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部署別 / 保健所・衛生課

保健所・衛生課出身者が面接で必ず聞かれること

保健所や衛生課から民間に移るとき、面接でよく来るのはこの形の質問です。

「相手が納得しないとき、どうしますか」

これは、衛生の話を聞いているのではありません。

対立する相手を、権限で押さえてきたのか、手順で動かしてきたのかを聞いています。そして、この経歴の方は、止める権限を持ちながら、止めずに直させることを選び続けてきた側です。

この記事では、実際に来る質問を7つ挙げて、避けたい答え方と組み立て方を並べます。

書類の書き方は保健所・衛生課の職務経歴書|書き出しから実績の出し方まで、行き先は保健所・衛生課から転職しやすい業界と職種に書いています。

「取り消し、禁止し、停止することができる」と書かれています

質問に入る前に、答え方の芯を1つ作っておきます。食品衛生法第60条です。

> 都道府県知事は、営業者が第六条、第八条第一項、第十条から第十二条まで(中略)の規定に違反した場合(中略)においては、同条第一項の許可を取り消し、又は営業の全部若しくは一部を禁止し、若しくは期間を定めて停止することができる。

「することができる」です。

「しなければならない」ではありません。違反があれば、取り消すことも、禁止することも、停止することもできる。しかし、しなくてもよい。

ここが、答え方の芯になります。

つまり、この経歴の方は、「止める権限を持っている状態で、止めるかどうかを毎回判断する」ことを求められる環境にいました。権限があるから押し切れる、という仕事ではない。権限を背にして、まず指摘し、期限を切って直させ、確かめに行き、それでも直らないときに初めて止める。その段階を、毎回踏んでいたわけです。

民間の面接で来る質問の多くは、「権限がなくても人を動かせる人かどうか」を確かめています。品質でも、安全でも、法令の遵守でも、構図は同じです。

この形で答えられると、7つの質問はほとんど同じ骨で答えられます。

実際に来る質問7つ

1. 「保健所の経験は、うちのどこで使えると思いますか」

避けたい答え方

> 行政の仕事なので、直接は関係ないかもしれませんが。

組み立て方

> 3つあると考えています。1つ目は、規制する側の目です。管内約◯施設を対象に、年間約◯件の立入検査で、施設の基準と衛生管理の記録を確認していました。御社が行政の立入りで何を見られるかは、見る側にいたので分かります。2つ目は、原因の究明です。食中毒の調査◯件で、喫食の調査と検体の検査から原因を特定していました。3つ目は、権限のない相手を動かす調整です。市町村や医療機関との連携は、指示ではなく調整で進めていました。

3つに割って、それぞれに数字を添える。この形が通りやすい形です。

2. 「相手が納得しないとき、どうしていましたか」

避けたい答え方

> 法律で決まっていることなので、従ってもらっていました。

組み立て方

> 権限で押すことは、ほとんどしていませんでした。営業の停止は法律上できますが、それは最後の段階です。まず、何が基準に合っていないかを、基準の条文と現場の状態を並べて示す。次に、いつまでに何を直すかを、相手と一緒に決めて文書にする。期限に確かめに行く。この3段階で、大半は直ります。直らなかったときに、初めて停止の判断になります。納得しない相手には、「なぜその基準があるか」から説明していました。基準の理由が分かると、直し方を自分で考え始める方が多かったからです。

「権限は最後に置いて、指摘・期限・確認の3段階で動かしていた」——この言い方が、品質や法令の遵守を扱う会社でいちばん届きます。

3. 「工場や店舗の現場で、嫌がられる役になりますが」

避けたい答え方

> 保健所でも嫌がられていたので、慣れています。

組み立て方

> その立場は経験しています。立入検査は、来てほしくない相手のところに行く仕事でした。そこで意識していたのは、指摘の内容より、指摘の出し方です。口頭で言うだけだと、言った言わないになる。文書にして、基準の根拠と一緒に渡す。すると、相手は「この人に言われた」ではなく「この基準に合っていない」と受け取ります。社内の品質保証でも、同じ形で出せると思っています。

受け入れる姿勢だけを見せるより、指摘の出し方の話で返すほうが、長く続く前提の人として読まれます。

この質問に固有の事情もあります。保健所での指摘は、相手が外部の事業者でした。民間の品質保証では、相手が同じ会社の製造の部門です。毎日顔を合わせる相手に、指摘を出し続ける。この違いを、軽く見ないでください。外部の相手には、基準だけで話せました。社内の相手には、基準に加えて、現場の事情を聞く姿勢が要ります。面接では、「指摘の前に、現場がなぜそうしているかを聞いていました」と添えると、社内で回せる人として読まれます。

4. 「数字で成果を出した経験はありますか」

避けたい答え方

> 行政なので、売上のような数字はありません。

組み立て方

> 売上の数字はありませんが、扱っていた規模と、動かした数はあります。管内約◯施設について、年間約◯件の立入検査を担当していました。立入の確認の項目を業種ごとに様式化した結果、監視員ごとにばらついていた指摘の内容が揃い、改善の期限までに直る施設の割合が上がりました。食中毒の調査では、◯件を担当し、原因の特定まで運んでいます。

「ありません」で終わらせない。規模と、変えた前後を出す。これで足ります。

5. 「行政の人は、コストの感覚が薄いのでは」

避けたい答え方

> たしかに、民間ほどは厳しくなかったかもしれません。

組み立て方

> 基準を守るためのコストが相手の側にある、という点は、行政のほうが強く意識していました。改善を求めるとき、設備の更新が要る指摘と、運用を変えれば済む指摘を分けて出していました。小さな事業者に設備の更新を求めれば、営業が続かなくなることがあるからです。基準を外さずに、相手の負担がいちばん小さい直し方を一緒に探す。それが、指導の中身でした。自社の中でも、同じ形で品質と費用の両立を考えられると思っています。

