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愛媛県職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
愛媛県の地域手当は0%です。国の指定基準も、実際の支給割合もゼロ。
それなのに諸手当は月額95,865円あります。地域手当がゼロの15団体のなかで、これが最も厚い額です。2番目の大分県86,446円を9,419円上回ります。
「地域手当がないから手当が薄い」という読み方は、愛媛県では成り立ちません。まず数字を読み解いてください。
愛媛県庁の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、愛媛県の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 愛媛県 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.4 |
| 平均年齢 | 42.6歳 |
| 平均給料月額 | 319,100円 |
| 諸手当月額 | 95,865円 |
| 平均給与月額 | 414,965円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 349,081円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 0% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 0% |
地域手当ゼロの団体で並べる
| 県 | 地域手当 | 諸手当月額 | 平均給与月額 |
|---|---|---|---|
| 愛媛県 | 0% | 95,865円 | 414,965円 |
| 大分県 | 0% | 86,446円 | 404,146円 |
| 福島県 | 0% | 81,193円 | 407,693円 |
| 鹿児島県 | 0% | 79,233円 | 392,833円 |
| 熊本県 | 0% | 73,317円 | 400,217円 |
同じ「地域手当ゼロ」でも、諸手当は22,548円開きます。
地域手当は諸手当の一項目にすぎません。時間外、管理職、特殊勤務、扶養、住居、通勤。総額はこれらの積み上がりで決まります。愛媛県の場合、地域手当が入っていない以上、95,865円はそれ以外の手当の積み上がりということになります。
ラスパイレス指数は98.4で、四国4県では最も低い数字です。しかし平均給与月額414,965円は、香川県412,353円を上回ります。指数と実額が同じ方向を向いていません。
四国4県の比較は香川県職員の転職に、諸手当の比率は大阪府職員の転職に表で整理しています。
県庁の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 県庁での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 漁業権の免許、海面の利用調整 | 用地開発、再エネ開発、渉外 |
| 水産資源の管理と養殖の振興 | 事業開発、調達、サステナビリティ推進 |
| 企業誘致・立地支援 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 環境・保安の規制と監視 | 環境管理、EHS、規制対応 |
| 港湾・海運の計画と調整 | インフラ企画、SCM企画 |
| 果樹・農産物の産地形成と販路 | 事業開発、産地開発、商品企画 |
| 島しょ部の振興・交通の確保 | 地域事業、モビリティ事業企画 |
| 県土整備の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 市町への助言・支援 | パートナー支援、カスタマーサクセス |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
海の権利を扱った経験は、洋上の事業でいま必要とされている
愛媛県庁の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
漁業法第69条は、漁業権の内容たる漁業の免許を受けようとする者は、都道府県知事に申請しなければならないと定め、免許を受けた者は当該漁業権を取得すると規定しています。
海の利用は、知事が免許した権利の上に成り立っているということです。
これが、いま民間で問題になっています。
洋上風力、海底ケーブル、海洋調査、大規模な養殖、港湾の再開発。海を使う事業はどれも、既存の漁業権と向き合わずには進みません。そして企業側には、この領域を知っている人がほとんどいません。
- 誰がどの権利を持っているのかを、どう確認するのか
- 権利の範囲は、実際にはどこまで及ぶのか
- 調整の相手は、組合なのか個々の漁業者なのか
- 補償の話に入る前に、何を済ませておく必要があるのか
- 説明の順序を間違えると、どこで止まるのか
この順序を知らずに進めて止まる案件が、実際にあります。技術でも資金でもなく、地元との関係の作り方で止まる。求人票では、用地開発、再エネ開発、渉外、事業開発といった名前で書かれています。
同じ構造は、内水面、海岸、港湾区域、温泉、地下水にもあります。「その場所を使う権利が、すでに誰かにある」領域はすべて同じです。
書くときのこつは、法律名を並べないことです。「漁業法に基づく免許事務を担当」ではなく、何件を扱い、利害が割れたときに何を示して、どう決着させたか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
愛媛で、どの経験が値になるか
1. 海面の利用調整を通した経験
漁業権、養殖、航路、埋立、海岸保全。利害が真正面からぶつかる調整です。洋上の事業を進める企業にとって、最も人が足りていない領域です。
