自治体別 / 政令指定都市
北九州市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
北九州市の平均年齢は46.1歳です。47都道府県と政令指定都市20団体、合わせて67団体のなかで最も高い数字にあたります。
そして同じ福岡県内の福岡市は39.8歳。67団体で最も若い数字です。同じ県に、両端が並んでいます。
6.3歳の差が、給与のどこにどう出るのか。ここを読み解くと、平均という数字の扱い方がはっきりします。
北九州市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、北九州市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 北九州市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 101.6 |
| 平均年齢 | 46.1歳 |
| 平均給料月額 | 348,400円 |
| 諸手当月額 | 73,489円 |
| 平均給与月額 | 421,889円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 386,434円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 3.00% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 3.00% |
福岡市と並べると、年齢構成の効果が丸見えになる
| 項目 | 北九州市 | 福岡市 | 差 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 101.6 | 101.2 | 0.4 |
| 平均年齢 | 46.1歳 | 39.8歳 | 6.3歳 |
| 平均給料月額 | 348,400円 | 311,700円 | 36,700円 |
| 諸手当月額 | 73,489円 | 103,490円 | 30,001円 |
| 平均給与月額 | 421,889円 | 415,190円 | 6,699円 |
| 地域手当 | 3.00% | 10.00% | 7.00 |
ラスパイレス指数の差は、わずか0.4ポイントです。
指数は学歴と経験年数の差を補正して計算されるので、同じ条件で比べたときの給料表の水準は、2市でほとんど変わらないということになります。
それなのに平均給料月額は36,700円も開きます。この差のほとんどは、平均年齢6.3歳の違いから来ています。給料表は勤続年数とともに上がるからです。
一方で地域手当は北九州市3.00%、福岡市10.00%。諸手当では福岡市が30,001円上回り、給料月額の差をほぼ打ち消します。結果、総額の差は6,699円に縮みます。
政令市20団体の地域手当の仕組みは札幌市職員の転職に、福岡県の数字は福岡県職員の転職に整理しています。
政令市の職員は、条文に書かれた事務を担っている
地方自治法第252条の19は、指定都市が、都道府県の処理することとされている事務のうち政令で定めるものを処理することができると定め、対象の事務を列挙しています。児童福祉、生活保護、社会福祉事業、老人福祉、母子保健、介護保険、障害者の自立支援、食品衛生、医療、精神保健、結核の予防、土地区画整理事業、屋外広告物の規制など。
このリストは、そのまま職務経歴の棚卸しに使えます。書くときは「福祉の仕事」ではなく「生活保護に関する事務」と、条文の言葉をそのまま使ってください。詳しくは札幌市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 産業廃棄物の許可・監視指導 | 環境管理、EHS、規制対応、調達 |
| 資源循環・リサイクル事業の振興 | サステナビリティ推進、事業開発 |
| 環境・保安の規制と立入検査 | 環境管理、EHS、規制対応 |
| 臨海部の産業支援と用地 | 用地開発、事業開発、都市開発 |
| 企業誘致・立地支援 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 港湾・物流の計画と調整 | インフラ企画、SCM企画 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 区役所の窓口・住民対応 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
廃棄物を扱った経験は、いま調達の現場で必要とされている
北九州市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律第1条は、この法律が、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とすると定めています。
条文が「排出の抑制」から書き始めていることに注目してください。処理だけでなく、そもそも出さないことが目的に含まれています。
そして政令市は、産業廃棄物の許可や監視指導の事務を担う立場にあります。この経験が、いま企業側で必要とされています。
- 自社から出るものが、どの区分にあたるのか
- 委託先が、適正な許可を持っているのか
- 処理の過程で、どこに責任が残るのか
- 記録と報告は、実務上どの水準を求められるのか
- 再生利用として認められる線は、どこにあるのか
排出事業者の責任は、委託しても消えません。だから取引先の選定と管理が、そのまま事業上のリスク管理になります。そしてこの判断を社内でできる企業は多くありません。
