自治体別 / 都道府県
鳥取県職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
鳥取県のラスパイレス指数は96.6です。全国47都道府県のうち、下から2番目にあたります。
ところが平均給料月額319,500円は、全国で見ると中位です。埼玉県319,400円、東京都318,100円とほぼ同じ額になります。
指数と実額が、同じ方向を向いていません。この理由が分かると、自分の水準の見積もり方も変わります。まず数字を読み解いてください。
鳥取県庁の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、鳥取県の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 鳥取県 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 96.6 |
| 平均年齢 | 43.3歳 |
| 平均給料月額 | 319,500円 |
| 諸手当月額 | 69,398円 |
| 平均給与月額 | 388,898円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 345,487円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 0% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 0% |
指数が低いのに、給料月額が中位である理由
3つの数字を並べると構造が見えます。
| 都県 | ラスパイレス指数 | 平均給料月額 | 平均年齢 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 100.5 | 318,100円 | 42.5歳 |
| 埼玉県 | 100.3 | 319,400円 | 41.8歳 |
| 鳥取県 | 96.6 | 319,500円 | 43.3歳 |
| 京都府 | 99.4 | 308,000円 | 41.2歳 |
| 千葉県 | 99.6 | 306,300円 | 40.1歳 |
平均給料月額はほぼ同じなのに、指数は3.7〜3.9ポイント違います。
理由は平均年齢です。鳥取県の43.3歳はこの5団体で最も高く、給料表は勤続年数とともに上がる形なので、年齢構成が高いほど平均給料月額は高く出ます。平均給料月額は補正されていない数字です。
ラスパイレス指数は、学歴と経験年数の差を補正して計算されます。補正すると96.6。つまり同じ学歴・同じ経験年数で比べたときの給料表の水準は、国よりはっきり低いということです。
地域手当がゼロであることの意味
もうひとつの特徴が、地域手当が国の指定基準・実際の支給割合ともに0%であることです。
地域手当は民間賃金の高い地域に支給される手当なので、ゼロであること自体は、その地域の民間賃金水準を反映した結果です。ここから「損をしている」とは読めません。
ただし転職の場面では効いてきます。諸手当69,398円は、平均給与月額の17.8%にとどまります。大阪府の26.0%、東京都の30.6%と比べると、総額に占める手当の割合が小さい構造です。
地域手当の全国的な位置は愛知県職員の転職に、諸手当の比率は大阪府職員の転職に表で整理しています。
県庁の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 県庁での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 過疎・中山間地域の振興 | 地域事業、モビリティ事業企画 |
| 交通・移動手段の確保 | モビリティ事業企画、インフラ企画 |
| 企業誘致・立地支援 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 産業支援・技術支援の施策 | 産学連携、技術企画、事業開発 |
| 農林水産の産地形成・輸出支援 | 事業開発、産地開発、海外展開 |
| 港湾・物流の計画と調整 | インフラ企画、SCM企画 |
| 観光の誘客・受入環境整備 | 観光事業企画、地域ブランディング |
| 県土整備の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 市町村への助言・支援 | パートナー支援、カスタマーサクセス |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
人口減少を前提に制度を回した経験は、これから全国で必要になる
鳥取県庁の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法は、その第1条で、人口の著しい減少等に伴って地域社会における活力が低下し、生産機能及び生活環境の整備等が他の地域に比較して低位にある地域について、総合的かつ計画的な対策を実施するための特別措置を講ずる、と定めています。
そして第7条は、都道府県が過疎地域持続的発展方針を定めることができると規定しています。市町村の計画とは別に、都道府県が方針を作る立場にあるという構造です。
ここが職務経歴として効いてきます。
人口減少は、いま全国の企業が直面している課題です。市場が縮む、担い手が減る、拠点を統廃合する、サービスを維持する方法を変える。行政はこれを20年以上前から制度として扱ってきました。
- 需要が減る前提で、施設やサービスをどう配置し直すか
- 統廃合を、住民の合意を得ながらどう進めるか
- 担い手が確保できない業務を、どう外部と組んで維持するか
- 撤退と維持の線を、どういう基準で引くか
これらは民間企業がこれから直面する判断で、経験者がほとんどいません。求人票では、地域事業、モビリティ事業企画、事業再編、拠点戦略といった名前で書かれています。自治体を顧客にするコンサルティング会社や、インフラ運営を受託する企業が、まさにこの経験を探しています。
書くときのこつは、「衰退した」と書かないことです。企業が知りたいのは結果ではなく、判断の基準と、合意の作り方のほうです。何を残し、何をやめ、そのときに反対をどう扱ったか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
