部署別 / 企画課・政策企画
企画課・政策企画の面接|聞かれることと、答え方の型
企画課からの面接で詰められる場所は、だいたい決まっています。
「計画を作れること」は、あまり評価の対象になりません。作れるのは前提として扱われます。聞かれるのは、その先です。権限がないなかで、どうやって人を動かしたのか。作った計画で、実際に何が変わったのか。
この記事では、実際に出てくる質問を並べ、それぞれをどう答えるかを整理します。
言い換えは企画課・政策企画の経験は民間で何と呼ばれるか、行き先は企画課・政策企画からの転職先、書類は職務経歴書に分けて書いています。
答え方の型は、条文の中にあります
答え方の前に、企画課の仕事の性格を確認します。そのまま答えの組み立て方になります。
まち・ひと・しごと創生法第2条は、基本理念を列挙しています。その第2号がこうです。
日常生活及び社会生活を営む基盤となるサービスについて、その需要及び供給を長期的に見通しつつ、かつ、地域における住民の負担の程度を考慮して、事業者及び地域住民の理解と協力を得ながら、現在及び将来におけるその提供の確保を図ること。
1文のなかに、4つのことが入っています。
1. 需要と供給を長期的に見通す2. 負担の程度を考慮する3. 関係者の理解と協力を得る4. 現在と将来の提供を確保する
見通して、負担を測って、合意を作って、続く形にする。これが企画課の仕事の全体像です。
面接で聞かれるのも、結局この4つのどれをやったかです。自分の経験を、この4つのどこに当たるかで整理しておくと、どの質問にも答えられます。
質問1:「なぜ転職しようと思ったのですか」
最初に来ます。企画課の方がつまずきやすい質問でもあります。
避けたい答え方
「計画を作っても実行されないことに限界を感じた」「前例主義で新しいことができない」。
気持ちは分かりますが、いまの職場を否定する形に聞こえると、次の職場でも同じように言うと思われます。しかも「計画が実行されない」は、民間の経営企画でも起きることです。
組み立て方
やってきたことを起点にします。
> 企画課で6年、総合計画の策定と策定後の進捗管理を担当してきました。指標を設計して実績を追ううちに、計画の書き方より、実際に事業を動かす側との距離のほうが結果を左右すると考えるようになりました。企画課の立場では事業の実施まで踏み込むことが難しく、計画と実行の両方に関われる場所を探しています。
否定していません。やってきたことの延長線上に、次の希望を置いています。
質問2:「企画課とは、何をする部署ですか」
自治体を知らない面接官から来ます。説明の分かりやすさが見られています。
避けたい答え方
計画の名前を並べることです。「総合計画と総合戦略と、公共施設等総合管理計画と……」。読み手は計画名を知りません。
組み立て方
社内の似た機能に置き換えてください。
> 全部署の事業をひとつの体系に並べて、市として何を優先するかを決める部署です。御社でいうと経営企画に近く、事業部ごとの計画を全社方針と突き合わせる役割にあたります。ただし、予算の決定権は財政課にあり、事業の実施権限は各部署にあるので、企画課が持っているのは計画に書き込む権限と、会議を設計する権限だけです。
最後の1行が効きます。権限がないという事実を、自分から正確に説明できる人は多くありません。
質問3:「権限がないなかで、どうやって動かしたのですか」
企画課の面接で必ず出る質問です。そして、いちばん強く答えられる質問でもあります。
組み立て方
状況 → 何を材料にしたか → どう決着したかの順で話します。
> 同じ対象に3つの課が似た事業を提案していた分野がありました。どの課が担うかを決める権限は企画課にないので、まず3課の事業を対象者・手段・予算規模の3点で並べた資料を作り、重なっている範囲を数字で示しました。そのうえで3課の担当者と課長級の会議を設定し、統合するならどの課が受けるかを議題にしています。企画課からは案を出さず、判断材料の提示に徹しました。結果として1つの課に集約する形で合意し、翌年度の予算要求も1本化されています。
「案を出さず、判断材料の提示に徹した」という説明が重要です。権限がない立場で合意を作る方法を理解している、と読まれます。
民間の経営企画も、事業部に指示する権限を持たないことが多い部署です。同じ問題を毎日扱っている人たちが面接官なので、ここは通じます。
質問4:「作った計画は、実際に効果があったのですか」
厳しい質問ですが、正面から答えてください。
避けたい答え方
「計画どおり進んでいます」だけで終わることです。追っていない人に見えます。
組み立て方
動いた指標と、動かなかった指標の両方を話します。
> 総合戦略で◯項目の指標を設定し、四半期ごとに実績を集めていました。動いたものもあれば、3年たっても変わらなかったものもあります。動かなかったものについては、担当課と原因を確認したうえで、次期計画で◯件を統合または廃止しました。指標が動かないこと自体より、動かない理由を確認しないまま同じ事業を続けることのほうが問題だと考えています。
動かなかった話を自分から出せると、評価が変わります。企業の経営企画でも、事業の見直しは中心的な仕事です。
質問5:「意思決定のスピードに耐えられますか」
行政経験者に対する定番の質問です。稟議の段数を責めているのではなく、自分の判断で動かした範囲があるかを確認しています。
