自治体別 / 政令指定都市
広島市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
広島市のラスパイレス指数は99.9、広島県は100.9です。平均給料月額も市316,400円、県330,100円。どちらも県のほうが上回ります。
ところが地域手当は市10.00%、県約6.34%。総額では市427,553円、県408,497円で、市が19,056円上回ります。
指数も給料月額も県が上なのに、総額は市が上。この逆転の読み方から入ってください。
広島市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、広島市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 広島市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.9 |
| 平均年齢 | 40.8歳 |
| 平均給料月額 | 316,400円 |
| 諸手当月額 | 111,153円 |
| 平均給与月額 | 427,553円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 373,092円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 10.00% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 10.00% |
広島県と並べてみる
| 項目 | 広島市 | 広島県 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.9 | 100.9 |
| 平均年齢 | 40.8歳 | 43.3歳 |
| 平均給料月額 | 316,400円 | 330,100円 |
| 諸手当月額 | 111,153円 | 78,397円 |
| 平均給与月額 | 427,553円 | 408,497円 |
| 地域手当(実支給) | 10.00% | 約6.34% |
注目してほしいのは平均年齢です。広島市40.8歳に対し、広島県43.3歳。2.5歳の差があります。
給料表は勤続年数とともに上がるため、この差だけでも平均給料月額は動きます。実際、給料月額の差は13,700円。年齢構成の効果が、そのまま出ていると読めます。
補正済みのラスパイレス指数でも県が1.0ポイント上回りますが、その差は給料月額の差ほど大きくありません。そして地域手当は市が3.66ポイント上回り、諸手当の差32,756円を生んでいます。
結果として総額は市のほうが多くなります。指数、給料月額、総額の3つが、それぞれ別の順序を示しているということです。
政令市20団体の地域手当の仕組みは札幌市職員の転職に、広島県の数字は広島県職員の転職に整理しています。
政令市の職員は、条文に書かれた事務を担っている
地方自治法第252条の19は、指定都市が、都道府県の処理することとされている事務のうち政令で定めるものを処理することができると定め、対象の事務を列挙しています。児童福祉、生活保護、社会福祉事業、老人福祉、母子保健、介護保険、障害者の自立支援、食品衛生、医療、精神保健、結核の予防、土地区画整理事業、屋外広告物の規制など。
このリストは、そのまま職務経歴の棚卸しに使えます。書くときは「福祉の仕事」ではなく「生活保護に関する事務」と、条文の言葉をそのまま使ってください。詳しくは札幌市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 国際的な発信・平和に関する事業 | 渉外、広報、ブランド戦略 |
| 都市計画、再開発、土地区画整理 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 企業誘致・立地支援 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 港湾・物流の計画と調整 | インフラ企画、SCM企画 |
| 観光・国際会議の誘致 | 観光事業企画、インバウンド事業 |
| 上下水道・交通など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 区役所の窓口・住民対応 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
都市そのものが「何を掲げるか」を扱ってきた経験
広島市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
広島平和記念都市建設法第1条は、この法律は、恒久の平和を誠実に実現しようとする理想の象徴として、広島市を平和記念都市として建設することを目的とすると定めています。
わずか一文です。そして市の名前が、法律の題名に入っています。
都市が何を掲げるかを、法律が定めている。これは全国的に見ても特別な形です。そして実務としては、次のような仕事につながります。
- 掲げたものを、事業や施設の形にどう落とすか
- 国内外の相手に、どう説明し、どう関係を作るか
- 世代が変わっても伝わるよう、何を残すか
- 商業的な活用と、掲げたものの整合をどう取るか
- 立場の違う相手から批判されたとき、どう応じるか
これは、企業のブランド戦略とほとんど同じ作業です。
企業も「何を掲げるか」を決め、それを商品、店舗、採用、広報のすべてに落とし込もうとします。そして多くの会社が、掲げたものと実際の事業がずれることに悩んでいます。言葉だけが立派で、現場に降りていない。あるいは事業の都合で、掲げたものを曲げてしまう。
