部署別 / 公園緑地課
公園緑地課から民間に移ると働き方と評価はどう変わるか
公園緑地課の働き方には、他の部署と違う点が1つあります。
成果が、「何も言われないこと」として現れることです。
草が伸びていない。遊具が壊れていない。便所が汚れていない。どれも、うまくいっているときは誰も触れません。触れられるのは、うまくいかなかったときだけです。
この記事では、一年の波、評価が見えにくくなる構造、民間に移ると変わる4点、在職中に残しておくべき記録の順に整理します。
言い換えは公園緑地課の経験は民間で何と呼ばれるか、書類の書き方は公園緑地課の職務経歴書|書き出しから実績の出し方までに書いています。
置く場所も、量も、基準で決まっています
働き方の話を、条文から始めます。都市公園法第3条です。
> 地方公共団体が都市公園を設置する場合においては、政令で定める都市公園の配置及び規模に関する技術的基準を参酌して条例で定める基準に適合するように行うものとする。
読み飛ばされやすい条文ですが、働き方の構造がここにあります。
どこに、どれだけ置くか。それを、需要や採算で決めているのではありません。基準に適合するように決めています。
民間の施設であれば、人が集まる場所に、集まる分だけ作ります。足りなければ増やし、余れば閉じる。ところが、公園は、基準に沿って配置され、いったん置かれたら、都市公園法第16条によって、みだりに廃止できません。
つまり、この経歴の方は、「配置も、存続も、自分の裁量の外で決まっている資産」を、限られた予算で回してきたことになります。
この構造が、働き方と評価の両方に効いています。
一年の波
| 時期 | 動き |
|---|---|
| 4〜5月 | 新年度の委託の開始、遊具の点検の発注、春の利用の山、花の時期の催し |
| 6〜8月 | 草刈りの最盛期。蜂と害虫の対応、水を使う施設の管理、夏の催しの受入れ |
| 9〜10月 | 台風の後の倒木と枝の処理、秋の催し、施設の修繕の本格化 |
| 11〜12月 | 落ち葉の処理、剪定の時期、年末の占用と催しの受付 |
| 1〜3月 | 工事の完了検査、次年度の予算と計画、指定管理の更新の事務 |
平らな月がありません。
しかも、草と落ち葉と台風は、予定表に書けません。書けるのは委託の回数だけで、実際にどれだけ来るかは、その年の天候で決まります。
面接でこの波を説明するときは、「屋外の資産を扱う仕事は、どこでも同じ波を持っている」と添えると伝わります。造園でも、商業施設の外構でも、この波は消えません。
評価が見えにくくなる3つの構造
1. 良い状態は、気づかれません
苦情が来ないことが、成果です。ところが、苦情が来なかったことは、どこにも記録されません。手を尽くした年ほど、報告に書くことが減ります。
この構造に固有の事情もあります。公園の状態は、利用者が毎日見ています。だから、悪くなればすぐ伝わります。良くなっても、伝わりません。情報の流れが片側にしか開いていない、ということです。民間の施設の運営も同じ構造ですが、そちらには利用者の調査や、稼働の数字という別の経路があります。行政にはその経路が少ない、という違いです。
2. 成果が、地域ごとに散ります
担当しているのは、1つの大きな施設ではなく、数十から数百の場所です。それぞれで少しずつ良くなっても、全体としての数字になりません。
この構造に固有の事情もあります。公園は、使う人が地域ごとに固定されています。だから、改善は、その地域の中でしか知られません。「あの公園は良くなった」という評価は出ますが、それが課の実績として集まる形になっていない。数字にする作業を、誰かが意識してやらないと、成果は散ったままになります。
3. 事故が起きたときだけ、注目されます
遊具で怪我があった、木が倒れた、といったときには、一気に注目が集まります。日々の点検は見られていないのに、結果だけが見られる。
この構造に固有の事情もあります。事故の後は、点検の記録が確認されます。つまり、記録を残していたかどうかが、そこで初めて意味を持ちます。この経験をしている方は、「記録は、起きてから作れない」ということを体で知っています。民間の安全の管理でも、まったく同じ原理です。その感覚は、そのまま持ち込めます。
民間に移って変わる4点
1. 数字で測られるようになります
稼働、売上、利用者の調査。測られる項目が増えます。最初は窮屈に感じますが、良い状態が数字として現れるので、評価は受け取りやすくなります。
ただし、測られる項目は、現場の実感と必ずしも一致しません。利用者の数が増えても、その分だけ清掃と点検の手間が増えます。数字が良くなると仕事が楽になる、という関係にはならない。在職中も、利用の多い公園ほど手がかかっていたはずなので、この関係自体は経験しています。違うのは、その手間が数字の裏側にあることを、説明する必要が出てくるという点です。
2. 季節の波は、残ります
屋外を扱う限り、草も落ち葉も台風も来ます。指定管理でも、造園でも、商業施設の外構でも同じです。ここは、変わらないと思っておいてください。
