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部署別 / 契約検査課

契約検査課の働き方と評価|年度に発注が集中する構造

契約検査課の働き方には、はっきりした特徴があります。

年度の初めに発注が集中し、年度の終わりに検査が集中します。

そして、その間にも発注は続きます。一年を通じて、常に何かの案件が動いている部署です。

この構造を知っておくと、転職活動の時期を決めるときに迷いが減ります。

この記事では、その構造を確認したうえで、評価のされ方と、民間に移ったあとに何が変わるかを扱います。

言い換えは契約検査課の経験は民間で何と呼ばれるか、行き先は契約検査課からの転職先、書類と面接は職務経歴書と面接に分けています。

原則は最低価格、例外は説明が要ります

まず、この部署の判断の性格を条文で確認します。

地方自治法第234条第3項は、競争入札に付する場合、政令の定めるところにより、契約の目的に応じ、予定価格の制限の範囲内で最高又は最低の価格をもって申込みをした者を契約の相手方とするものとすると定めています。

そして、ただし書きがこう続きます。

ただし、普通地方公共団体の支出の原因となる契約については、政令の定めるところにより、予定価格の制限の範囲内の価格をもって申込みをした者のうち最低の価格をもって申込みをした者以外の者を契約の相手方とすることができる。

原則は最低価格。ただし、政令の定めるところにより、そうでない者を選ぶこともできる。

これが総合評価の根拠です。ただし、「できる」であって「する」ではありません。

つまり、原則から外れるたびに、外れる理由を説明する必要があります。随意契約も、指名競争入札も、総合評価も同じです。

契約検査課の一日は、この説明の積み重ねでできています。

そして、説明が通れば何も起きません。通らなければ、やり直しになります。成果は、原則どおりに進んだか、例外が正しく説明できたか、のどちらかとして現れます。

契約検査課の一年

自治体によって時期の細部は違いますが、おおむね次の形になります。

時期主な仕事
4〜6月年度当初の発注が集中(第1の山)。当初予算の事業が一斉に動き出す
6〜8月入札の執行が続く。不調・不落への対応、再公告
9〜11月工事の中間検査、補正予算に伴う発注
12〜1月入札参加資格の定期受付(自治体による)、審査と格付け
1〜3月完成検査が集中(最大の山)。年度内に完了させる必要がある
3月繰越の判断、年度末の契約事務
通年契約変更の審査、指名停止の措置、苦情や異議への対応

山が2回あります。年度当初の発注(4〜6月)と、年度末の完成検査(1〜3月)です。

そして、この2つは性質が違います。

年度当初は、件数が一気に増えます。当初予算の事業が同時に動き出すためです。

年度末は、期限が動きません。工期が年度内に設定されている以上、検査を年度内に終える必要があります。

さらに、繰越の判断が年度末に絡みます。年度内に終わらない見込みの案件について、繰り越すのか、契約を変更するのかを判断します。

転職活動の時期を、この波から逆算する

面接は平日日中に入ることが多く、1社で複数回あります。1月から3月の完成検査の時期は避けたほうが無難です。期限が動かないためです。

比較的まとまった時間を作りやすいのは、9月から11月です。年度当初の発注が一巡し、年度末の検査が始まる前にあたります。

現実的な組み立てはこうなります。

  1. 発注のピークが過ぎた9月に書類を作る
  2. 9月から11月に2社ほど受けて、説明の詰まる場所を直す
  3. 1月から3月は止めるか、進んでいる1社だけに絞る
  4. 年度が明けて落ち着いた頃に再開する

契約を結ぶまでと、結んだあとの片方しか経験していない場合は、もう一方を経験してから動く判断にも十分な理があります。発注から検収までを通しで見た経験は、民間の購買部門でも持っている人が多くありません。

契約検査課の評価は、なぜ扱いが難しいのか

1. 原則どおりに進むと、何も言われない

入札が成立し、契約が結ばれ、検査が通る。これが当たり前として扱われます。

2. 問題が起きたときだけ、手続が問われる

不調が続く、落札率が偏る、検査後に不具合が出る。そのときに「手続は適正だったか」が問われます。

3. 各課からは「遅い」「厳しい」と言われやすい

事業を進めたい課からすれば、契約検査課は手続を求めてくる部署です。感謝される場面は多くありません。

この3つは、不満として語らないでください。転職の面接でこれを不満の形で出すと、次の職場でも同じことを言うと思われます。

構造として説明してください。「原則から外れるたびに説明が要る環境で、手続を通しながら事業を止めない形を探してきた」と言えれば、それはそのまま購買や内部統制の適性として読まれます。

