部署別 / 契約検査課
契約検査課の面接|聞かれることと、答え方の型
契約検査課からの面接で、いちばん深く聞かれるのはここです。
「相手を選べないのに、どうやって品質を確保していたんですか」
購買や調達の担当者が面接官だと、必ず来ます。民間の購買は、良い取引先を選ぶことで品質を確保するのが基本だからです。その手段が使えない環境で何をしていたのか——ここに関心が集まります。
そして、この質問にきちんと答えられると、扱いが大きく変わります。
この記事では、実際に出てくる質問を並べ、それぞれをどう答えるかを整理します。
言い換えは契約検査課の経験は民間で何と呼ばれるか、行き先は契約検査課からの転職先、書類は職務経歴書に分けて書いています。
「使ってみないと品質が分からない」から始まっています
答え方の前に、この部署の前提を条文で確認します。
公共工事の品質確保の促進に関する法律第3条第2項は、公共工事の品質について、建設工事が目的物が使用されて初めてその品質を確認できること、その品質が受注者の技術的能力に負うところが大きいこと、個別の工事により条件が異なること等の特性を有することに鑑み、経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素をも考慮し、価格及び品質が総合的に優れた内容の契約がなされることにより、確保されなければならないと定めています。
3つの特性が並んでいます。
使ってみないと品質が分からない。品質が相手の技術力に左右される。案件ごとに条件が違う。
だから、価格だけで決めてはいけないという結論になります。
これは工事に限った話ではありません。システムの開発も、委託業務も、同じ性質を持っています。買う前に品質を確かめられず、相手の能力に左右され、案件ごとに条件が違う。
民間の購買でも、いちばん難しいのはこの種の発注です。だから、ここを制度として扱ってきた経験が読まれます。
質問1:「相手を選べないのに、どうやって品質を確保していたんですか」
この経歴でいちばん強く答えられる質問です。準備しておいてください。
避けたい答え方
「法令で決まっているので、そうするしかありませんでした」。
受け身に聞こえます。聞かれているのは制度の説明ではなく、その制約の中で何をしたかです。
組み立て方
手段を分解して話してください。
> 相手を選べないので、5つの段階で品質を確保する形になります。まず参加資格で、同種の実績や有資格者の配置といった条件を設定します。「選ぶ」のではなく「条件を満たす者に限る」という形です。次に仕様書で、要求水準を書き切ります。選べない以上、「言わなくても分かるだろう」では済まないためです。3つ目が予定価格で、最低制限価格や低入札価格調査によって、安すぎる応札で品質が落ちることを防ぎます。4つ目が監督で、工事であれば中間の段階で確認します。完成してからでは直せないためです。5つ目が検査で、要件を満たさなければ受け取りません。
この5分解ができる人は、民間の購買でも多くありません。
そして、一言足してください。
> 民間では良い取引先を選ぶことで品質を確保できますが、その手段が使えないぶん、仕様書と検査の設計を詰める習慣がつきました。価格競争に持ち込まれる場面では、この考え方が使えると思っています。
質問2:「なぜ転職しようと思ったのですか」
避けたい答え方
「入札制度に縛られて、良い業者を選べないのがもどかしかった」。
制度への不満に聞こえます。しかも、応募先でも調達の規程には従うことになります。
組み立て方
やってきたことを起点にします。
> 契約検査課で6年、発注から検査までを担当してきました。不調が続いた工事で原因を調べたときに、価格ではなく発注の単位に問題があると分かり、発注の形を変えたことがあります。このとき、仕様と発注の設計で結果が変わると実感しました。ただ、自治体では契約の方法が法令と政令で枠づけられていて、設計できる範囲が限られます。もう少し自由度のある環境で、同じ仕事に関わりたいと考えています。
否定していません。やってきたことの延長線上に、次の希望を置いています。
質問3:「価格以外で何を見ていましたか」
調達の面接で出ます。総合評価を担当していたなら、そのまま話してください。
組み立て方
> 地方自治法は、予定価格の範囲内で最低の価格の者を相手方とするのが原則ですが、ただし書きで、最低の価格の者以外を相手方とすることもできるとしています。これが総合評価の根拠で、技術提案や過去の成績、配置予定の技術者の実績を点数化して、価格と合わせて評価します。担当していたのは、評価項目の設定と、点数の配分をどうするかの検討です。項目を増やすと評価の手間が増え、参加をためらう業者も出るので、何を見ないかを決めるほうが難しいという感覚がありました。
「何を見ないかを決める」という話が効きます。評価項目を並べるだけの人との差が出ます。
質問4:「うまくいかなかった案件を教えてください」
不調・不落の話をしてください。民間に無い現象なので、説明すると関心を持たれます。
組み立て方
> 小規模な修繕工事で、応札がない状態が繰り返し起きました。各課からは予定価格が低いのではないかと言われましたが、積算を確認しても単価に問題はありませんでした。参加していた業者に聞き取りをしたところ、工事そのものより、書類の作成と現場の拘束時間に対して規模が小さすぎることが分かりました。そこで、同種の小規模修繕をまとめて発注する方式に変え、単価契約に切り替えています。要求水準は変えず、発注の単位だけを変えました。結果として不調は減り、各課の手続の回数も減っています。
