自治体別 / 政令指定都市
相模原市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
相模原市のラスパイレス指数は98.2です。政令指定都市20団体のなかで最も低い数字にあたります。
ところが平均給与月額434,891円は、20団体の中位に位置します。指数が最も高い仙台市102.3の435,308円と、417円しか違いません。
指数は20団体で最下位、総額はほぼ同じ。この構造を知らずに指数だけで自分の位置を測ると、判断がずれます。
相模原市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、相模原市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 相模原市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.2 |
| 平均年齢 | 41.3歳 |
| 平均給料月額 | 313,400円 |
| 諸手当月額 | 121,491円 |
| 平均給与月額 | 434,891円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 376,310円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 12.00% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 12.00% |
仙台市と並べてみる
| 項目 | 相模原市 | 仙台市 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.2 | 102.3 |
| 平均給料月額 | 313,400円 | 323,300円 |
| 諸手当月額 | 121,491円 | 112,008円 |
| 平均給与月額 | 434,891円 | 435,308円 |
| 地域手当 | 12.00% | 6.00% |
| 平均年齢 | 41.3歳 | 41.3歳 |
平均年齢は両市とも41.3歳で同じです。それでもラスパイレス指数は4.1ポイント開きます。
指数の差は給料表そのものの差です。仙台市のほうが、同じ学歴・同じ経験年数で比べたときの支給水準が高い。一方で地域手当は相模原市12.00%、仙台市6.00%で、こちらは相模原市が上回ります。
2つが打ち消し合って、総額がほぼ同じになっている。平均給与月額の差は417円です。
政令市20団体の地域手当の仕組みは札幌市職員の転職に、道府県の分布は愛知県職員の転職に整理しています。
政令市の職員は、条文に書かれた事務を担っている
地方自治法第252条の19は、指定都市が、都道府県の処理することとされている事務のうち政令で定めるものを処理することができると定め、対象の事務を列挙しています。児童福祉、生活保護、社会福祉事業、老人福祉、母子保健、介護保険、障害者の自立支援、食品衛生、医療、精神保健、結核の予防、土地区画整理事業、屋外広告物の規制など。
このリストは、そのまま職務経歴の棚卸しに使えます。書くときは「福祉の仕事」ではなく「生活保護に関する事務」と、条文の言葉をそのまま使ってください。詳しくは札幌市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 企業誘致・工業団地の整備 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 産業集積の促進・事業者支援 | 事業開発、パートナー営業、経営企画 |
| 都市計画、土地区画整理 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 広域交通・物流拠点の計画 | インフラ企画、SCM企画 |
| 中山間地域の振興・交通の確保 | 地域事業、モビリティ事業企画 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、アセットマネジメント |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 区役所の窓口・住民対応 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「この地域で何が伸びるか」を選んだ経験
相模原市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律第1条は、この法律が、地域における産業の集積、観光資源、特産物、技術、人材、情報その他の自然的、経済的又は社会的な観点からみた地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、かつ、地域内の取引の拡大、受注の機会の増大その他の地域の事業者に対する相当の経済的効果を及ぼす事業を促進するものだと定めています。
条文が求めているのは、2つのことです。高い付加価値を作ること。そしてその効果が地域内の他の事業者にも及ぶこと。
これを実務にすると、次のような作業になります。
- 地域にどんな資源(技術、人材、立地、集積)があるかを棚卸しする
- そのうちどれを伸ばすかを選ぶ(選ばないものも決まる)
- 伸ばす分野の事業者を支援し、要件を満たすか審査する
- 支援した結果が、周辺の事業者にどう波及したかを追う
- 波及していなければ、設計を変える
この一連は、民間の事業ポートフォリオの管理とほぼ同じです。
