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部署別 / 市民課・戸籍住民課

市民課・戸籍住民課の働き方と評価|一年の波と、成果が見えにくい理由

市民課・戸籍住民課の働き方には、他の部署にない制約があります。

窓口を閉じられないことです。

処理が溜まっていても、人が足りなくても、開庁時間になれば窓口は開きます。そして、来る人数は自分たちで決められません。

他の部署なら、締切を調整したり、優先順位をつけたりできます。この部署は、来た順に、その日のうちに処理するのが前提です。

この記事では、一年の波と、成果が見えにくくなる構造、そして民間に移ったときに何が変わるかを整理します。不満の話ではなく、構造の話として読んでください。転職の場面で、自分の仕事をどう説明するかに直結します。

言い換えは市民課・戸籍住民課の経験は民間で何と呼ばれるか、行き先は市民課・戸籍住民課からの転職先、書類は職務経歴書、面接は面接で聞かれることに分けています。

「十四日以内に」と書かれているから、山が来ます

まず、繁忙期が来る理由を条文で確認します。感覚の話ではありません。

住民基本台帳法第22条第1項は、こう定めています。

転入をした者は、転入をした日から十四日以内に、次に掲げる事項を市町村長に届け出なければならない。

「十四日以内に」です。

引っ越しが年度替わりに集中する以上、その14日以内に届出も集中します。しかも、届出は義務なので、量が減ることはありません。

つまり、3〜4月の山は、法律の構造から必然的に生じます。

この説明ができると、面接での見え方が変わります。

> 繁忙期が来ること自体は、法律で届出の期限が定められているため、毎年同じ時期に、ほぼ同じ規模で来ることが分かっています。だから、前年の実績から体制を組んでいました。

「読める繁忙期を、事前の設計で捌く」という仕事は、企業の事務センターや店舗運営とまったく同じです。

一年の波

年間の動きは、3〜4月に最大の山があり、そこに向けた準備と、その後の処理が続く形になります。

時期主な仕事忙しさ
3月下旬〜4月上旬転入・転出の集中。一日あたりの来庁が通常の数倍最も高い
4月中〜5月連休をはさんだ処理、新年度の証明書の需要高
6〜8月比較的落ち着く。手引きの整備、研修中
9〜10月秋の異動に伴う小さな山中
11〜12月年末に向けた証明書の需要、年末年始の体制中
1月年始の窓口の混雑高
2〜3月上旬繁忙期の準備。応援体制の編成、動線の設計、記載台の増設高
毎日開庁時間は固定。窓口を閉じられない—

いちばん重いのは3月下旬〜4月上旬ですが、準備の2〜3月上旬も重いことになります。応援を頼み、動線を決め、事前に書ける書類を用意する。この準備の質で、当日の待ち時間が決まります。

そして、毎日の制約があります。開庁時間は決まっていて、その時間内に来た人は、その日のうちに処理するのが前提です。処理を翌日に回すという選択肢が、基本的にありません。

もう一つ、窓口を閉じられないことの裏側があります。事務処理の時間が、閉庁後に回りやすいという構造です。開庁中は来庁者の対応が優先され、届出の記載や、他課への連絡、審査の確認は、窓口が閉まってからになります。面接では、これを「残業が多かった」ではなく「対応と処理の時間帯が分かれる業務構成だった」と説明してください。企業の店舗運営でも、営業時間と締め作業の関係はまったく同じです。

成果が見えにくいのは、指標の性質によるものです

市民課・戸籍住民課の成果が見えにくいのには、3つの構造的な理由があります。評価してもらえないという話ではなく、成果の性質からそうなるという話です。

1. 成果が「間違えなかったこと」と「待たせなかったこと」の形をとる

誤交付がなかった。記載の誤りがなかった。待ち時間が短かった。どれも、起きなかったことです。

一方、間違えたときと、待たせたときだけ表に出ます。

2. 処理量を、自分たちで増減させられない

来庁者の数は、住民の動きで決まります。処理量が多かったことは、努力の結果ではありません。

だから、「今年は◯件処理しました」という数字が、そのままでは成果になりません。

3. 良い対応は記録に残らない

窓口の評価は、苦情があったかどうかで語られがちです。うまくいった対応は、記録に残りません。

3つ目も、言い換えられます。苦情の有無ではなく、苦情が起きにくい設計を何にしたかで書いてください。待ち時間の表示、記載例の掲示、受付の区分。起きてから対応した話ではなく、起きないようにした設計のほうが、民間では読まれます。

