部署別 / 環境課
環境課の職務経歴書|書き出しから実績の出し方まで
環境課の職務経歴書で、いちばん多い失敗はこれです。
「廃棄物の処理、環境保全に関する業務」
この1行で終わってしまいます。
読む側は、ここから「窓口で苦情を受けていた人」という像しか作れません。実際には、数万世帯分の処理を、委託先を使って毎日回し、同時にその能率を上げてきたわけですが、それが書かれていません。
この記事では、職務要約・担当業務・実績の3つに分けて、悪い例と良い例を並べます。
言い換えは環境課の経験は民間で何と呼ばれるか、行き先は環境課から転職しやすい業界と職種に書いています。
「能率的な運営に努めなければならない」
書き方に入る前に、この仕事の性格を条文で押さえます。書類の芯になる部分です。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律第4条第1項は、こう定めています。
市町村は、その区域内における一般廃棄物の減量に関し住民の自主的な活動の促進を図り、及び一般廃棄物の適正な処理に必要な措置を講ずるよう努めるとともに、一般廃棄物の処理に関する事業の実施に当たつては、職員の資質の向上、施設の整備及び作業方法の改善を図る等その能率的な運営に努めなければならない。
最後の一節を読んでください。
「職員の資質の向上、施設の整備及び作業方法の改善を図る等その能率的な運営に努めなければならない」。
能率を上げることが、法律に書かれています。
しかも、その手段まで挙げられています。人の育成、施設の整備、作業方法の改善。
ここが要点です。
この仕事は、「決まったとおりに回す」だけではありません。回しながら、能率を上げることが、責務として定められています。
そして、それは民間でいう業務改善そのものです。
書類には、この部分を書いてください。
- 作業方法を、どう変えたか(収集の順路、搬入の時間、委託の仕様)
- それで、何がどれだけ変わったか(時間、台数、費用、回数)
- 人と施設について、何を整えたか
「廃棄物の処理」ではなく、この3つです。
職務要約
冒頭の3〜5行で、読まれ方が決まります。
悪い例
> ◯◯市役所の環境課に配属され、廃棄物の処理と環境保全に関する業務を担当しました。
規模も、範囲も、数字も入っていません。
良い例
> ◯◯市(人口約◯万人、約◯万世帯)の環境の部門において、一般廃棄物の収集運搬と処理の運用を担当しました。収集運搬の委託◯件(車両約◯台)の管理、処理施設(処理能力 日量◯トン)への搬入の管理、年間約◯トンの処理を扱っています。あわせて、騒音・振動・悪臭・水質に関する苦情を年間約◯件受け、現地の確認と測定を行いました。収集の順路と搬入の時間の見直しにより、車両◯台分の運行を削減しています。
入っているもの
- 世帯数と年間の処理量(=オペレーションの規模)
- 委託の件数と車両の台数
- 苦情の件数(=規制の側の経験)
- 能率を上げた実績
4つ目が、条文に書かれている責務です。ここを書くと、「回していた人」から「改善していた人」に変わります。
担当業務
「廃棄物の処理」で丸めず、機能に分けて書いてください。
悪い例
> ・ごみの収集に関する事務> ・処理施設に関する事務> ・公害の苦情対応> ・その他庶務
良い例
> 【収集運搬の運用と委託(委託◯件・車両約◯台)】> 収集の区域と曜日の設計、順路の見直し、委託の仕様の作成と契約、日々の運行の管理、休日と年末年始の体制。出る量が増える時期に働ける人が減るため、体制を年度の初めに設計。>> 【処理施設・最終処分場の管理(日量◯トン)】> 搬入の管理、運転の委託の監督、維持補修の発注、停止時の対応、残余の容量の把握。停止できない施設のため、補修の時期を搬入の少ない時期に合わせて設計。>> 【資源化と減量(資源化率◯%)】> 分別の区分の設計、集団回収の支援、生ごみの減量、住民向けの説明。分別は強制できないため、分かりやすさと続けやすさで設計。>> 【公害の規制と苦情(年間約◯件・測定◯地点)】> 苦情の受付と聞き取り、現地の確認、測定の手配、基準との照合、事業者への対応、記録。夜間・休日に発生するため、測定の時間帯の設計が中心。>> 【計画と排出量】> 一般廃棄物処理計画、環境基本計画、地球温暖化対策の実行計画、排出量の算定、進捗の取りまとめ。>> 【不法投棄・許可の事務】> 不法投棄の現地の確認と対応、一般廃棄物処理業の許可に関する事務。
