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部署別 / 水道局

水道局出身者が面接で必ず聞かれること

水道局から民間に移るとき、面接でよく来るのはこの形の質問です。

「まずいと気づいたとき、どうしますか」

これは、水の話を聞いているのではありません。

悪い情報を、自分で止めずに上げられるかを聞いています。そして、この経歴の方は、その行動が法律に書かれている環境にいた側です。

この記事では、実際に来る質問を7つ挙げて、避けたい答え方と組み立て方を並べます。

書類の書き方は水道局の職務経歴書|書き出しから実績の出し方まで、行き先は水道局から転職しやすい業界と職種に書いています。

「直ちに給水を停止し」と書かれています

質問に入る前に、答え方の芯を1つ作っておきます。水道法第23条です。

> 水道事業者は、その供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知つたときは、直ちに給水を停止し、かつ、その水を使用することが危険である旨を関係者に周知させる措置を講じなければならない。

「おそれがあることを知つたとき」です。

害が確定したときではありません。おそれの段階で、直ちに止めて、危険であることを周知する。

ここが、答え方の芯になります。

つまり、この経歴の方は、「確定していない段階で、影響の大きい判断を先に出す」ことを求められる環境にいました。しかも、止めれば、大量の苦情が来ます。それでも止める。その前提で、体制を組んでいたわけです。

民間の面接で来る質問の多くは、「悪い情報が上がってくる人かどうか」を確かめています。品質でも、安全でも、納期でも、構図は同じです。

この形で答えられると、7つの質問はほとんど同じ骨で答えられます。

実際に来る質問7つ

1. 「水道の経験は、うちのどこで使えると思いますか」

避けたい答え方

> 水道に特化した経験なので、直接は関係ないかもしれませんが。

組み立て方

> 3つあると考えています。1つ目は、24時間止められない設備の運転です。給水人口約◯万人、管路延長約◯キロメートルの事業で、浄水場の運転と管路の保全を担当していました。2つ目は、基準への適合を証明し続ける仕事です。水質の検査と記録、施設の検査を回していました。3つ目は、独立採算の数字です。公営企業会計で損益と資金を見ながら、更新の計画を組んでいました。

3つに割って、それぞれに数字を添える。この形が通りやすい形です。

2. 「異常に気づいたとき、どうしていましたか」

避けたい答え方

> まず上司に報告して、指示を仰いでいました。

組み立て方

> 報告はしますが、報告を待つ形にはしていませんでした。水道法では、健康を害するおそれを知ったときは、直ちに給水を停止すると定められています。確定してからでは遅いので、どの数値が、どの範囲を超えたら、誰が何をするかを先に決めておく。当番が夜中に一から考えなくて済むようにしておくことが、体制の中身だと考えていました。実際に、連絡の経路と判断の区分を文書にしていました。

「確定を待たずに動く前提で、手順を先に決めていた」——この言い方が、品質や安全を扱う会社でいちばん届きます。

3. 「夜間や休日の呼び出しがありますが、大丈夫ですか」

避けたい答え方

> 水道でも夜間の対応はあったので、慣れています。

組み立て方

> その形は経験しています。管の事故は時間を選ばないので、当番を組んで、段階ごとに誰が出るかを決めていました。確認しておきたいのは、頻度と、体制の組み方です。一人で抱える形なのか、当番で回す形なのか。回す形であれば、こちらから合わせられますし、体制の設計の経験もお出しできます。

受け入れる姿勢だけを見せるより、体制の話で返すほうが、長く続く前提の人として読まれます。

この質問に固有の事情もあります。水道の緊急の対応は、呼ばれる回数そのものは多くありません。ところが、呼ばれたときの拘束が長い。管が破れれば、復旧まで現場に付くことになります。だから、「月に何回」という聞き方では、実態が伝わりません。面接では、「回数は年に数回ですが、1回が長い形でした」と答えるほうが正確です。相手の会社の緊急の対応も、同じ形なのか、短い対応が頻繁に来る形なのか。そこは、逆質問で確かめておくと、入った後の差が小さくなります。

4. 「数字で成果を出した経験はありますか」

避けたい答え方

> 行政なので、売上のような数字はありません。

組み立て方

> 売上の数字はありませんが、扱っていた規模と、減らした数はあります。給水人口約◯万人、管路延長約◯キロメートルの事業を担当していました。漏水の調査について、夜間の最小の流量から区域を絞る方法に変えた結果、同じ調査の延長で特定できる件数が増えました。更新の計画では、年間約◯キロメートル、約◯億円を、資金の残高を見ながら年次に配分していました。

「ありません」で終わらせない。規模と、変えた前後を出す。これで足ります。

5. 「公営企業だと、費用への意識が薄いのでは」

避けたい答え方

> たしかに、民間ほどは厳しくなかったかもしれません。

組み立て方

> 水道事業は独立採算なので、税で埋める前提ではありません。かかった費用は、最終的に料金に跳ね返ります。更新の計画を作るときは、必要な工事を積み上げるだけでなく、料金の水準と資金の残高を見ながら、どこまで年次に載せられるかを決めていました。利益を増やすことは目的ではありませんが、費用と収入を突き合わせる作業は、毎年やっていました。

