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制度とお金 / 国家公務員の制度

官民人事交流|交流派遣・交流採用の身分と手続き

官民人事交流は、国の職員が一定期間民間企業等で働く交流派遣と、民間企業等の従業員を国が任期付きで採用する交流採用の制度です。個人が退職して一般の求人へ応募する転職や、許可を受けて行う副業とは、手続きも目的も異なります。

本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。国と民間企業との間の人事交流に関する法律と人事院の現行案内を基に、本人が確認する条件を整理します。地方公務員の公益的法人派遣や自治体独自の研修へ、国の制度をそのまま当てはめないでください。

国から企業へ行く場合と企業から国へ来る場合を分ける

官民人事交流法第2条は、交流派遣と交流採用を定義しています。交流派遣は国家公務員の身分を保持したまま、企業との労働契約に基づく業務に従事するものです。交流採用は、選考により任期を定め、常時勤務を要する国の官職へ採用する仕組みです。

確認事項交流派遣交流採用
方向国から民間企業等へ民間企業等から国へ
身分・関係国の身分を保持し企業で雇用国の職員として任期付きで勤務
給与の支給元派遣先企業採用した府省等
基本となる期間原則三年以内原則三年以内
終了後国の職務へ復帰交流元企業への復帰・再雇用

延長・更新には条件があり、最長五年の範囲です。「最初から五年間利用できる」「本人が希望すれば延長される」という意味ではありません。また、国と企業が必ず一人ずつ交換する制度ではなく、いずれか一方だけの実施も可能と案内されています。

本人の希望と組織としての決定は別の段階

人事院のFAQは、官民人事交流を組織同士の人事交流と説明し、希望する本人には、まず現在の勤務先の人事担当へ相談するよう案内しています。個人が公募中の企業を見つけただけで、派遣先や時期を確定できる制度ではありません。

交流派遣の対象からは、法第2条と人事院規則21-0第5条により、任期を定めて任用される職員、非常勤職員、条件付採用期間中の職員、休職者等の除外があります。現在の職名だけでなく、任用と身分の状態を確認してください。

基本方針は、交流派遣後に公務で継続勤務し、経験の成果を発揮することが見込まれる職員を選定する考え方を示しています。個人の転職先探しを国が代行する仕組みとは区別が必要です。何を経験し、復帰後の行政業務へどう生かすかという目的を整理して相談します。

基本方針には希望する勤務地や業務等の自己申告の機会を活用して意向を把握することも記されています。ただし、希望の申告は派遣決定ではありません。人員体制、職員の適性・能力、企業側の条件、交流基準などの確認が別にあります。

交流派遣は同意・計画認定・労働契約を確認する

法第7条では、任命権者が本人の同意を得て、実施計画について人事院の認定を受けることを定めています。企業との取決めには、労働条件、職務へ復帰するときの労働契約の終了等を定め、その内容を本人へ明示します。同法第9条に基づく本人と企業の労働契約も必要です。

人事院の手続案内は、企業の応募、名簿の提示、府省等と企業の協議・計画作成、人事院の認定、取決め、本人の業務従事、復帰という流れを示しています。人事担当との意向相談と、これらの正式な決定や契約を混同しないようにします。

法第8条では原則三年以内とし、企業の申出に理由がある場合に、本人の同意と人事院の承認を得て、派遣開始から引き続き五年を超えない範囲で延長できます。開始日と満了日、変更が生じた場合の連絡先も、取決めと通知で確認します。

一般の転職先の仕事内容も比較したい場合は、行政・公共に関わる求人を参照できます。官民交流の正式な相談・選定は所属の担当を通じる前提です。

交流採用の退職型は民間側の退職を指す

交流採用には、企業をいったん退職して国へ採用される退職型と、企業との雇用関係を継続したまま国へ採用される雇用継続型があります。「退職型」という言葉を、国の交流派遣で公務員の身分を失う型と取り違えないことが重要です。

法第19条は、計画の認定、企業との取決め、任期の明示等を定めています。退職型では満了後の再雇用、雇用継続型では任期中と満了後の雇用について取決めを行います。本人が独自に退職して国の中途採用試験を受ける一般の転職とは別です。

採用は選考によるもので、人事院FAQでは人物試験や経歴評定等が行われる場合があると説明されています。具体的な方法は府省等の確認が必要です。元の企業との雇用関係が続く場合でも、国で働きながら交流元企業の仕事を自由に行える制度ではありません。

地方の公益的法人派遣にある退職派遣という制度も別の根拠です。これらの名称の違いは公務員の出向と在籍出向・転籍も参照し、通知に記載された正式な制度名を確認してください。

