自治体別 / 政令指定都市
大阪市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
大阪府内には、地域手当が3通りある団体が並んでいます。大阪市16.00%、大阪府約13.80%、堺市10.00%。
同じ府域で6ポイントの開きです。そして総額を見ると、堺市424,703円と大阪府425,010円は307円しか違いません。
団体の数字を並べても順位が付かない。この事実から読み解いてください。
大阪市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、大阪市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 大阪市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.0 |
| 平均年齢 | 43.1歳 |
| 平均給料月額 | 321,100円 |
| 諸手当月額 | 127,557円 |
| 平均給与月額 | 448,657円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 398,679円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 16.00% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 16.00% |
同じ府域の3団体を並べる
| 団体 | ラスパイレス指数 | 平均給料月額 | 諸手当月額 | 平均給与月額 | 地域手当 |
|---|---|---|---|---|---|
| 大阪市 | 99.0 | 321,100円 | 127,557円 | 448,657円 | 16.00% |
| 大阪府 | 100.4 | 314,600円 | 110,410円 | 425,010円 | 約13.80% |
| 堺市 | 100.4 | 319,100円 | 105,603円 | 424,703円 | 10.00% |
ラスパイレス指数では、大阪市が3団体で最も低い。府と堺市が100.4で並び、市は99.0です。
それでも総額では、大阪市が府より23,647円、堺市より23,954円上回ります。地域手当16.00%の効果です。
そして府と堺市は、地域手当が3.8ポイント違うのに総額が307円差。府の給料月額314,600円が堺市319,100円より低いことが、地域手当の差を打ち消しています。
政令市の地域手当は指定率がそのまま適用されますが、道府県の率は県内市町村を合わせた結果です。この仕組みの違いは札幌市職員の転職で整理しています。
政令市20団体の地域手当の仕組みは札幌市職員の転職に、大阪府の数字は大阪府職員の転職に整理しています。
政令市の職員は、条文に書かれた事務を担っている
地方自治法第252条の19は、指定都市が、都道府県の処理することとされている事務のうち政令で定めるものを処理することができると定め、対象の事務を列挙しています。児童福祉、生活保護、社会福祉事業、老人福祉、母子保健、介護保険、障害者の自立支援、食品衛生、医療、精神保健、結核の予防、土地区画整理事業、屋外広告物の規制など。
このリストは、そのまま職務経歴の棚卸しに使えます。書くときは「福祉の仕事」ではなく「生活保護に関する事務」と、条文の言葉をそのまま使ってください。詳しくは札幌市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 大都市制度・組織再編の検討 | 経営企画、組織設計、PMI |
| 都市計画、再開発、土地区画整理 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 港湾・臨海部の計画と調整 | インフラ企画、SCM企画 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 生活保護・福祉の現業と査察 | ケースマネジメント、公共系事業企画 |
| 中小企業の支援・産業振興 | 事業開発、パートナー営業 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 区役所の窓口・住民対応 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「組織の形そのものを設計する」検討に関わった経験
大阪市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
大都市地域における特別区の設置に関する法律第1条は、この法律が、道府県の区域内において関係市町村を廃止し、特別区を設けるための手続、並びに特別区と道府県の事務の分担並びに税源の配分及び財政の調整に関する意見の申出に係る措置について定めるものだとしています。
条文が扱っているのは、「誰がどの仕事をするか」と「金をどう分けるか」です。
この検討に関わる実務は、次のような形をしています。
- いまある事務を、すべて洗い出す
- ひとつずつ、どちらが担うのが適切かを判断する
- 判断の基準を、説明できる形で言葉にする
- 税や財源を、担う仕事に合わせて配分する
- 移す場合の職員、システム、施設の扱いを設計する
民間企業が組織再編で直面するのは、まったく同じ作業です。
事業部の分割、子会社化、持株会社への移行、統合。どの機能をどちらに置くか。間接部門をどう分けるか。システムをどう切り分けるか。そして「なぜその分け方なのか」を、社内と外部に説明できなければなりません。
この検討を実際に回した経験がある人は、社内にほとんどいません。組織再編は頻繁に起きる出来事ではないからです。
