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部署別 / 下水道課

下水道課の職務経歴書|書き出しから実績の出し方まで

下水道課の職務経歴書で、いちばん多い失敗はこれです。

「下水道事業に関する業務」

この1行で終わってしまいます。

読む側は、ここから「役所の下水道の担当だった人」という像しか作れません。実際には、処理場を運転し、管の中をカメラで調べ、他人の排水設備を審査し、工場の排水を規制し、使用料を賦課し、大雨のときはポンプ場を動かし、数十年先の更新の計画を組んでいたわけですが、それが書かれていません。

この記事では、職務要約・担当業務・実績の3つに分けて、悪い例と良い例を並べます。

言い換えは下水道課の経験は民間で何と呼ばれるか、行き先は下水道課から転職しやすい業界と職種に書いています。

他人の土地に立ち入って、検査できることになっています

書き方に入る前に、この仕事の性格を条文で押さえます。書類の芯になる部分です。

下水道法第13条です。

> 公共下水道管理者は、公共下水道若しくは流域下水道の機能及び構造を保全し、又は公共下水道からの放流水若しくは流域下水道からの放流水の水質を第八条の技術上の基準に適合させるために必要な限度において、その職員をして排水区域内の他人の土地又は建築物に立ち入り、排水設備、特定施設、除害施設その他の物件を検査させることができる。

ここが、書類の芯です。

自分の設備を守るために、他人の設備を検査できる。

なぜ、こういう権限が法律に書かれているのか。下水道は、入口を選べないからです。区域の全戸から、何が流れてくるかを、こちらで決められない。だから、入口の側を検査する権限が、法律の側に置かれている。

しかも、第12条の2は、特定の施設を持つ工場や事業場について、「政令で定める基準に適合しない下水を排除してはならない」と定めています。受け入れる側が、入口の基準を持っているということです。

民間で人を採る側から見ると、これは「受け入れる側の品質の管理をしてきた人」です。原料の受入れの検査、取引先の監査、他社が自社の設備に接続するときの審査——同じ構造の仕事が、いくつもの業界にあります。

職務経歴書には、この「入口を守る」範囲が見えるように書いてください。

職務要約

悪い例

> 下水道課において、下水道事業に関する業務に従事。施設の維持管理、水質管理、使用料業務等を担当。

これでは、規模も、判断の範囲も読めません。

良い例(処理場と管路が長い方)

> 処理区域内人口約◯万人、日量約◯万立方メートルの処理場◯か所、管きょ延長約◯キロメートルの下水道事業において、処理場の運転管理を担当。流入の水質と水量に応じた運転の調整、放流水質の測定と記録、汚泥の脱水と処分の管理を実施。管きょのカメラ調査を年間約◯キロメートル発注し、更生の優先順位を設定。

良い例(計画と経営が長い方)

> 下水道事業のストックマネジメント計画および経営の戦略の策定を担当。管きょ約◯キロメートルについて、布設の年度と調査の結果から更新の優先順位を設定し、年間約◯キロメートル、約◯億円の改築の計画を策定。公営企業会計による決算の調製、使用料の改定の試算、処理場の統合の検討にも従事。

太字にしなくても、数字が入っているだけで読み方が変わります。処理区域内の人口、処理場の能力、管きょの延長、施設の数。この4つのうち、分かるものから埋めてください。

担当業務

「下水道事業」で丸めず、6つに分けてください。

機能書き方の例
処理場と水質処理場◯か所の運転管理、流入に応じた運転の調整、放流水質の測定と記録、汚泥の処理
管きょと施設管きょ延長約◯キロメートルの点検、カメラ調査の発注、更生と改築の発注、台帳の整備
排水設備と水質の規制排水設備の確認と検査、指定工事店の指定と監督、特定事業場の立入検査と除害施設の指導
使用料と接続約◯万件の使用料の賦課、受益者負担金の賦課と徴収、未接続の世帯への水洗化の促進
計画と経営ストックマネジメント計画、全体計画、経営の戦略、使用料の試算、公営企業会計
雨水と危機の対応雨水ポンプ場の運転、大雨時の体制、浸水の対応、災害時の相互の応援

