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自治体別 / 都道府県

福岡県職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方

福岡県のラスパイレス指数は100.8です。九州7県で最も高く、全国で見ても上位にあたります。

ただし平均給料月額は320,400円で、九州のなかでは中位です。指数が高いのに、給料月額そのものは突出していません。

この差は、県内に指定都市を2つ抱えていることと無関係ではありません。まず数字を読み解いてください。

福岡県庁の給与水準を、数字で確認する

総務省の調査によると、福岡県の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。

項目福岡県
ラスパイレス指数100.8
平均年齢41.8歳
平均給料月額320,400円
諸手当月額90,715円
平均給与月額411,115円
平均給与月額(国ベース)360,693円
地域手当(国の指定基準)約5.40%
地域手当(実際の支給割合)約5.79%

指数は高いが、給料月額は中位

ラスパイレス指数100.8は、学歴と経験年数の差を補正したときの給料表の位置です。100を超えているということは、同じ条件で比べれば国家公務員を上回るということになります。

一方で平均給料月額320,400円は、補正されていない数字です。平均年齢41.8歳が比較的若いため、平均給料月額は低めに出ます。

地域手当は国の指定基準約5.40%に対して実際の支給割合が約5.79%。約0.39ポイントの上乗せで、控えめな部類です。愛知県は+約2.35ポイント、大阪府は+約2.00ポイントなので、全国的には小さいほうにあたります。

地域手当の全国的な位置は愛知県職員の転職に、諸手当の比率は大阪府職員の転職に表で整理しています。

指定都市を2つ抱える県なので、担当範囲を自分で書く必要がある

福岡県には指定都市が2つあります。都道府県のなかでこの状態にあるのは限られています。

地方自治法第252条の19は、政令で指定する人口50万以上の市は、都道府県が処理することとされている事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。条文に列挙されているのは、児童福祉、生活保護、社会福祉事業、老人福祉、母子保健、介護保険、障害者の自立支援、食品衛生、医療、精神保健、結核の予防、土地区画整理事業、屋外広告物の規制などです。

つまり県が直接担う仕事の範囲が、他の県とは違います。

ここが職務経歴書で効いてきます。県外の企業の採用担当者は、「県庁ならこの分野を担当していたはずだ」という一般的な理解で読みます。その理解と、実際の担当範囲がずれます。

対処は単純です。

指定都市を抱える県の職員は、規模の大きい自治体を相手にした折衝の経験を持っています。相手が国であれ大企業であれ、そのまま通じる経験です。同じ論点は大阪府職員の転職でも整理しています。

県庁の経験は、民間で何と呼ばれるか

県庁での仕事求人票での言い方
予算の要求・査定、財政計画予実管理、投資判断、経営企画
港湾・物流の計画と調整インフラ企画、SCM企画、事業開発
企業誘致・立地支援事業開発、用地開発、アライアンス
産業支援・技術支援の施策産学連携、技術企画、事業開発
国際交流・海外展開の支援海外事業、渉外、アライアンス
環境・保安の規制と監視環境管理、EHS、規制対応
医療・薬務の許認可、監視指導薬事管理、品質保証、規制対応
観光の誘客・受入環境整備観光事業企画、インバウンド事業
県土整備の設計・積算・監督発注者支援、施工管理
市町村への助言・支援パートナー支援、カスタマーサクセス
内部管理(人事・財政・総務・会計)コーポレート、管理部門
議会対応、条例・規則の改正渉外、法務、規程整備

部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。

港をめぐる実務は、国際物流の職務にそのまま接続する

福岡県庁の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。

港湾法第2条は、「港湾管理者」を港務局又は第33条の規定による地方公共団体と定義しています。そして同条は、国際戦略港湾を、長距離の国際海上コンテナ運送に係る国際海上貨物輸送網の拠点となり、かつ国内の貨物輸送網と結びつく港湾として位置づけています。

つまり港は、国の施設ではなく地方公共団体が管理する施設だということです。

この構造を知っていることが、そのまま職務になります。いま国際物流の現場で起きているのは、次のようなことです。

企業側には、港の仕組みを制度の側から知っている人がほとんどいません。物流の担当者は運賃と便を見ますが、港湾計画がどう決まり、誰に何を言えば動くのかは知りません。

求人票では、SCM企画、インフラ企画、事業開発、渉外といった名前で書かれています。とくにアジア向けの調達や販売を広げている企業が、この領域の人を探しています。

書くときのこつは、施設名を並べないことです。取扱量がどう推移し、どこが詰まり、誰と何を決めて解消したか。この形にすると、行政の経験ではなく物流の経験として読まれます。

行政が相手の求人を見てみる

福岡で、どの経験が値になるか

1. 九州全体を視野に入れて施策を組んできた経験

福岡県は九州の拠点機能が集まる位置にあり、県内で完結しない調整が生じます。自分の区域だけでは決められない前提で計画を作った経験は、広域で事業を組む企業にとって直接読める経験です。

