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部署別 / 交通・公営企業

交通・公営企業から転職しやすい業界と職種

交通局や公営企業から民間に移るとき、行き先は1つではありません。

むしろ、この経歴は、行政の中でいちばん民間に近い場所にいたという、めずらしい経歴です。運行と現場を回してきたのか、車両と設備を保ってきたのか、経営の数字を見てきたのか。どこを長くやってきたかで、通る求人が変わります。

この記事では、向いている5つの方向と、合いにくい方向を並べます。資格と検索語も最後に付けます。

言い換えは交通・公営企業の経験は民間で何と呼ばれるかに書いています。

「業務を執行し、当該地方公共団体を代表する」と書かれています

行き先の話に入る前に、この分野の構造を条文で押さえます。地方公営企業法第8条です。

> 管理者は、次に掲げる事項を除くほか、地方公営企業の業務を執行し、当該業務の執行に関し当該地方公共団体を代表する。ただし、法令に特別の定めがある場合は、この限りでない。> 一 予算を調製すること。> 二 地方公共団体の議会の議決を経るべき事件につきその議案を提出すること。> 三 決算を監査委員の審査及び議会の認定に付すること。

ここが、行き先を分ける線です。

予算の調製、議案の提出、決算の認定。この3つを除けば、管理者が業務を執行し、団体を代表する。契約も、人事も、料金の運用も、局の中で決まります。

つまり、この経歴の方は、「経営の判断が組織の中で完結する」環境で働いてきたことになります。一般の行政の部署であれば、判断の多くは長と議会に上がります。公営企業では、その大半が局長の決裁で動く。

この違いが、そのまま行き先の当たりになります。民間の会社は、経営の判断が社内で完結する組織です。その形を、すでに知っている。行政の中で、これを言える経歴は多くありません。

向いている5つの方向

1. 民間の鉄道・バス・タクシーの会社

項目内容
効く経験運行の管理、ダイヤの編成、乗務員の配置、車両の保全、安全の管理体制
求められる形運行の管理者、営業所の管理、車両の部門、安全の統括
入りやすさ高い。同じ法律、同じ許可、同じ監査のもとで走っている

書くときの注意。運行と安全の体制を、そのまま書いてください。民間のバスや鉄道の会社がいちばん欲しいのは、「運行管理と安全管理の仕組みを回したことがある人」です。公営も民間も、その仕組みは同じ法律で決まっています。

この方向に固有の制約もあります。民間の交通の会社は、不採算の路線を切ることができます。公営では、住民の足として残す判断が先に来ました。移った後は、「切る」判断に自分が関わることになる。これに抵抗を感じる方がいます。一方で、公営で「切らずに減らす」工夫を重ねてきた人は、民間でも「切る前にできること」を出せる。そこが、慣れた後の強みになります。

2. 物流・運送・配送の会社

項目内容
効く経験車両と乗務員で毎日サービスを出し切る運用、車両の保全、労務の管理
求められる形配車の管理、営業所の運営、車両の管理、安全の管理
入りやすさ高い。人が足りていない分野

書くときの注意。「在庫が持てないサービスを、車両と人で毎日出していた」と書いてください。物流も同じ構造です。走らなかった便は後で売れない。この条件で運用を組んできた人は、配車の設計がそのままできます。

この方向に固有の制約もあります。旅客と貨物では、相手が違います。旅客は乗る人が相手で、時刻が先に決まっています。貨物は荷主が相手で、荷物の量に合わせて毎日組み替える。「決まったダイヤを守る」から「毎日ダイヤを作る」に変わる。この変化を、面白いと感じるか、落ち着かないと感じるかは、人によります。一方で、乗務員の労務の管理と安全の管理は、旅客も貨物も同じ法律の骨で、そこは変わりません。

3. 交通の計画を支援するコンサルタント・自治体向けの交通の事業者

項目内容
効く経験路線の再編、需要の分析、地域の交通の計画、一般会計との負担の協議、住民への説明
求められる形受託、調査、計画の策定支援、自治体との協議、共同の運行の設計
入りやすさ中〜高。計画と数字の両方を見てきた人は多くない

書くときの注意。再編の案を、数字と説明の両方で運んだことを書いてください。この方向がいちばん欲しいのは、「自治体の側で、どう決まるかを知っている人」です。議会にどう説明したか、住民の説明会で何が出たか。それを知っている人は、外から採りにくい。

この方向に固有の制約もあります。受託の側から計画を作ると、成果物は報告書です。実際に再編が進むかどうかは、その後の自治体の判断に委ねられます。在職中は、計画を作った後に自分で動かす立場でしたが、移った後は、作ったところで手が離れる。この切れ方を物足りなく感じる方もいます。一方で、複数の自治体の交通に関わることで、比べる目が付きます。1つの事業体の事情しか知らない状態から出られる、という利点を取る方も多い方向です。

4. 施設の運営・公益の事業

項目内容
効く経験規制された価格の中で売る、公共性の説明、公営企業会計、指定管理や委託の仕様
求められる形指定管理の施設の運営、電力・ガス・通信の料金と需要家の対応、事業の企画
入りやすさ中。求人は限られるが、構造の一致度が高い

書くときの注意。「価格で勝負できない事業で、価格以外で売っていた」と書いてください。運賃を自由に決められない中で、ダイヤ、路線、接続、情報の出し方で乗客を増やす。規制された価格の事業では、この発想がそのまま求められます。

この方向に固有の制約もあります。公益の事業は、小売の自由化が進んだ分野があり、需要家を奪い合う場面があります。公営の交通には、区域の中での競争が少ない。だから、「選ばれ続けるための工夫」という発想が、在職中には出てきにくい。ここは、移った後に学ぶ部分です。逆に、供給を止めない体制と、公共性の説明は、競争があっても変わらない部分なので、そちらを先に出して書くのが順当です。

