自治体別 / 政令指定都市
京都市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
京都市の平均給料月額は331,500円、京都府は308,000円です。同じ府域で23,500円開きます。
ラスパイレス指数も京都市101.5、京都府99.4で、2.1ポイントの差があります。どちらも市のほうが上です。
都道府県と政令市でこれだけ開くのは珍しい形です。理由を読み解くと、自分の水準の見積もり方も見えてきます。
京都市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、京都市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 京都市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 101.5 |
| 平均年齢 | 42.8歳 |
| 平均給料月額 | 331,500円 |
| 諸手当月額 | 100,448円 |
| 平均給与月額 | 431,948円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 388,859円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 10.00% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 10.00% |
京都府と並べてみる
| 項目 | 京都市 | 京都府 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 101.5 | 99.4 |
| 平均年齢 | 42.8歳 | 41.2歳 |
| 平均給料月額 | 331,500円 | 308,000円 |
| 諸手当月額 | 100,448円 | 88,096円 |
| 平均給与月額 | 431,948円 | 396,096円 |
| 地域手当(実支給) | 10.00% | 約7.38% |
平均年齢の差は1.6歳です。京都市のほうが高く、給料表は勤続年数とともに上がるため、この分も給料月額の差に含まれます。
しかし補正済みのラスパイレス指数でも、京都市が2.1ポイント上回ります。年齢構成だけでは説明できず、給料表そのものの水準が市のほうが高いということになります。
地域手当も市10.00%、府約7.38%で市が上。結果として総額は35,852円の差になります。
なお京都府の平均給料月額308,000円は、47都道府県で下から2番目の額です。その事情は京都府職員の転職で整理しています。
政令市20団体の地域手当の仕組みは札幌市職員の転職に、近畿の比較は京都府職員の転職に整理しています。
政令市の職員は、条文に書かれた事務を担っている
地方自治法第252条の19は、指定都市が、都道府県の処理することとされている事務のうち政令で定めるものを処理することができると定め、対象の事務を列挙しています。児童福祉、生活保護、社会福祉事業、老人福祉、母子保健、介護保険、障害者の自立支援、食品衛生、医療、精神保健、結核の予防、土地区画整理事業、屋外広告物の規制など。
このリストは、そのまま職務経歴の棚卸しに使えます。書くときは「福祉の仕事」ではなく「生活保護に関する事務」と、条文の言葉をそのまま使ってください。詳しくは札幌市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 独自税・使用料の設計と改定 | プライシング、収益企画、経営企画 |
| 景観・屋外広告物の規制と指導 | ブランド管理、店舗開発、規制対応 |
| 文化財・文化資源の保護と活用 | 文化事業企画、地域ブランディング |
| 観光の誘客・受入環境整備 | 観光事業企画、インバウンド事業 |
| 大学・研究機関との連携施策 | 産学連携、技術企画、事業開発 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 上下水道・交通など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 区役所の窓口・住民対応 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「自分たちで課金の仕組みを作る」実務は、民間のプライシングと同じ
京都市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
地方税法第731条は、道府県又は市町村は、条例で定める特定の費用に充てるため、法定外目的税を課することができると定めています。そして第2項以下で、新設や変更の手続きが定められています。
つまり自治体は、法律に定められた税目のほかに、自分で税を作ることができます。
これは行政の仕事のなかでも特殊な部類です。実務としては、次のような作業になります。
- 何に充てる財源が必要かを特定する
- 誰から、どういう基準で徴収するかを設計する
- 負担する側の反対を想定し、説明の筋道を作る
- 徴収の実務が回るかを検証する(誰が集めるのか)
- 導入後、想定どおり集まっているかを検証し、必要なら直す
この一連は、民間のプライシングとほぼ同じ構造です。
企業が新しい料金体系を作るとき、直面するのは同じ問題です。誰から取るのか、いくらにするのか、取られる側にどう説明するのか、実際に回収できるのか。そして「値付けを設計したことがある人」は、社内に多くありません。営業は既存の価格で売り、経理は入った金を数えますが、設計する役割が空いています。
