部署別 / 企画課・政策企画
企画課・政策企画からの転職先|経験が値になる5つの方向
企画課から動こうと考えたとき、困るのは「自分が何の専門家なのか」を言えないことです。
営業なら商材があります。技術職なら資格があります。企画課には、対応する職種名がすぐには出てきません。だから求人サイトを開いても、何で絞ればいいのか分からないまま時間が過ぎます。
この記事では、企画課・政策企画の経験が値になる方向を5つに分けて並べます。あわせて、合いにくい方向も同じだけ書きます。向いている先だけを並べた記事は、選ぶ材料になりません。
庁内の仕事が求人票でどの言葉に置き換わるかは企画課・政策企画の経験は民間で何と呼ばれるかに整理しています。この記事は、その先の「どこへ出すか」の話です。
計画は、文書ではなく「取りに行く道具」です
先に、企画課の経験の値がどこにあるかをはっきりさせます。
地域再生法第1条は、この法律が、少子高齢化の進展や産業構造の変化に対応して、地方公共団体が行う自主的かつ自立的な取組による地域経済の活性化、地域における雇用機会の創出その他の地域の活力の再生を総合的かつ効果的に推進するため、基本理念、政府による基本方針の策定、地方公共団体による地域再生計画の作成及びその内閣総理大臣による認定、当該認定を受けた地域再生計画に基づく事業に対する特別の措置、地域再生本部の設置について定めると規定しています。
ここに、計画の性格が書かれています。
計画を作る。認定を受ける。認定を受けると、特別の措置が使える。
つまり計画は、置いておく文書ではありません。認定という手続きを通して、特例や財源を取りに行くための道具です。
企画課の経験で値が付くのも、ここです。「計画を作れる人」ではなく、「計画で何かを取ってきた人」が求められます。
この違いは、行き先を選ぶときにも効きます。書類に書くときにも効きます。まずここを押さえてください。
方向1:事業会社の経営企画・事業企画
いちばん自然な接続先です。中期経営計画の策定、部門計画との整合、進捗管理、指標の設計。構造がそのまま重なります。
ここで効くのは3つです。
権限がないまま全体を動かしてきたこと。経営企画は事業部に指示する権限を持たないことが多い部署です。それでも計画どおりに進める必要がある。企画課が庁内でやってきた形と同じです。
全部署から材料を集めて1つの体系に落とした経験。総合計画の策定がまさにこれです。
指標を設計して実績を追った経験。行政評価や総合戦略の進捗管理が該当します。
方向2:自治体を顧客にするコンサルティング・シンクタンク
自治体向けのコンサルティング会社、シンクタンク、まちづくりの支援を行う企業です。
ここでは、計画の中身と、計画が動く仕組みの両方を知っていることが値になります。
- 総合計画にどう書かれると予算がつきやすいのか
- 個別計画と総合計画はどういう関係にあるのか
- 交付金の要件を計画にどう落とすのか
- 審議会や議会でどこが論点になるのか
外からは見えません。提案が通らない会社の多くは、ここを理解しないまま「良い提案」を作っています。
とくに、計画の受託業務を担当する側に回ると、発注者側にいた経験が直接使えます。どういう成果物が求められ、どの段階で庁内の合意が要るのかを知っているからです。
方向3:自治体と組んで動かす事業の開発
観光、交通、エネルギー、農業、健康、教育など、自治体と一緒でなければ成立しない事業を持つ企業です。
広域連携や他団体との協議をしてきた経験は、そのまま渉外や事業開発として読まれます。とくに、利害の違う相手をひとつの合意に持っていった経験は、社外との連携が必要な事業で直接使えます。
この方向で効くのが、冒頭に書いた「計画で何かを取ってきた」経験です。交付金の要件を読み、計画に落とし、認定や採択を取る。企業側では、これが補助事業の獲得や、自治体との協定の締結に対応します。
方向4:人材・組織・業務改革
組織機構の見直し、事務分掌の調整、行政評価による事業の点検を担当していた人は、この方向に接続します。
企業側では、組織設計、業務改革、社内の制度設計といった職種です。どこにどの機能を置くかを決めた経験は、外から採用しようとしても簡単には見つかりません。
ただし、この方向は求人が経営企画の中に含まれていることが多いため、職種名で探すと見つかりにくくなります。「組織設計」「業務改革」「制度企画」といった語で探してください。
方向5:データ分析・調査
統計や人口推計を扱い、指標を設計して実績を集めてきた人は、この方向も候補になります。
企業側では、事業企画の中の分析担当、マーケティングリサーチ、調査会社などです。
ただし注意点があります。分析の道具を扱えることが前提になる求人が多い方向です。表計算ソフトで集計してきたレベルと、分析ツールを使いこなすレベルでは、求められるものが違います。この方向を狙うなら、道具の習熟がどこまで必要かを求人ごとに確認してください。入ってから覚える前提で採る企業もありますが、そうでない企業もあります。
合いにくい方向も書いておきます
個人の売上目標が明確に立つ職種
企画課の仕事は、自分では動かさず、全体が動くように仕向けることに価値があります。営業は自分で取ってくることに価値があります。評価される行動が違います。合わないという意味ではなく、切り替えが要ることを自覚しているかが面接で見られます。
専門領域の深さが問われる職種
企画課は範囲が広いぶん、1つの領域の深さでは専門部署に勝てません。特定分野の専門職として応募すると、経歴が薄く見えます。横断する立場を求めている求人を選んでください。
すでに計画も体制も整っている組織の管理部門
