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富山県職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方

富山県庁で働いてきた方の転職相談では、「県内で完結させたい」という希望が最初に出ることが多くあります。持ち家があり、家族の生活基盤も県内にある。動くとしても、住む場所は変えたくない。

この希望は、十分に実現可能です。富山県には製造業の集積があり、県庁の経験が直接効く企業が県内にあります。ただし、そこにたどり着くには求人票の言葉と庁内の言葉を突き合わせる作業が要ります。

この記事では、まず公表されている数字で自分の位置を確認し、そのうえで置き換えの手順を整理します。

富山県庁の給与水準を、数字で確認する

総務省の調査によると、富山県の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。

項目富山県
ラスパイレス指数99.2
平均年齢43.2歳
平均給料月額322,000円
諸手当月額73,969円
平均給与月額395,969円
平均給与月額(国ベース)351,162円
地域手当(国の指定基準)約2.09%
地域手当(実際の支給割合)約2.09%

ラスパイレス指数99.2は、国家公務員の給与水準を100としたときに、やや下回っているという意味です。学歴や経験年数の差を補正して計算されるため、団体間の比較に使えます。

地域手当は国の指定基準どおりで、上乗せはありません。首都圏では埼玉・千葉・神奈川が基準を上回っていましたが、富山県は基準に沿った設定です。上乗せがないぶん、額面が読みやすい構造になります。

平均年齢43.2歳をどう読むか

平均給料月額322,000円という数字は、平均年齢43.2歳という年齢構成の影響を含んでいます。給料は年齢が上がれば上がるので、平均年齢が高い団体ほど平均給料月額も高く出ます。

一方でラスパイレス指数は年齢構成を補正した指数です。この2つは意味が違うので、混ぜて読まないでください。

そして、上の平均は自分の給与ではありません。民間の求人票と比べるときは、自分の源泉徴収票の支払金額を使ってください。団体の平均は、自分の市場価値を測る物差しにはなりません。

県庁の経験は、民間で何と呼ばれるか

県庁での仕事求人票での言い方
予算の要求・査定、財政計画予実管理、投資判断、経営企画
薬事・食品衛生の許認可・監視指導薬事管理、品質保証、規制対応
企業誘致・立地支援事業開発、用地開発、アライアンス
産業支援・技術支援の施策産学連携、技術企画、事業開発
エネルギー・水資源の管理インフラ運営、事業企画
観光の誘客・受入環境整備観光事業企画、地域ブランディング
県土整備の設計・積算・監督発注者支援、施工管理
市町村への助言・支援パートナー支援、カスタマーサクセス
内部管理(人事・財政・総務・会計)コーポレート、管理部門
議会対応、条例・規則の改正渉外、法務、規程整備

部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。

許認可の経験は、規制産業でそのまま職務になる

富山県庁の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。

医薬品、医療機器、食品。これらは規制なしには事業が成立しない産業です。そして規制産業の企業には、行政の許認可や監視指導に対応する専任の職務があります。薬事管理、品質保証、規制対応。求人票ではこうした名前で書かれています。

この職務が求めているのは、まさに審査する側にいた経験です。

これらは、外から学ぼうとしても時間がかかる知識です。審査する側にいた人が中途で入ってくることは、企業にとって大きな意味を持ちます。

書くときのこつは、制度名を並べないことです。「薬機法に基づく許可事務を担当」ではなく、何件の申請を、どういう観点で審査し、どこで判断が割れて、どう処理したか。この形にすると職務能力として読まれます。

同じ構造は、食品衛生、環境、建築確認、福祉施設の指導監査にも当てはまります。許認可を扱ったことがあるなら、その業界に規制対応の職務があるかを調べてみてください。

富山で、どの経験が値になるか

1. ものづくりの集積と企業支援

アルミ、機械、電子部品、化学。富山県は製造業の集積が進んだ県で、県庁には企業支援と誘致の実務があります。補助制度の設計、人材確保の支援、取引先とのマッチング、用地とインフラの手当て。企業側が自力ではたどり着けない情報を、行政の立場で扱ってきたことになります。

2. 水とエネルギー

水力発電をはじめとするエネルギー、水資源の管理。立地に伴う地元調整、水利の協議、環境の手続き。再生可能エネルギーの投資が進むいま、この領域で行政側の考え方を知る人材の需要は増えています。

3. 観光と地域ブランディング

立山、黒部、富山湾。観光客の受入環境整備、地域資源の売り込み、事業者との連携。行政の立場で観光の座組みを作った経験は、観光関連の事業者や地域商社から見て希少です。

