部署別 / 生涯学習・社会教育課
生涯学習・社会教育課出身者が面接で必ず聞かれること
生涯学習・社会教育課から民間に移るとき、面接でいちばん多く聞かれるのは、この形の質問です。
「成果は、どう測っていたんですか」
そして、ここで止まる方が多くいます。
「参加者の満足度でしょうか」「数字で評価される仕事ではなかったので」——このどちらかで答えると、事業を回していた事実が、まるごと伝わりません。
この記事では、実際に聞かれる質問を7つ挙げて、避けたい答え方と、組み立て方を並べます。
書類の書き方は生涯学習・社会教育課の職務経歴書、行き先の絞り方は生涯学習・社会教育課からの転職先に書いています。
法律が定めた目的は、そもそも数字ではありません
答え方の前に、なぜこの質問で詰まるのかを条文で押さえておきます。
社会教育法第20条は、公民館の目的をこう定めています。
公民館は、市町村その他一定区域内の住民のために、実際生活に即する教育、学術及び文化に関する各種の事業を行い、もつて住民の教養の向上、健康の増進、情操の純化を図り、生活文化の振興、社会福祉の増進に寄与することを目的とする。
目的として並んでいるのは、教養の向上、健康の増進、情操の純化、生活文化の振興、社会福祉の増進。
どれも、数字で測れる形をしていません。
これが構造です。この仕事は、法律の段階で、成果が定性の言葉で定義されています。だから「成果をどう測っていたか」と聞かれると、答えに詰まるのが自然です。個人の力量の問題ではありません。
ただし、条文の前半をもう一度見てください。
「各種の事業を行い、もつて……寄与することを目的とする」
目的は定性でも、手段は事業です。そして事業には、本数があり、参加者数があり、予算があり、媒体があり、充足率があります。
面接で答えるべきは、目的のほうではなく、手段のほうです。
「教養の向上に努めました」ではなく、「年間◯講座、延べ◯人、同じ予算で充足率を◯%まで上げました」。
この置き換えが、この経歴の面接の中心です。
質問1:「生涯学習課では、どういうお仕事をされていたんですか」
最初の質問です。ここで像が決まります。
避けたい答え方
> 市民向けの生涯学習講座の企画と運営、それから公民館の管理を担当していました。
間違ってはいませんが、「講座の受付をしていた人」で像が固まります。
組み立て方
規模の数字を、先に置いてください。
> 住民向けの講座事業を、企画から集客、運営、翌年の設計まで一貫して担当していました。年間で◯講座、延べ参加者は約◯人です。外部の講師は年間約◯人に依頼していて、公民館◯館(年間利用者約◯万人)の運営管理も持っていました。予算は増額が難しい前提だったので、同じ枠の中で、どの講座を残し、どこに広報を寄せるかを決めるのが実際の仕事でした。
最後の一文が効きます。「限られた枠の中で配分を決める」のは、民間の事業運営そのものだからです。
質問2:「集客は、どうやっていたんですか」
この質問が来たら、いちばん値の付く場所に入っています。
避けたい答え方
> 広報紙とホームページ、あとはチラシを公共施設に置いていました。
媒体を並べただけで、設計の話になっていません。
組み立て方
媒体ごとの反応と、そこから何を変えたかを対で話してください。
> 媒体は広報紙、ウェブ、チラシ、施設での掲示、報道機関への提供の5つでした。申込みの受付のときに、どこで知ったかを記録していたので、媒体ごとの入り方が分かります。◯◯の層には広報紙が強く、◯◯の講座はウェブからが中心でした。反応の薄い媒体への配分を減らして、入りの多い媒体に前倒しで載せる形に変えたところ、平均の充足率が◯%から◯%になりました。制約としては、広報紙の発行日が決まっているので、企画の確定日が、実施日ではなく広報の締切から逆算で決まるという点があります。
最後の制約まで話せると、「段取りを設計できる人」として読まれます。
質問3:「講師や地域の団体には、どうやって依頼していたんですか」
外部との折衝を、どう組み立てていたかを見ています。
避けたい答え方
> 例年お願いしている方が多かったので、そこは特に苦労はありませんでした。
「引き継いだ関係をなぞっていた人」に読まれます。
組み立て方
「金額で勝負できない」という条件を先に置いてください。