企業の購買部門も、まったく同じ立場にいます。事業部からは遅いと言われ、問題が起きたときだけ手続を問われる。この環境を経験していることは、そのまま材料になります。

庁内の言葉と、求人票の言葉

庁内での言い方求人票での言い方
年度当初の発注の集中期初の調達の集中、調達計画の管理
入札の執行、開札調達の実行、相見積の管理
不調・不落への対応調達不成立時の対応、仕様の見直し
完成検査の集中期末の検収、受入検査
繰越の判断期をまたぐ案件の管理
契約変更の審査変更契約、追加発注の統制
入札参加資格の定期受付取引先の定期審査、サプライヤー評価

働き方として直接伝わるのは「期初の調達の集中」と「期末の検収」です。民間でも、予算が動き出す時期と締める時期に負荷が寄ります。

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民間に移ると、何が変わるか

1. 例外の扱いが軽くなる

上に書いたとおりです。例外に理由を書かせる形を持ち込めるかどうかが、腕の見せどころになります。

2. 相手を選べるようになる

選べないことに最適化されてきたぶん、選ぶ技術は別に身につける必要があります。取引先を開拓し、関係を作り、条件を引き出す。これは経験していない領域です。

3. 価格が公表されない

自治体では予定価格も落札価格も公表されます。民間では、他社の見積額は分かりません。相見積を取っても、相手が本気の価格を出しているかは判断が要ります。予定価格を作ってきた経験は、ここで効きます。

4. 検収の基準を自分で作ることがある

自治体では、検査の基準が仕様書と規程で決まっています。企業では、基準が曖昧なまま「納品されたから受け取る」運用になっていることがあります。基準を作る側に回れます。

在職中から残しておくとよい記録

1. 工程ごとの件数と規模

年間の契約件数、契約規模、入札の執行件数、検査件数。年度ごとに控えておいてください。

2. 不調・不落の件数と、その後の推移

減らした実績は、そのまま書類の材料になります。何をしたら減ったのかも一緒に控えてください。

3. 仕様書を直した話

要求水準を明確にした、過度な限定を外した。発注の前段で直した記録は、あとから思い出しにくいので、その場で1行残してください。

4. 差し戻した話

検査で要件を満たさないと判断した件数と、そのあとどう是正させたか。

5. 参加資格の設定を変えた話

厳しすぎて競争が働いていなかった、緩すぎて品質が確保できなかった。どちらの方向でも、調整した記録は材料になります。

つまずきやすい点

1. 年度末の検査の時期に活動を始めて中断する

いちばん多い形です。9月から始めてください。

2. 忙しさを転職理由にする

購買部門は民間でも繁忙期があります。理由は、やってきたことの延長で組んでください。

3. 各課との関係を不満の形で出す

「遅いと言われた」「理解されなかった」。企業の購買でも同じことが起きます。構造として説明してください。

4. 契約前と契約後の片方しか経験しないまま動く

通しで見た経験は、民間の購買部門でも持っている人が多くありません。課内の担当替えで経験できる見込みがあるなら、先に確かめる価値があります。

5. 退職時期の制度面を確認しないまま決める

退職手当や共済の扱いは在職期間で変わる部分があります。手続きの前に、必ず所属の人事担当課と共済組合で確認してください。公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。

自分の場合にどの時期が動きやすいかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。

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まとめ

よくある質問

契約検査課は残業が多いと聞きますが、実際どうですか

自治体ごとの実態は公表されていないので、個別の水準をここで断定することはできません。制度から言えるのは、当初予算の事業が年度当初に一斉に動き出すこと、工期が年度内に設定されるため完成検査が年度末に集中することです。応募先に説明するときは、時間数ではなく「年度当初の発注と年度末の検査で年に2回山が来る部署でした」と構造で伝えるほうが正確に伝わります。

落札率の推移は、実績として書けますか

書けますが、それだけを実績にしないでください。落札率は、経済環境や案件の性質、参加者の数に左右されます。書くなら、自分が何を変えたのかを添えてください。「参加資格の条件を見直したうえで、参加者数が平均◯者から◯者に増えた」という形なら、関与が見えます。

検査で差し戻した経験は、印象が悪くなりませんか

なりません。むしろ、要件に照らして受け取らない判断をした経験として読まれます。注意点は1つで、差し戻しただけで終わった話にしないことです。「是正の範囲と期限を示した」「並行して受け取れる部分を整理した」まで書くと、止めるだけの人ではなく、進め方を作れる人として伝わります。

出典

  1. 地方自治法 第234条第3項(競争入札における契約の相手方)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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