この3つのうち、1つ目と2つ目は、書き方で置き換えられます。

「処理件数」ではなく、「同じ件数を、どういう体制で、どれだけの時間で処理したか」です。

待ち時間の最大値、通常期との倍率、応援を含む体制の人数、誤りの件数。これらは方向を持つ数字で、企業の事務センターでもそのまま指標になります。

民間に移ると変わる4つのこと

1. 処理量を平準化できる

自治体の窓口は、来た人を来た順に処理するのが基本です。企業では、受付時間の設計、予約制、オンライン化によって、量を平準化する余地があります。

これは楽になる部分です。そして、平準化の設計を任される側に回れるということでもあります。

2. 断ることと、条件を変えることができる

自治体の窓口は相手を選べず、要件を満たせば受理する義務があります。企業では、取引を断れます。

ただし、断る判断そのものが仕事になります。誰を断るかの基準を作る側に回る、という違いです。

3. 成果が処理コストで測られる

企業では、一件あたりの処理時間、処理コスト、エラー率が指標になります。「適正に処理した」では評価が止まります。

だから、待ち時間や誤りの件数の推移を持っていることが、そのまま強みになります。

4. 開庁時間の縛りが変わる

自治体の窓口は、開庁時間が固定です。企業では、シフト制の職場と、受付時間が決まっていない職場に分かれます。

土日のシフトがある職場もあるので、入る前に確認してください。

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在職中に残しておくべき記録

転職を考え始めたら、在職中に手元に控えておくものがあります。辞めてからでは集めにくくなります。

残すもの使う場面注意
戸籍の届出の年間件数職務要約統計書に載っていることが多い
住民異動の年間件数職務要約同上
証明書の交付の年間件数職務要約同上
繁忙期の一日あたり来庁者数と、通常期との倍率実績・面接最も効く。自分で控えるしかない
待ち時間の最大値(改善前・改善後)実績同上
応援を含む繁忙期の体制の人数実績同上
誤交付・記載誤りの件数の推移実績ゼロならゼロと書く
委託している範囲と委託先の管理の経験面接民間の委託管理でそのまま使える

4行目が最重要です。「窓口を担当していた」ではなく、「通常期の◯倍の来庁を、◯人の体制で、待ち時間◯分以内で処理した」と書くと、要員計画を任せられる人として読まれます。この数字は公表されていないことが多く、在職中に控えるしかありません。

そして、書いてはいけないものも確認しておきます。

公表されている統計書と事務報告に載っている範囲で書くのが原則です。

LINEで短く聞くこともできます

つまずきやすい点

1. 「常に受け身だった」と説明する

「処理量が外から決まる業務を、事前の体制設計で吸収してきた」と言い換えてください。

2. 処理件数だけを書く

同じ件数を、どういう体制で、どれだけの時間で処理したか。そこが成果です。

3. 繁忙期の倍率を控えていない

公表されていないことが多く、在職中にしか取れません。

4. 繁忙期が来る理由を説明しない

転入届は14日以内と法律で決まっています。だから毎年同じ時期に、ほぼ同じ規模で来ます。

5. 退職後の手続きを確認しないまま動く

退職手当や共済の扱いは在職期間で変わります。所属の人事担当課と共済組合で先に確認してください。公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。

どの経験がどの方向で値が付くかは、募集の出方で変わります。どの経験に値が付くのかから相談できます。

まとめ

よくある質問

残業は多い部署ですか

団体や年によって違うため、一般化はできません。ただし、構造として、3〜4月に処理が集中すること、開庁時間中は窓口を閉じられないため、事務処理が閉庁後に回りやすいことは、どこでも共通します。面接で聞かれたら、時期の偏りと、窓口を閉じられないという制約を説明するのが正確です。個別の職場の事情をそのまま話す必要はありません。

民間でも土日の勤務はありますか

業種と職種によります。事務センターや審査部門は平日中心のことが多く、店舗運営やコールセンターはシフト制で土日が入ることがあります。自治体の窓口は平日中心で、休日開庁があっても限定的なので、シフト制になると生活のリズムが変わります。逆質問で「勤務のシフトはどうなっていますか」と聞いておいてください。入ってからの誤差がいちばん大きいのがここです。

異動して1年ですが、経歴として使えますか

使えますが、一巡しているかどうかで変わります。市民課は、3〜4月の繁忙期を一度越えているかが分かれ目です。一度越えていれば、量の予測、体制、待ち時間の管理について話せます。まだ越えていない段階だと、平常時の処理までしか書けません。判断の目安は、繁忙期を一度経験し、戸籍の審査に関わったことがあるかです。書き方は職務経歴書に整理しています。

出典

  1. 住民基本台帳法 第22条(転入届)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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