財政課転職PUBLIC → PRIVATE 無料で相談する

自治体別 / 都道府県

青森県職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方

青森県庁で働いてきた方から相談を受けるとき、話は決まって同じところで止まります。「県内には転職先が少ない」「県外に出るなら給料は上がるはずだが、家族のことを考えると動けない」。

どちらも実感としては正しいのですが、判断の材料としては粗すぎます。この記事では、まず公表されている数字で自分の位置を確認し、そのうえで県庁の経験が民間のどの言葉に置き換わるのかを整理します。数字は総務省が公表している令和6年の調査結果から引いています。

青森県庁の給与水準を、数字で確認する

総務省の調査によると、青森県の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。

項目青森県
ラスパイレス指数96.8
平均年齢42.6歳
平均給料月額312,100円
諸手当月額60,556円
平均給与月額372,656円
平均給与月額(国ベース)340,220円
地域手当支給なし

ラスパイレス指数96.8という数字を、まず正しく理解してください。これは国家公務員の給与水準を100としたときの比較値で、学歴や経験年数の差を補正して計算されています。96.8は、国の水準より3ポイントほど低いことを示しています。

同じ調査で近隣を見ると、岩手県99.4、宮城県100.0、秋田県100.1、山形県100.2です。東北の中でも青森県は低いほうに位置します。

もう一点、地域手当が支給されていないことも押さえてください。地域手当は民間賃金の高い地域に支給される手当で、青森県は支給割合ゼロです。平均給与月額372,656円のうち、諸手当は60,556円。この構成は、手当で上乗せする余地が小さいことを意味します。

この数字を、転職の判断にどう使うか

使い方を間違えないでください。この平均は全年齢・全職種の平均であって、自分の給与ではありません。使えるのは次の2点だけです。

  1. 県外の自治体や国の水準と比べるときの物差しになる
  2. 民間の求人票の提示額と比べるときの、おおよその出発点になる

とくに2つ目が重要です。転職の相談では「今の年収より下がるか上がるか」がいつも論点になりますが、比べるべきは自分の実額であって、この平均ではありません。給与明細と源泉徴収票を先に手元に置いてください。

県庁の経験は、民間で何と呼ばれるか

部門ごとに、求人票で使われる言葉に置き換えます。

県庁での仕事求人票での言い方
予算の要求・査定予実管理、投資判断、経営企画
農林水産部門の施策・補助金事業開発、産地開発、公共調達支援
商工労働部門の企業誘致・支援事業開発、アライアンス、地域連携
県土整備の設計・積算・監督発注者支援、施工管理、アセットマネジメント
健康福祉の許認可・指導規制対応、コンプライアンス
市町村への助言・調整パートナー支援、カスタマーサクセス
議会対応、条例改正渉外、法務、規程整備

部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。

青森県という土地で、何が値になるか

青森県の産業構造を踏まえると、県庁の経験が効く方向は3つに絞れます。

1. 一次産業と食品

りんご、ながいも、ほたて、まぐろ。青森県は農林水産業の比重が大きく、県庁にも関連部門があります。産地形成、輸出支援、衛生管理、補助事業の設計といった経験は、食品メーカーや商社、輸出商社で「行政と組める人材」として読まれます。とくに輸出は許認可と補助金の塊なので、制度を知っていること自体が実務能力です。

2. エネルギーと大型施設

原子力関連施設、風力発電、送電網。青森県はエネルギー関連の立地が集中する県です。立地に伴う地元調整、安全協定、交付金の実務を経験している方は、エネルギー事業者や建設・プラント業界で希少になります。この分野は行政との協議が事業の前提なので、経験が直接効きます。

3. 市町村を顧客にする事業

県庁で市町村への助言・支援を担当していた方は、市町村を顧客にする企業から見ると理想的です。自治体向けシステム、業務委託、コンサルティング。市町村の体制と予算の実情を知っている人は、外から採用しようとしても見つかりません。

とくに小規模町村を相手にしてきた経験は値がつきます。担当が1人で何役も兼ねている、専任の技術職がいない、予算の規模が小さいから提案の刻み方を変えなければならない。こうした事情は、売る側からはほとんど見えません。県の立場で市町村を回ってきた方は、この地図を頭の中に持っています。

行政が相手の求人を見てみる

職務経歴書に、県庁の仕事をどう落とすか

言い換えの表が分かっても、いざ書こうとすると手が止まります。押さえる点は3つです。

制度名ではなく、判断したことを書く

「○○推進事業の事務局を担当」と書いても、読み手には何も伝わりません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞だからです。何件の申請を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。

同じことは制度名にも言えます。交付金や補助メニューの名称を並べても、読む側はその重さを測れません。制度は前提として1行に圧縮し、その中で自分が何を決めたかに紙幅を使ってください。

