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三重県職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方

三重県庁の給与データには、注目すべき特徴があります。ラスパイレス指数101.1。国家公務員の水準を100としたときに、1.1ポイント上回っています。

しかも地域手当は約4.98%と低め。つまり上乗せ手当ではなく、給料表そのものの水準が高いということです。

「地方の県庁だから、民間に移れば給与は上がるはずだ」という前提で動くと、判断を誤る可能性があります。まず数字を正しく読み解いてください。

三重県庁の給与水準を、数字で確認する

総務省の調査によると、三重県の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。

項目三重県
ラスパイレス指数101.1
平均年齢43.5歳
平均給料月額331,100円
諸手当月額89,623円
平均給与月額420,723円
平均給与月額(国ベース)369,713円
地域手当(国の指定基準)4.7%
地域手当(実際の支給割合)約4.98%

ラスパイレス指数101.1が意味すること

この指数は、学歴や経験年数の差を補正して計算されるため、団体間の給与水準を直接比べられます。並べると、三重県の位置がはっきりします。

県ラスパイレス指数地域手当(実支給)
静岡県102.2約4.68%
三重県101.1約4.98%
愛知県101.0約10.85%
東京都100.5約18.72%
岐阜県99.3約3.86%

三重県は東京都より高い指数を、はるかに低い地域手当で実現しています。しかも地域手当は国の指定基準4.7%に対し実支給約4.98%と、ほぼ基準どおり。上乗せに頼らず、給料表の土台の部分で水準を作っている構造です。

なお、上の平均は自分の給与ではありません。平均給料月額(年齢構成の影響を受ける)とラスパイレス指数(補正済み)は意味が違うので、混ぜて読まないでください。

県庁の経験は、民間で何と呼ばれるか

県庁での仕事求人票での言い方
予算の要求・査定、財政計画予実管理、投資判断、経営企画
保安・環境の許認可・監視指導保安管理、環境管理、規制対応
企業誘致・立地支援事業開発、用地開発、アライアンス
産業支援・技術支援の施策産学連携、技術企画、事業開発
観光の誘客・受入環境整備観光事業企画、地域ブランディング
農林水産の産地形成・輸出支援事業開発、産地開発、海外展開
中山間・離島地域の振興地域事業、モビリティ事業企画
県土整備の設計・積算・監督発注者支援、施工管理
市町への助言・支援パートナー支援、カスタマーサクセス
内部管理(人事・財政・総務・会計)コーポレート、管理部門
議会対応、条例・規則の改正渉外、法務、規程整備

部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。

保安・環境の許認可は、規制産業でそのまま職務になる

三重県庁の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。

石油化学、半導体、自動車部品。三重県には規制の枠組みの中でしか動けない産業の集積があります。そして規制産業の企業には、行政の許認可や監視指導に対応する専任の職務があります。保安管理、環境管理、規制対応。求人票ではこうした名前で書かれています。

この職務が求めているのは、まさに審査する側にいた経験です。

これらは、外から学ぼうとしても時間がかかる知識です。審査する側にいた人が中途で入ってくることは、企業にとって大きな意味を持ちます。

書くときのこつは、制度名を並べないことです。「○○法に基づく許可事務を担当」ではなく、何件の申請を、どういう観点で審査し、どこで判断が割れて、どう処理したか。この形にすると職務能力として読まれます。

同じ構造は、食品衛生、薬務、建築確認、福祉施設の指導監査にも当てはまります。許認可を扱ったことがあるなら、その業界に規制対応の職務があるかを調べてみてください。

三重で、どの経験が値になるか

1. 産業集積を、行政側から支えてきた経験

企業誘致、用地の確保、インフラの手当て、補助制度の設計。進出や増設を考える企業から見れば、これは自分たちが最も苦労する部分です。

2. 条件のまったく違う地域を、同時に扱ってきた経験

三重県は南北に長く、大都市圏に近い地域と、人口減少と移動条件の制約が課題になる地域が同じ県内にあります。同じ制度を、条件の違う地域に当てはめる。この経験は、全国展開する企業がいちばん苦労するところです。

