制度とお金 / 退職の手続き
退職翌年の確定申告
退職翌年の確定申告は、まず退職した年の資料を一式にそろえ、申告が必要な人か、還付を受ける申告を検討する人かを確認します。退職した人が全員申告するわけでも、年末調整がなければ全員に税金が戻るわけでもありません。給与、退職手当、ほかの所得、控除を分けて準備します。
本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。国内の居住者の一般的な準備を説明します。申告要否と所得の区分・控除は税務署へ、給与・退職所得の票の内容は支払者へ、住民税の申告は市区町村へ確認してください。
退職年と申告する年を分けて書く
確定申告は、原則として1月1日から12月31日までの所得を年分ごとに計算します。2026年中に退職した人が翌年行う申告は、通常、2026年・令和8年分の所得についての申告です。2027年に申告するから令和9年分の源泉徴収票を用意する、という意味ではありません。
所得税法第120条は通常の申告期間を翌年2月16日から3月15日までと定めています。国税庁の「申告と納税」は、令和8年分の申告所得税等の申告期限・納期限を2027年3月15日と案内しています。通常の窓口相談・受付は同年2月16日からです。
対象年分と適用する税制も合わせます。翌年の新しい制度を、前年の所得へそのまま当てはめないようにします。個別の延長、出国や死亡に関係する手続きなどは一般の期間と異なるため、本人の事情を税務署へ伝えてください。
申告義務と還付のための申告を確認する
所得税法第120条は確定所得申告、第121条は申告を要しない場合、第122条は還付等を受けるための申告を定めています。最初に申告義務があるかを確認し、義務がない人も、納め過ぎの税を精算する申告を検討できます。
国税庁No.1900は、給与の年間収入、給与を受けた勤務先の数、年末調整されなかった給与やほかの所得などによる申告条件を示しています。一定額以下という一部分だけを切り出さず、給与が源泉徴収の対象かなどの前提も含めて確認します。
No.1910は、中途退職したまま再就職せず、年末調整を受けていない人が、翌年の申告で還付を受けられる場合を説明しています。ただし還付額は年間の所得、控除、すでに源泉徴収された税等によります。退職だけで還付が確定するものではありません。
No.2030では、申告義務のない人の還付申告は翌年1月1日から5年間提出できるとされています。この期間を、納税のための申告義務がある人の期限を延ばす説明に使わないようにします。
給与の票は年末調整の合算状況を確認する
退職年に給与を受けた勤務先を時系列で並べます。旧勤務先と再就職先の給与所得の源泉徴収票を用意し、どの票が年末調整済みか、前職分が含まれているかを確認してください。給与明細の手取りを足して源泉徴収票の代わりにすることは避けます。
国税庁No.2674は、その年に前の勤務先から受けた一定の給与を含めて年末調整することと、源泉徴収票等で金額を確認できない場合の扱いを説明しています。前職分を確認できず年末調整されていない場合は、本人の申告で精算するための資料を整理します。
新勤務先の源泉徴収票へ前職分が含まれている場合、旧勤務先の同じ給与をもう一度加えると重複します。反対に、含まれていない給与を見落とすと少なく申告することになります。票の摘要や支払者の説明で、どこまでが集計済みかを確かめます。
票が未着、訂正中、紛失した場合は支払者へ連絡します。本人で数字を直さず、正しい票と訂正の内容を確認して使います。入社時に出したから控えがない場合も、必要な情報を確認できるよう再交付等を相談してください。
退職所得の票と申告書の提出状況を照合する
給与所得の源泉徴収票とは別に、退職所得の源泉徴収票・特別徴収票を整理します。退職手当の振込額は税やほかの控除後の場合があるため、その金額をそのまま退職所得の収入欄へ写さないようにします。
所得税法第203条の「退職所得の受給に関する申告書」を、退職手当の支払者へ提出したかを確認します。国税庁No.1420は、提出して退職所得に応じた税が源泉徴収される場合、原則としてその退職所得について確定申告が不要と説明しています。
未提出の場合は、2026年分では支払額の20.42%が源泉徴収され、本人が確定申告で精算する取扱いです。最終的な負担が一律にこの率になるという意味ではありません。提出の有無が不明なら、支払者へ照会します。