本庁と出先機関を書き分ける

県庁は本庁と地域県民局・出先機関で職務の性質がまったく違います。本庁は制度の設計と全県調整、出先は現場対応と個別案件の処理です。どちらをどれだけ経験したかを書き分けると、読み手が配属をイメージできます。両方あるなら、「制度を作る側と回す側の両方を見た」という強い材料になります。

市町村との関係を実績として書く

県職員の仕事の多くは、市町村を相手にした助言・調整・支援です。これを「連絡調整」と書いてしまうと弱くなります。何十の市町村を相手に、どういう温度差をどう埋めたかを書けば、それは複数顧客を持つアカウント業務の経験そのものです。

異動の多さを、弱みにしない

数年ごとの異動を「専門性がない」と書いてしまう方が多くいます。これは自分から評価を下げる書き方です。

異なる制度領域を短い期間で立ち上げてきた経験は、民間ではキャッチアップの速さとして読まれます。新しい事業領域に人を配置したい企業にとって、これは探している能力そのものです。

書き方としては、編年式で並べたうえで、それぞれの配属で最初の3か月に何を習得したかを1行添えてください。それだけで、異動歴が「立ち上げの回数」に変わります。

県外に出ると水準は変わるか

ラスパイレス指数96.8と地域手当ゼロという構成から、県外の水準の高い地域へ移れば、額面が上がる可能性は確かにあります。ただし、そこには3つの前提があります。

生活費が同時に上がる

額面が上がっても、住居費が上がれば手元は変わりません。比べるなら、住居費を差し引いた後で比べてください。

職種が変われば水準も変わる

同じ地域でも、職種によって水準はまったく違います。地域の差より職種の差のほうが大きいことが珍しくありません。先に職種を決めてから、地域を考えたほうが順序として正しいです。

リモート可の求人がある

近年は、居住地を問わない求人が増えています。青森県内に住んだまま、水準の高い企業の給与体系で働くという選択肢は、以前より現実的になっています。

この形がとくに噛み合うのが、自治体を顧客にする企業です。担当エリアが東北に設定されていれば、居住地が青森であることは不利になりません。むしろその地域の行政を知っていることが配属の理由になります。

リモート可の求人も含めて見てみる

県内に残る判断も、等しく扱う

ここまで転職の話を書いてきましたが、残る判断にも理があります。

県庁は、県内では数少ない「制度を作る側」の職場です。しかも異動によって複数の領域を横断できる。この経験の積み方は、民間企業ではあまりできません。いま担当している領域で通しの経験が積み切れていないなら、それを終えてから動くほうが、書けることは確実に厚くなります。

また、異動の希望が通る見込みがあるなら、まずそちらを試すのも合理的です。転職は選択肢を増やす手段であって、目的ではありません。動かないと決めた場合でも、自分の経験が外でどう呼ばれるかを知っておくことには意味があります。次の異動の希望を出すときの材料が変わるからです。

動く時期は、議会日程から逆算する

地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。都道府県は年度開始前30日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。

この枠があるため、予算編成の時期と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。逆に、その山を外して活動を始めれば、選考は落ち着いて進みます。

在職中に進めるのが基本です。公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。

LINEで短く聞くこともできます

まとめ

よくある質問

ラスパイレス指数が低いということは、損をしているのですか

指数だけでは損得は決まりません。ラスパイレス指数は国家公務員の給料月額と比べた指数であり、生活費の水準や住居費を反映していません。青森県は住居費が相対的に低く、地域手当が支給されないのもその前提に立っています。判断材料としては、指数よりも手取りから固定費を引いた後にいくら残るかのほうが実用的です。

県庁から県内の民間に移ると、給与は下がりますか

職種と企業によります。県内の中小企業に一般職として移れば下がることはありますが、行政を顧客にする事業を持つ企業や、専門性がそのまま値付けされる職種では必ずしも下がりません。順序として、まず「自分の経験がどこで希少になるか」を決め、そのうえで水準の話をしてください。先に水準から入ると、選択肢が不必要に狭まります。

40代からでも転職できますか

年代そのものより、説明できる実績があるかどうかです。青森県の一般行政職の平均年齢は42.6歳ですから、同年代の方の相談は多くあります。40代の場合、若手と同じ土俵で「伸びしろ」を売るのではなく、特定の制度領域を通しで回した経験を軸にすると噛み合います。補助事業の設計、大型施設の立地調整、市町村支援。こうした経験は、年数がなければ積めないものです。

出典

  1. 令和6年 給与・定員等の調査結果等(ラスパイレス指数及び平均年齢・平均給与月額等)|総務省
  2. 地方自治法 第211条(予算の調製及び議決)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

「自分の経験に、どこで値段が付くのか」から相談できます

在職中でも、情報収集だけでも構いません。応募する求人が決まっていない段階のほうが、むしろ整理する意味があります。ご利用はすべて無料です。