3. 観光と国際的な受入

観光地を抱え、大規模な国際的行事の受入経験も持つ県です。多数の関係機関を、期限のある枠組みのなかで動かした経験は、民間ではプロジェクトマネジメントとして読まれます。書くときは行事名ではなく、動員した機関の数と、判断の決着のさせ方で書いてください。

4. 農林水産のブランドと輸出

全国的に知られたブランドを持つ県として、産地形成と販路開拓の実務があります。輸出は許認可と補助金の塊なので、制度を知っていること自体が実務能力にあたります。

5. 市町を相手にしてきた経験

規模も体制もばらばらな市町を相手に、温度差をどう埋めたか。「連絡調整」ではなく、複数顧客を持つアカウント業務の経験として書けば、そのまま職務能力になります。

行政が相手の求人を見てみる

名古屋圏の求人も、視野に入れてよい

三重県の北部は名古屋圏に近く、転居せずに大都市圏の求人に応募できる位置にあります。

判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。とくに自治体を顧客にする企業は、担当エリアに出向くことが仕事なので、本社への出社頻度が低い場合があります。

まず職種で絞り、そのあとに勤務形態を確認する。勤務地から検索すると、県内では出会えない職種が最初から視界に入りません。

職務経歴書に、県庁の仕事をどう落とすか

制度名ではなく、判断したことを書く

「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。

地域差の扱いを実績として書く

同じ制度を条件の違う地域に当てはめる際、何を変え、何を変えなかったか。この判断の中身を書けば、全国展開を考える企業にとって直接読める経験になります。

異動歴を「立ち上げの回数」に変える

異なる制度領域を短期間で立ち上げてきた経験は、民間ではキャッチアップの速さとして読まれます。編年式で並べ、それぞれの配属で最初の数か月に何を習得したかを1行添えてください。

技術職の場合は、探し方が変わる

発注者側の経験そのものが職種になる

「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。県庁でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。

資格が入口で効く

技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。

環境の監視と測定は特殊な資産になる

測定、モニタリング、データの管理と公表、事業者や住民への説明。この一連の実務は、環境計量やモニタリングを事業とする企業、そして規制産業の事業者にとって、外から採用しにくい経験です。測った経験だけでなく、その数値をどう説明したかまで書いてください。

面接で必ず詰められる2つのこと

「意思決定のスピードに耐えられるか」

行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。

「数字への意識があるか」

「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。「行政なので利益はありません」と答えると、そこで話が終わります。事業の優先順位を付けた、単価の根拠を詰めた、複数案を比べた。同じ思考をしていたことを、民間の言葉で説明できるかが見られています。

在職中に進めるときの注意点

顔が知られている前提で動く

県内の企業の多くは、県庁と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。

服務上の扱いを先に確かめる

在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。

面接の日程は、議会日程から逆算する

地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。都道府県は年度開始前30日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。

在職中に決める

公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。

LINEで短く聞くこともできます

まとめ

よくある質問

許認可の担当でしたが、専門職ではありません。それでも評価されますか

評価されます。規制産業の企業が求めているのは、行政がどこを見るかという運用の知識です。条文は誰でも読めますが、実際の審査でどこが論点になるかは、審査する側にいなければ分かりません。書くときは制度名を並べるのではなく、何件を、どういう観点で審査し、どこで判断が割れたかを書いてください。

ラスパイレス指数が高いということは、転職すると下がりますか

職種と応募先によります。指数が高いのは事実ですが、それは国家公務員と比べた給料月額の話です。民間では職種と等級で決まるため、行政を顧客にする事業や、専門性がそのまま値付けされる職種では下がらないこともあります。まず「自分の経験がどこで希少になるか」を決めてから、水準の話をしてください。

南部の勤務が長いのですが、経験として弱くないですか

弱くありません。条件の厳しい地域で制度を回した経験は、県外でも求められます。人口減少と移動条件の制約は全国共通の課題ですが、実際に再編や統合を通した人はまだ多くありません。自治体向けコンサルティング会社や、インフラ運営を受託する企業が探しているのは、この経験です。書くときは地域名ではなく、合意をどう作ったかで書いてください。

出典

  1. 令和6年 給与・定員等の調査結果等(ラスパイレス指数及び平均年齢・平均給与月額等)|総務省
  2. 地方自治法 第211条(予算の調製及び議決)/第233条(決算)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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