自治体別 / 政令指定都市
新潟市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
新潟市の平均給料月額は329,900円です。政令指定都市20団体のなかで4番目に高い額にあたります。
ところが平均給与月額418,566円は、20団体で下から4番目。給料月額は上位、総額は下位という逆転が起きています。
差を作っているのは地域手当3.00%です。まず数字を確認してください。
新潟市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、新潟市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 新潟市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.4 |
| 平均年齢 | 43.2歳 |
| 平均給料月額 | 329,900円 |
| 諸手当月額 | 88,666円 |
| 平均給与月額 | 418,566円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 360,381円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 3.00% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 3.00% |
給料月額が高い政令市を並べる
| 市 | 平均給料月額 | 地域手当 | 諸手当月額 | 平均給与月額 |
|---|---|---|---|---|
| 北九州市 | 348,400円 | 3.00% | 73,489円 | 421,889円 |
| 岡山市 | 341,700円 | 3.00% | 87,032円 | 428,732円 |
| 神戸市 | 332,600円 | 12.00% | 130,803円 | 463,403円 |
| 新潟市 | 329,900円 | 3.00% | 88,666円 | 418,566円 |
| 浜松市 | 330,400円 | 3.00% | 71,453円 | 401,853円 |
給料月額の上位5市のうち4市が、地域手当3.00%です。神戸市だけが12.00%で、その結果、総額では44,837円も差がつきます。
この関係は都道府県でも見られました。給料月額が高い団体ほど地域手当が低く、給料月額が低い団体ほど地域手当が高い。地域手当がその地域の民間賃金水準を反映する仕組みである以上、構造的にこうなります。
新潟市の平均年齢43.2歳は、政令市20団体で2番目に高い数字です。給料表は勤続年数とともに上がるため、この年齢構成も給料月額を押し上げています。補正済みのラスパイレス指数は98.4です。
政令市20団体の地域手当の仕組みは札幌市職員の転職に、道府県の分布は愛知県職員の転職に整理しています。
政令市の職員は、条文に書かれた事務を担っている
地方自治法第252条の19は、指定都市が、都道府県の処理することとされている事務のうち政令で定めるものを処理することができると定め、対象の事務を列挙しています。児童福祉、生活保護、社会福祉事業、老人福祉、母子保健、介護保険、障害者の自立支援、食品衛生、医療、精神保健、結核の予防、土地区画整理事業、屋外広告物の規制など。
このリストは、そのまま職務経歴の棚卸しに使えます。書くときは「福祉の仕事」ではなく「生活保護に関する事務」と、条文の言葉をそのまま使ってください。詳しくは札幌市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 農地の転用許可、農業振興地域の管理 | 用地開発、開発企画、規制対応 |
| 農業の産地形成・輸出支援 | 事業開発、産地開発、海外展開 |
| 企業誘致・立地支援 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 港湾・空港・物流の計画 | インフラ企画、SCM企画 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 防災・雪害対策、危機管理 | BCP策定、リスクマネジメント、危機管理 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、アセットマネジメント |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 区役所の窓口・住民対応 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
農地の転用を審査した経験は、いま用地を探す企業が必要としている
新潟市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
農地法第4条は、農地を農地以外のものにする者は、都道府県知事(農林水産大臣が指定する市町村の区域内にあっては、指定市町村の長)の許可を受けなければならないと定めています。
農地は、勝手に別の用途にはできません。これが土地探しの現場で、決定的な意味を持ちます。
いま用地を探しているのは、次のような事業です。
- 大規模な物流施設
- データセンター
- 太陽光や風力の発電設備
- 工場の新設・増設
どれも広い平地を必要とします。そして平地の多くは農地です。だから案件は必ず、農地転用の可否という論点に突き当たります。
企業側が直面するのは、こういう問題です。
- この農地は、そもそも転用できる区分なのか
- できるとして、どの手続きにどれだけ時間がかかるのか
- 周辺の営農への影響を、どう説明するのか
- 農業振興地域の指定は、どう扱われるのか
- 代替地の検討を求められたとき、何を示せばよいのか
