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部署別 / 交通・公営企業

交通・公営企業出身者が面接で必ず聞かれること

交通局や公営企業から民間に移るとき、面接でよく来るのはこの形の質問です。

「事故が起きたら、どうしますか」

これは、事故の話を聞いているのではありません。

安全と運行が衝突したとき、どちらを先に置く人かを聞いています。そして、この経歴の方は、その順番が法律に書かれている環境にいた側です。

この記事では、実際に来る質問を7つ挙げて、避けたい答え方と組み立て方を並べます。

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「輸送の安全の確保が最も重要であることを自覚し」と書かれています

質問に入る前に、答え方の芯を1つ作っておきます。道路運送法第22条です。

> 一般旅客自動車運送事業者は、輸送の安全の確保が最も重要であることを自覚し、絶えず輸送の安全性の向上に努めなければならない。

そして、第22条の2は、一定の規模以上の事業者に、安全管理規程を定めて届け出ることを求め、その規程には「輸送の安全を確保するための事業の運営の方針に関する事項」を書くよう定めています。

「最も重要であることを自覚し」です。

「安全に配慮し」ではありません。最も重要である。そして、それを規程にして、届け出る。

ここが、答え方の芯になります。

つまり、この経歴の方は、「安全が運行より先に来る」ことを、法律と規程で決められた環境にいました。しかも、公営も民間も、同じ条文のもとにあります。遅れれば苦情が来る。それでも、安全に疑いがあれば止める。その順番が、事業者の側で決まっている。

民間の面接で来る質問の多くは、「利益と安全が衝突したとき、順番を守れる人かどうか」を確かめています。交通でも、製造でも、物流でも、構図は同じです。

この形で答えられると、7つの質問はほとんど同じ骨で答えられます。

実際に来る質問7つ

1. 「公営の交通の経験は、うちのどこで使えると思いますか」

避けたい答え方

> 公営なので、民間の経営感覚とは違うかもしれませんが。

組み立て方

> 3つあると考えています。1つ目は、運行と安全の体制です。◯路線、車両約◯台の事業で、営業所の運行管理と安全管理規程の運用を担当していました。御社と同じ法律のもとで、同じ仕組みを回してきました。2つ目は、採算の説明です。路線別の収支を出し、税で持つ部分と料金で回す部分を切り分けて協議していました。3つ目は、経営の判断が組織の中で完結する形です。公営企業は管理者のもとで契約も人事も局で決まるので、行政の中では民間にいちばん近い組織にいました。

3つに割って、それぞれに数字を添える。この形が通りやすい形です。

2. 「事故が起きたとき、どうしていましたか」

避けたい答え方

> まず上司に報告して、指示を仰いでいました。

組み立て方

> 報告はしますが、報告を待って止める形にはしていませんでした。安全管理規程で、運行を止める判断の区分と、誰が決めるかを先に決めてあります。現場の判断で止められる範囲と、局の判断が要る範囲を分けておく。止めた後の代替の手配、乗客への案内、再開の条件も、事象の区分ごとに手順にしていました。実際に、異常時の連絡と判断の手順を文書にして、営業所の当番が単独で迷わない形に変えています。

「止める判断の区分を、先に決めていた」——この言い方が、安全を扱う会社でいちばん届きます。

3. 「早朝や深夜、休日の勤務がありますが、大丈夫ですか」

避けたい答え方

> 交通局でも早朝の勤務はあったので、慣れています。

組み立て方

> その形は経験しています。始発の前から、最終の後までが運行の時間なので、営業所の管理も当番で回していました。確認しておきたいのは、体制の組み方です。一人で抱える形なのか、当番で回す形なのか。回す形であれば、こちらから合わせられますし、当番の設計の経験もお出しできます。

受け入れる姿勢だけを見せるより、体制の話で返すほうが、長く続く前提の人として読まれます。

この質問に固有の事情もあります。交通の勤務は、時刻が動かせません。始発は決まった時刻に出ます。だから、「忙しい時期に残業する」形ではなく、「毎日、早朝と深夜のどちらかに寄る」形です。面接では、「繁忙期の残業ではなく、毎日の勤務の時間帯が寄る形でした」と答えるほうが正確です。相手の会社の勤務も同じ形なのか、繁忙期に集中する形なのか。そこは、逆質問で確かめておくと、入った後の差が小さくなります。

4. 「数字で成果を出した経験はありますか」

避けたい答え方

> 行政なので、売上のような数字はありません。

組み立て方

> 売上に当たる数字は、あります。運賃の収入と、輸送人員です。年間輸送人員約◯万人、経常収益約◯億円の事業を担当していました。◯路線の再編では、路線別の収支と輸送人員を分析して、減便と経路の変更を組み合わせた案を作り、年間約◯円の収支の改善を見込んで実施しました。運賃の改定では、試算から認可の申請まで担当しています。

「ありません」で終わらせない。公営企業には、収入の数字があります。それを出せば足ります。

5. 「公営だと、コストの感覚が薄いのでは」

避けたい答え方

> たしかに、民間ほどは厳しくなかったかもしれません。

組み立て方

> 地方公営企業は、経費を収入で充てることが法律の原則です。税で埋める部分は、法律で決められた例外に限られていて、その根拠を毎年、財政の部署と協議していました。しかも、公営企業の職員の給与は、経営の状況を考慮して定めると法律に書かれています。経営の数字が自分の給与に関わる仕組みの中にいたので、費用と収入を突き合わせる作業は、毎年やっていました。