> 講師の謝礼には基準があって、こちらの判断で上げられません。なので、金額以外の条件を組んで依頼していました。具体的には、日程を前年度のうちに確定させて相手の予定に入れてもらう、発表や実績の場として使ってもらう、資料の印刷や会場の準備をこちらが全部引き取って相手の作業を減らす、この3つです。地域の団体との共催も同じで、準備の分担と当日の役割を、前年度のうちに文書で確認しておく形にしていました。年間で約◯人の講師、約◯団体との共催を、この手順で回していました。
「報酬で動いていない相手を動かしてきた」という話は、業務委託先の管理、パートナーとの折衝、会員コミュニティの運営で、そのまま必要になります。
質問4:「人が集まらなかったときは、どうしていましたか」
失敗の扱い方を見る質問です。正直に答えたほうが通ります。
組み立て方
> 集まらない講座はありました。なので、募集の段階で中止の締切と最低の人数を決めて、申込みの案内にも書いておく運用にしていました。締切の時点で届かなければ中止で、会場と講師の手配を早めに取り消せるので、直前の混乱が減ります。集まらなかった講座は、時間帯か対象がずれていることが多かったので、同じ内容を土曜の午前に移すといった形で翌年に作り直していました。それで申込みが◯件から◯件になった講座があります。
「やめる基準を先に決めていた」という話は、採算の判断に耐えられる人として読まれます。民間の講座事業は、集まらない講座を続けません。そこに違和感がないことが伝わります。
質問5:「数字で評価されたご経験は、あまりないのでは」
この質問は、疑いではなく確認です。構造から答えてください。
避けたい答え方
> 行政は利益を追う組織ではないので、数字で評価される場面は少なかったです。
間違いではありませんが、ここで終わると「数字を扱えない人」で確定します。
組み立て方
法律の目的と、実務の管理を分けて話します。
> 事業の目的そのものは、法律で「教養の向上」「生活文化の振興」といった形で定められていて、数字になっていません。なので、目的の達成度を数字で示す仕組みは、確かにありませんでした。ただ、そこに至る手段は事業なので、管理は数字でしていました。年間の本数、定員に対する申込みの割合、延べ参加者数、媒体ごとの内訳、継続して参加した人の割合。この5つは毎年見ていて、翌年の配分をそこから決めていました。なので、目標の数字を追った経験はありませんが、数字を見て配分を決めた経験はあります。
この答え方が、いちばん誠実で、いちばん強くなります。「やっていない」と「やっていた」を、自分で線を引いて示しているからです。
自分の経験がどの言葉に対応するかは、話しながら整理したほうが早いことが多いです。自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。
質問6:「うちで、何ができると思いますか」
ここで一般論を言うと、それまでの答えが薄まります。
組み立て方
応募先が売っているものに、自分の工程を当ててください。
| 応募先 | 当てる工程 |
|---|---|
| 講座・スクール事業 | 企画の本数管理と、媒体ごとの集客の配分 |
| 施設の運営管理 | 利用の調整、収納、修繕の要望、委託先の確認 |
| イベント・地域連携 | 当日の運営、事故と苦情への備え、団体との事前の分担 |
| 人材サービス・コミュニティ | 報酬で動かない参加者を、続く形にした設計 |
| 企業の人材開発・研修 | 回数と難度の設計、講師の選定、アンケートの集計と反映 |
> 御社の講座事業でいえば、入って最初にできるのは、媒体ごとの申込みの内訳を取って、配分を組み直すところだと思っています。◯年やっていたので、季節と対象で入り方が変わることは体で分かります。逆に、新規の顧客を取りに行く営業は経験がないので、そこは学ぶ側になります。
できないことを1つ添えると、できることの信用が上がります。
質問7:働き方と条件について
この質問は、こちらの答え方で相手の見方が変わります。
組み立て方
> 講座と行事は土日と夜に集中するので、その時間帯の勤務には慣れています。逆に、平日の日中に代休を取る形で回していたので、振替の運用があるかどうかは確かめたいと思っています。
土日・夜間の勤務に慣れているのは、この経歴の強みです。イベント、スクール、施設の運営は、どれも土日が本番です。「慣れています」と言えること自体が、選考では効きます。
