にのっとり品質が確保されるよう、担い手の中長期的な育成及び確保に配慮しつつ、次の事務を適切に実施しなければならない、という趣旨で事務を列挙しています。
- 仕様書及び設計書の作成
- 予定価格の作成
- 入札及び契約の方法の選択
- 契約の相手方の決定
- 工事等の監督及び検査
- 施工状況等の確認及び評価(実施中と完了時)
発注する側の仕事が、法律に書き出されています。
これは民間の購買でも同じ工程です。何を買うかを書き、いくらが妥当かを見て、どう発注するかを決め、相手を決め、途中を見て、受け取る前に確認する。
だから職務経歴書に書くべきなのは、「入札事務を担当」ではありません。この6つのうち、どれを、どこまで担当したかです。
書類全体の形を決める
契約検査課の場合、応募先が変わっても共通する組み立てがあります。
- 職務要約(5〜8行)
- 担当業務(箇条書き。契約前と契約後で分ける)
- 実績(3〜4件。1件あたり5〜8行)
- 活かせる経験・スキル(応募先に合わせて並べ替える)
読まれるのは職務要約と実績です。時間は実績に使ってください。
職務要約の書き方
悪い例
> ◯◯市役所に入庁後、市民課、福祉課を経て契約検査課に配属。工事・物品・委託の入札および契約事務、完成検査等を担当。現在は契約検査課主査として年間約◯件の契約事務に従事している。
事務の名前が並んでいるだけです。
良い例(購買・調達の求人に出す場合)
> 市役所に入庁後、市民課と福祉課で計7年、契約検査課で6年。契約検査課では、工事・物品・委託あわせて年間◯件、契約規模◯億円の発注を担当した。担当したのは、各課が作成した仕様書の確認、予定価格の作成、契約方法の選択(一般競争・指名競争・随意契約の判断と、随意契約の場合の要件の当てはめ)、入札の執行と落札者の決定まで。契約後は、工事の中間検査と完成検査、物品・委託の履行確認を年間◯件担当している。入札参加資格の定期受付では、◯社の審査と格付けを行った。不調・不落となった案件については、仕様の見直しや発注の分割を各課と検討し、再公告の設計まで関わっている。
違いは4つです。
1. 法律が挙げる6つの事務に対応している2. 規模が書いてある(件数、金額、業者数)3. 契約前と契約後の両方をカバーしている4. うまくいかなかったとき(不調・不落)の対応が入っている
4つ目が効きます。思いどおりにならなかったときに何をしたかは、どの職種でも読まれます。
担当業務の書き方
契約前と契約後で分けてください。
悪い例
> ・工事、物品、委託に関する入札および契約事務> ・完成検査、履行確認
これでは何も伝わりません。
良い例
> 【契約まで】> ・仕様書の確認(各課が作成したものを、要求水準の明確さと過度な限定がないかの観点で確認)> ・予定価格の作成(積算の確認、市場価格の調査)> ・契約方法の選択(一般競争・指名競争・随意契約の判断、随意契約の要件への当てはめ)> ・入札の公告、参加資格の設定、入札の執行、開札、落札者の決定(年間◯件)> ・低入札価格調査(年間◯件)、不調・不落への対応(再公告、仕様の見直し、分割発注)> ・契約書の作成と締結、契約変更の審査(年間◯件)>> 【契約後】> ・工事の監督、中間検査(年間◯件)> ・完成検査、物品・委託の履行確認(年間◯件)> ・既済部分・既納部分の確認(部分払いに伴うもの、年間◯件)>> 【業者管理】> ・入札参加資格の審査と格付け(定期受付◯社、随時受付◯社)> ・指名停止等の措置(手続に基づく判断、年間◯件)
工程ごとに、何を見ていたかまで書く。これで、民間のどの職種に対応するかが分かります。
実績の書き方――ここに時間を使う
実績は3〜4件に絞ります。書く形は状況 → 論点 → 自分の判断 → 結果です。
悪い例
> 入札事務を適正に執行し、年間◯件の契約を締結した。
「適正に」しかありません。判断が見えません。
良い例
> 【不調が続いた工事で、発注の形を変えた】> 小規模な修繕工事で不調(応札がない、または予定価格を超える)が繰り返し発生していた。各課からは「予定価格が低いのではないか」という指摘が出ていたが、積算を確認する限り単価に問題はなかった。> 参加していた業者に聞き取りを行ったところ、工事そのものより、書類の作成と現場の拘束時間に対して規模が小さすぎることが分かった。同種の小規模工事が年間を通じて散発的に出ており、そのたびに手続が発生していた。> そこで、年度当初に同種の小規模修繕をまとめて発注する方式を各課と設計し、単価契約に切り替えた。仕様書の要求水準は変えず、発注の単位だけを変えている。> 結果として、不調が◯件から◯件に減り、各課の手続の回数も減った。翌年度以降も同じ方式が使われている。
長く見えますが、11行です。ここに書かれているのは件数ではありません。「価格が原因ではない」と切り分けた判断、聞き取りという手段、発注の単位を変えるという解決、そして翌年以降も残ったという結果です。
「価格以外に原因があると見抜いた」という話は、購買の現場でいちばん読まれます。
実績に使える題材
契約検査課なら、次のような題材が使えます。
- 不調・不落の原因を切り分けて、発注の形を変えた話(上の例)
