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業界研究 / NPO・公益法人

NPO・公益法人の選考フローと、面接で見られている観点

NPO・公益法人の選考を受けた方から、同じ戸惑いを伺います。

「一次面接から3週間、連絡がありません」

「面接に、人事の方が一人も出てきませんでした」

どちらも、異常ではありません。この業界の組織の作りから、そうなるというだけです。

仕組みを知らないまま受けると、無いはずの意味を読み取って不安になります。この記事では、選考がそう動く理由と、面接で実際に見られている観点を扱います。

志望動機の組み立てはNPO・公益法人の志望動機、未経験から入る道筋はNPO・公益法人に未経験から入るにはにあります。

業務は、理事の合議で決まる建て付けになっています

選考の速度を決めているのは、意思決定の仕組みです。

特定非営利活動促進法第15条です。

> (役員の定数)第十五条 特定非営利活動法人には、役員として、理事三人以上及び監事一人以上を置かなければならない。

理事は3人以上と定められています。そして、同法第17条です。

> (業務の執行)第十七条 特定非営利活動法人の業務は、定款に特別の定めのないときは、理事の過半数をもって決する。

「理事の過半数をもって決する」です。定款に特別の定めが無ければ、業務は合議で決まります。

さらに、同法第16条です。

> (理事の代表権)第十六条 理事は、すべて特定非営利活動法人の業務について、特定非営利活動法人を代表する。ただし、定款をもって、その代表権を制限することができる。

原則として理事全員が代表権を持ち、定款で制限できるという構造です。多くの法人は、定款で理事長に代表権を集めています。

ここから、選考について2つのことが言えます。

仕組み選考への出方
業務は理事の過半数で決する(定款に定めが無ければ)採用が理事会の議題になる法人がある。理事会の開催まで結論が出ない
定款で理事長に権限を集められる理事長の判断で即決する法人もある。法人によって速度が違う

つまり、「遅い」のではなく「どこで決めるかが法人ごとに違う」のです。

理事は非常勤であることが多く、本業を別に持っています。理事会が2か月に1回という法人であれば、面接から結論まで、そのぶん待つことになります。

公益法人も構造は同じです。公益認定法第5条第1号が「公益目的事業を行うことを主たる目的とするものであること」を認定の基準としているとおり、法人の意思は事業の目的に沿って組織的に決まる建て付けになっています。

選考フローは、法人の規模で2つに分かれます

小規模な法人一定の規模がある法人
書類理事長・事務局長が直接読む事務局の担当者が一次で読む
一次面接理事長がいきなり出てくる事務局長・部門の責任者
二次面接理事が複数出てくる/実務の体験理事長・常務理事
最終理事会での承認を待つ理事長の決裁
全体の期間読みにくい。理事会の日程次第比較的読める
人事の担当者いないことが多い総務が兼務していることが多い

「人事の方が出てこない」のは、人事の部署が無いからです。採用は、事務局長や理事長の仕事の一部として行われています。

これは、応募する側にとっては有利に働く面があります。

決める人が、最初から出てくるからです。民間企業のように、人事の一次面接で機械的に落とされる工程が、そもそも存在しないことが多い。書類が通れば、決定権のある人と直接話せます。

一方で、不利に働く面もあります。

選考の手順が整っていないので、連絡の間隔が読めません。進捗の連絡が来ないまま2〜3週間、というのは珍しくありません。催促して構いません。むしろ、期日を確認する連絡は、丁寧な人という印象になります。

面接に出てくる人と、その人が見ているもの

出てくる人見ているもの
理事長法人の目的と、この人の関心が重なっているか
事務局長明日から一緒に回せるか。実務の手際
部門の責任者担当する事業の中身が分かっているか
非常勤の理事外の目線。組織に合いそうか
経理の担当者数字と書類を扱えるか

役所の採用面接と、いちばん違うのがここです。

役所では、面接官は人事委員会や人事課の側にいて、配属先の人は出てきません。法人では、入ったあとに隣の席に座る人が面接に出てきます。

ですから、質問の性格が変わります。「あなたの強みは」という抽象的な問いより、「この事業を担当したら、最初の1か月で何をしますか」のような、実務に寄った問いが増えます。

見られている観点は、5つに整理できます

観点具体的に確かめられること
① 目的への接続定款の事業のどれに関わりたいかを言えるか
② 行政ではない理由一時的な感情で動いていないか
③ 一人で回せるか分掌の外を拾える構えがあるか
④ 相手の事情を読めるか行政・会員・寄附者と話せるか
⑤ 条件の確認から逃げないか後から食い違わない人か

③は、公務員から応募する方に必ず確認されます。

役所では、担当が分掌で区切られていました。法人では、「広報も経理も自分でやる」という場面が出てきます。ここに抵抗があるかどうかを、遠回しに聞かれます。

答え方は、経験に寄せてください。

> 係の人員が減った年に、通常の担当に加えて、システムの更改の業務側の窓口と、新しい要綱の作成を兼務しました。手が回らない時期はありましたが、優先の順番を決めて、期限の近いものから処理していました。