この6つのうち、自分がやっていないものは書かなくて構いません。むしろ、やっていない機能を空欄にしたほうが、やった機能の密度が読まれます。

とくに、4番目の「使用料と接続」は、行政の中でめずらしい部分です。未接続の世帯に戸別に働きかけて、接続してもらう。これは、民間でいえば加入の促進で、数字が動く仕事です。やっていたなら、戸数を添えて書いてください。

もう1つ、6番目の「雨水と危機の対応」も書き落とされやすい部分です。大雨が来れば、その時間から、街のどこかで水が上がり始めます。ポンプをいつ動かすか、ゲートをいつ操作するか、操作する人をいつ引き揚げるか。この段取りは、事前に決めておかないと動きません。書くなら、「大雨時の雨水ポンプ場の運転と、操作の従事者の安全の確保について、体制と手順を整備。年◯回の訓練を実施」という形です。民間でも、止められない設備を持つ事業では、同じ体制を持っています。

実績

ここが書きにくい部分です。成果が、川がきれいなままで、街が浸水しなかったこととして現れるからです。

悪い例

> 適正な処理と安定した運転に努め、事故のない運営に貢献した。

これは、姿勢の話であって、実績ではありません。

良い例——3つの型

型1:基準と手順を作った

> 雨天時の流入の増加に対する処理場の運転の切り替えの基準を、水位と流量の区分で整理し、夜間と休日の連絡の経路を含めて文書化。当番が単独で判断しない形に変更。

型2:損失を減らした

> 雨天時に管きょへ入り込む水の調査について、区域ごとの流量の比較から範囲を絞り込む方法を導入し、年間約◯キロメートルの調査で侵入の箇所◯件を特定。処理する水量の抑制につなげた。

型3:更新を動かした

> 管きょの布設の年度とカメラ調査の結果を台帳で整理し、改築の優先順位の基準を作成。年間約◯キロメートル、約◯億円の更生を計画に位置づけ、資金の残高を踏まえて年次に配分。

3つとも、「維持した」ではなく、「自分が設計した」で書かれています。

このうち、型2はとくに数字にしやすい実績です。本来入らないはずの水が、雨のたびに管に入ってくる。その分だけ、処理の費用が増えます。調査した延長と、見つけた箇所は残ります。民間の設備の保全でも、「損失をどれだけ減らしたか」は、いちばん伝わる形です。ただし、処理の費用の内訳そのものは、公表されている範囲で書いてください。「調査の方法を変えて、特定の件数が増えた」という書き方で十分に伝わります。

数字の出し方

数えるもの書き方の例注意
事業の規模処理区域内人口約◯万人、水洗化率約◯パーセント公表されている数字を使う
処理場の能力日量約◯万立方メートル、処理場◯か所処理の方式を添えると強い
管きょの延長管きょ延長約◯キロメートル汚水・雨水・合流の別があれば添える
使用料の件数約◯万件の賦課収納率は公表値を使う
除害施設の指導特定事業場約◯か所、年間約◯件数えていないことが多い部分
更新の実績年間約◯キロメートル、約◯億円個別の工事名は書かない

「約」を付けて構いません。正確な数字が出せないことよりも、桁が分かることのほうが大事です。

応募先で並べ替える

応募先の方向上に置く機能
処理場の運転を受託する会社処理場と水質/委託の仕様と履行の確認/雨水と危機の対応
管路の調査・更生・工事の会社管きょと施設/工事の発注と検査/道路と交通の調整
プラント・機械のメーカー処理場と水質/設備の更新の検討/運転の実務
コンサルタント・計画の支援計画と経営/台帳/使用料の試算
工場の排水処理・環境の分析排水設備と水質の規制/放流水質の測定/汚泥の処理