- 仕様書の書き方を直した話(曖昧な要求水準を明確にした、過度な限定を外した)
- 参加資格の設定を見直した話(厳しすぎて競争が働いていなかった、など)
- 低入札価格調査で、契約に至らなかった/至った判断
- 検査で差し戻した話(何を根拠に、どう是正させたか)
- 契約変更の可否を判断した話(どこまでが変更で、どこからが別契約か)
- 指名停止の手続を整理した話
- 入札参加資格の審査基準を見直した話
数字の出し方
| 使える数字 | 使いにくい数字 |
|---|---|
| 年間の契約件数、入札の執行件数 | 自治体の予算総額 |
| 契約規模(億円単位で可) | 在籍年数だけ |
| 検査した件数(工事・物品・委託) | 「適正に」などの言葉 |
| 不調・不落の件数と、その後の推移 | ― |
| 低入札価格調査の件数 | ― |
| 入札参加資格の登録業者数 | ― |
| 契約変更の審査件数 | ― |
不調・不落の件数を書くのは、恥ではありません。むしろ、どう減らしたかを書ける材料になります。
求人票の言葉に合わせて並べ替える
| 応募先の方向 | 先頭に置くもの |
|---|---|
| 購買・調達 | 仕様の確認、予定価格、契約方法の選択、契約変更 |
| サプライヤー管理・取引先審査 | 参加資格の審査と格付け、指名停止の措置 |
| 発注者支援(建設) | 工事の監督、中間検査、完成検査 |
| 品質保証・検収 | 検査の基準、差し戻し、既済部分の確認 |
| 自治体を顧客にする企業 | 入札の手続、資格審査、不調が起きる条件 |
方向ごとの詳細は契約検査課からの転職先に整理しています。
書いてはいけないこと
1. 特定の業者が分かる記述
指名停止、低入札価格調査、検査での差し戻し。業者名はもちろん、業種・規模・時期を組み合わせて特定できる書き方も避けてください。「要件に該当する事案について、手続に基づき措置を行った」という判断の構造で書きます。
2. 予定価格の算定の細部
積算の方法や、非公表の基準は書かないでください。「予定価格の作成を担当した」「積算の確認を行った」までにしてください。
3. 入札の予定や、公告前の情報
当然ですが、公告されていない案件の内容は書けません。
4. 個別の契約の条件
「年間◯件、規模◯億円」という集計であれば問題ありません。個別案件の金額と相手方が結びつく書き方は避けてください。
この4点を外せば、書ける材料は十分に残ります。
つまずきやすい点
1. 「入札事務」で止める
「調達」「購買」に置き換え、6つの事務のどれを担当したかを書いてください。
2. 契約前と契約後を分けない
方向によって読まれる経験が違います。分けて書いてください。
3. 技術的な判断と手続を混ぜて書く
工事の検査で、技術的な確認をしていたのか、書類と手続を確認していたのか。正確に書き分けてください。盛らないほうが、結果的に話が早く進みます。
4. 不調・不落を書かない
民間に無い現象なので、説明すると関心を持たれます。どう対応したかまで書いてください。
5. 主語が消える
「契約方法を選択した」では、課としてなのか自分なのかが分かりません。課の成果と自分の関与を分けてください。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
まとめ
- 公共工事の品質確保の促進に関する法律第7条は、発注者の事務として仕様書及び設計書の作成、予定価格の作成、入札及び契約の方法の選択、契約の相手方の決定、監督及び検査、施工状況等の確認及び評価を挙げています
- この6つのうち、どれを、どこまで担当したかを書いてください。「入札事務を担当」では伝わりません
- 担当業務は契約前と契約後で分けて書きます
- 実績は状況 → 論点 → 自分の判断 → 結果の順に、3〜4件だけ書きます
- 不調・不落の件数を書くのは恥ではありません。どう減らしたかを書ける材料になります
- 「仕様書を直した話」を1件入れてください。法律が発注者の事務の筆頭に挙げている工程で、民間の購買でもそのまま通用します
よくある質問
事務職ですが、工事の検査を書いてよいですか
書いてください。ただし、技術的な判断をしていたのか、書類と手続を確認していたのかを正確に書き分けてください。「完成検査に立ち会い、書類と現場の照合の手続を担当した」と「出来形や品質の技術的な確認を行った」では、読まれ方が違います。盛らずに書いたほうが、面接で踏み込まれたときに困りません。
契約金額の規模は書いてよいですか
集計であれば書けます。「年間◯件、総額◯億円規模」という形なら問題ありません。入札の結果は公表されるのが原則なので、規模の記述は差し支えありません。ただし、個別の案件の金額と相手方が結びつく書き方は避けてください。
物品や委託の契約しか担当していない場合、不利になりますか
方向によります。購買・調達の求人では、むしろ物品と委託のほうが民間の実務に近くなります。工事は積算や技術的な確認が絡むぶん、経験が特殊に見えることがあります。一方、発注者支援の方向では工事の経験が前提になります。自分が扱ってきた対象に合わせて方向を選んでください。方向ごとの違いは契約検査課からの転職先に整理しています。