4. 市町村を相手にしてきた経験

規模も体制もばらばらな市町村を相手に、温度差をどう埋めたか。「連絡調整」ではなく、複数顧客を持つアカウント業務の経験として書けば、そのまま職務能力になります。小規模な自治体を相手にしてきた経験はとくに値がつきます。

行政が相手の求人を見てみる

県内で完結させたい場合の探し方

住む場所を変えずに動きたい場合、探し方に順序があります。

1. 職種を先に決める

勤務地から絞ると、県内に本社がある企業の求人しか見えません。先に職種を決めてください。そのうえで、その職種の求人が県内にあるかを確認します。

2. 県外企業の県内拠点を含める

県外に本社を置きながら、県内に事業所や担当を置いている企業があります。この場合、給与体系は本社基準で、勤務地は県内という組み合わせになります。県内の水準ではなく本社の水準が適用される点が、条件を考えるうえで効いてきます。

3. リモート可の求人も見る

北陸新幹線で首都圏とつながっているため、月に数回の出社であれば現実的な選択肢になります。募集要項の「勤務地」欄だけでなく、勤務形態の記載まで確認してください。

職務経歴書に、県庁の仕事をどう落とすか

制度名ではなく、判断したことを書く

「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。

本庁と出先機関を書き分ける

本庁は制度の設計と全県調整、出先は現場対応と個別案件の処理と、職務の性質がまったく違います。どちらをどれだけ経験したかを書き分けると、読み手が配属をイメージできます。

異動歴を「立ち上げの回数」に変える

異なる制度領域を短期間で立ち上げてきた経験は、民間ではキャッチアップの速さとして読まれます。編年式で並べ、それぞれの配属で最初の数か月に何を習得したかを1行添えてください。

技術職の場合は、探し方が変わる

発注者側の経験そのものが職種になる

「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。県庁でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。

資格が入口で効く

技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。

水と急流河川の実務は特殊な資産になる

急流河川、砂防、水力。この条件下での設計と維持管理を経験した技術者は、同じ条件を持つ地域の事業では強く求められます。

面接で必ず詰められる2つのこと

「意思決定のスピードに耐えられるか」

行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。

「数字への意識があるか」

「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。「行政なので利益はありません」と答えると、そこで話が終わります。事業の優先順位を付けた、単価の根拠を詰めた、複数案を比べた。同じ思考をしていたことを、民間の言葉で説明できるかが見られています。

在職中に進めるときの注意点

顔が知られている前提で動く

県内の企業の多くは、県庁と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。

服務上の扱いを先に確かめる

在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。

面接の日程は、議会日程から逆算する

地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。都道府県は年度開始前30日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。

在職中に決める

公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。

LINEで短く聞くこともできます

残る判断も、等しく扱う

ここまで転職の話を書いてきましたが、動かない判断にも理があります。

県庁は、県内では数少ない「制度を作る側」の職場です。しかも異動によって複数の領域を横断できる。この積み方は民間企業ではあまりできません。いま担当している領域で通しの経験が積み切れていないなら、それを終えてから動くほうが、書けることは確実に厚くなります。

異動の希望が通る見込みがあるなら、まずそちらを試すのも合理的です。ただし、自分の経験が外でどう呼ばれるかを知っておくことには、動かない場合でも意味があります。次の異動希望を出すときの材料が変わるからです。

まとめ

よくある質問

許認可の担当でしたが、専門職ではありません。それでも評価されますか

評価されます。規制産業の企業が求めているのは、行政がどこを見るかという運用の知識です。条文は誰でも読めますが、実際の審査でどこが論点になるかは、審査する側にいなければ分かりません。書くときは制度名を並べるのではなく、何件を、どういう観点で審査し、どこで判断が割れたかを書いてください。

県内に、県庁の経験が活きる求人はありますか

あります。製造業の管理部門や規制対応、県内に拠点を持つ県外企業、自治体を顧客にする企業。ただし県内に本社がある企業とは限りません。県外に本社を置きながら県内に担当を配置している場合、給与体系は本社基準になります。勤務地から検索すると見つからないので、職種から探してください。

40代からでも転職できますか

年代よりも、説明できる実績があるかどうかです。富山県の一般行政職の平均年齢は43.2歳ですから、同年代の相談は多くあります。40代の場合、若手と同じ土俵で伸びしろを売るのではなく、特定の制度領域を通しで回した経験を軸にすると噛み合います。許認可であれば、制度改正を実務としてくぐった経験は、年数がなければ積めないものです。

出典

  1. 令和6年 給与・定員等の調査結果等(ラスパイレス指数及び平均年齢・平均給与月額等)|総務省
  2. 地方自治法 第211条(予算の調製及び議決)/第233条(決算)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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