長い時間、一貫したものを掲げ続けた組織で、その運用を担った経験は希少です。
求人票では、ブランド戦略、渉外、広報、サステナビリティ推進といった名前で書かれています。国内外の相手と継続的な関係を作ってきた経験があれば、そこも書いてください。
書くときのこつは、掲げたものの中身を説明しないことです。それを事業や施設にどう落とし、どの相手とどう関係を作り、ずれそうになったときに何を優先したか。この形にすると、理念の話ではなく運用の実務として読まれます。
広島で、どの経験が値になるか
1. 掲げたものを、事業の形に落とした経験
理念、計画、施設、催事。言葉を実務に変換する作業は、企業のブランド戦略でそのまま必要とされます。
2. 国際的な関係づくりを継続してきた経験
海外の都市や機関との継続的なやり取り。相手の制度も立場も違う前提で話を進めた経験は、渉外や海外事業の職務に接続します。書くときは相手国ではなく、関係を続けるために何をしたかで書いてください。
3. 製造業の集積を、行政側から支えてきた経験
自動車、造船、機械。規制の枠組みの中で動く産業の集積があり、支援や誘致を担当していれば、事業開発や技術企画の職務に接続します。
4. 大都市の規模で、制度を運用してきた経験
対象が百万人規模になると、運用の設計そのものが変わります。窓口の数、処理の順序、例外の扱い、システムとの接続。全国展開する企業の業務設計に対応します。
5. 年次の割に任された範囲
平均年齢が政令市で4番目に若い組織です。年次の割に任されてきたことがあるなら、それは職務経歴書に書ける材料です。役職ではなく、決めた範囲で書いてください。
県内の求人だけを見ると、選択肢を自分で狭めてしまう
広島市には中国地方の拠点機能が集まっており、求人の選択肢は多いほうです。それでも職種を絞ると件数は限られます。
近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。とくに自治体を顧客にする企業は、担当エリアに出向くことが仕事なので、本社への出社頻度が低い場合があります。担当エリアが中国地方全域という求人であれば、拠点が広島にあること自体が条件になっていることがあります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。
年次の割に任された範囲を書く
若い組織では、早く責任のある仕事が回ってきます。役職ではなく、決めた範囲で書いてください。年次と権限がずれていることは、むしろ強みになります。
規模を必ず書く
人口、件数、事業所数、予算額。数字を添えないと規模が伝わりません。ここを省くと「市役所だから小さい仕事」と読まれます。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築士、電気主任技術者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
三角州の地盤と治水の実務は、そのまま職務になる
軟弱地盤、高潮、河川、橋梁。条件の難しい土地で構造物を成立させた経験は、扱える人が限られます。建設コンサルタントと、大規模な設備を建てる企業の両方から求められます。対象施設の数と、条件の整え方で書いてください。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。「行政なので利益はありません」と答えると、そこで話が終わります。事業の優先順位を付けた、単価の根拠を詰めた、複数案を比べた。同じ思考をしていたことを、民間の言葉で説明できるかが見られています。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 広島市の一般行政職はラスパイレス指数99.9、平均給与月額427,553円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 指数も給料月額も広島県が上回るのに、総額では市が19,056円上回ります。地域手当の差(市10.00%/県約6.34%)が理由です
- 平均年齢は市40.8歳、県43.3歳で2.5歳差。給料月額の差13,700円は、年齢構成の効果がそのまま出ています
- 指数、給料月額、総額の3つが、それぞれ別の順序を示しています
- 都市そのものが何を掲げるかを扱った経験は、企業のブランド戦略と同じ作業です(広島平和記念都市建設法1条)。ブランド戦略、渉外、広報という求人名で出ています
- 書くときは理念の中身ではなく、掲げたものと事業がずれたときの処理を書いてください
よくある質問
広島県のほうが指数も給料月額も高いのに、総額は市が上なのはなぜですか
地域手当の差です。広島市10.00%に対し、広島県は約6.34%。この差が諸手当で32,756円の開きを生み、給料月額の差13,700円を上回ります。そして給料月額の差は、平均年齢2.5歳の違い(市40.8歳/県43.3歳)が大きく効いています。指数、給料月額、総額は別のことを示す数字なので、順序が一致しません。
理念や広報の仕事は、数字で成果を示せません
ブランドの仕事は、もともと数字で直接示しにくい領域です。企業側もそれを分かったうえで採用します。見られているのは、掲げたものと実際の事業がずれそうになったとき、何を優先したかです。売上のために曲げたのか、守って機会を逃したのか、両立させる形を見つけたのか。この判断の履歴が、いちばん読まれます。
役職がないのですが、書けることが少ないです
採用側が見ているのは役職ではなく、自分の判断で決めた範囲です。広島市は平均年齢40.8歳と政令市で4番目に若い組織で、若い職員の比率が高い組織では早く責任のある仕事が回ってきます。年次と権限がずれているなら、それは強みです。何件を、どういう基準で、自分の判断で処理したかを書いてください。