鳥取で、どの経験が値になるか
1. 少ない人数で、広い範囲を担当してきた経験
小規模な組織では、1人が複数の制度領域を同時に担当します。これは民間では、立ち上げ期の事業に必要とされる働き方そのものです。「専門が定まっていない」と書くのではなく、何と何を同時に回し、優先順位をどう決めたかを書いてください。
2. 移動手段の確保を扱った経験
路線の維持、乗合の仕組み、需要が薄い区間の扱い。モビリティ事業を手がける企業が最も苦労するのが、まさにここです。制度と補助の両方を知っている人は多くありません。
3. 農林水産のブランドと輸出
産地形成、品質管理、販路開拓、輸出。輸出は許認可と制度の塊なので、制度を知っていること自体が実務能力にあたります。海外展開を進める食品企業にとって、行政側の実務を知っている人は採用しにくい人材です。
4. 港湾と物流を行政側から見てきた経験
港湾計画、用地、関係機関の調整。物流の目詰まりがどこで起きるかを制度の側から知っている人は、サプライチェーンを扱う企業にとって希少です。
5. 市町村を相手にしてきた経験
規模も体制もばらばらな市町村を相手に、温度差をどう埋めたか。「連絡調整」ではなく、複数顧客を持つアカウント業務の経験として書けば、そのまま職務能力になります。
県内の求人だけを見ると、選択肢を自分で狭めてしまう
鳥取県で職種を絞って求人を探すと、県内の件数は限られます。ここで諦めてしまう方が多いのですが、探し方を変えると結果が変わります。
近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。とくに自治体を顧客にする企業は、担当エリアに出向くことが仕事なので、本社への出社頻度が低い場合があります。担当エリアが中国地方全域、あるいは西日本全域という求人であれば、住む場所は必ずしも本社の近くである必要がありません。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、県庁の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。
兼務を弱みとして書かない
複数の制度領域を同時に担当していた経験は、編年式で並べると「専門がない」ように見えます。同時に担当した数と、そのなかで優先順位をどう決めたかを1行足してください。読まれ方が変わります。
異動歴を「立ち上げの回数」に変える
異なる制度領域を短期間で立ち上げてきた経験は、民間ではキャッチアップの速さとして読まれます。それぞれの配属で最初の数か月に何を習得したかを添えてください。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。県庁でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、環境計量士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
維持管理と優先順位付けの経験は、これから増える職務になる
新設ではなく、既存の施設をどう保たせるか。点検、優先順位付け、予算配分、廃止の判断。この判断をした経験は、インフラ運営を受託する企業が探しています。書くときは、対象施設の数と、優先順位をどう決めたかで書いてください。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。「行政なので利益はありません」と答えると、そこで話が終わります。事業の優先順位を付けた、単価の根拠を詰めた、複数案を比べた。同じ思考をしていたことを、民間の言葉で説明できるかが見られています。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
県内の企業の多くは、県庁と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。都道府県は年度開始前30日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 鳥取県の一般行政職はラスパイレス指数96.6、平均給与月額388,898円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 指数は全国で下から2番目ですが、平均給料月額319,500円は全国で中位。平均年齢43.3歳という年齢構成の効果です
- 地域手当は0%。諸手当は平均給与月額の17.8%で、総額に占める手当の割合が小さい構造です
- 団体の数字は、どちらの向きでも自分の物差しになりません。源泉徴収票の支払金額と、求人票の想定年収を並べてください
- 人口減少を前提に制度を回した経験は、これから全国の企業が必要とする経験です(過疎法1条・7条)。地域事業、モビリティ事業企画、拠点戦略という求人名で出ています
- 県内の件数で諦めない。職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する順序に変えてください
よくある質問
ラスパイレス指数が全国で2番目に低いのですが、転職すれば上がりますか
この数字からは判断できません。ラスパイレス指数は国家公務員の給料表と比べた数字であって、応募先の民間企業と比べた数字ではありません。まず自分の源泉徴収票の支払金額を出し、求人票の想定年収と並べてください。そのうえで、水準ではなく仕事の中身を軸に判断すると、選考でも説明が一貫します。
小規模な組織で何でも担当してきたので、専門がありません
書き方の問題であることが多いです。複数の制度領域を同時に回してきた経験は、民間では新しい領域を任せても立ち上がる人として読まれます。書くときは、同時に担当した数と、そのなかで優先順位をどう決めたかを添えてください。「専門が定まっていない」と書かず、扱えるようになった制度の数で書くと読まれ方が変わります。
県内に希望する職種の求人が見当たりません
勤務地から探すのをやめてください。担当エリアが中国地方全域、あるいは西日本全域という求人であれば、本社の近くに住む必要はありません。リモート可や週数日出社の求人も増えています。まず職種で絞り、そのあとに出社頻度と担当エリアを確認する。この順序に変えるだけで、見える求人が変わります。掲載中の求人を見てみることもできます。