自治体別 / 政令指定都市
静岡市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
静岡県のラスパイレス指数は102.2で、47都道府県のなかで最も高い数字です。
一方、静岡市は100.9。同じ県域にありながら、県のほうが1.3ポイント高いという関係になっています。
政令指定都市のほうが指数で下回るのは珍しくありませんが、その差の読み方を間違えると、応募先の見積もりがずれます。まず数字を確認してください。
静岡市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、静岡市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 静岡市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 100.9 |
| 平均年齢 | 40.6歳 |
| 平均給料月額 | 320,600円 |
| 諸手当月額 | 91,212円 |
| 平均給与月額 | 411,812円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 366,003円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 6.00% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 6.00% |
静岡県と並べてみる
| 項目 | 静岡市 | 静岡県 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 100.9 | 102.2 |
| 平均年齢 | 40.6歳 | 42.7歳 |
| 平均給料月額 | 320,600円 | 333,500円 |
| 諸手当月額 | 91,212円 | 100,147円 |
| 平均給与月額 | 411,812円 | 433,647円 |
| 地域手当(実支給) | 6.00% | 約4.68% |
注目してほしいのは平均年齢です。静岡市40.6歳に対し、静岡県42.7歳。2.1歳の差があります。
給料表は勤続年数とともに上がるため、この差だけでも平均給料月額は動きます。実際、給料月額の差は12,900円です。
一方でラスパイレス指数は、学歴と経験年数の差を補正して計算されます。それでも県のほうが1.3ポイント高い。つまり給料表そのものの水準は、県のほうが上ということになります。
ただし地域手当は逆で、静岡市6.00%に対し静岡県は約4.68%。市のほうが上回ります。県の率は県内市町村を合わせた結果、市の率は指定された率そのものです。この仕組みは札幌市職員の転職で整理しています。
政令市20団体の地域手当の仕組みは札幌市職員の転職に、道府県の分布は愛知県職員の転職に整理しています。
政令市の職員は、条文に書かれた事務を担っている
地方自治法第252条の19は、指定都市が、都道府県の処理することとされている事務のうち政令で定めるものを処理することができると定め、対象の事務を列挙しています。児童福祉、生活保護、社会福祉事業、老人福祉、母子保健、介護保険、障害者の自立支援、食品衛生、医療、精神保健、結核の予防、土地区画整理事業、屋外広告物の規制など。
このリストは、そのまま職務経歴の棚卸しに使えます。書くときは「福祉の仕事」ではなく「生活保護に関する事務」と、条文の言葉をそのまま使ってください。詳しくは札幌市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 都市計画の区域区分・用途地域 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 中心市街地の再生・再開発 | 都市開発、事業開発、テナント企画 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 企業誘致・立地支援 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 港湾・物流の計画と調整 | インフラ企画、SCM企画 |
| 山間地域の振興・交通の確保 | 地域事業、モビリティ事業企画 |
| 防災・津波対策、危機管理 | BCP策定、リスクマネジメント、危機管理 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 区役所の窓口・住民対応 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「どこまでを市街地にするか」を決めた経験
静岡市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
都市計画法第7条は、都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときは、都市計画に、市街化区域と市街化調整区域との区分(区域区分)を定めることができると規定しています。
線をどこに引くかで、土地の使い方が決まります。
市街化区域なら建てられる。市街化調整区域なら原則として建てられない。この一本の線が、土地の価値と、そこで成り立つ事業を左右します。
政令市はこの区域区分を含む都市計画を扱う立場にあり、静岡市は市街地と山間地域を同じ市域に抱えています。線引きの判断が、実務として日常的に出てくる環境です。
この経験が、いま民間で求められています。
- 候補地が市街化調整区域だったとき、何ができて何ができないのか
- 例外的に認められる場合の要件は、実務上どう運用されるのか
