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部署別 / 総務課

総務課からの転職先|経験が値になる5つの方向

総務課から動こうとすると、いちばん困るのは自分の職種名が言えないことです。

「総務です」と言うと、民間では備品の発注や社内行事の運営を思い浮かべられます。実際にやっていたのは、規程を作り、条文を書き、外部からの請求に応え、争いになったときに対応する仕事です。まったく別の職種です。

この記事では、総務課の経験が値になる方向を5つに分けて並べます。あわせて、合いにくい方向も同じだけ書きます。

言い換えの一覧は総務課の経験は民間で何と呼ばれるかに整理しているので、そちらと合わせて読んでください。

争うための手続を、自分たちで用意しています

先に、総務課の経験の値がどこにあるかをはっきりさせます。

行政不服審査法第1条第1項は、この法律が、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とすると定めています。

読み取ってほしいのは2つです。

1つ目は、争う相手が自分で手続を用意していること。処分をしたのは行政です。その処分に納得できないときの申立ての仕組みを、同じ行政が法律で整えています。

2つ目は、「簡易迅速」と書かれていること。裁判より早く、費用もかからない形で救済する。そのぶん、手続の設計と運用が難しくなります。

総務課は、この手続を回す側にいます。審査請求を受け付け、審理員を指名し、審査会に諮り、裁決を出す。処分をした課の側に立ちながら、手続としては公正でなければならない。

この立ち位置は、企業の法務やコンプライアンス部門と同じです。社内の部署を守りながら、外に対しては正しい手続を通す。両方を同時にやる経験を持っている人は多くありません。

そして、もう一つ効くことがあります。争いになる前に、争いにならない形を作るという発想です。処分の理由をどう書くか、通知にどこまで書くか、記録をどう残すか。不服申立てを受ける側にいると、後から問題になる書き方が分かるようになります。企業の法務でも、これがいちばん求められている部分です。訴訟になってから強い人より、訴訟にならない契約を書ける人のほうが、はるかに必要とされています。

方向1:法務(契約審査・規程整備)

例規の審査を担当していた方の、いちばん自然な接続先です。

条文を読み、書き、整合を確認する。この作業は、契約審査や社内規程の改定とそのまま重なります。

効くのは3点です。

上位の決まりとの整合を見る目。条例が法律に反していないか、規則が委任の範囲を超えていないか。企業では、契約が法令に反していないか、規程が上位の方針と矛盾していないかを見ます。

条文を書けること。要件と効果を分け、「ものとする」と「しなければならない」を使い分け、ただし書きの位置を決める。この作業ができる人は、企業の法務でも限られます。

改正の段取りを組めること。施行日を決め、経過措置を置き、関係する規程を同時に直す。規程が数百本ある組織では、これが常に問題になります。

資格がなくても入れる求人がある領域でもあります。法務の実務経験として読まれるからです。

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方向2:内部統制・記録管理・監査対応

文書管理規程の整備、保存年限の設定、廃棄の手続を担当していた方の接続先です。

企業側では、内部統制、記録管理、監査対応といった職種になります。

ここで効くのは、「あとから説明できる状態にしておく」という考え方を制度として運用してきたことです。整理のためでも保管のためでもなく、求められたときに出せるようにしておく。この発想は、監査や開示が重い業種で直接使えます。

廃棄の手続を持っていることも強みです。企業では「とりあえず全部残す」になりがちで、期限が来たものを決められた手続で捨てる仕組みを持っている組織は多くありません。

方向3:総務・事務局機能

議案の取りまとめ、庁内の照会、儀式や表彰を担当していた方の接続先です。

企業側では、総務、株主総会・取締役会の事務局、社内の横断的な調整といった職種になります。

議案の取りまとめは、株主総会や取締役会の事務局とほぼ同じ仕事です。期日が決まっていて、議案の体裁が決まっていて、事前に説明が要る。この段取りを回した経験は、そのまま使えます。

全部署に照会をかけて期限内に取りまとめるという作業も、どの企業にもあります。

方向4:情報開示・広報法務

情報公開請求や個人情報の開示請求への対応を担当していた方の接続先です。

企業側では、開示対応、広報法務、データガバナンスといった職種になります。

ここで効くのは、「出す前提で判断してきた」ことです。何を出し、何を出さないか。出さない場合にどう説明するか。この判断を、期限内に、根拠を示して続けてきた経験は希少です。