太字にした部分が、他の応募者と差がつく場所です。やったことではなく、そこで何を設計していたかを1つずつ足してください。
実績
ここが書きにくい部分です。成果が、止まらなかったこととして現れるからです。
悪い例
> 廃棄物の適正な処理と、生活環境の保全に努めました。
工程も数字も入っていません。
良い例(3つの型)
型1:能率を上げた
> 収集の順路について、地区ごとの排出量と所要時間を1年分集計。世帯数の増減と実際の所要時間にずれがある区域を抽出し、区域の割り振りと順路を見直した。結果として、同じ体制で◯地区を吸収し、車両◯台分の運行を削減した。
型2:減らした
> 資源化について、分別の区分ごとの排出量と、混入の状況を調査。混入が多かった◯品目について、説明の表示を作り直し、集積所への掲示と広報での周知を組み合わせた。その結果、資源化率が◯%から◯%になった。
型3:再発を止めた
> 不法投棄について、発生の場所と時間帯を1年分記録し、集中する箇所を特定。関係する部署と協議して、看板の設置と、見通しを確保する除草の時期の調整を実施。件数が◯件から◯件に減った。
型1が、この経歴でいちばん効く形です。「同じ体制で、処理する量を増やした」という話は、物流でも、設備の運営でも、そのまま同じ評価をされます。
型3も強いです。起きてから対応するのではなく、起きにくい条件を作ったという話は、予防の設計として読まれます。
数字の出し方
公表されている資料と、事業の概要から取ってください。
| 数字 | どこで使うか | 注意 |
|---|---|---|
| 人口・世帯数 | 職務要約 | オペレーションの規模。公表されている |
| 年間の処理量(トン) | 職務要約、実績 | 扱っていた量を示す中心の数字 |
| 委託の件数と車両の台数 | 職務要約、担当業務 | 外注の規模。仕様を書いていたなら必ず添える |
| 処理施設の処理能力(日量) | 担当業務 | 公表されている。施設の方向では必須 |
| 資源化率 | 実績 | 改善を示すならこれ |
| 苦情の件数と測定の地点数 | 担当業務、実績 | 規制の側の経験量 |
| 最終処分場の残余の容量 | 担当業務 | 長期の計画を見ていた証明になる |
| 排出量(年度別) | 担当業務 | 算定に関わっていたなら書く |
1行目から3行目が中心です。世帯数・処理量・委託と車両。この3つが揃うと、オペレーションの規模が一発で伝わります。
盛った数字は、面接で必ず確認されます。
自分の数字がどう読まれるかは、話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
並べ替え:応募先によって前に出すものを変える
同じ経歴でも、順番を変えるだけで通りやすさが変わります。
| 応募先 | 1番目 | 2番目 | 3番目 |
|---|---|---|---|
| 処理業・収集運搬 | 委託の仕様と車両の台数 | 搬入と実績の確認 | 許可の事務 |
| プラント・施設の運営 | 施設の処理能力と搬入の管理 | 補修の発注と停止時の対応 | 残余の容量 |
| 自治体を顧客とする企業 | 計画と指標の設計 | 排出量の算定 | 庁内の合意の取り方 |
| 企業の環境管理 | 扱った法令の分野 | 届出の審査と基準の照合 | 測定の設計 |
| エネルギー・開発 | 住民説明の回数と規模 | アセスの手続 | 関係部署との調整 |
1番目に何を置くかだけでも、書類の読まれ方は変わります。全部を書き直す必要はありません。