「価格が原因ではないと切り分けた」ところが要点です。
質問5:「検査で差し戻した経験はありますか」
品質保証や検収の求人で出ます。
組み立て方
> あります。完成検査で、仕様書に記載された仕様と現物が一致しない箇所を確認した案件です。工期の関係で「このまま受けてほしい」という要請もありましたが、要件を満たしていないものを受け取ることはできない立場だったので、是正の範囲と期限を示したうえで差し戻しました。並行して、受け取れる部分と受け取れない部分を分けられないかを検討し、既済部分の確認で処理できる範囲を整理しています。
「差し戻しただけ」ではなく「並行して進められる形を探した」という話にすると、止めるだけの人に見えません。
質問6:「うちで何ができますか」
応募先の方向によって、答えを完全に変えます。
| 応募先の方向 | 前に出すこと |
|---|---|
| 購買・調達 | 仕様の確認、予定価格、契約方法の選択、契約変更 |
| サプライヤー管理・取引先審査 | 参加資格の審査と格付け、指名停止の措置 |
| 発注者支援(建設) | 工事の監督、中間検査、完成検査 |
| 品質保証・検収 | 検査の基準、差し戻し、既済部分の確認 |
| 自治体を顧客にする企業 | 入札の手続、資格審査、不調が起きる条件 |
質問7:希望する条件について
給与や勤務条件の話も出ます。ここで長く話す必要はありません。
「現在の水準を基準に考えています」と伝え、具体的な調整は選考が進んでからにするのが一般的な進め方です。
なお、退職手当や共済の扱いは在職期間で変わる部分があります。手続きの前に、必ず所属の人事担当課と共済組合で確認してください。公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
逆質問で聞いておくこと
1. 購買の規程と検収の基準が、いまどの段階にあるか
契約検査課の強みは決まりに照らして判断することです。照らす先が無い環境では力が出にくくなります。作る側に回る前提なら、そう言われたほうが準備できます。
2. 発注した部署が自分で検収しているか
これを聞くと、その会社の統制の形が分かります。発注と検収が同じ部署だと、期日に間に合わせたい力が働きます。分ける提案ができるかどうかは、入ってからの仕事の幅に関わります。
3. 取引先を選ぶ工程に関わるか
契約検査課は相手を選ぶところは経験していません。新規の取引先を開拓する仕事が含まれるなら、そこは学ぶ前提になります。入社後にどこから担当するのかを確認しておいてください。
つまずきやすい点
1. 制度の説明で終わる
その中で何を設計したかを話してください。
2. 数字を持っていない
「たくさんの契約を担当しました」では答えになりません。年間の契約件数、契約規模、検査件数、不調・不落の件数、登録業者数。この5つは暗記しておいてください。概数で構いません。
3. 「選ぶ技術は経験していない」と言わない
自分から正確に言ってください。隠して入ると苦しくなります。
4. 技術的な判断と手続を混ぜて話す
工事の検査で、技術的な確認をしていたのか、書類と手続を見ていたのか。踏み込まれるとすぐ分かります。正確に話してください。
5. 特定の業者が分かる話をしてしまう
指名停止、低入札価格調査、差し戻し。判断の構造だけで話してください。
答え方の組み立ては、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
まとめ
- 品質確保法第3条第2項は、使ってみないと品質が分からない/相手の技術力に左右される/案件ごとに条件が違うという特性を挙げ、価格以外の多様な要素をも考慮した契約を求めています
- 面接でいちばん深く聞かれるのは「相手を選べないのに、どうやって品質を確保していたか」です
- 答えは参加資格・仕様書・予定価格・監督・検査の5段階に分解して話してください
- 「価格以外で何を見たか」には、「何を見ないかを決めるほうが難しかった」と続けると差が出ます
- 不調・不落の話を1件用意してください。民間に無い現象なので、説明すると関心を持たれます
- 逆質問では、購買の規程の段階/発注部署が自分で検収しているか/取引先を選ぶ工程に関わるかを確認します
よくある質問
制度の説明はどこまでしてよいですか
1〜2文で畳んでください。「一般競争入札が原則で、例外は政令で定める場合に限られます」で十分です。そのあとは、その中で自分が何を設計したかに時間を使ってください。制度を正確に説明できること自体は前提として見られるので、そこを長く話しても差がつきません。
工事の経験がなく、物品と委託だけでも大丈夫ですか
購買・調達の方向では、むしろ有利に働くことがあります。物品と委託は、民間の購買の実務に近いためです。工事は積算や技術的な確認が絡むぶん、経験が特殊に見えることがあります。面接では「工事は担当していませんが、物品と委託で◯件を担当しました」と正確に言ってください。
「公共の入札は特殊だ」と言われたら、どう答えますか
否定せず、どこが特殊でどこが同じかを分けて答えてください。「相手を選べない点と、価格が公表される点は特殊です。一方、仕様を決めて、価格の妥当性を見て、受け取る前に確認するという流れは同じだと考えています」と言えれば、違いを把握している人として読まれます。全部同じだと言うと、分かっていない人に見えます。