この質問は、公営企業の仕組みを知らない相手から来ます。事実で返せば足ります。

この質問に固有の事情もあります。地方公営企業法第38条は、企業職員の給与について「当該地方公営企業の経営の状況その他の事情を考慮して定めなければならない」と定めています。一般の行政職とは、ここが違います。ただし、「だから民間と同じ」とは言わないでください。利益を増やすことが目的ではなかった点は、否定せずに認める。そのうえで、「だから、必要な費用かどうかの説明を、毎年していました」と続ける。費用を削る経験ではなく、費用の必要性を説明してきた経験として出すと、設備を持つ会社では、そのまま評価されます。

6. 「民間では、不採算の路線は切ります。それに関われますか」

避けたい答え方

> 住民の足を守る仕事をしてきたので、正直、抵抗があります。

組み立て方

> そこは考えた点です。公営では、切る前に、減らす、経路を変える、別の手段に置き換える、という選択肢を先に探していました。それは、切れないからです。民間で切る判断ができる環境に入っても、切る前にできることを出せる人は要ると思っています。切る判断そのものは、数字で決まることなので、抵抗はありません。むしろ、切った後に沿線にどう説明するかは、経験してきた部分です。

民間の交通の会社を受けるなら、この質問はほぼ確実に来ます。抵抗を隠さず、切る前の選択肢を出せることで返してください。

7. 「なぜ、今のタイミングで辞めるのですか」

避けたい答え方

> 民間への移管の話が出ていて、先行きが不安だからです。

組み立て方

> 交通の仕事を続けたいという前提があります。ただ、1つの事業体にいると、その区域の事情の中でしか考えられません。公営の交通の民間への移管や、民間との共同の運行が進む中で、複数の地域を横に見ながら、仕組みを作る側に関わりたいと考えました。運行と安全の現場と、路線別の採算の両方を見てきた経験は、その方向で使えると思っています。

不安を理由にしない。横に広げたい、という組み立てにしてください。

なお、この質問では、時期の理由も一緒に聞かれます。交通の仕事は、ダイヤの改正の時期と、年度の区切りがはっきりしているので、「担当しているダイヤの改正を終える時期を区切りにしたい」という答え方ができます。引き継ぎの見通しを自分から言える人は、入った後の動き方も想像しやすいと受け取られます。とくに、運行管理者として選任されている職では、抜ける時期の説明ができるかどうかを見られます。

LINEで短く聞くこともできます

逆質問で確かめておくこと

3つに絞ってください。

1. 止める判断が、現場にあるか

> 安全に関わる異常が出たとき、現場の判断で運行を止められる範囲はどこまでですか。

この経歴の方は、止める判断の区分がある環境にいました。移った先でその権限がどこにあるかは、働き方に直結します。

2. 路線やダイヤの見直しの周期と決め方

> 路線やダイヤの見直しは、どのくらいの周期で、どの部門が決めていますか。

公営では年単位で、議会と住民への説明を経て決まりました。民間の速度を、先に知っておいてください。

3. 自治体との窓口を、誰が持つか

> 自治体との協議や補助の申請は、どの部門のどなたが担当されていますか。

この経歴の方は、行政の側の動き方が読めます。その強みが使われる形になっているかを、先に確かめてください。

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まとめ

よくある質問

事務職で、運行や安全の現場は担当していません

先に言ってしまって構いません。面接で困るのは、分かるふりをして踏み込んだときです。言い方は、「運行と安全の技術上の判断は技術職と運行管理者が担当していました。私は路線別の収支の分析、一般会計との負担の協議、運賃の改定、公営企業会計の決算を担当していました」で足ります。そのうえで、自分の範囲の中身を具体的に話してください。とくに、公営企業会計と、規制された価格を動かす手続きは、技術の有無に関わらず評価される部分です。線を引いた説明のほうが、聞く側は安心します。

事故のことは、面接でどこまで話せますか

公表されている範囲までです。事故の件数の推移や、再発の防止のために整備した手順は、話せます。一方で、個別の事故の当事者、乗務員の処分、被害者に関わる情報は、話せません。面接で「たとえばどんな事故ですか」と聞かれたときも、「事象の区分と、その後に変えた手順でお話しすると」と前置きして答えてください。この線を自分で引けることは、人を乗せる事業を扱う会社では、それ自体が評価の対象になります。話せないことがあるのは、相手も分かっています。

民間の速度についていけるか不安です

交通の仕事には、速い場面と遅い場面の両方があります。運行の異常が起きれば、その場で数分単位の判断をしています。時間をかけていたのは、路線の再編や運賃の改定といった、後から直せない判断のほうです。面接では、この区別を言葉にしてください。「後から直せる判断は速く、直せない判断は時間をかける仕事でした」という形です。速い遅いの一般論に乗らず、判断の種類で分ける。この答え方ができると、判断の設計を考えている人だと読まれます。働き方の変化は交通・公営企業から民間に移ると働き方と評価はどう変わるかに整理しています。

出典

  1. 道路運送法 第22条(輸送の安全性の向上)・第22条の2(安全管理規程等)|e-Gov法令検索
  2. 地方公営企業法 第38条(給与)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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