- 用途地域の指定が、テナントや設備の計画にどう効くのか
- 区域の見直しは、どういう手順と期間で動くのか
- 線の外側に用地を確保する場合、何を先に確認すべきか
用地を扱う企業の担当者は、登記と価格は見ますが、この線引きの意味までは見立てられません。だから契約の後になって、建てられないと分かる案件が出ます。
求人票では、用地開発、開発企画、都市開発、事業開発といった名前で書かれています。
書くときのこつは、制度名を並べないことです。どの区域について、どういう観点で判断し、事業者に何を示して成立させたか。そして成立しなかった案件は、なぜ成立しなかったか。この見立てが書ければ、そのまま職務能力として読まれます。
静岡で、どの経験が値になるか
1. 土地利用の線引きを扱ってきた経験
区域区分、用途地域、開発許可。用地を探す企業にとって、最も人が足りていない領域です。扱った件数と、判断の観点を書いてください。
2. 中心市街地の再生に関わった経験
空き店舗、権利者の調整、施設の再編。人が減る前提で街をどう作り直すかは、商業施設やまちづくり事業を手がける企業が直面している課題です。
3. 市街地と山間地域を、同時に扱ってきた経験
同じ市域に、都市部と、人口減少と移動条件の制約がある地域があります。同じ制度を、条件の違う区域に当てはめる。この経験は、全国展開する企業がいちばん苦労するところです。
4. 津波と災害を前提にした計画づくり
避難、施設の配置、事業継続。リスクを織り込んで意思決定した経験は、民間ではBCPやリスクマネジメントとして読まれます。想定と、実際に動かして分かったことをセットで書いてください。
5. 若いうちから責任のある仕事を任された経験
平均年齢が政令市で3番目に若い組織です。年次の割に任されてきたことがあるなら、それは職務経歴書に書ける材料です。役職ではなく、決めた範囲で書いてください。
県内・県外の求人を見るときに
静岡市は東西の移動がしやすく、担当エリア型の求人であれば、住む場所を変えずに広い範囲を扱える位置にあります。東京・名古屋の両方向に出やすいことは、この種の求人で条件になります。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。
「成立しなかった案件」の理由を書く
土地の仕事では、成立しない理由を先に見立てられることが価値です。なぜ成立しなかったかを説明できる人は、企業が最も欲しい見立てを持っています。
年次の割に任された範囲を書く
若い組織では、早く責任のある仕事が回ってきます。役職ではなく、決めた範囲で書いてください。年次と権限がずれていることは、むしろ強みになります。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築士、電気主任技術者。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
開発許可の審査経験は、そのまま職務になる
排水、進入路、造成、防災。開発許可で何を見られるかを知っている人は、開発側の企業にとって外から採用しにくい経験です。審査した件数と、条件を付けて成立させた事例で書いてください。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。「行政なので利益はありません」と答えると、そこで話が終わります。事業の優先順位を付けた、単価の根拠を詰めた、複数案を比べた。同じ思考をしていたことを、民間の言葉で説明できるかが見られています。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 静岡市の一般行政職はラスパイレス指数100.9、平均給与月額411,812円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 静岡県の指数102.2は全国最高ですが、平均年齢が2.1歳違います。団体どうしの比較は判断に使えません
- 地域手当は市6.00%、県約4.68%で、こちらは市が上回ります
- 平均年齢40.6歳は政令市で3番目に若い。年次の割に任された範囲があるなら、それを書いてください
- どこまでを市街地にするかを決めた経験は、用地を探す企業が必要としています(都市計画法7条)。用地開発、開発企画、都市開発という求人名で出ています
- 成立しなかった案件の理由を書いてください。企業が最も欲しいのは、その見立てです
よくある質問
静岡県のほうが指数が高いのですが、市は下に見られますか
採用の場で、県か市かを気にする担当者はほとんどいません。見られるのは、何を担当し、どこまで自分で決めたかです。しかも指数の差には平均年齢2.1歳の違いも関係しており、地域手当は逆に市のほうが上回ります。政令市は地方自治法252条の19で県から移ってきた事務を実際に運用しているので、その点を書けば伝わります。
若手のうちから任されてきましたが、役職がありません
役職ではなく、決めた範囲で書いてください。静岡市は平均年齢40.6歳と政令市で3番目に若い組織です。若い組織では早く責任のある仕事が回ってくるため、年次と権限がずれていることが起こります。これは強みです。何件を、どういう基準で、自分の判断で処理したかを書けば、役職の有無とは関係なく読まれます。
都市計画の仕事は、民間でどう評価されますか
用地を扱う企業が最も人を欲しがっている領域です。候補地が市街化調整区域だったとき何ができるのか、用途地域が設備計画にどう効くのか。不動産の担当者は登記と価格を見ますが、この見立てはできません。だから契約の後に建てられないと分かる案件が出ます。審査した件数と、成立しなかった案件の理由を書いてください。