求人票では、経営企画、組織設計、PMI、事業企画といった名前で書かれています。
書くときのこつは、制度の名前や結果を前面に出さないことです。いくつの事務を洗い出し、どういう基準で分け、財源や人員をどう対応させたか。この形にすると、行政の歴史ではなく組織設計の実務として読まれます。同じ経験は、部局の再編、外郭団体の見直し、業務の外部委託でも積めます。
大阪で、どの経験が値になるか
1. 事務と財源を切り分けた経験
再編、委託、統合。何を誰が担い、その費用をどこから出すかを設計した経験は、民間の組織再編で直接必要とされます。
2. 大都市の規模で、制度を運用してきた経験
対象が二百万人規模になると、運用の設計そのものが変わります。窓口の数、処理の順序、例外の扱い、システムとの接続。全国展開する企業の業務設計に直接対応します。
3. 中小企業を相手にしてきた経験
大阪市には中小企業が厚く集積しています。相手の規模が小さいほど、制度をそのまま当てはめても動きません。どこを噛み砕いて伝えたかを書けば、パートナー営業や事業開発の職務として読まれます。
4. 都心部の再開発と、臨海部の再編
権利者が多く、期間が長く、利害が食い違う案件。合意をどう作ったかを書ければ、民間の開発事業でそのまま通じます。
5. 生活に直結する制度を、大量に処理してきた経験
生活保護、福祉、保険。件数が多い制度を、例外を含めて回した経験は、業務設計やオペレーション改善の職務に対応します。
選択肢が多い都市なので、絞り方を先に決める
大阪市には大きな民間市場があります。転居を伴わずに多様な職種にアクセスできる一方、条件から絞ろうとすると候補が決まらないという状態になりやすい環境です。
順序を決めてください。
- 職種で絞る(自分の経験がどこで希少になるか)
- 業界で絞る(行政が顧客か、規制を受ける側か、まったく別か)
- 勤務形態を確認する(出社頻度、担当エリア)
この順序を逆にすると、条件のよい求人が視界から消えます。とくに勤務地から検索を始めると、リモート可や担当エリア型の求人が最初から入ってきません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。
切り分けの基準を書く
再編や委託に関わったなら、何をどちらに置き、なぜそう分けたか。基準を言葉にできる人は、組織設計ができる人として読まれます。
規模を必ず書く
人口、件数、事業所数、予算額。数字を添えないと規模が伝わりません。ここを省くと「市役所だから小さい仕事」と読まれます。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築士、電気主任技術者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
密集市街地での施工調整は希少な経験になる
既存の建物が密集する場所での工事は、周辺との調整が工程を決めます。再開発、区画整理、地下埋設物、耐震化。建設会社と不動産開発の両方から求められる経験です。対象の規模と、調整の相手方の数で書いてください。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。「行政なので利益はありません」と答えると、そこで話が終わります。事業の優先順位を付けた、単価の根拠を詰めた、複数案を比べた。同じ思考をしていたことを、民間の言葉で説明できるかが見られています。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 大阪市の一般行政職はラスパイレス指数99.0、平均給与月額448,657円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 同じ府域で地域手当が3通り(大阪市16.00%、大阪府約13.80%、堺市10.00%)。堺市と大阪府の総額は307円差です
- 指数では大阪市が3団体で最も低いのに、総額では最も高い。地域手当の効果です
- 団体の数字を並べても順位は付きません。源泉徴収票の支払金額と、求人票の想定年収を並べてください
- 組織の形そのものを設計する検討に関わった経験は、企業の組織再編で必要とされます(大都市地域特別区設置法1条)。経営企画、組織設計、PMIという求人名で出ています
- 結果が出たかどうかは問われません。いくつの事務を洗い出し、どういう基準で分けたかを書いてください
よくある質問
大阪府や堺市と比べて、水準は高いのですか
総額では大阪市が最も高いですが、指数では最も低くなります。大阪市99.0に対し、府と堺市は100.4です。地域手当が大阪市16.00%、府約13.80%、堺市10.00%と3通りに分かれているためです。そして府と堺市の総額は307円差で、順位が付きません。団体の数字は自分の水準を測る物差しにならないので、源泉徴収票を使ってください。
組織再編の検討に関わりましたが、実現しませんでした
企業が知りたいのは結論ではなく、検討の中身です。組織再編を考えている会社が最も困るのは、「どこで切るか」の基準を誰も言語化できないことです。機能で切るのか、顧客で切るのか、地域で切るのか。実際に事務を洗い出して基準を作った経験がある人は、社内にほとんどいません。いくつの事務を洗い出し、どういう基準で分け、財源や人員をどう対応させたかを書いてください。
選択肢が多すぎて、どこから見ればよいか分かりません
職種から見てください。大阪市には大きな民間市場があるため、条件から入ると候補が絞れません。順序は、自分の経験がどこで希少になるか(職種)、行政が顧客か規制を受ける側か(業界)、出社頻度や担当エリア(勤務形態)です。勤務地から検索を始めると、リモート可や担当エリア型の求人が最初から視界に入りません。