企業でも、限られた投資枠のなかでどの事業を伸ばすかを選び、選ばない事業を決め、投じた結果が全社にどう効いたかを説明しなければなりません。そして「選ばない」という判断を説明できる人が、社内に少ない。
求人票では、事業開発、経営企画、事業企画、アライアンスといった名前で書かれています。
書くときのこつは、制度名や補助金の名前を並べないことです。どの分野を選び、なぜそれを選び、選ばなかったものは何か。そして波及をどう測ったか。この形にすると、行政の経験ではなく経営の経験として読まれます。
相模原で、どの経験が値になるか
1. 産業集積を、行政側から作ってきた経験
企業誘致、用地の確保、インフラの手当て、支援制度の設計。進出や増設を考える企業から見れば、これは自分たちが最も苦労する部分です。扱った件数と、決め手になった条件を書いてください。
2. 広域交通の結節点としての調整
高速道路や鉄道の整備が、土地利用と産業立地に直結する地域です。複数の事業者と行政区域が絡む案件を通した経験は、インフラ企画や物流拠点の開発に接続します。
3. 市街地と中山間地域を、同時に扱ってきた経験
同じ市域に、住宅地・工業地と、人口減少が課題となる地域があります。同じ制度を、条件の違う区域に当てはめる。この経験は、全国展開する企業がいちばん苦労するところです。
4. 大都市圏の縁で、独自の位置を作ってきた経験
都心に近いが都心ではない。この位置をどう活かすかを設計してきた経験は、拠点戦略を考える企業に読める経験です。
5. 大都市の規模で、制度を運用してきた経験
対象が数十万人規模になると、運用の設計そのものが変わります。窓口の数、処理の順序、例外の扱い、システムとの接続。全国展開する企業の業務設計に対応します。
都内・横浜の求人と比べるときに、確かめておくこと
相模原市からは都内や横浜への通勤が現実的で、市外の求人が普通に選択肢に入ります。
ただし、地域手当12.00%という水準は地域の賃金相場を反映したものです。都内の求人の想定年収が高く見えても、その差の一部は通勤時間と生活費の差です。手元に残る額と、通勤にかかる時間の両方で考えてください。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。
「選ばなかったもの」を書く
支援や投資の判断は、選ばなかったものにこそ基準が表れます。なぜそれを選ばなかったかを書ける人は、限られた資源を配分できる人だと読まれます。
規模を必ず書く
人口、件数、事業所数、予算額。数字を添えないと規模が伝わりません。ここを省くと「市役所だから小さい仕事」と読まれます。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築士、電気主任技術者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
工業団地の造成と用地の実務は、そのまま職務になる
造成、排水、進入路、電力と水の手当て。用地を扱う企業が最も苦労するのは、この一式を揃えることです。大規模な物流施設やデータセンターの開発でも、同じ論点が出ます。扱った面積と、条件の整え方で書いてください。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。「行政なので利益はありません」と答えると、そこで話が終わります。事業の優先順位を付けた、単価の根拠を詰めた、複数案を比べた。同じ思考をしていたことを、民間の言葉で説明できるかが見られています。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 相模原市の一般行政職はラスパイレス指数98.2、平均給与月額434,891円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 指数は政令市20団体で最も低いのに、総額は中位。指数が最も高い仙台市とは417円しか違いません
- 仙台市とは平均年齢も同じ41.3歳。それでも指数が4.1ポイント開き、地域手当では相模原市が6ポイント上回ります
- 団体の数字は、どちらの向きでも自分の物差しになりません
- 「この地域で何が伸びるか」を選んだ経験は、企業の投資判断と同じ構造です(地域経済牽引事業促進法1条)。事業開発、経営企画という求人名で出ています
- 選ばなかった理由を必ず書いてください。限られた資源を配分できる人だと読まれます
よくある質問
指数が政令市で最も低いのですが、給与水準は低いのですか
総額では中位です。ラスパイレス指数は給料表の位置を示す数字で、地域手当は含まれません。相模原市は地域手当12.00%があるため、指数が最も高い仙台市(6.00%)と総額がほぼ同じになります。差は417円です。指数だけで自分の位置を測ると判断がずれます。源泉徴収票の支払金額と、求人票の想定年収を並べてください。
補助金の担当でしたが、事業を作った経験はありません
採用側の関心は、配った先ではなく選び方にあります。限られた枠のなかで、どの分野を伸ばすと決め、何を選ばなかったのか。選んだ結果が周りにどう波及したのか。この3つを説明できる人は、企業の投資判断の場でそのまま通用します。社内では、選ばない判断を説明できずに全部に薄く配る失敗が繰り返されているからです。
都内の求人と比べるとき、何に気をつければよいですか
手元に残る額と、通勤時間の両方で考えてください。相模原市の地域手当12.00%は地域の賃金相場を反映したものなので、都内の求人の想定年収が高く見えても、差の一部は通勤時間と生活費の差です。近年はリモート可や週数日出社の求人も増えています。まず職種で絞り、そのあとに勤務形態を確認する順序にしてください。