「やったことがある」と言えれば、それで足ります。

⑤は、意外と見られています。給与や勤務の条件を聞かずに「やりがいがあれば」という応募者は、法人の側から見ると、入ったあとに折り合わずに辞める懸念として映ります。条件は、堂々と確認してください。

公務員の経験が効く場所・効きにくい場所

効く場所

場面効く理由
理事会・評議員会の運営を聞かれる審議会・委員会の事務がそのまま重なる
行政との協議の進め方を聞かれる相手の意思決定の流れと時期を知っている
補助金・委託の実務を聞かれる交付する側・発注する側にいた
規程や要綱の整備を聞かれる条文の形で書くことに慣れている
説明の資料を求められる議会・住民への説明資料を作ってきた

効きにくい場所

場面効きにくい理由
面接の場で数字を示すことを求められる役所では成果を数で語る場面が少ない
「最初の1か月で何をしますか」前例の無い状態から組み立てる問い
寄附・会員の増加について聞かれる経験が無い領域
兼務への構えを聞かれる分掌に守られてきた

2つ目は、事前に用意しておいてください。

答え方の型は、「聞く → 読む → 整理する」です。

> 最初の1か月は、まず前年度の事業報告書と、現在進行中の案件の資料を読ませていただきます。そのうえで、関係する方に順に話を聞いて、いま誰が何を持っているかを整理します。手を入れるのは、その次だと考えています。

いきなり改善案を語る答えは、評価が割れます。中に入る前の提案は、事情を知らないまま言っていると受け取られることがあるためです。

準備の手順

順やること目安
1定款と事業報告書を読む1時間
2事業計画書と収支予算書を読む30分
3応募する職が、どの事業に紐づくかを特定する30分
4①〜⑤の観点で、自分の答えを書き出す1時間
5「最初の1か月」の答えを作っておく30分
6条件面で確認する項目を3つ決める20分

合計で4時間ほどです。

6つ目を必ずやってください。その場で思いつかず、聞き逃したまま進むことが多い部分です。給与の決まり方、その職の財源、就業規則の整備の状況。この3つは、確認しておくと後が楽になります。

経験の言い換えから相談することもできます。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担です)。

逆質問で使えるもの

質問何が分かるか
この職は、どの事業に紐づいていますか財源の期間
前任の方は、どういう経緯で離れましたか定着の状況
採用の決定は、どの会議で行われますか選考の見通し
入って最初に任せたいことは何ですか期待されている役割
職員の方の人数と、担当の分け方を教えてください兼務の度合い

3つ目は、遠慮なく聞いて構いません。理事会で決まるのか、理事長の決裁なのか。答えを聞けば、待つ期間の見当がつきます。

LINEで短く聞くこともできます

まとめ

行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。

よくある質問

在職中です。面接の日程は調整してもらえますか

調整してもらえることが多いです。理由は、この業界の法人が、在職中の応募者に慣れているからです。職員の多くが他の職場から移ってきており、平日の夜や土曜の面接に応じる法人もあります。遠方であれば、一次面接をオンラインで行うという対応も一般的になっています。申し出るときは、希望の時間帯を先に示すほうが早く決まります。「平日の18時以降、または土曜であれば伺えます」という形です。なお、理事が出てくる面接は、理事の都合に左右されます。候補の日を複数もらったら、早めに返すほうが調整が楽です。日程の詰め方も、調整の手際として見られています。

求人が公募されていません。応募する方法はありますか

問い合わせから始める方法があります。この業界では、公募せずに、知り合いの紹介や問い合わせから採用に至ることが少なくありません。人員に余裕が無く、公募して選考する手間をかけられないという事情もあります。問い合わせの形は、「採用の予定があれば教えてほしい」という短い連絡で足ります。そのときに、どの事業に関心があるかを1〜2行添えると、相手が判断しやすくなります。なお、すぐに返事が無くても、記録には残ります。半年後に欠員が出たときに連絡が来た、という例もあります。急いで結論を求めない形での接点の作り方として、覚えておいてください。

選考の途中で、条件が想定と違うと分かりました。どうすればよいですか

その時点で確認してください。進んでから戻るほうが、双方の負担が大きくなります。確認のしかたは、「◯◯について、求人票では△△と拝見しましたが、実際の運用はいかがでしょうか」という形です。責めるのではなく、事実を合わせるという並びにすると、話しやすくなります。多くの場合、求人票の記載が古いか、書き方が曖昧だったというだけです。そのうえで、条件が合わないと判断したら、辞退して構いません。選考の途中で辞退することは、この業界では珍しくありません。丁寧に理由を伝えて辞退した方が、別の時期に改めて声をかけられたという例もあります。無理に合わせて入るより、そのほうが関係は続きます。

出典

  1. 特定非営利活動促進法 第15条(役員の定数)/第16条(理事の代表権)/第17条(業務の執行)|e-Gov法令検索
  2. 公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律 第5条(公益認定の基準)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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在職中でも、情報収集だけでも構いません。応募する求人が決まっていない段階のほうが、むしろ整理する意味があります。ご利用はすべて無料です。