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滋賀県職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
滋賀県庁の給与データは、直前に扱った三重県・静岡県とちょうど逆の形をしています。ラスパイレス指数99.6。国家公務員の水準を100としたとき、わずかに下回ります。
ところが実際に支給されている平均給与月額は415,374円で、指数がもっと高い県より上に来ます。
総額を作っているのは、給料表ではなく諸手当のほうです。この構造を知らずに指数だけで自分の水準を見積もると、求人票との比べ方を間違えます。まず数字を読み解いてください。
滋賀県庁の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、滋賀県の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 滋賀県 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.6 |
| 平均年齢 | 41.7歳 |
| 平均給料月額 | 317,200円 |
| 諸手当月額 | 98,174円 |
| 平均給与月額 | 415,374円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 360,809円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 6.0% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 約7.88% |
給料月額は低いほうなのに、給与月額は上に来る
読みどころはここです。並べると構造がはっきりします。
| 県 | 平均給料月額 | 諸手当月額 | 平均給与月額 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 318,100円 | 140,450円 | 458,550円 |
| 静岡県 | 333,500円 | 100,147円 | 433,647円 |
| 滋賀県 | 317,200円 | 98,174円 | 415,374円 |
| 岐阜県 | 327,700円 | 79,840円 | 407,540円 |
| 長野県 | 327,900円 | 67,282円 | 395,182円 |
滋賀県の平均給料月額317,200円は、この表で最も低い額です。長野県より10,700円低い。それなのに平均給与月額では長野県を20,192円上回ります。
差を作っているのは諸手当98,174円です。平均給与月額の約24%が諸手当で、この比率はここまで扱ってきた都道府県のなかでも高いほうにあたります。
なお地域手当は、国の指定基準6.0%に対し実際の支給割合が約7.88%で、基準を上回っています。上乗せ幅そのものについては愛知県職員の転職で全国的な位置を整理しました。ただし差の約1.9ポイントだけでは、諸手当98,174円の厚みは説明しきれません。地域手当以外の手当が積み上がっていると読むほうが実態に近くなります。
平均給料月額(年齢構成の影響を受ける)とラスパイレス指数(補正済み)は意味が違います。混ぜて読まないでください。平均年齢41.7歳という比較的若い構成も、平均給料月額の水準に影響しています。
県庁の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 県庁での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 水質・排水の規制、監視指導 | 環境管理、規制対応、EHS |
| 環境計画の策定と進行管理 | サステナビリティ推進、ESG企画 |
| 企業誘致・用地・工業団地 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 産業支援・技術支援の施策 | 産学連携、技術企画、事業開発 |
| 観光の誘客・受入環境整備 | 観光事業企画、地域ブランディング |
| 農林水産の産地形成・販路開拓 | 事業開発、産地開発、商品企画 |
| 交通・道路の計画と調整 | インフラ企画、モビリティ事業企画 |
| 県土整備の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 市町への助言・支援 | パートナー支援、カスタマーサクセス |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
環境行政の経験は、法律に裏付けのある職務経歴になる
滋賀県庁の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
琵琶湖の保全及び再生に関する法律第3条は、滋賀県が琵琶湖保全再生計画を定めることができると規定しています。しかも計画に定める事項として、水質の汚濁の防止及び改善、水源の涵養、生態系の保全及び再生、景観の整備及び保全に加えて、農林水産業、観光、交通その他の産業の振興に関する事項が並んでいます(同条第2項)。
つまり環境と産業を、ひとつの計画のなかで同時に扱うことが法律で予定されている県です。
これは職務経歴として珍しい形です。民間企業がいま最も人を探しているのが、まさにこの交差点だからです。
- 規制の水準を満たしながら、事業として成立させる
- 環境の目標値と、生産や売上の計画を同じ表で管理する
- 事業者・住民・関係機関の利害を、期限のある枠組みで決着させる
- 測定した数値を、専門外の相手に説明する
求人票では、環境管理、EHS、サステナビリティ推進、ESG企画といった名前で書かれています。近年は開示の要求が強まり、「環境の話が分かり、かつ社内の事業部と話せる人」の採用が増えています。
書くときのこつは、計画名や制度名を並べないことです。「○○計画の進行管理を担当」ではなく、何をどの頻度で測り、目標に届かないときに誰と何を決め直したか。この形にすると職務能力として読まれます。
同じ構造は、廃棄物、大気、化学物質、食品衛生、薬務の担当にも当てはまります。規制する側にいた経験は、規制される側の企業でそのまま職務になります。