この質問は、行政の仕事の中身を知らない相手から来ます。事実で返せば足ります。

この質問に固有の事情もあります。保健所での「コスト」は、相手の側のコストでした。自分の組織の損益ではない。ここは、否定せずに認めてください。そのうえで、「だから、相手の負担を減らす直し方を、いつも探していました」と続ける。自分の損益を見てきた経験ではなく、相手の負担を計算しながら基準を守らせてきた経験として出すと、品質保証の部門では、そのまま評価されます。

6. 「規制する側から、規制される側に回ることになりますが」

避けたい答え方

> 立場が変わるだけなので、問題ないと思います。

組み立て方

> そこは考えた点です。立ち入る側にいたので、行政が何を、どの順で見るかは分かっています。指摘が出る施設には共通した傾向があって、記録が実態と合っていない、責任者が変わったときに手順が引き継がれていない、この2つがほとんどでした。規制される側に入るのであれば、まずその2つを社内で先に潰しておく。行政の立入りは、その確認の場にできると思っています。

規制される側の会社を受けるなら、この質問はほぼ確実に来ます。具体で返してください。

この質問に固有の事情もあります。産業保健の方向を受ける場合は、「住民の側から、会社の側に立てるか」という形で同じ質問が来ます。答え方の骨は同じです。保健所での相談も、本人の希望と制度の枠の間で線を引く仕事だった。会社の側に立つといっても、従業員の健康の情報をどこまで人事に渡すかの線は、会社と先に決めておきたい。——この形で返せば、線を引ける人として読まれます。

7. 「なぜ、今のタイミングで辞めるのですか」

避けたい答え方

> 保健所の人員が減っていて、業務が回らないからです。

組み立て方

> 規制する側の仕事を続けたいという前提があります。ただ、保健所では、指摘して、直ったかを確かめるところまでが仕事でした。直す側の仕組みを、自分で作ることはできません。基準を守る仕組みを、会社の中で設計して運用する側に回りたいと考えました。規制する側で何を見てきたかは、その設計にそのまま使えると思っています。

負荷を理由にしない。設計する側に回りたい、という組み立てにしてください。

なお、この質問では、時期の理由も一緒に聞かれます。保健所の仕事は、監視指導計画の年度と、食中毒の多い夏の時期がはっきりしているので、「今年度の計画の実施を終える時期を区切りにしたい」という答え方ができます。引き継ぎの見通しを自分から言える人は、入った後の動き方も想像しやすいと受け取られます。とくに、担当する施設を持っている職では、抜ける時期の説明ができるかどうかを見られます。

LINEで短く聞くこともできます

逆質問で確かめておくこと

3つに絞ってください。

1. 止める判断が、品質保証の側にあるか

> 品質や安全に関わる問題が出たとき、製造や販売を止める判断は、どの部門が持っていますか。

この経歴の方は、止める権限のある環境にいました。移った先でその権限がどこにあるかは、働き方に直結します。

2. 行政の立入りに、誰が対応しているか

> 保健所や行政の立入検査には、どの部門のどなたが対応されていますか。

この経歴の方は、立入る側を知っています。その強みが使われる形になっているかを、先に確かめてください。

3. 指摘した後の、追跡の仕組み

> 監査や検査で指摘が出た後、改善の確認は、どういう仕組みで追われていますか。

指摘して終わりの会社か、確かめる仕組みのある会社か。ここで、入った後の仕事の質が分かります。

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まとめ

よくある質問

事務職で、立入や指導はしていません

先に言ってしまって構いません。面接で困るのは、分かるふりをして踏み込んだときです。言い方は、「立入と技術上の判断は監視員が担当していました。私は営業許可の申請の受付と審査の事務、届出の処理、発生時の事務局を担当していました」で足ります。そのうえで、自分の範囲の中身を具体的に話してください。とくに、食中毒や感染症の発生時に、相談の窓口と関係機関の連絡の事務局を回した経験は、免許の有無に関わらず、危機の対応の事務局として評価される部分です。線を引いた説明のほうは、聞く側は安心します。

施設や患者のことは、面接でどこまで話せますか

「どこで」は話せません。「どうやって」は話せます。管内の施設数、立入の件数、調査した事案の数といった量の話は、公表資料や所内の統計の範囲で話せます。一方で、特定の施設の名前、処分の経緯、患者や相談者に関わる情報は、話せません。面接で「たとえばどんな事案ですか」と聞かれたときも、「業種と、調査の進め方でお話しすると」と前置きして答えてください。この線を自分で引けることは、品質保証でも産業保健でも、それ自体が評価の対象になります。話せないことがあるのは、相手も分かっています。

民間の速度についていけるか不安です

保健所の仕事には、速い場面と遅い場面の両方があります。食中毒の疑いが入れば、その日のうちに立入と聞き取りを始めています。時間をかけていたのは、営業の停止や許可の取消しといった、後から直せない判断のほうです。面接では、この区別を言葉にしてください。「後から直せる判断は速く、直せない判断は時間をかける仕事でした」という形です。速い遅いの一般論に乗らず、判断の種類で分ける。この答え方ができると、判断の設計を考えている人だと読まれます。働き方の変化は保健所・衛生課から民間に移ると働き方と評価はどう変わるかに整理しています。

出典

  1. 食品衛生法 第60条(許可の取消し、営業の禁止・停止)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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