むしろ、この波を知っていることが、移った先で効きます。受託の会社では、草刈りの時期に人が足りなくなることが、毎年の課題になっています。いつ、どこに、どれだけ人が要るかを見積もれる人は、現場の采配に関われる人として扱われます。行政の側で委託の回数と時期を決めていた経験は、そのまま見積もりの材料です。
3. 相手が、契約の相手になります
行政では、公園に来る人は全員が相手でした。選べません。民間では、契約や取引の関係がある相手が中心になります。ただし、公園の指定管理に移る場合は、相手は変わりません。誰でも来る場所を、民間の立場で運営することになります。
4. 良い状態が、評価の対象になります
これが、いちばん大きい変化かもしれません。民間の施設の運営では、「きれいに保たれていること」そのものが評価の項目に入ります。苦情の不在ではなく、状態の良さが測られる。同じ仕事をしていても、返ってくるものが変わります。
この変化は、思っているより効きます。行政では、良い状態は、誰からも触れられないまま過ぎていきました。民間の施設では、巡回の記録、利用者の調査、テナントからの評価といった形で、状態の良さが言葉になって返ってきます。移った方から、「初めて、仕事を見てもらえている感じがした」という感想を伺うことがあります。仕事の中身は、ほとんど変わっていません。返ってくる経路が増えただけです。
在職中に残しておくべき記録
| 残すもの | 使い道 | 注意 |
|---|---|---|
| 公園の数・面積・施設の基数 | 職務要約の冒頭に入れる | 台帳の数字を使う。種別ごとに分けると強い |
| 修繕の件数と金額(年別) | 扱った規模の証明 | 個別の案件名は書かない |
| 許可の件数(設置・占用・行為) | 場所を貸す条件を作った経験の証明 | 数えていないことが多い部分 |
| 自分が作った基準・ルールの名前 | 実績欄の芯になる | 文書の中身ではなく、作った事実を残す |
| 指定管理のモニタリングの項目 | 受託の会社に直接効く情報 | 事業者名と評価は書かない |
数字は、異動すると取りにくくなります。在職中に、桁だけでも控えておいてください。
つまずきやすい点
1. 「苦情が来なかった年」を、空白にする
状態を保った年です。そのために何を変えたかを書いてください。
2. 成果が散ったままで、集めない
数十から数百の場所の改善は、自分で集めないと数字になりません。
3. 数字を控えずに異動する
公園の数、面積、施設の基数、修繕と許可の件数。後から取りにくくなります。
4. 事故の経験を、失敗として語る
その後に何を変えたかが、安全の管理の経験として読まれます。
5. 「公園の仕事は公園にしかない」と考える
屋外の資産を回す仕事は、名前を変えて民間にあります。
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
まとめ
- 都市公園法第3条は、都市公園の設置は、配置及び規模に関する技術的基準を参酌した条例の基準に適合するように行うと定めています
- つまり、配置も存続も自分の裁量の外にある資産を、限られた予算で回す仕事です
- 一年は、草、落ち葉、台風という予定表に書けない波を持っています
- 評価が見えにくいのは、①良い状態は気づかれない ②成果が地域ごとに散る ③事故のときだけ注目されるの3つの構造によります
- 民間に移ると、数字で測られ、季節の波は残り、相手が変わり、良い状態そのものが評価されます
- 在職中に、公園の数と面積・施設の基数・修繕と許可の件数を控えておいてください
よくある質問
草刈りと清掃の手配ばかりで、専門性がないと感じます
手配は、専門性の一部です。委託の仕様を書き、回数と範囲を決め、実施を確認し、足りなければ指示する。これは、業務委託の管理そのものです。とくに、「回数は満たしているが、時間帯が利用と合っていない」といった判断ができる人は、受託の会社でも、施設の運営の会社でも重宝されます。書くなら、「清掃・草刈りの委託◯件について、仕様の作成、履行の確認、時間帯の調整を担当」という形です。回数の管理ではなく、効き方の管理をしていたと書けるかどうかで、読まれ方が変わります。
事故の対応を経験しました。面接で話してよいですか
話して構いませんが、詳細は避けてください。公園の名前、起きた日、関わった方のことは、特定につながります。話すなら、「遊具の事故を受けて、点検の記録の様式を変えました。写真の撮り方と、判断の区分を統一しました」という形で、その後に何を変えたかに寄せてください。聞いている側が知りたいのは、出来事ではなく、そこから作った仕組みです。なお、この経験は、安全の管理を扱う部門では、むしろ評価される経験です。伏せる必要はありません。
異動が近いのですが、何をしておくべきですか
数字を控えることが先です。公園の数、面積、施設の基数、年間の修繕の件数と金額、許可の件数。この5つは、異動すると取りにくくなります。次に、自分が作った基準や手順を1つ書き出しておくこと。点検の区分、修繕の順番、催しの受入れの条件、いずれでも構いません。この2つがあれば、いつ考え始めても出発点があります。逆に言えば、この2つがない状態で数年経つと、経歴の中身が思い出せなくなります。行き先の選び方は公園緑地課から転職しやすい業界と職種に並べています。