申告書を提出済みでも、医療費控除等のために確定申告をする場合は、退職所得の金額も記載する必要があります。記載することと、給与などと分離して税を計算することは別です。同年の複数の退職手当や過去の一時金がある場合も、必要な資料を税務署へ示します。
仕事の条件を比較する段階なら、行政に関わる求人の仕事内容を確認することもできます。税の精算と次の仕事の希望は分けて整理してください。
ほかの所得と控除の資料を年分でそろえる
退職後に業務委託、事業、不動産、投資などの所得がある場合は、取引や口座ごとの資料を用意します。売上と所得、入金と税務上の収入時期を同じものとして判断しないようにします。申告不要を選択できる所得等もあるため、本人の制度に沿って確認します。
社会保険料、国民年金、iDeCo、生命保険料、医療費、寄附金、住宅に関する控除などは、適用条件と必要な証明を確認します。退職後に自分で納めた保険料は、納付対象月だけでなく実際に支払った年と支払った人を整理してください。
年末調整で反映済みの控除と、申告で追加する分を分けます。同じ証明書を年末調整でも使ったからといって、その額をさらに上乗せするわけではありません。支払った費用がそのまま還付額になるとも限りません。
還付のために申告する場合も、申告対象のほかの所得を除いて有利な項目だけを申告することはできません。ふるさと納税のワンストップ特例を申請した人も、確定申告をする場合の寄附金の扱いを確認してください。判断に迷う所得や控除は、資料を示して税務署へ相談します。
入力前に対象年分と申告方法を確認する
国税庁の確定申告書等作成コーナーを使う場合は、令和8年分など申告する年分の公開状況と対応する所得を確認します。2026年11月時点で翌年用の画面や受付開始日を推測し、具体的な操作が確定したようには扱いません。
事前に準備できることは、マイナンバーカード、暗証番号や電子証明書の確認、源泉徴収票・控除資料の整理、本人名義口座の確認などです。具体的な入力欄や添付方法は、対象年分の公式案内が利用できる時点で確認します。
紙や郵送を選ぶ場合も、所轄税務署、使用様式、本人確認資料、提出期限を確認します。相談会へ行く場合は、その年分の開催案内と予約の条件を調べてください。前年の会場や日程をそのまま使わないようにします。
提出と納付・還付確認を別に管理する
提出前に、年分、氏名、住所、給与と退職所得の区分、源泉徴収税額、控除の重複、ほかの所得の漏れを確認します。電子申告は送信後の受付結果を確認し、控えを保管します。作成データを保存しただけで提出済みと考えないようにします。
納付する税がある場合は、申告書の提出とは別に納付方法と期限を確認します。令和8年分の通常の納期限は2027年3月15日と案内されていますが、振替納税等の利用条件と日付は個別の公式案内を確認します。
還付申告の場合も、振込先の誤りや追加確認がないかを確認します。提出すれば一律に同じ日数で振り込まれるとは考えず、照会に使える控えを残してください。訂正が必要と分かった場合は、提出状況に応じた手続きを税務署へ確認します。
仕事の進め方と応募時期は、相談窓口で経験と希望をもとに整理できます。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担)。個別の税務判断は税務署へ確認してください。
住民税の手続きと翌年の資料も確認する
所得税の確定申告が不要でも、住民税について別の申告が必要な場合があります。所得がない期間があっても、国保等の判定や証明に関係することがあるため、住所地の市区町村へ確認します。所得税の申告不要と住民税の非課税を混同しないようにします。
申告後に届く住民税の通知と、旧勤務先から続く徴収・納付も分けます。2027年中の新しい給与や保険料の資料は、2026年分の申告用資料と別に保管してください。年分を分けると次の年の申告準備にもつながります。
よくある質問
2026年に退職した人は2027年分を申告しますか
通常、翌年に申告するのは退職した2026年・令和8年分です。給与や退職所得の票、控除資料も対象年分をそろえます。2027年に生じた所得とは分けてください。
年末調整がない人は必ず還付されますか
年間の所得、控除、源泉徴収税額等によります。まず申告義務を確認し、義務がない人も納め過ぎがあれば還付申告を検討します。退職だけで還付は確定しません。
退職手当の税が徴収済みなら記載不要ですか
原則申告不要となる場合でも、医療費控除等のために確定申告するなら退職所得の金額を記載する必要があります。給与とは分離して計算することと区別してください。
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