書いてはいけないこと
苦情も、事業者の情報も、立場があるから知り得たものです。
- 苦情の申出人や、相手方が特定できる書き方
- 事業者の名称、施設の所在、測定の個別の結果
- 指導や、改善の命令に関する個別の経緯
- 不法投棄の実行者に関すること
- 委託先の事業者の経営の状況、入札の予定価格
- 公表前の施設の整備や、区域の見直しの計画
- 特定の自治体の内部の状況や、部署の評判に関すること
書けるのは、「どういう類型の案件を、何件、どういう手順で処理したか」と「規模」までです。
> ✕ 「◯◯工場からの騒音について、住民からの苦情を受けて立入りを行い、改善させた」> ○ 「騒音に関する苦情について、受付から現地の確認、測定、基準との照合、対応の判断までの手順を整理し、年間◯件を同じ流れで処理できるようにした」
後者のほうが、書類としても強くなります。個別の案件ではなく、自分が整理した手順が書かれているからです。
つまずきやすい点
1. 「廃棄物の処理」で丸める
収集運搬/施設/資源化/公害/計画/不法投棄と許可の6つに分けてください。
2. 委託を「管理」と書く
仕様を書いていたなら、それは要件定義です。そう書いてください。
3. 能率を上げた話を書かない
条文に書かれている責務です。何か1つは変えているはずです。
4. 苦情の件数を書かない
規制の側の経験量を示す数字です。
5. 個別の案件を書いてしまう
申出人、事業者、測定の結果、指導の経緯。すべて書けません。類型と手順で書いてください。
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まとめ
- 廃棄物処理法第4条は、「職員の資質の向上、施設の整備及び作業方法の改善を図る等その能率的な運営に努めなければならない」と定めています
- つまり、回すだけでなく、能率を上げることまでが責務です。これは、民間の業務改善そのものです
- 職務要約には、世帯数と処理量・委託と車両の台数・苦情の件数・能率を上げた実績の4つを入れてください
- 担当業務は、6つの機能に分けて書きます
- 実績は、①能率を上げた ②減らした ③再発を止めたの3つの型で書けます。①がいちばん効きます
- 「委託業務の管理」ではなく「仕様の作成」と書いてください。民間でいう要件定義にあたります
よくある質問
収集は委託で、自分は事務だけです。それでも書けますか
書けます。むしろ、委託で回していたこと自体が、書くべき内容です。民間でも、現業を自社で持たずに外注で回す形は普通にあります。書くべきは、①仕様を誰が書いたか ②何台・何人・どの区域・週何回という条件をどう決めたか ③実施の状況をどう確認したか ④費用をどう精算したかの4つです。この4つを自分でやっていたなら、それは委託先の管理の実務です。「現場に出ていないから書けない」ということはありません。
施設が組合(一部事務組合)の所管で、市では扱っていません
その場合は、線を引いて書いてください。「処理は一部事務組合が実施しており、市は収集運搬と搬入の管理を担当」という形です。正確に書いたほうが信用されます。そのうえで、組合との調整——搬入の計画、負担金、施設の整備の協議——を担当していたなら、それは書けます。複数の自治体で構成する組織との協議は、民間でいう共同事業や、組合との折衝と同じ構造です。
環境課に2年しかいません。書けることはありますか
2年でも、通した工程があれば書けます。この分野は、1年目で年間の流れを覚え、2年目に自分の担当が固まるという進み方をします。書くなら、「◯年目から収集運搬の委託◯件を担当し、仕様の作成から精算まで一貫して実施」と、担当を持った期間を明示してください。そのうえで、その中で自分が変えたことを1つ——順路、様式、表示、確認の手順——書ければ十分です。年数の短さは、担当を持っていた事実で埋まります。面接で聞かれることは環境課出身者が面接で必ず聞かれることに整理しています。