部署別 / 生涯学習・社会教育課
生涯学習・社会教育課から民間に移ると働き方と評価はどう変わるか
生涯学習・社会教育課の働き方を説明するとき、多くの方がこう言います。
「行事のときは土日も出ますが、普段は落ち着いています」
これだと、何も伝わりません。
実際には、毎日の施設の受付と団体の対応が常に流れていて、その上に行事と講座の山が乗るという形をしています。落ち着いている期間があるのではなく、下に常時の仕事が敷かれたまま、山が来る構造です。
この記事では、一年の波、評価が見えにくくなる構造、民間に移って変わる4点を整理します。
書き方は生涯学習・社会教育課の職務経歴書、面接での答え方は生涯学習・社会教育課出身者が面接で必ず聞かれることに書いています。
性質の違う6種類の仕事が、同時に走っています
まず、この仕事の構造を条文で押さえます。
社会教育法第22条は、公民館の事業をこう列挙しています。
公民館は、第二十条の目的達成のために、おおむね、左の事業を行う。
一 定期講座を開設すること。/二 討論会、講習会、講演会、実習会、展示会等を開催すること。/三 図書、記録、模型、資料等を備え、その利用を図ること。/四 体育、レクリエーシヨン等に関する集会を開催すること。/五 各種の団体、機関等の連絡を図ること。/六 その施設を住民の集会その他の公共的利用に供すること。
6つ並んでいますが、性質がまったく違います。
| 号 | 事業 | 時間の性質 |
|---|---|---|
| 一 | 定期講座 | 数か月にわたって続く(毎週の準備が発生する) |
| 二 | 講習会・講演会・展示会 | 単発の山(前後2週間に作業が集中する) |
| 三 | 図書・資料の備付け | 常時(日々の受入れと管理) |
| 四 | 体育・レクリエーション | 季節に寄る(多くは春と秋) |
| 五 | 団体・機関の連絡 | 年間を通して切れない(登録、相談、共催の調整) |
| 六 | 施設の利用に供する | 毎日(受付、調整、鍵、使用料、苦情) |
六号がいちばん下に敷かれています。施設を住民の利用に供する——これは毎日、開館している間ずっと続きます。
その上に、一号から五号が重なります。
「繁忙期はいつですか」という質問が答えにくいのは、この構造のためです。山はあるのですが、山がない時期にも、六号と三号と五号が流れ続けています。
説明するときは、この二層で話してください。
> 毎日の施設の受付と団体の対応が常時あって、その上に講座と行事の山が乗る形でした。山は年に◯回で、その前後2週間は準備と当日で埋まります。
これだけで、「普段は落ち着いている人」ではなくなります。
一年の波
自治体によって行事の時期は違いますが、おおまかにはこの形になります。
| 時期 | 中身 | 重さ |
|---|---|---|
| 4月 | 前期講座の開講、団体登録の更新、施設の年間利用の受付、新年度の予算の割り付け | 重い |
| 5〜6月 | 前期講座の実施、次の募集の準備、広報紙の入稿 | 中 |
| 7〜8月 | 子ども向けの事業が集中(夏休み)、施設の利用が増える | 重い |
| 9〜10月 | 文化祭・公民館まつり・体育の行事、後期講座の開講 | 最も重い |
| 11〜12月 | 後期講座の実施、次年度の事業の企画と予算の要求 | 中 |
| 1〜3月 | 実績の集計、次年度の講座の決定、広報の準備、団体登録の準備、施設の修繕 | 重い |
山は3つあります。
4月(始まり)、9〜10月(行事)、1〜3月(締めと次の年の仕込み)。
とくに9〜10月は、行事の準備と後期講座の開講が重なります。しかも、行事は土日です。
そして、講座も行事も、多くは夜か土日に行われます。住民が参加できる時間に合わせるためです。平日の日中に代休を取って調整するのが、実際の回し方になります。
この点は、そのまま強みになります。民間の講座事業、スクール、イベント、施設の運営は、どれも土日が本番です。土日と夜の稼働に慣れていることは、選考で確実に効きます。
評価が見えにくくなる3つの構造
この部署で「評価されている実感がない」と感じるのには、理由があります。個人の問題ではありません。
1. 成果が「無事に終わったこと」として現れる
行事が事故なく終わり、講座が定員どおりに回り、施設の利用に苦情が出なかった。これが成果ですが、何も起きていないように見えます。逆に、一度でも事故や中止があれば、そこだけが記録に残ります。
2. 事業が、担当が変わっても続く
講座も行事も、多くは前年から続いています。だから、自分が何を変えたのかが、記録に残りません。時間帯を変えた、媒体の配分を変えた、共催の分担を文書にした——どれも「例年どおり実施した」という1行に吸収されます。
3. 参加者の手応えが、こちらに返ってこない
学ぶのは本人です。その人が何を得たかは、その人の中にあります。アンケートの満足度は返ってきますが、それは当日の感想であって、事業の成果ではありません。
この3つのために、「やったこと」が自分の中にも残りにくくなります。
だから、記録は自分で取るしかありません。
民間に移って変わる4点
1. 集めた数字が、そのまま自分の評価になる
行政では、参加者数は事業報告に載る数字でした。民間では、それが自分の評価の数字になります。申込み数、稼働率、継続率、単価。見る数字は同じでも、扱いが変わります。
これは、悪い変化ばかりではありません。評価が見えにくい構造から、評価が数字で見える構造に移るということです。やったことが自分に返ってくるようになります。
2. やめる判断が速い
集まらない講座は、続けません。行政では、参加者が少なくても、必要な事業として続けるものがありました。この違いは、入ってから戸惑う部分です。