この質問は、公営企業の仕組みを知らない相手から来ます。事実で返せば足ります。

この質問に固有の事情もあります。公営企業の費用の見方は、民間と違う部分が確かにあります。利益を出すことが目的ではないので、「安くする」より「必要な水準を保つ」ほうが優先される場面がある。ここは、否定せずに認めてください。そのうえで、「だから、必要かどうかの説明を、毎年していました」と続ける。費用を削る経験ではなく、費用の必要性を説明してきた経験として出すと、設備を持つ会社では、そのまま評価されます。

6. 「受託の側に回ると、評価される立場になりますが」

避けたい答え方

> 立場が変わるだけなので、問題ないと思います。

組み立て方

> そこは考えた点です。委託の仕様を書いて、履行を確認する側にいたので、評価される側が何を負担に感じるかも見てきました。報告の様式が実態と合っていないと、現場の時間がそこに取られます。受託の側に入るのであれば、まずそこを直す提案ができると思っています。評価される立場になること自体は、自分の基準が試される機会だと考えています。

受託の会社を受けるなら、この質問はほぼ確実に来ます。具体で返してください。

7. 「なぜ、今のタイミングで辞めるのですか」

避けたい答え方

> 事業の先行きが不透明で、不安があるからです。

組み立て方

> 水道の仕事を続けたいという前提があります。ただ、1つの事業体にいると、その事業体の事情の中でしか考えられません。広域化や委託が進む中で、複数の事業体を横に見ながら、仕組みを作る側に関わりたいと考えました。現場の運転と、計画の両方を見てきた経験は、その方向で使えると思っています。

不安を理由にしない。横に広げたい、という組み立てにしてください。

なお、この質問では、時期の理由も一緒に聞かれます。水道の仕事は、年度の区切りと、工事の繁忙の時期がはっきりしているので、「担当している工事が完了する時期を区切りにしたい」という答え方ができます。引き継ぎの見通しを自分から言える人は、入った後の動き方も想像しやすいと受け取られます。とくに、24時間の体制に組み込まれている職では、抜ける時期の説明ができるかどうかを見られます。

LINEで短く聞くこともできます

逆質問で確かめておくこと

3つに絞ってください。

1. 止める判断が、現場にあるか

> 品質や安全に関わる異常が出たとき、現場の判断で止められる範囲はどこまでですか。

この経歴の方は、止める判断のある環境にいました。移った先でその権限がどこにあるかは、働き方に直結します。

2. 夜間と休日の体制の組み方

> 緊急の対応は、当番で回されていますか。年間ではどのくらいの頻度になりますか。

体制の話で聞くと、負担の実態が分かります。

3. 自治体との窓口を、誰が持つか

> 自治体が発注者になる案件では、協議の窓口は現場の担当が持たれますか。

この経歴の方は、行政の側の動き方が読めます。その強みが使われる形になっているかを、先に確かめてください。

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まとめ

よくある質問

事務職で、水質や設備の専門の話はできません

先に言ってしまって構いません。面接で困るのは、分かるふりをして踏み込んだときです。言い方は、「技術上の検査は技術職が担当していました。私は料金の調定と収納、給水装置の申請の事務、契約、公営企業会計の決算を担当していました」で足ります。そのうえで、自分の範囲の中身を具体的に話してください。とくに、公営企業会計と、数万件規模の料金の実務は、技術の有無に関わらず評価される部分です。線を引いた説明のほうが、聞く側は安心します。

施設のことは、面接でどこまで話せますか

公表されている範囲までです。給水人口、管路の延長、浄水場の数といった事業の概要は、公表資料に載っています。一方で、施設の警備、立入りの経路、設備の弱い部分、水源の詳細は、話せません。面接で「たとえばどんな設備ですか」と聞かれたときも、「公表されている範囲でお話しすると」と前置きして答えてください。この線を自分で引けることは、インフラを扱う会社では、それ自体が評価の対象になります。話せないことがあるのは、相手も分かっています。

民間の速度についていけるか不安です

水道の仕事には、速い場面と遅い場面の両方があります。管の事故が起きれば、その場で数十分単位の判断をしています。時間をかけていたのは、更新の計画や料金の改定といった、後から直せない判断のほうです。面接では、この区別を言葉にしてください。「後から直せる判断は速く、直せない判断は時間をかける仕事でした」という形です。速い遅いの一般論に乗らず、判断の種類で分ける。この答え方ができると、判断の設計を考えている人だと読まれます。働き方の変化は水道局から民間に移ると働き方と評価はどう変わるかに整理しています。

出典

  1. 水道法 第23条(給水の緊急停止)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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