財政課転職PUBLIC → PRIVATE 無料で相談する

自治体別 / 都道府県

福島県職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方

福島県庁で働いてきた方の職務経歴書には、他県では見ないものが並びます。避難指示区域の再生、住民の帰還支援、除染と中間貯蔵、廃炉に関わる地域対応、風評への対応。

これらは制度としても前例がなく、教科書もないまま組み立ててきた仕事です。ところが職務経歴書では「復興業務に従事」の一行で済まされていることが多い。それでは、何をしてきた人なのかが伝わりません。

この記事では、まず公表されている数字で自分の位置を確認し、そのうえで県庁の経験が民間のどの言葉に置き換わるのかを整理します。

福島県庁の給与水準を、数字で確認する

総務省の調査によると、福島県の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。

項目福島県
ラスパイレス指数100.0
平均年齢42.8歳
平均給料月額326,500円
諸手当月額81,193円
平均給与月額407,693円
平均給与月額(国ベース)357,321円
地域手当支給なし

ラスパイレス指数100.0は、国家公務員の給与水準とちょうど同じという意味です。近隣は青森県96.8、岩手県99.4、宮城県100.0、秋田県100.1、山形県100.2。

諸手当81,193円という数字の読み方

ここが福島県の数字で目を引く点です。地域手当が支給されていないのに、諸手当月額が81,193円ある。

近隣と並べると構造がはっきりします。

県諸手当月額地域手当
宮城県92,195円支給あり
福島県81,193円支給なし
山形県73,315円支給なし
岩手県68,294円支給なし
秋田県61,662円支給なし
青森県60,556円支給なし

宮城県が高いのは地域手当があるためです。福島県は地域手当ゼロで、東北2番目の水準にあります。地域手当が入っていない以上、この81,193円はそれ以外の手当の積み上がりということになります。

この平均は自分の給与ではない

繰り返しになりますが、上の数字は全年齢の平均です。民間の求人票の提示額と比べるときは、自分の源泉徴収票の支払金額を使ってください。

県庁の経験は、民間で何と呼ばれるか

県庁での仕事求人票での言い方
予算の要求・査定、財政計画予実管理、投資判断、経営企画
復興・再生事業の進行管理プロジェクトマネジメント、PMO
住民説明・合意形成渉外、パブリックリレーションズ
企業誘致・立地支援事業開発、用地開発、アライアンス
エネルギー関連の計画・調整事業企画、規制対応
農林水産の産地形成・輸出支援事業開発、産地開発、海外展開
県土整備の設計・積算・監督発注者支援、施工管理
市町村への助言・支援パートナー支援、カスタマーサクセス

部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。

福島で積んだ経験の、外での値段

1. 前例のない事業を組み立てた経験

これが最大の資産です。制度が先にあって当てはめる仕事ではなく、制度そのものを作りながら進める仕事を経験している。国、市町村、事業者、住民という立場の違う相手と、決まっていないルールの中で合意を作ってきた。

民間でこれに相当するのは、新規事業の立ち上げです。前例がない、判断基準がない、関係者が多い、それでも期限がある。構造が同じです。書き方さえ変えれば、そのまま新規事業開発の経験として読まれます。

2. エネルギーと産業の集積

再生可能エネルギー、水素、ロボット、廃炉関連。福島県はこれらの産業の集積が進む県で、県庁には計画と調整の実務があります。立地に伴う地元調整、安全に関する協議、交付金や補助制度の設計。これらは事業者から見て、自分たちが最も苦労する部分です。

この分野の企業は全国規模で採用していますが、現地の行政手続きと地元調整を実際に経験した人は簡単には見つかりません。

3. 説明が難しい話を、説明しきった経験

風評への対応、安全性に関する説明、帰還の判断材料の提示。相手が納得しない前提で、それでも説明を続けた経験は、民間ではリスクコミュニケーションや渉外の能力として読まれます。

規制の厳しい業界、社会的な関心が高い事業、地域と向き合う必要のある事業。こうした領域では、この経験が直接効きます。

4. 市町村を相手にしてきた経験

規模も体制もばらばらな市町村を相手に、温度差をどう埋めたか。「連絡調整」ではなく、複数顧客を持つアカウント業務の経験として書けば、そのまま職務能力になります。

行政が相手の求人を見てみる

職務経歴書に、県庁の仕事をどう落とすか

「復興業務に従事」で終わらせない

これがいちばん多いもったいない書き方です。書くべきなのは、同時に動いていた事業の数、関係した市町村や事業者の数、当初計画からの変更をどう処理したか、判断が割れたときにどう決着させたか。