求人票では、プライシング、収益企画、経営企画、事業企画といった名前で書かれています。
同じ構造は、使用料や手数料の改定、受益者負担の設計にもあります。税でなくても構いません。
書くときのこつは、税や条例の名前を並べないことです。誰から、どういう基準で、いくら取る設計にしたか。反対をどう扱い、導入後に何を検証したか。この形にすると、行政の経験ではなく値付けの経験として読まれます。
京都で、どの経験が値になるか
1. 負担の設計をした経験
税、使用料、手数料、受益者負担。誰からいくら取るかを決めた経験は、民間のプライシングに直結します。設計した基準と、反対の扱い方を書いてください。
2. 景観と屋外広告物の規制を運用した経験
店舗を出す企業にとって、看板と外観の規制は出店計画そのものを左右します。どこまでが認められ、どこからが認められないかを知っている人は、店舗開発やブランド管理の職務で求められます。
3. 観光と住民生活の両立
来訪者が集中する都市です。誘客だけでなく、受入環境の整備や地域との調整まで担当していれば、それは観光事業企画の中核です。人が集まりすぎたときに何をしたかまで書けると、いま企業が求めている経験に重なります。
4. 大学・研究機関との連携
大学と研究機関が集積する都市です。共同研究の橋渡し、人材の育成、拠点の整備。研究の側と事業の側で言葉が通じないというのは、企業の側でも同じ悩みです。
5. 文化資源を事業として扱った経験
保護と活用は本来ぶつかります。その折り合いを実際に付けた経験は、文化事業企画や地域ブランディングの職務に直接つながります。
大阪の求人も、視野に入れてよい
京都市からは大阪への通勤が現実的で、市外の求人が普通に選択肢に入ります。
ただし、地域手当10.00%という水準は地域の賃金相場を反映したものです。大阪の求人の想定年収が高く見えても、その差の一部は通勤時間と生活費の差です。手元に残る額と、通勤にかかる時間の両方で考えてください。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。
負担の設計は「基準」で書く
誰から、どういう区分で、いくら。この3つが書ければ、値付けの設計をした人として読まれます。金額そのものより、区分の切り方が読まれます。
規模を必ず書く
人口、件数、事業所数、予算額、対象者数。数字を添えないと規模が伝わりません。ここを省くと「市役所だから小さい仕事」と読まれます。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築士、電気主任技術者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
歴史的建造物と景観の審査は希少な経験になる
建造物や周辺環境の審査は、扱える人が限られます。設計側の企業にとっては、審査で何を見られるかを知っている人が中にいるかどうかで、手戻りの量が変わります。書くときは、審査した件数と、条件を付けて成立させた事例で書いてください。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。負担の設計に関わった経験があるなら、ここは得意な場所になります。誰からいくら取る設計にしたか、想定どおり集まったかを、実際の数字で答えてください。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 京都市の一般行政職はラスパイレス指数101.5、平均給与月額431,948円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 京都府とは平均給料月額で23,500円、総額で35,852円開きます。指数も市が2.1ポイント上回ります
- 平均年齢の差1.6歳だけでは説明できず、給料表そのものの水準が市のほうが高いということになります
- 諸手当は総額の23.3%。複数年の源泉徴収票を並べて、ぶれ幅を先に見てください
- 自分たちで課金の仕組みを作った経験は、民間のプライシングと同じ構造です(地方税法731条)。プライシング、収益企画という求人名で出ています
- 書くときは金額ではなく、区分の切り方を中心に書いてください
よくある質問
京都府より水準が高いのはなぜですか
給料表の水準と地域手当の両方で市が上回るからです。平均年齢の差1.6歳も影響しますが、補正済みのラスパイレス指数でも市が2.1ポイント上回ります。地域手当も市10.00%、府約7.38%です。ただし団体の平均は全職種・全年齢を混ぜた数字なので、自分の水準を測る物差しにはなりません。源泉徴収票の支払金額を使ってください。
税や使用料の設計は、民間で評価されますか
プライシングの経験として読まれます。誰から取るか、どの区分で切るか、いくらにするか、反対をどう扱うか。社内では、営業は既存の価格で売り、経理は入った金を数えるだけで、値付けを設計する役割が空いていることが珍しくありません。しかも価格の変更には取引先への説明が伴います。説明の筋道を作った経験まで持っている人は、さらに少ない。書くときは金額ではなく区分の切り方を書いてください。
景観や屋外広告物の規制の経験は、どこで使えますか
店舗開発とブランド管理です。店舗を出す企業にとって、看板と外観の規制は出店計画そのものを左右します。どこまでが認められ、どこからが認められないかを知っている人は、出店の可否を先に見立てられます。審査した件数と、条件を付けて成立させた事例で書いてください。