技術でも資金でもなく、ここで止まる案件があります。そして企業側には、審査する側にいた人がほとんどいません。不動産の担当者は登記と価格を見ますが、転用の可否を先に見立てられる人がいない。
求人票では、用地開発、開発企画、規制対応、事業開発といった名前で書かれています。
書くときのこつは、法律名を並べないことです。何件を、どういう区分で、どういう観点から審査し、条件を付けてどう成立させたか。そして通らなかった案件は、なぜ通らなかったか。この見立てが書ければ、そのまま職務能力として読まれます。
新潟で、どの経験が値になるか
1. 農地と都市が隣り合う条件で、土地利用を扱ってきた経験
政令市でありながら広い農地を抱える、珍しい条件の市です。都市計画と農地の制度を両方見てきた経験は、用地を探す企業にとって外から得にくいものです。
2. 農業の産地形成と輸出
産地形成、品質管理、販路開拓、輸出。輸出は許認可と制度の塊なので、制度を知っていること自体が実務能力にあたります。海外展開を進める食品企業が探している経験です。
3. 港湾・空港と物流を扱った経験
港と空港の両方を持つ市です。物流の目詰まりがどこで起きるかを制度の側から知っている人は、サプライチェーンを扱う企業にとって希少です。
4. 雪と災害を前提にした計画づくり
除排雪、施設の設計、事業継続。気象条件がコストに直結する地域での実務は、同じ条件の地域に展開する企業に直接読める経験です。
5. 大都市の規模で、制度を運用してきた経験
対象が数十万人規模になると、運用の設計そのものが変わります。窓口の数、処理の順序、例外の扱い、システムとの接続。全国展開する企業の業務設計に対応します。
県内の求人だけを見ると、選択肢を自分で狭めてしまう
新潟市には県内の拠点機能が集まっており、求人の選択肢は多いほうです。それでも職種を絞ると件数は限られます。
近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。とくに自治体を顧客にする企業は、担当エリアに出向くことが仕事なので、本社への出社頻度が低い場合があります。担当エリアが北陸・信越という求人であれば、拠点が新潟にあること自体が条件になっていることがあります。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。
「通らなかった案件」の理由を書く
用地の仕事では、通らない理由を先に見立てられることが価値です。なぜ通らなかったかを説明できる人は、企業が最も欲しい見立てを持っています。
規模を必ず書く
人口、件数、面積、予算額。数字を添えないと規模が伝わりません。ここを省くと「市役所だから小さい仕事」と読まれます。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築士、電気主任技術者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
軟弱地盤と排水の実務は、そのまま職務になる
沖積平野での造成、地盤改良、排水計画、雪荷重。条件の難しい土地で構造物を成立させた経験は、大規模な物流施設やデータセンターの開発でそのまま必要とされます。対象の面積と、条件の整え方で書いてください。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。「行政なので利益はありません」と答えると、そこで話が終わります。事業の優先順位を付けた、単価の根拠を詰めた、複数案を比べた。同じ思考をしていたことを、民間の言葉で説明できるかが見られています。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 新潟市の一般行政職はラスパイレス指数98.4、平均給与月額418,566円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 平均給料月額329,900円は政令市で4番目に高いのに、総額では下から4番目。地域手当3.00%が理由です
- 給料月額の上位5市のうち4市が地域手当3.00%。給料月額が高い団体ほど地域手当が低いという関係は、構造的なものです
- 諸手当は総額の21.2%と薄め。動く部分が小さいので、去年の源泉徴収票が物差しになります
- 農地の転用を審査した経験は、いま用地を探す企業が必要としています(農地法4条)。用地開発、開発企画、規制対応という求人名で出ています
- 通らなかった案件の理由を書いてください。開発側が最も避けたいのは、断られると分からないまま進むことです
よくある質問
給料月額は高いのに総額が低いのはなぜですか
地域手当の差です。新潟市の地域手当は3.00%で、政令市のなかでは低いグループにあたります。給料月額が上位5市に入る市のうち4市が3.00%で、12.00%の神戸市とは総額で44,837円の差がつきます。地域手当はその地域の民間賃金水準を反映する仕組みなので、給料月額が高い団体ほど地域手当が低いという関係は構造的なものです。
首都圏の求人は想定年収が高く見えますが、そのまま比べてよいですか
住居費まで含めた手元に残る額で考えてください。新潟市の地域手当3.00%と首都圏の15〜16.00%の差は、生活費の差を反映している面があります。想定年収の差から家賃を含む支出の差を引くと、見え方が変わることがあります。担当エリア型やリモート可の求人であれば、住む場所を変えずに働ける場合もあります。
農地転用の審査は、断ることが多い仕事でした
開発側が困っているのは、断られること自体ではありません。用地の検討には時間と費用がかかるため、契約の直前になって転用できないと分かることが最も避けたい事態です。だから「先に見立てられる人」を社内に置きたい。通らなかった案件の理由を説明できる人が、まさにその役割です。通した案件と通らなかった案件を両方書いてください。