対象企業と交流基準は別に審査される

対象は株式会社等だけに限られず、法令で定める一定の法人も含まれます。ただし、すべての民間法人が対象ではなく、法人の性格や財源等に条件があります。地方支分部局との交流も制度の範囲に入りますが、具体的な企業・官職の適合性は別です。

法第5条は、所管関係や契約関係等に関する交流基準を定めています。人事院規則21-0には、許認可等の事務を所掌する官職との関係、過去の契約の締結・履行への関与、企業との特別契約関係等による制限があります。対象法人の種類に該当するだけで交流可能とはいえません。

例えば過去の職務との関係は、現在の所属だけでなく一定期間の履歴を調べます。企業側にも確認すべき事情があり、公正性に関する特例等も正式な判断を要します。本人が数項目のチェックだけで適合を保証するのではなく、担当が計画に必要な情報を照合する仕組みとして理解します。

給与・勤務条件と医療・年金を分けて照合する

交流派遣中は、法第10条・第11条により国の職務には従事せず、国から給与を支給しません。派遣先企業との契約に基づく賃金、勤務時間、休暇、業務、福利厚生を確認します。「国の身分保持」と「国の勤務時間・年休をそのまま利用できること」は同義ではありません。

交流採用の給与は府省等が支給し、交流元企業からの給与補填はできません。雇用継続型で一定の福利厚生が続く場合も、取決めと法令の条件があります。二つの組織と関係があるから給与を二重に受け取れるという説明にはなりません。

交流派遣の医療と年金も分けます。法第14条は、共済の短期給付や福祉事業に関する特例を定めています。人事院FAQは、年金と雇用保険を除き、派遣先企業の従業員に適用される諸制度を使うと説明しています。国の共済がすべて従前どおり、又は年金もすべて民間へ切替、と一括りにしないでください。

本人と家族の医療資格日、年金の記録、掛金・保険料、貸付や団体契約は、双方の担当と共済へ照会します。給与の説明だけで社会保険の確認まで終わったと考えないことが大切です。

期間終了後の復帰と服務も確認する

法第13条は、交流派遣期間の満了時の職務復帰や、継続が不適当となった場合等の復帰を定めています。ただし職務に復帰することと、派遣前の同じ席・役職へ戻ることは別です。基本方針は成果を活用できる配置に努めるとしていますが、個別の配置保証とは読み分けます。

同条には復帰後二年間の一定の官職への就任制限もあります。派遣中は法第12条により、元の機関への申請等の業務や、公務員としての地位・影響力の利用等に制限があります。交流採用にも、法第20条・第21条による交流元企業と関係する官職や企業業務への従事の制限があります。

開始前に、期間、予定業務、相談先、条件変更時の報告、終了時の契約と資格手続きを一覧にします。経験を報告するときも、双方の秘密や個人情報を私的に持ち出す方法は取りません。

希望する仕事や経験の整理は相談フォームでも受け付けています。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担)。官民人事交流の利用可否は、所属と制度の担当へ確認してください。

よくある質問

本人が希望すれば好きな企業に派遣されますか?

本人の希望だけでは決まりません。任用の適用範囲、組織の選定、企業との協議、交流基準、本人同意、人事院の計画認定等が必要です。まず現在の人事担当へ相談します。

国の交流派遣は退職して企業へ行く制度ですか?

官民人事交流法の交流派遣は、国の身分を保持して企業と労働契約を結ぶものです。交流採用の退職型は民間側の退職を指し、地方の退職派遣等とも異なります。

満了後は同じ担当へ戻れますか?

職務へ復帰する制度ですが、元の担当や役職がそのまま保証されるという意味ではありません。復帰後の活用方針や制限を人事担当へ確認し、取決めと正式な通知を照合してください。

一般の転職との違いを整理したい方は、LINE相談も利用できます。現職継続や研修の利用を含め、本人の希望する順序で情報収集できます。

出典

  1. 国と民間企業との間の人事交流に関する法律 第2条・第5条・第7条〜第14条・第19条〜第21条
  2. 人事院規則21-0 国と民間企業との間の人事交流
  3. 人事院 官民人事交流制度の概要
  4. 人事院 官民人事交流の手続の流れ
  5. 人事院 官民人事交流 よく寄せられる質問
  6. 人事院 交流基準の概要
  7. 人事院 国と民間企業との間の人事交流の運用について
  8. 内閣官房 国と民間企業との間の人事交流に関する基本方針

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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