働き方の違いは生涯学習・社会教育課から民間に移ると働き方と評価はどう変わるかに整理しました。
逆質問で聞いておくこと
3つに絞ってください。どれも、入ってからのずれを防ぎます。
1. 「企画から集客まで任される職場ですか、それとも決まった企画を運営する職場ですか」
この経歴は、この2つで評価がまったく変わります。前者なら経験がそのまま効き、後者なら「自分で決めてきた部分」が使えません。求人票では判別できないことが多いので、必ず聞いてください。
2. 「集客は、いまどの媒体が中心ですか。配分は誰が決めていますか」
ここが自分の担当になるのか、別の部署が持っているのかが分かります。別の部署が持っているなら、自分の中心の経験は使えません。
3. 「講座や企画をやめる判断は、誰が、どの基準でしていますか」
基準があるかどうかで、働き方が変わります。基準がなく毎回その場で決まる職場は、準備の手戻りが多くなります。
つまずきやすい点
1. 「数字で評価される仕事ではなかった」で止める
目的は定性でも、手段は数字で管理していました。その線を自分で引いて話してください。
2. 集客の話を、媒体の羅列で終える
媒体ごとの反応と、そこから何を変えたかを対にしてください。
3. 講師や団体との関係を「例年どおり」と答える
金額で勝負できない条件で、何を用意して依頼したかを話してください。
4. 教育への思いから話し始める
思いは最後に1行で足ります。先に規模と工程を置いてください。
5. 土日・夜間の勤務に慣れていることを言わない
この経歴の分かりやすい強みです。言わないと伝わりません。
行き先の見当が付いていない段階でも構いません。掲載中の求人を見てみることもできます。
まとめ
- 社会教育法第20条は、公民館の目的を「教養の向上、健康の増進、情操の純化、生活文化の振興、社会福祉の増進」と定めています。どれも数字ではありません
- だから「成果をどう測っていたか」で詰まるのは自然です。答えるべきは、目的ではなく手段です
- 年間の本数、充足率、延べ参加者数、媒体ごとの内訳、継続の割合。この5つで話してください
- 講師と団体の話は、「金額で勝負できない条件で、何を用意して依頼したか」が芯になります
- 中止の基準を先に決めていたという話は、採算の判断に耐えられる人として読まれます
- 逆質問は、①企画から任されるか ②集客の配分は誰が決めるか ③やめる判断の基準の3つに絞ってください
よくある質問
教育や学習への思いは、話さないほうがよいですか
話して構いませんが、順番を最後にしてください。先に思いから入ると、「気持ちで仕事をしていた人」に読まれます。規模と工程を話したあとに、「続けて関わってくれる人が増えたときがいちばん手応えがありました」という形で1行添えると、動機の裏づけとして効きます。とくに、人材サービスや企業の人材開発のように、学びを扱う事業では、思いがあること自体が適性として読まれます。ただし、それだけで評価されることはありません。順番を間違えないでください。
「行政の講座は、集客の努力をしなくても人が来るのでは」と言われたら
事実を分けて答えてください。確かに、無料または低額の講座は、民間より申込みが入りやすい面があります。そこは否定しないほうが信用されます。そのうえで、「だからこそ、集まらない講座の原因が分かりやすい」と続けてください。価格の要因がほとんどないので、集まらないときは、時間帯、対象、広報の出し方のどれかに原因があるという構造です。「価格以外の要因だけで集客を動かしてきた」と言えるのは、この経歴の特徴です。値引きで人を集めた経験がない代わりに、設計で動かした経験があります。
施設の管理しか担当していない場合は、どう答えればよいですか
施設の運営管理は、それ自体が独立した経験です。講座の企画がなくても構いません。答えるべきは、①館数と年間利用者数 ②利用の受付と調整の件数 ③使用料の収納 ④修繕の要望と工事の調整 ⑤指定管理者の協定に基づく確認の5つです。とくに③と⑤は、民間の施設運営でそのまま使われます。使用料の収納は、現金と記録を扱う実務であり、協定に基づく確認は、委託先の管理そのものです。「管理人のような仕事でした」とだけ答えると、この5つが全部消えます。書き方は生涯学習・社会教育課の職務経歴書に整理しています。