通常の年度サイクルでは起きない密度の意思決定を回してきたはずです。民間のプロジェクトマネジメントの求人が求めているのは、まさにそこです。固有名詞ではなく、規模と密度で書いてください。

制度名ではなく、判断したことを書く

事業名や制度名は庁内でしか意味を持ちません。制度は前提として1行に圧縮し、その中で自分が何を決めたかに紙幅を使ってください。

異動歴を「立ち上げの回数」に変える

数年ごとの異動を「専門性がない」と書くのは、自分から評価を下げる書き方です。異なる制度領域を短期間で立ち上げてきた経験は、民間ではキャッチアップの速さとして読まれます。編年式で並べ、それぞれの配属で最初の数か月に何を習得したかを1行添えてください。

面接で必ず詰められる2つのこと

「意思決定のスピードに耐えられるか」

行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。福島県庁の方は、通常より速い意思決定を求められた場面を持っているはずです。それを話せば足ります。

「数字への意識があるか」

「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。「行政なので利益はありません」と答えると、そこで話が終わります。事業の優先順位を付けた、単価の根拠を詰めた、複数案を比べた。同じ思考をしていたことを、民間の言葉で説明できるかが見られています。

技術職の場合は、探し方が変わる

土木・建築・電気・化学の技術職は、事務職とは求人の探し方が違います。

発注者側の経験そのものが職種になる

「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。県庁でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。

資格が入口で効く

技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者。事務職では資格より実績が先ですが、技術職では資格が応募の入口になる場面があります。在職中に取れるものがあるなら、動く前に取っておくと選択肢が広がります。

環境・放射線関連の実務は特殊な資産になる

測定、モニタリング、データの管理と公表、住民への説明。この一連の実務は、環境計量やモニタリングを事業とする企業、そしてエネルギー関連の事業者にとって、外から採用しにくい経験です。測った経験だけでなく、その数値をどう説明したかまで書いてください。

在職中に進めるときの注意点

顔が知られている前提で動く

県内の企業の多くは、県庁と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。

服務上の扱いを先に確かめる

在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。後から問題になるより、先に確かめたほうが確実です。

動く時期は、議会日程から逆算する

地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。都道府県は年度開始前30日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。

この枠があるため、予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。その山を外して始めれば、選考は落ち着いて進みます。

在職中に進めるのが基本です。公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。

LINEで短く聞くこともできます

まとめ

よくある質問

復興関連の経験は、時間が経つと価値が下がりますか

事業の新しさより、そこで何を回したかが残ります。同時並行の事業をどう捌いたか、計画変更をどう処理したか、立場の違う相手の合意をどう作ったか。これらは年数が経っても職務能力として読まれます。逆に、事業名や年度だけを書いていると、時間の経過とともに何も伝わらなくなります。固有名詞に依存しない書き方に直しておくことが、そのまま対策になります。

浜通り・中通り・会津で、転職の状況は違いますか

求人の分布は違います。エネルギーや廃炉関連の産業は浜通りに集積があり、県庁機能と企業の支店は中通りに集まっています。ただし、これは「どこに住むか」の問題であって、「どんな経験が評価されるか」の問題ではありません。先に職種を決めてから、勤務地を確認する順序にしてください。勤務地から絞ると、職種の選択肢が急に狭くなります。

県外に出たほうが選択肢は広いですか

職種によります。エネルギー、インフラ、自治体向け事業といった分野では、県外に本社を置く企業が県内に担当を配置しているケースが多く、県内勤務のまま本社基準の給与体系になる組み合わせがあります。この種の求人は勤務地から検索すると視界に入りません。県外を考える前に、まず職種で探してみてください。

出典

  1. 令和6年 給与・定員等の調査結果等(ラスパイレス指数及び平均年齢・平均給与月額等)|総務省
  2. 地方自治法 第211条(予算の調製及び議決)/第233条(決算)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

「自分の経験に、どこで値段が付くのか」から相談できます

在職中でも、情報収集だけでも構いません。応募する求人が決まっていない段階のほうが、むしろ整理する意味があります。ご利用はすべて無料です。