部署別 / 総務課
総務課の働き方と評価|議会の回数が一年の形を決めている
総務課の働き方には、はっきりした特徴があります。
一年の形が、議会の回数で決まります。
そして、議会は自分たちの都合では動かせません。条例で回数が決まっていて、臨時会は必要が生じたときに入ります。
この構造を知っておくと、転職活動の時期を決めるときに迷いが減ります。
この記事では、その構造を条文から確認したうえで、評価のされ方と、民間に移ったあとに何が変わるかを扱います。
言い換えは総務課の経験は民間で何と呼ばれるか、行き先は総務課からの転職先、書類と面接は職務経歴書と面接に分けています。
議会は年に何回あるか、条例で決まっています
地方自治法第102条は、普通地方公共団体の議会は、定例会及び臨時会とすると定めています。
そして、定例会は、毎年、条例で定める回数これを招集しなければならないとしています。
臨時会は、必要がある場合において、その事件に限りこれを招集する。臨時会に付議すべき事件は、長があらかじめ告示しなければならない、と続きます。
ここから読み取れるのは2つです。
1つ目は、定例会の回数が条例で固定されていること。多くの自治体は年4回です。招集しなければならない、と書かれているので、開かないという選択肢はありません。
2つ目は、臨時会が「必要がある場合」に入ること。つまり、計画の外から山が増えるということです。
総務課は、この議会に議案を載せる側にいます。例規の改正も、契約の議決も、補正予算も、議会の日程から逆算して準備します。
議会の回数だけ、山が来ます。
総務課の一年
自治体によって時期の細部は違いますが、定例会が年4回の場合、おおむね次の形になります。
| 時期 | 主な仕事 |
|---|---|
| 1〜2月 | 3月議会の準備(最大の山)。当初予算に伴う条例改正、議案の取りまとめ |
| 3月 | 3月議会。議案の説明、答弁の調整、可決後の公布 |
| 4月 | 施行日の管理、新年度の例規の整備、人事異動に伴う事務の引継ぎ |
| 5〜6月 | 6月議会の準備と本番。文書の保存年限の到来と廃棄の手続 |
| 7〜8月 | 例規の整理、審査請求や訴訟への対応、研修 |
| 9月 | 9月議会。決算に伴う議案の対応 |
| 10〜11月 | 12月議会の準備 |
| 12月 | 12月議会 |
| 通年 | 情報公開請求への対応(期限あり)、審査請求、文書の収受と発送、公印の管理 |
| 不定期 | 臨時会、選挙 |
3月議会がいちばん重くなります。当初予算に伴う条例改正が集中し、新年度の施行日が絡むためです。
そして、選挙は別の周期で来ます。国政選挙、地方選挙、それぞれ期日が決まっており、準備は数か月前から始まります。選挙の年は、議会の山の上に選挙の作業が乗ります。
転職活動の時期を、この波から逆算する
面接は平日日中に入ることが多く、1社で複数回あります。議会の会期中と、その直前は避けたほうが無難です。
比較的まとまった時間を作りやすいのは、7月から8月です。6月議会が終わり、9月議会の準備に入る前にあたります。
現実的な組み立てはこうなります。
- 6月議会が終わった7月に書類を作る
- 7月から8月に2社ほど受けて、説明の詰まる場所を直す
- 9月議会と12月議会の期間は、進んでいる1社だけに絞る
- 年明けから3月は止めて、翌年度の7月に再開する
選挙の年に当たっている場合は、選挙が終わってから動く判断にも十分な理があります。期日が動かない大規模な事務を通すと、書けることが大きく変わるためです。
総務課の評価は、なぜ扱いが難しいのか
1. 誤りがないことが成果になる
条例に誤字があれば正誤表を出すことになり、施行日を間違えれば大きな問題になります。正しくできて当たり前で、間違えたときだけ問われます。
2. 議会が滞りなく終わっても、誰も何も言わない
議案が予定どおり可決されれば、それで終わりです。円滑に進んだことは、成果として数えられません。
3. 期限を守ることが仕事の中心にある
情報公開請求には条例で期限があり、審査請求にも手続の期限があります。守って当然として扱われます。
この3つは、不満として語らないでください。転職の面接でこれを不満の形で出すと、次の職場でも同じことを言うと思われます。
構造として説明してください。「誤りが許されない前提で、期限が動かない仕事を回してきた」と言えれば、それはそのまま管理部門の適性として読まれます。
企業の法務や記録管理も、まったく同じ構造です。契約書に誤りがあれば問題になり、開示の期限を過ぎれば問題になり、何も起きなければ何も言われません。この環境を経験していることは、そのまま材料になります。
庁内の言葉と、求人票の言葉
| 庁内での言い方 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 議会日程から逆算した議案の準備 | 取締役会・株主総会の事務局、期日管理 |
| 条例改正の施行日の管理 | 規程改定のリリース管理 |
| 情報公開請求への期限内対応 | 開示対応、期限管理 |
| 文書の保存年限の到来と廃棄 | 記録管理、保存期間の管理 |
| 審査請求・訴訟の対応 | 係争対応、法務 |
| 選挙の管理執行 | 大規模イベントの運営、オペレーション管理 |
| 全庁の照会と取りまとめ | 全社横断の調整、事務局 |