2. 水産資源の管理
資源管理、養殖の許認可、衛生管理、輸出。調達の持続可能性は、いま食品と流通の企業が最も詰められている論点です。行政側で資源管理を見てきた経験は、調達やサステナビリティ推進の職務に直接つながります。
3. 海運・造船の集積を、行政側から支えてきた経験
海運と造船の集積がある県です。規制と国際的な基準の両方がかかる産業なので、これらの企業には行政対応の職務があります。書くときは、扱った制度の数と、判断が割れたときの処理で書いてください。
4. 果樹のブランドと販路
全国的に知られた産地を持つ県です。産地形成、品質管理、販路開拓、輸出。輸出は許認可と制度の塊なので、制度を知っていること自体が実務能力にあたります。
5. 島しょ部と南予の実務
移動条件の制約があるなかで、医療・交通・教育をどう保つか。実際に再編や統合を通した人はまだ多くありません。自治体向けコンサルティング会社や、インフラ運営を受託する企業が探しているのはこの経験です。
県内の求人だけを見ると、選択肢を自分で狭めてしまう
愛媛県で職種を絞って求人を探すと、県内の件数は限られます。ここで諦めてしまう方が多いのですが、探し方を変えると結果が変わります。
近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。とくに自治体を顧客にする企業は、担当エリアに出向くことが仕事なので、本社への出社頻度が低い場合があります。担当エリアが四国全域、あるいは西日本全域という求人であれば、住む場所は必ずしも本社の近くである必要がありません。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、県庁の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。
利害が対立した場面を書く
権利や資源の調整は、対立があって当たり前の仕事です。誰と誰の利害がぶつかり、何を示したら動いたか。ここを書けると、民間で最も欲しがられる経験として読まれます。
異動歴を「立ち上げの回数」に変える
異なる制度領域を短期間で立ち上げてきた経験は、民間ではキャッチアップの速さとして読まれます。編年式で並べ、それぞれの配属で最初の数か月に何を習得したかを1行添えてください。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。県庁でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、環境計量士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
海に接する構造物の設計審査は希少な経験になる
護岸、漁港、海岸保全、養殖施設。海を扱える技術者は限られます。建設コンサルタントと、洋上の事業を進める企業の両方から求められます。書くときは、対象施設の数と、条件の厳しさをどう処理したかで書いてください。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。「行政なので利益はありません」と答えると、そこで話が終わります。事業の優先順位を付けた、単価の根拠を詰めた、複数案を比べた。同じ思考をしていたことを、民間の言葉で説明できるかが見られています。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
県内の企業の多くは、県庁と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。都道府県は年度開始前30日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 愛媛県の一般行政職はラスパイレス指数98.4、平均給与月額414,965円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 地域手当は0%ですが、諸手当95,865円は地域手当ゼロの15団体で最も厚い額です(2位の大分県を9,419円上回ります)
- 「地域手当がない=手当が薄い」とは読めません。総額の23.1%が、条件次第で動く部分です
- 複数年の源泉徴収票を並べて、ぶれ幅を先に見てください
- 海の権利を扱った経験は、洋上の事業でいま必要とされています(漁業法69条)。用地開発、再エネ開発、渉外という求人名で出ています
- 経験が効く方向は、海面の利用調整/水産資源の管理/海運・造船の支援/果樹のブランド/島しょ部と南予の実務の5つです
よくある質問
地域手当がゼロということは、手当が薄いのですか
愛媛県は逆です。諸手当95,865円は、地域手当がゼロの15団体のなかで最も厚い額で、2番目の大分県86,446円を9,419円上回ります。地域手当は諸手当の一項目にすぎず、時間外、管理職、特殊勤務、扶養、住居、通勤などの積み上がりで総額が決まります。ただしこれらは条件で動く部分なので、複数年の源泉徴収票でぶれ幅を見てください。
水産や海面の担当でしたが、分野が特殊すぎませんか
探す範囲が狭いだけであることが多いです。水産の会社ではなく、海を使う事業を進める企業まで広げてください。洋上風力、海底ケーブル、港湾の再開発。どれも既存の漁業権と向き合わずには進まず、その順序を知っている人が社内にいません。技術者は設備を、法務は契約を見ますが、地元との関係をどの順序で作るかを知る人がいないためです。
県内に希望する職種の求人が見当たりません
勤務地から探すのをやめてください。担当エリアが四国全域、あるいは西日本全域という求人であれば、本社の近くに住む必要はありません。リモート可や週数日出社の求人も増えています。まず職種で絞り、そのあとに出社頻度と担当エリアを確認する。この順序に変えるだけで、見える求人が変わります。掲載中の求人を見てみることもできます。