組み立て方
> 決裁の段数は多い組織でしたが、どの課を集めて何を議題にするかは担当が決めていました。会議の設計は、一次案をこちらで作って課長級に諮る形です。一方で、計画の改定のように議会の議決を経るものは年単位で動くので、速い意思決定と遅い意思決定を使い分ける必要がありました。
段数の話ではなく、自分が決めた範囲の話に切り替える。これが要点です。
質問6:「うちで何ができますか」
応募先の方向によって、答えを完全に変えます。
| 応募先 | 前に出すこと |
|---|---|
| 経営企画・事業企画 | 全部署からの材料の集約、体系化、進捗管理、指標設計 |
| 自治体向けコンサル・シンクタンク | 計画がどう作られどう動くか、審議会と議会の通し方 |
| 自治体と組む事業開発 | 交付金の獲得、広域連携、役割分担の文書化 |
| 組織・業務改革 | 組織機構の見直し、事務事業の点検、統合・廃止 |
| データ分析・調査 | 将来推計、指標の設計と実績収集 |
同じ経歴でも、出す順番を変えるだけで通り方が変わります。
質問7:希望する条件について
給与や勤務条件の話も出ます。ここで長く話す必要はありません。
「現在の水準を基準に考えています」と伝え、具体的な調整は選考が進んでからにするのが一般的な進め方です。
なお、退職手当や共済の扱いは在職期間で変わる部分があります。手続きの前に、必ず所属の人事担当課と共済組合で確認してください。公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
逆質問で聞いておくこと
最後の「何か質問はありますか」は、確認の機会です。企画課からの転職では、次の2つを必ず聞いてください。
1. 計画と進捗管理が、いまどの段階にあるか
企画課の強みは、無いところに形を作ることです。仕組みが完成していて決まった運用を回すだけの役割だと、持ち味が出にくくなります。「中期計画の策定はどなたが担当されていますか」「進捗はどの単位で確認していますか」と聞けば、段階が分かります。
2. 事業部門との関係
経営企画が事業部に対してどの程度の影響力を持っているかは、会社によって大きく違います。指示できるのか、調整するだけなのか。企画課と同じ構造なら、入ってからの動き方がそのまま使えます。
つまずきやすい点
1. 計画の名前で説明を始める
読み手は計画名を知りません。社内の似た機能に置き換えてください。
2. 数字を持っていない
「多くの部署と調整しました」では答えになりません。関わった課の数、施策の件数、設計した指標の項目数、統合・廃止した件数。この4つは暗記しておいてください。概数で構いません。
3. 「調整力」で説明を終える
上の見解に書いたとおりです。会議の設計として言い換えてください。
4. うまくいかなかった話を用意していない
質問4は高い確率で出ます。指標が動かなかった話を1件は用意してください。
5. 現職を否定して転職理由を作る
「計画が実行されない」は民間でも起きます。やってきたことの延長で説明してください。
答え方の組み立ては、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
まとめ
- まち・ひと・しごと創生法第2条第2号は、需要と供給を長期的に見通し、負担の程度を考慮し、関係者の理解と協力を得ながら、提供を確保すると定めています。企画課の仕事の全体像がここに入っています
- 「計画を作れること」は前提として扱われます。聞かれるのは権限がないなかでどう動かしたかと作った計画で何が変わったかです
- 「企画課とは何をする部署か」は、社内の似た機能に置き換えて答えてください。権限がないことを自分から正確に説明できる人は多くありません
- 「どうやって動かしたか」には、案を出さず判断材料の提示に徹したという形で答えると通ります
- 指標が動かなかった話を1件用意してください。動かなかった話を自分から出せると評価が変わります
- 逆質問では、計画と進捗管理がどの段階かと事業部門との関係を確認します
よくある質問
行政経験しかないことを、面接でどう扱えばいいですか
隠すより先に触れたほうが通りやすい、というのが実務的な感覚です。ただし「行政しか知らないので不安です」と言う必要はありません。違いを把握していることを示してください。「売上の責任を持つ部署と向き合った経験はないので、そこは入ってから慣れる部分だと考えています」と言えれば、準備してきた証拠として読まれます。
「企画課は何でも屋だった」と正直に言ってよいですか
言い方によります。「範囲が広かった」という事実は強みにもなります。ただし「何でもやりました」で止めると、何ができる人か伝わりません。担当した工程を3つに絞って挙げてください。現状分析、会議の設計、進捗管理、といった形です。範囲の広さは、そのあとに補足として添えるほうが効きます。
何社くらい受けるものですか
決まった数はありません。ただ、企画課からの転職では方向が複数あり、方向ごとに求められる説明が変わるため、1方向に絞ると選択肢が少なくなります。経営企画と自治体向けコンサルのように、説明の型が近い2方向を並行して見ておくと、書類の作り直しが少なく済みます。方向ごとの違いは企画課・政策企画からの転職先に整理しています。