働き方として直接伝わるのは「取締役会・株主総会の事務局」と「期限管理」です。民間でも、会議体の日程と開示の期限は動かせません。
民間に移ると、何が変わるか
1. 期限が交渉で動くことがある
上に書いたとおりです。動かせる期限と動かせない期限を見分ける必要が出てきます。
2. 議会に相当する場が軽くなる
条例の改正は議会の議決が要りますが、社内規程の改定は決裁で済むことが多くなります。決めるのは速くなりますが、そのぶん周知と定着が難しくなります。「議決されたから守る」という強制力が働かないためです。
3. 開示の義務が変わる
情報公開条例に基づく開示請求のような、外部の誰もが請求できる仕組みは民間にありません。代わりに、監査、株主、取引先、規制当局からの求めがあります。性質は違いますが、「出す前提で残す」という考え方はそのまま使えます。
4. 記録を捨てる判断が求められる
自治体では保存年限が規程で決まっていますが、企業では期限を決めること自体から始まることがあります。「いつまで残すかを決める」という仕事が回ってきます。総務課の経験は、ここで直接効きます。
在職中から残しておくとよい記録
1. 条例・規則の改正件数と、担当した工程
条文の作成から議決まで通したのか、審査だけなのか。工程まで控えておいてください。
2. 期限のある事務の件数と、期限内の処理率
情報公開請求、審査請求。「年間◯件を、すべて期限内に処理した」は強い1行になります。
3. 廃棄した文書の件数
捨てた実績は、企業でもほとんど見ません。件数と、書庫や保管スペースがどう変わったかを控えてください。
4. 選挙の規模
投票所の数、従事者の人数、期日前投票の期間、開票の所要時間。選挙が終わった直後に控えておいてください。あとから正確に思い出すのは難しくなります。
5. 誤りを防いだ話
条例の改正で、引用のずれや施行日の矛盾を見つけて直した。様式の変更で、現場が迷う書き方を事前に直した。「間違いが起きなかった」ことは記録に残りませんが、防いだ側は覚えています。その場で1行控えておくと、書類を作るときに使えます。総務課の成果は「起きなかったこと」なので、意識して残さないと何も残りません。
つまずきやすい点
1. 議会の時期に活動を始めて中断する
いちばん多い形です。6月議会が終わった7月から始めてください。
2. 忙しさを転職理由にする
管理部門は民間でも繁忙期があります。理由は、やってきたことの延長で組んでください。
3. 評価されにくさを不満の形で出す
構造として説明すれば強みになり、不満として出すと弱みになります。同じ事実でも、置き方で逆になります。
4. 選挙の年に無理に動く
選挙は期日が動かず、準備が数か月前から始まります。通してから動くほうが、書ける材料が増えます。
5. 異動の可能性を検討しないまま動く
総務課は、企画課、人事課、財政課、議会事務局のいずれとも接続します。庁内で移る選択肢を一度も検討していないなら、先にそちらを確かめたほうが選択肢は減りません。
6. 退職時期の制度面を確認しないまま決める
退職手当や共済の扱いは在職期間で変わる部分があります。手続きの前に、必ず所属の人事担当課と共済組合で確認してください。公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
自分の場合にどの時期が動きやすいかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
まとめ
- 地方自治法第102条は、定例会を毎年、条例で定める回数招集しなければならないとし、臨時会は必要がある場合にその事件に限り招集するとしています
- 議会の回数だけ山が来ます。定例会が年4回なら年4回で、3月議会がいちばん重くなります
- 選挙は別の周期で来ます。選挙の年は、議会の山の上に選挙の作業が乗ります
- 活動しやすいのは7月から8月です。6月議会が終わり、9月議会の準備に入る前にあたります
- 評価は誤りがないこと/円滑に終わること/期限を守ることで、どれも成果として数えられません。不満ではなく構造として説明してください
- 民間に移って最初に戸惑うのは、期限が交渉で動くことです。動かせない期限を見分けられる人は重宝されます
よくある質問
総務課は残業が多いと聞きますが、実際どうですか
自治体ごとの実態は公表されていないので、個別の水準をここで断定することはできません。制度から言えるのは、定例会の回数が条例で決まっていて開かない選択肢がないこと、臨時会が計画の外から入ること、情報公開請求に条例上の期限があることです。応募先に説明するときは、時間数ではなく「議会の回数だけ山が来て、そのうえ期限が動かない事務が通年である部署でした」と構造で伝えるほうが正確に伝わります。
議会対応の経験は、民間でどう説明しますか
「取締役会・株主総会の事務局」に置き換えてください。議案の体裁を整え、期日から逆算して準備し、事前に説明し、当日の質疑に備える。工程がほぼ同じです。書くときは、年間の議案件数と、担当した工程(議案の作成か、取りまとめか、答弁の調整か)を添えてください。
選挙の年は、転職活動を止めるべきですか
止める必要はありませんが、活動の密度は落とさざるを得ません。選挙は期日が動かず、準備が数か月前から始まり、当日は朝から深夜まで拘束されます。現実的には、選挙が終わってから本格的に動くほうが早く終わります。そして、選挙を通した経験は書ける材料として強いので、待つこと自体に意味があります。