2. 国際的なやりとりを日常的にしてきた経験

海外の行政機関や企業との継続的な関係づくり。相手の制度が違う前提で話を進めた経験は、海外事業や渉外の職務に接続します。書くときは相手国ではなく、制度の違いをどう埋めたかで書いてください。

3. 産業の転換を行政側から支えてきた経験

かつての主力産業から、現在の製造業・サービス業への移行を経てきた地域です。産業構造が変わるときに、行政が何をしたかを知っていることは、事業転換を進める企業にとって参考になる経験です。

4. 大都市と中山間を、同時に扱ってきた経験

都市部と、人口減少が課題となる地域が同じ県内にあります。同じ制度を、条件の違う地域に当てはめる。この経験は、全国展開する企業がいちばん苦労するところです。

5. 市町村を相手にしてきた経験

指定都市から小規模な町村まで、体制の幅が大きい県です。相手の体制に応じて支援の仕方を変えた経験は、複数顧客を持つアカウント業務の経験として書けます。

県内に市場がある県なので、絞り方を先に決める

福岡県は、県内に九州の拠点機能が集まっています。転居を伴わずに多様な職種にアクセスできる一方、条件から絞ろうとすると候補が決まらないという状態になりやすい環境です。

順序を決めてください。

  1. 職種で絞る(自分の経験がどこで希少になるか)
  2. 業界で絞る(行政が顧客か、規制を受ける側か、まったく別か)
  3. 勤務形態を確認する(出社頻度、担当エリア)

この順序を逆にすると、条件のよい求人が視界から消えます。とくに勤務地から検索を始めると、リモート可や担当エリア型の求人が最初から入ってきません。

自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。

職務経歴書に、県庁の仕事をどう落とすか

制度名ではなく、判断したことを書く

「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。

相手の規模を書く

福岡県の仕事は、相手が指定都市のこともあれば小規模な町村のこともあり、大企業のこともあれば個人事業主のこともあります。相手の規模と、そのために変えた進め方を書くと、応用が利く人だと読まれます。

異動歴を「立ち上げの回数」に変える

異なる制度領域を短期間で立ち上げてきた経験は、民間ではキャッチアップの速さとして読まれます。編年式で並べ、それぞれの配属で最初の数か月に何を習得したかを1行添えてください。

技術職の場合は、探し方が変わる

発注者側の経験そのものが職種になる

「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。県庁でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。

資格が入口で効く

技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、薬剤師。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。

都市部の維持管理の経験は、これから増える職務になる

新設ではなく、既存の施設をどう保たせるか。点検、優先順位付け、予算配分。この判断をした経験は、インフラ運営を受託する企業が探しています。書くときは、対象施設の数と、優先順位をどう決めたかで書いてください。

面接で必ず詰められる2つのこと

「意思決定のスピードに耐えられるか」

行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。

「数字への意識があるか」

「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。「行政なので利益はありません」と答えると、そこで話が終わります。事業の優先順位を付けた、単価の根拠を詰めた、複数案を比べた。同じ思考をしていたことを、民間の言葉で説明できるかが見られています。

在職中に進めるときの注意点

顔が知られている前提で動く

県内の企業の多くは、県庁と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。

服務上の扱いを先に確かめる

在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。

面接の日程は、議会日程から逆算する

地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。都道府県は年度開始前30日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。

在職中に決める

公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。

LINEで短く聞くこともできます

まとめ

よくある質問

九州で最も指数が高いので、転職すると下がりますか

指数は応募先と比べた数字ではありません。ラスパイレス指数は国家公務員の給料表と比べたものです。福岡県には県内に九州の拠点機能が集まっており、職種によっては行政より高い値が付くことも普通に起きます。まず自分の源泉徴収票の支払金額を出し、求人票の想定年収と並べてください。順序としては、経験がどこで希少になるかを決めてから水準の話をするほうが、判断が止まりません。

指定都市が担当している分野は、経験として弱くなりますか

弱くなりません。問題は書き方のほうです。県外の採用担当者は「県庁ならこの分野を担当していたはず」という理解で読むため、実際の担当範囲とずれます。担当した事務を、対象区域まで含めて書いてください。あわせて、規模の大きい自治体を相手にした折衝の経験は、相手が国でも大企業でも通じる経験として読まれます。

県内の求人だけで十分でしょうか

九州全体を担当エリアとする求人も見てください。九州全域や西日本を担当する職種では、拠点が福岡にあること自体が条件になっていることがあります。この場合、住む場所を変えずに担当範囲だけが広がります。県外の企業から見れば、九州のどの自治体がどういう体制で、誰に話を通せば進むのかを知っていること自体が価値になります。

出典

  1. 令和6年 給与・定員等の調査結果等(ラスパイレス指数及び平均年齢・平均給与月額等)|総務省
  2. 港湾法 第2条(港湾管理者・国際戦略港湾等の定義)|e-Gov法令検索
  3. 地方自治法 第252条の19(指定都市の権能)/第211条(予算の調製及び議決)/第233条(決算)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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