同じ経歴でも、順番を変えるだけで読まれ方が変わります。中身を作り直す必要はありません。

LINEで短く聞くこともできます

書いてはいけないこと

✕ 書かない○ こう書く
処理場やポンプ場の警備、立入りの管理の詳細施設の数と、担当していた運転の範囲
管きょの弱い箇所や、陥没のおそれのある場所改築の優先順位を、どういう基準で決めたか
特定の事業場の名前と、排水の違反の経緯立入検査と指導の段階を運用し、扱った件数
使用者の個別の事情や、滞納の経緯滞納への対応の段階と、扱った件数
入札や契約の予定価格に関わる情報発注の件数と、検査で見ていた項目

1行目と3行目は、とくに注意してください。下水道は、生活の基盤の設備であり、規制の相手は、名前の分かる事業者です。施設の守りに関わる情報と、相手の名前が分かる記述は、書類にも面接にも出さない。この線を守ることは、それ自体が評価の対象になります。迷ったら、公表されている資料に載っている範囲にとどめてください。

つまずきやすい点

1. 「下水道事業」で丸める

処理場と水質/管きょと施設/排水設備と水質の規制/使用料と接続/計画と経営/雨水と危機の対応の6つに分けてください。

2. 除害施設の指導の件数を書かない

こちらの設備に水を流してくる事業者を検査していた量です。差が付く部分です。

3. 水洗化の促進を、事務として書く

戸別に働きかけて、接続の数字を動かした仕事です。戸数を添えてください。

4. 大雨の対応を、苦労話にする

基準を決めて、体制を組んで、運用していたと書いてください。

5. 事業者の名前が分かることを書いてしまう

件数と段階だけにとどめてください。

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まとめ

よくある質問

事務職で、処理場に入ったこともありません

それでも書けます。下水道課の事務は、使用料と受益者負担金の賦課と徴収、水洗化の促進、指定工事店の指定、契約と入札、公営企業会計の決算、経営の戦略など、技術以外の部分が広くあります。書くなら、「約◯万件の使用料の賦課、受益者負担金の賦課と徴収、未接続の世帯約◯戸への水洗化の促進、公営企業会計による決算の調製を担当。技術上の検査は技術職が実施」と、自分の範囲を明示してください。とくに、水洗化の促進は、数字を動かした経験として、技術の有無に関わらず読まれる部分です。線を引いた応募は、読まれます。

小規模な町で、農業集落排水や浄化槽も一緒に担当しています

規模の大小は、それほど問題になりません。むしろ、小規模な自治体ほど、一人が見る範囲が広いことがあります。処理場も、管路も、使用料も、計画も、数人で回している。しかも、公共下水道、農業集落排水、浄化槽という、方式の違う3つを同じ担当で見ている。その場合は、「範囲の広さ」と「方式の幅」を前に出してください。書くなら、「処理区域内人口約◯千人の下水道事業について、公共下水道、農業集落排水、合併処理浄化槽の3方式の維持管理と使用料を少人数で担当」という形です。「少人数で」「3方式を」という一語が、幅の証明になります。とくに受託の会社では、一人で複数の役割を回せる人が求められます。

上水道の担当が長く、下水道は最近です

それは、そのまま書けます。上水道と下水道は、求人票では「上下水道」とまとめられていることが多く、受託の会社もコンサルティングも、両方を手がけているところが大半です。両方の経験がある人は、むしろ読まれやすい。書くときは、年数で区切って、上水と下水を明示してください。「上水道の管路の維持管理◯年、その後、下水道の処理場の運転管理◯年」という形です。曖昧にすると、どちらの求人でも読みにくい書類になります。下水道の側で先に出すべきなのは、生き物を扱う処理場の運転と、雨水の対応です。上水道にはない材料なので、そこを先に置いてください。面接で聞かれることは下水道課出身者が面接で必ず聞かれることに整理しています。

出典

  1. 下水道法 第13条(排水設備等の検査)・第12条の2(特定事業場からの下水の排除の制限)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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