ただし、やめる判断そのものは、行政でも中止の判断として必要でした。「締切と最低の人数を先に決めて運用していた」と説明できるなら、この変化には対応できます。
3. 対象を絞れるようになる
行政の講座は、申込みを断れません。だから、幅のある層が同時に成立する設計が要りました。民間では、対象を絞ります。◯歳前後の、◯◯を目的にした人だけ。これは、設計がずっと楽になる変化です。
逆に言えば、「絞れない中で成立させてきた」経験は、絞れる環境では余裕として効きます。
4. 土日の稼働が、収益に結びつく
行政では、土日に出ても代休で戻すだけでした。民間の講座事業や施設運営では、土日が売上の中心です。同じように土日に働いても、それが事業の数字として見えるようになります。
変わらないのは、当日の運営です。会場の設営、受付、進行、事故と苦情への対応。ここは、行政でも民間でも同じことをします。
どの方向なら自分の経験が効くかは、話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
在職中に残しておくべき記録
辞めた後では、二度と取れません。
| 残すもの | なぜ必要か | どこから取れるか |
|---|---|---|
| 年間の講座の本数(年度別) | 企画の量を示す中心の数字 | 事業報告 |
| 延べ参加者数(年度別) | 集客の規模 | 事業報告、統計 |
| 媒体ごとの申込みの内訳 | これがあると集客の設計として読まれる | 受付の記録、アンケート |
| 講座ごとの充足率 | 改善を示すときに必要 | 定員と申込みの記録 |
| 継続して参加した人の割合 | 会員事業と同じ指標として効く | 申込みの記録 |
| 依頼した講師の人数、共催した団体の数 | 外部との折衝の量 | 事業報告、支出の記録 |
| 施設の館数と年間利用者数 | 施設運営に出すときの規模 | 公表資料 |
| 自分が変えたこと(年度別に3つ) | 実績欄の芯になる | 自分でメモするしかない |
最後の行が、いちばん取り戻しにくいものです。
上の7つは、公表資料や事業報告から後からでも拾えます。しかし、「自分が何を変えたか」は、どこにも記録されていません。
つまずきやすい点
1. 「普段は落ち着いています」と説明する
毎日の施設の受付と団体の対応が常時流れていることを、先に言ってください。
2. 土日・夜間の勤務に慣れていることを言わない
この経歴の分かりやすい強みです。言わないと伝わりません。
3. 自分が変えたことを覚えていない
年度末に3つメモする。これだけで、実績欄が埋まります。
4. 数字の管理をしていた事実を、自分で軽く見る
本数、充足率、参加者数、媒体ごとの内訳。見ていたなら、それは数字による管理です。
5. 勤務の時間帯だけを理由に動く
移った先も土日が本番であることが多いです。代休の運用と、土日の評価への反映を確かめてください。
条件の比べ方から相談できます。掲載中の求人を見てみることもできます。
まとめ
- 社会教育法第22条は、公民館の事業として定期講座/講習会・展示会/図書等の備付け/体育・レクリエーション/団体の連絡/施設の利用の6つを挙げています
- 性質がまったく違う6つが同時に走ります。毎日の施設の受付が下に敷かれ、その上に講座と行事の山が乗る二層の構造です
- 山は4月・9〜10月・1〜3月の3つ。講座と行事は夜と土日に寄ります
- 評価が見えにくいのは、①成果が「無事に終わったこと」として現れる ②事業が担当を越えて続く ③参加者の手応えが返ってこないという構造のためです
- 民間に移ると、①数字が自分の評価になる ②やめる判断が速い ③対象を絞れる ④土日の稼働が収益に結びつくの4点が変わります
- 在職中に残すべき記録の中で、「自分が変えたこと」だけは、どこにも記録されていません。年度末に3つメモしてください
よくある質問
公民館に配属されていた期間は、どう書けばよいですか
「施設の運営管理」と「事業の企画運営」を分けて書いてください。公民館の勤務は、第22条の六号(施設の利用)と、一号・二号(講座・講習会)の両方を同時に担当します。書くなら、「◯館(年間利用者約◯万人)の運営管理と、年間◯講座の企画・実施を兼務」という形です。兼務であること自体が、幅の証明になります。民間でも、施設の運営と、そこで行う事業の企画を同じ人が持つ形は多くあります。片方だけを書くと、もう片方の経験が消えます。
行事の当日に何かあったときの対応は、面接で話せますか
話せますが、書き方に注意が必要です。個別の事故や苦情の内容は書けません。書けるのは、備えのほうです。たとえば、「屋外の行事について、中止と決行の判断の基準と、判断する時刻をあらかじめ定めて、参加者と出店者に事前に周知する形にした」という形です。起きたことではなく、起きる前に用意していたことを話してください。これは、民間のイベント運営でそのまま求められる部分です。むしろ、「何も起きなかった」ことのほうが、備えの成果として説明できます。
異動でこの部署を離れることになりそうですが、動くべきですか
急ぐ必要はありません。ただし、離れる前にやることがあります。この部署の経験は、事業の数字とセットでないと伝わりません。そして、その数字は、異動した後では手元から消えます。なので、異動が決まった時点で、本数、参加者数、媒体ごとの内訳、継続の割合、自分が変えたことを、年度別に書き出しておいてください。これがあれば、数年後に動くことになっても、そのまま書類が書けます。逆に、これを取らずに異動すると、この部署での経験は「生涯学習課に◯年」という1行に縮みます。動くかどうかの判断は、その後で構いません。