滋賀で、どの経験が値になるか
1. 内陸型の製造業を、行政側から支えてきた経験
滋賀県には内陸型の製造業が集積しています。企業誘致、用地の確保、インフラの手当て、水利用や排水の許認可。進出や増設を考える企業から見れば、これは自分たちが最も苦労する部分です。
2. 水を扱ってきた経験
上水・下水・工業用水・農業用水・排水規制。水の量と質を制度として扱った経験は、水処理プラント、環境計量、インフラ運営を事業とする企業にとって、外から採用しにくい経験です。測った経験だけでなく、その数値をどう説明したかまで書いてください。
3. 広域の関係機関を動かした経験
琵琶湖は近畿圏の利水・治水に関わるため、県内で完結しない調整が生じます。関係する機関の数と、意見が割れたときの決着のさせ方で書けば、民間ではプロジェクトマネジメントとして読まれます。
4. 観光と文化資源
歴史的な資源を抱え、京都・大阪からの人の流れがある県です。誘客だけでなく受入環境の整備まで担当していれば、観光事業企画や地域ブランディングの職務に直接つながります。
5. 市町を相手にしてきた経験
規模も体制もばらばらな市町を相手に、温度差をどう埋めたか。「連絡調整」ではなく、複数顧客を持つアカウント業務の経験として書けば、そのまま職務能力になります。
京阪神の求人も、視野に入れてよい
滋賀県の南部は京都・大阪への通勤圏にあり、転居せずに大都市圏の求人に応募できる位置にあります。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。とくに自治体を顧客にする企業は、担当エリアに出向くことが仕事なので、本社への出社頻度が低い場合があります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態を確認する。勤務地から検索すると、県内では出会えない職種が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、県庁の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。
数値目標の扱いを実績として書く
環境や産業の計画には目標値が置かれます。届かなかったときに何を変えたかまで書けば、民間の目標管理と同じ言葉で読めます。達成した話だけを並べるより、外したときの立て直しのほうが評価されます。
異動歴を「立ち上げの回数」に変える
異なる制度領域を短期間で立ち上げてきた経験は、民間ではキャッチアップの速さとして読まれます。編年式で並べ、それぞれの配属で最初の数か月に何を習得したかを1行添えてください。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。県庁でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、公害防止管理者、環境計量士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
分析と監視のデータは特殊な資産になる
採水、分析、データの管理と公表、事業者や住民への説明。この一連の実務は、環境計量やモニタリングを事業とする企業、そして規制を受ける事業者にとって、育てるのに時間がかかる経験です。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。「行政なので利益はありません」と答えると、そこで話が終わります。事業の優先順位を付けた、単価の根拠を詰めた、複数案を比べた。同じ思考をしていたことを、民間の言葉で説明できるかが見られています。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
県内の企業の多くは、県庁と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。都道府県は年度開始前30日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 滋賀県の一般行政職はラスパイレス指数99.6、平均給与月額415,374円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 平均給料月額317,200円は低いほうなのに、諸手当98,174円で平均給与月額は上位に来ます。総額を作っているのは給料表ではなく諸手当です
- 指数だけで自分の水準を見積もらない。複数年の源泉徴収票の支払金額を並べ、ぶれ幅を見てください
- 環境行政の経験は、規制を受ける側の企業でそのまま職務になります。環境管理、EHS、サステナビリティ推進という求人名で出ています
- 経験が効く方向は、製造業の集積支援/水を扱った経験/広域の関係機関調整/観光と文化資源/市町支援の5つです
- 勤務地から検索しない。職種で絞ってから勤務形態を確認する順序に変えてください
よくある質問
ラスパイレス指数が100を下回っていますが、水準が低いということですか
実額とは別の話です。指数は学歴や経験年数の差を補正して、給料表を国と比べた数字です。実際に支給される額には諸手当が加わります。滋賀県の場合、平均給料月額は低いほうにありながら、諸手当98,174円が加わることで平均給与月額415,374円になります。比べるときは指数ではなく、自分の源泉徴収票の支払金額と、求人票の想定年収を突き合わせてください。
環境部局が長いのですが、民間で行き先はありますか
あります。規制を受ける側の企業には、環境管理やEHSという専任の職務があります。企業が知りたいのは条文の解釈ではなく、実際にどこを見られるのかという運用のほうです。これは審査する側にいなければ分かりません。書くときは計画名を並べるのではなく、何をどの頻度で測り、目標に届かないときに何を決め直したかを書いてください。
京都や大阪の求人に応募する場合、転居は必要ですか
求人によります。南部からであれば通勤圏に入る勤務地もありますし、リモート可や週数日出社の求人も増えています。判断を誤りやすいのは、勤務地で検索して県内の求人だけを見てしまうことです。先に職種で絞り、そのあとに勤務形態と出社頻度を確認する順序にしてください。掲載中の求人を見てみることもできます。