さらにいま、資源の循環そのものが事業になってきています。再生材の調達、製品の回収、素材の再利用。規制の側から流れを見てきた人は、どこに実際の材料があり、どこで詰まるかを知っています。
求人票では、環境管理、EHS、規制対応、サステナビリティ推進、調達といった名前で書かれています。
書くときのこつは、法律名を並べないことです。扱った事業者の数、許可や監視で何を見たか、不適正な事例をどう処理したか、そして再生利用の可否をどう判断したか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
北九州で、どの経験が値になるか
1. 廃棄物と資源循環を、規制の側から見てきた経験
許可、監視、指導、再生利用の判断。排出する側の企業にとって、外から採用しにくい経験です。扱った事業者の数と、判断が割れた事例で書いてください。
2. 公害を経てきた地域で、環境行政を担った経験
測定、規制、事業者との協議、改善の確認。規制する側と、される側の両方の事情を知っている人は、EHSの職務で求められます。
3. 重厚長大の産業を、行政側から支えてきた経験
鉄鋼、化学、機械。規制の枠組みの中でしか動けない産業の集積があり、これらの企業には行政対応の専任職務があります。
4. 産業の転換を行政側から見てきた経験
従来の主力産業から、環境・エネルギー・ロボットといった分野への移行。産業構造が変わるときに行政が何をしたかを知っていることは、事業転換を進める企業にとって参考になる経験です。
5. 年齢構成が高い組織で、次の世代に引き継いだ経験
平均年齢46.1歳は67団体で最高です。技術や業務の引き継ぎ、要員の確保、若手の育成。これは高齢化が進む製造業が、いま最も困っている課題と同じです。
福岡市内の求人も、視野に入れてよい
北九州市からは福岡市内への移動が現実的で、市外の求人が普通に選択肢に入ります。
ただし、地域手当は北九州市3.00%、福岡市10.00%と7ポイント違います。福岡市内の求人の想定年収が高く見えても、その差の一部は通勤時間と生活費の差です。手元に残る額と、通勤にかかる時間の両方で考えてください。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。
引き継ぎの実績を書く
年齢構成が高い組織では、技術や業務をどう引き継ぐかが実務になります。何を文書化し、何を人に付けて教え、どこが引き継げなかったか。高齢化が進む企業が、まさに知りたい話です。
規模を必ず書く
人口、件数、事業所数、予算額。数字を添えないと規模が伝わりません。ここを省くと「市役所だから小さい仕事」と読まれます。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、公害防止管理者、環境計量士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
測定と説明の実務は、そのまま職務になる
大気、水質、騒音、振動、廃棄物の分析。測った経験だけでなく、その数値を事業者や住民にどう説明したかまで書いてください。規制を受ける側の企業にとって、外から採用しにくい経験です。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。「行政なので利益はありません」と答えると、そこで話が終わります。事業の優先順位を付けた、単価の根拠を詰めた、複数案を比べた。同じ思考をしていたことを、民間の言葉で説明できるかが見られています。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 北九州市の一般行政職はラスパイレス指数101.6、平均給与月額421,889円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 平均年齢46.1歳は67団体で最高、福岡市39.8歳は最低。同じ県に両端が並びます
- 2市の指数の差はわずか0.4ポイントなのに、平均給料月額は36,700円開きます。差のほとんどは年齢構成の効果です
- 団体の平均額は、その団体の給与水準ではなく「いまそこにいる職員の構成」を映した数字です
- 廃棄物を扱った経験は、いま調達の現場で必要とされています(廃棄物処理法1条)。環境管理、EHS、サステナビリティ推進、調達という求人名で出ています
- 年齢を弱みとして書かず、引き継ぎの実績として書いてください
よくある質問
平均給料月額が政令市で最も高いので、転職すると下がりますか
その額は年齢構成の効果です。北九州市の平均年齢46.1歳は67団体で最も高く、給料表は勤続年数とともに上がるため平均が高く出ます。福岡市とはラスパイレス指数の差が0.4ポイントしかなく、給料表の水準はほとんど変わりません。団体の平均は自分の水準を測る物差しにならないので、源泉徴収票の支払金額を使ってください。
40代後半ですが、この年齢で転職は難しいですか
求人の傾向は、この数年で変わっています。製造業もインフラも、いま人が抜けているのは現場を回せる中堅から上の層です。若手を採っても教える側がいない。すでに一通りを回せて、引き継ぐ側にも立てる人が求められています。何を文書化し、何を人に付けて教え、どこが引き継げなかったか。高齢化が進む企業が、まさに知りたい話です。
廃棄物の許可や監視の経験は、どこで使えますか
排出する側の企業と、資源循環を事業にする企業です。排出事業者の責任は委託しても消えないため、取引先の選定と管理がそのままリスク管理になります。この判断を社内でできる企業は多くありません。さらに再生材の調達や製品の回収が事業になってきており、どこに材料があり、どこで詰まるかを知っている人が求められています。