企画課の強みは、無いところに形を作ることです。仕組みが完成していて、決まった運用を回す役割だと、持ち味が出にくくなります。面接で「いま計画や進捗管理はどの段階か」を確認してください。まだ整っていない、あるいは作り直す段階なら合います。
資格は、方向を決めてから考える
企画課の方から必ず出るのが資格の話です。順番を間違えないでください。方向を決めてから、必要かどうかを判断します。
中小企業診断士
方向2(自治体向けコンサル)と方向3(事業開発)で、話の入口として効く場面があります。事業計画を読める人だという示し方になるためです。ただし取得に時間がかかる資格なので、これを取ってから動こうとすると、動くのが1〜2年先になります。
統計や分析の道具
方向5(データ分析)を狙うなら、ここは避けて通れません。資格というより実際に使えるかどうかが見られます。総合戦略の指標を集計していた経験があるなら、その延長で学習を進めるのが自然です。
ファシリテーションや会議設計の研修
方向1(経営企画)と方向4(組織・業務改革)で、審議会や庁内会議を設計してきた経験の裏づけになります。ただし資格そのものが選考で効く場面は多くありません。実際に設計した会議の話を書くほうが直接的です。
取る前に考えること
企画課の繁忙は、計画の策定期と改定期、それに予算編成と議会の時期に重なります。この時期に学習を始めて中断する例が多いので、始めるなら計画の山を越えてからにしてください。
そして、資格を取ってから動こうとすると、動くのが1年以上先になります。いま応募できる方向があるなら、先に受けてから必要性を判断するほうが早く終わります。
探すときに使う言葉
| 持ち出すもの | 検索に使う言葉 |
|---|---|
| 総合計画・総合戦略の策定 | 経営企画、中期経営計画、計画策定 |
| 進捗管理・行政評価 | 事業評価、進捗管理、計画管理、PMO |
| 指標の設定と実績の集計 | KPI設計、データ分析、事業企画 |
| 交付金・補助制度の活用 | 補助金申請、資金調達、制度活用 |
| 広域連携・他団体との協議 | 渉外、アライアンス、事業開発 |
| 組織機構の見直し | 組織設計、業務改革、制度企画 |
| 審議会・住民会議の運営 | ステークホルダー対応、ファシリテーション |
部署ごとの対応は自治体の部署別 仕事ガイドにもまとめています。
つまずきやすい点
1. 「企画」で検索して止まる
求人票の「企画」は、商品企画から営業企画まで幅が広すぎます。「経営企画」「事業企画」「計画管理」に絞ってください。
2. 計画を作っただけで応募してしまう
策定で終わっていて、動かした経験がないと、書類が薄くなります。進捗管理を1回でも通してから動くほうが、書ける材料が厚くなります。
3. 方向2(自治体向けコンサル)を安全な選択肢だと考える
行政を知っているぶん入りやすい面はありますが、受託の仕事は納期と品質の管理が中心になります。庁内での進め方とは時間の使い方が変わります。案件が重なる時期の働き方を面接で確認してください。
4. 分析の方向を、道具の確認なしに選ぶ
方向5は求人ごとに前提が違います。道具の習熟がどこまで必要かを、応募前に確認してください。
5. 応募先を1方向に絞りすぎる
方向4(組織・業務改革)と方向5(分析)は求人の数が限られます。方向1を並行して見ておくと、選択肢が減りません。
自分の経歴がどの方向に向いているかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
まとめ
- 地域再生法第1条は、計画の作成 → 内閣総理大臣の認定 → 認定を受けた事業への特別の措置という流れを定めています。計画は文書ではなく、特例や財源を取りに行く道具です
- だから値が付くのは「計画を作れる人」ではなく、「計画で何かを取ってきた人」です
- 5方向は、経営企画・事業企画/自治体向けコンサル・シンクタンク/自治体と組んで動かす事業の開発/人材・組織・業務改革/データ分析・調査です
- 合いにくいのは、個人の売上目標が立つ職種、専門領域の深さが問われる職種、仕組みが完成している組織の管理部門です
- 「企画」で検索すると幅が広すぎます。「経営企画」「事業企画」「計画管理」に絞ってください
- 方向1と方向2は併願しやすく、方向1と方向5は職務経歴書を分けたほうが早く終わります
よくある質問
小さい自治体の企画課でも評価されますか
されます。むしろ小規模な団体のほうが一人が見る範囲が広いため、計画の策定から交付金の申請、組織の見直しまで通して経験している場合があります。大きい自治体では担当が細かく分かれ、計画の1章だけを数年担当する形になりがちです。書類では規模ではなく、自分が通しで見た範囲を書いてください。
企画課に何年いれば動けますか
年数より、計画のサイクルを何周したかで見てください。策定、初年度の進捗管理、実績の評価、見直し。この流れを1周していれば話は組めますし、2周していれば「見直しで何を変えたか」まで語れます。策定だけで終わっている段階だと、書ける材料が薄くなります。
民間企業での計画策定と、行政の計画策定は違いますか
工程はよく似ていますが、2つ違います。1つは、行政の計画は議会やパブリックコメントを通るため、外部に説明する工程が制度として入っていること。もう1つは、計画の期間が長いことです。民間の中期計画は3年程度が多いのに対し、総合計画は基本構想で10年前後になります。面接では、前者は強みとして、後者は「短い周期に合わせる必要がある点は理解しています」という形で触れておくと、話が早くなります。