ただし、この方向は求人の数が限られます。方向1か方向2と並行して見てください。

方向5:自治体を顧客にする企業

文書管理システム、例規システム、選挙の支援、行政手続のデジタル化を扱う会社です。

文書の流れ、決裁の段数、保存年限の実際、例規の改正の手順、選挙の事務の中身を知っていることが値になります。外から見ただけでは分かりません。

とくに選挙の経験は、この方向で直接使えます。期日が動かず、やり直しが利かない大規模な事務を、外部の会社が支援する場面が増えています。

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合いにくい方向も書いておきます

個人の売上目標が明確に立つ職種

総務課の仕事は、正しい手続を通すことに価値があります。営業は取ってくることに価値があります。評価される行動が違います。合わないという意味ではなく、切り替えが要ることを自覚しているかが面接で見られます。

民事の契約実務が中心の法務

例規の審査は行政法の領域です。民法や会社法を前提とする契約実務は、経験していない領域になります。方向1を狙うなら、「行政法の実務は経験したが、民事の領域は学び直しが要る」と自分から言えるようにしておいてください。隠して入ると、入社後に苦しくなります。

規程も手続もこれから作る段階の組織

総務課の強みは、決まりに照らして判断することです。照らす先が無い環境では力が出にくくなります。逆に言えば、規程を作る側に回る前提なら合います。面接で「社内規程と文書管理はどの段階か」を確かめてください。

資格は、方向を決めてから考える

ビジネス実務法務・法学系の資格

方向1(法務)で、経歴を補強する形で効く場面があります。ただし例規の審査を通しで担当した経験があるなら、そちらのほうが直接読まれます。

公文書管理や記録管理の関連資格

方向2で話の入口になることがありますが、求人の要件になることは多くありません。実務のほうが先です。

取る前に考えること

総務課の繁忙は、議会の時期、例規の改正の時期、選挙の時期に重なります。この時期に学習を始めて中断する例が多いので、始めるなら山を越えてからにしてください。そして、資格を取ってから動こうとすると、動くのが1年以上先になります。いま応募できる方向があるなら、先に受けてから必要性を判断するほうが早く終わります。

探すときに使う言葉

持ち出すもの検索に使う言葉
例規の審査、条例・規則の改正法務、規程整備、契約審査
文書管理規程、保存年限、廃棄記録管理、文書管理、内部統制
情報公開・開示請求への対応開示対応、情報開示、個人情報保護
審査請求・訴訟の対応係争対応、法務、コンプライアンス
議案の取りまとめ株主総会、取締役会事務局、総務
庁内の照会・取りまとめ全社横断の調整、事務局
選挙の管理執行オペレーション管理、大規模運営

部署ごとの対応は自治体の部署別 仕事ガイドにもまとめています。

つまずきやすい点

1. 「総務」で検索して止まる

民間の「総務」は備品や施設の管理を含みます。上の表の言葉に分けて探してください。

2. 例規の経験を書かない/話さない

いちばんもったいない部分です。法務の実務経験として読まれます。

3. 方向1を狙うのに、民事の経験がないことを言わない

自分から正確に言ってください。隠して入ると苦しくなります。

4. 選挙の経験を落とす

期日が動かない大規模な事務は、民間でも代わりがいません。規模と時間の数字を添えて書いてください。

5. 応募先を1方向に絞りすぎる

方向4(情報開示)と方向5(自治体向け企業)は求人の数が限られます。方向1か方向2を並行して見ておくと、選択肢が減りません。

自分の経歴がどの方向に向いているかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。

LINEで短く聞くこともできます

まとめ

よくある質問

総務課にいたのが数年でも、応募できますか

できます。方向2(記録管理)と方向3(事務局機能)は、在籍年数より何をどこまで回したかが問われます。文書管理規程の改定を1件でも担当したなら、材料になります。一方、方向1(法務)は条例の改正を通した件数が効くので、そこが薄いなら方向2か方向3を先に見てください。

法学部卒でなくても、法務の求人に応募できますか

できます。法務の求人で見られるのは、条文を読んで整合を確認できるかどうかです。例規の審査を担当していたなら、その作業を日常的にやってきたことになります。ただし民法や会社法の知識は別に要るので、面接では「行政法の実務は経験したが、民事の領域は学び直しが要る」と正確に言ってください。

選挙管理委員会事務局の経験は、どう扱えばいいですか

オペレーション管理の実績として扱ってください。期日が1日も動かず、従事者が数百人規模になり、やり直しが利かない。この条件で大規模な事務を回した経験は、民間でも代わりがいません。書くときは、投票所の数、従事者の人数、期日前投票の期間、開票の所要時間といった規模と時間の数字を必ず添えてください。「選挙事務を担当」だけでは伝わりません。

出典

  1. 行政不服審査法 第1条(目的等)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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