5. 車両・設備のメーカー、整備・保守の会社

項目内容
効く経験車両の検査と更新の判断、設備の保全、発注の仕様、予備の車両の考え方
求められる形車両の提案、保守の受託、整備の管理、部品と設備の営業
入りやすさ中〜高。運用してきた側の知識が求められる

書くときの注意。車両の更新の検討に関わったなら、その経緯を書いてください。どの車両を、どういう理由で、いくらで更新したか。メーカーの側は、「更新の意思決定がどう進むか」を知りたいからです。

この方向に固有の制約もあります。メーカーの側に回ると、自社の製品の範囲で解を出すことになります。在職中は、どの車両が自分の路線に合うかを、白紙から選べました。移った後は、自社が扱う車両の中で、いちばん合う形を提案する。この違いに、最初は窮屈さを感じる方もいます。一方で、1つの製品を深く知ることになるので、数年で、その分野の中では他に代えがたい人になります。

合いにくい方向

次の5つは、この経歴からは遠い方向です。

方向理由
相手を探すところから始まる営業区域の中で供給してきた経験と、前提が違う
個人の数字で評価される仕事運行も保全も、体制で回してきた。個人の成績の感覚が薄い
短い周期で作り替える仕事車両と施設は数十年単位。時間の感覚が合わない
在庫と需要の調整が中心の職交通には在庫がない。前提が違う
現場のない職車両と現場を見て判断してきた強みが使われない

「できない」ということではありません。持っている経験が、使われないということです。

役に立つ資格

資格効く方向
運行管理者(旅客・貨物)民間の交通、物流。求人票の条件に書かれていることが多い
整備管理者・自動車整備士車両の部門、整備の会社
大型二種免許民間のバス。乗務からの入り口にもなる
電気主任技術者・電気工事士鉄道の電気設備、施設の保全
簿記経営の企画、公営企業会計の経験と組み合う
技術士(建設部門・都市及び地方計画)交通の計画、コンサルティング

持っていない資格を、応募のために先に取る必要はありません。ただし、運行管理者は、在職中に受験できて、しかも民間の交通と物流の求人票にそのまま書かれている資格です。持っているなら必ず書き、持っていないなら「取得予定」と書くだけでも効きます。

求人を探すときの検索語

検索語出てくる求人
運行管理 バス 営業所民間のバス、鉄道の関連会社
配車 管理 物流物流、運送、配送
地域公共交通 計画 コンサルタント交通の計画の支援、自治体向けの事業者
安全統括 運輸交通と物流の安全の部門
車両 保守 受託 鉄道車両のメーカー、整備の会社
指定管理 施設 運営施設の運営、公益の事業

「交通局」「公営企業」だけで探すと、求人が出てきません。「運行管理」「配車」「地域公共交通」「安全統括」に言い換えて探してください。

つまずきやすい点

1. 「公営の交通は公営にしかない」と考える

同じ法律、同じ許可で走っている民間の会社が、そのまま並んでいます。

2. 経営の判断が局で完結していたことを、書き落とす

行政の中で、民間の組織の形をすでに知っている経歴です。

3. 運行管理者の資格を書かない

求人票の条件に書かれている資格です。持っているなら必ず書いてください。

4. 路線の見直しを、事務として書く

事業の再編です。数字と説明の両方を担ったことが伝わる形にしてください。

5. 方向を1つに絞ってしまう

現場寄りと計画寄りで、書類の順番を変えるだけで、両方に出せます。

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まとめ

よくある質問

事務職で、運行や車両の判断はしていません

それでも、5つの方向のうち3つは残ります。3番のコンサルタント、4番の施設の運営と公益の事業、そして1番の交通の会社の管理部門です。この3つで見られるのは、運賃の改定と認可の申請、路線別の収支の分析、一般会計との負担の協議、公営企業会計、契約と入札で、いずれも技術の判断ではありません。書くなら、「運賃の改定の試算と認可の申請、路線別の収支の分析、公営企業会計による決算を担当。運行と車両の技術上の判断は技術職が実施」と、自分の範囲を明示してください。とくに、規制された価格を動かす手続きを知っていることは、外部から採りにくい経験です。

病院や電気・ガスの公営企業で、交通ではありません

5つの方向のうち、3番と4番はそのまま重なります。公営企業会計、料金の原則、一般会計との負担の区分、経済性と公共性の両立は、どの公営企業でも共通だからです。1番と2番と5番は、自分の事業に合わせて置き換えてください。病院なら民間の医療法人と医療系の企業、電気・ガスなら民間の公益事業と設備のメーカー。同じ構造の民間側が、それぞれに並んでいます。書くときは、「地方公営企業法の適用を受ける事業で、管理者のもとで経営の判断が完結する組織にいた」という骨を先に置いて、事業の中身を後から足すと、どの方向にも出せる形になります。

何社くらい受けるものですか

方向を2つに絞って、各3社から5社が、この経歴では動かしやすい形です。理由は、方向ごとに書類の順番を変える必要があるからです。現場寄りの会社には運行と安全を先に、計画寄りの会社には再編と数字を先に置く。2つまでなら、書類を2通用意すれば足ります。3つ以上に広げると、どれも中途半端な順番になりがちです。なお、受ける数より、順番のほうが結果に効きます。書類の書き方は交通・公営企業の職務経歴書|書き出しから実績の出し方までに整理しています。

出典

  1. 地方公営企業法 第8条(管理者の地位及び権限)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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