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部署別 / 都市計画課

都市計画課から民間に移ると働き方と評価はどう変わるか

都市計画課の働き方は、たった1つの日付から逆算して決まります。

告示の日です。

この記事では、一年の波、評価が見えにくくなる構造、民間に移って変わる4点を整理します。

書き方は都市計画課の職務経歴書、面接での答え方は都市計画課出身者が面接で必ず聞かれることに書いています。

「告示があつた日から、その効力を生ずる」

まず、この仕事の時間の構造を条文で押さえます。

都市計画法第20条第1項と第3項は、こう定めています。

都道府県又は市町村は、都市計画を決定したときは、その旨を告示し、かつ、……図書の写しを送付しなければならない。

3 都市計画は、第一項の規定による告示があつた日から、その効力を生ずる。

「告示があつた日から、その効力を生ずる」。

ここが要点です。

決定しただけでは、効力は生じません。告示して、はじめて効きます。

そして、告示の日を決めるには、その前にすべてが終わっていなければなりません。

この順序と期間は、法律で決まっています。

そして、審議会は年に数回しか開かれません。

つまり、「◯月の審議会に乗せる」という一点から、すべての作業の期限が決まります。

乗せられなければ、次の回まで数か月待ちです。

説明するときは、この形で話してください。

> 審議会が年◯回で、そこに乗せられるかどうかで、数か月の差が出ます。なので、告示したい時期から逆算して、公告縦覧、意見書の整理、資料の準備の日程を先に固定していました。

「1つの日付から、全部を逆算する」——これは、期限のある案件を扱う仕事で、そのまま同じことをします。

一年の波

審議会の日程と、年度末が、山を作ります。

時期中身重さ
4月体制の切り替え、基礎調査の年度更新、前年度の告示の整理中
5〜6月案の検討、庁内と関係機関の協議中
7〜8月公告縦覧、意見書の受付と整理重い
9〜10月審議会、告示、次年度の予算要求重い
11〜12月次の案の検討、予算の査定への対応中
1〜3月年度内に効力を生じさせる案件の告示、開発許可の完了検査が集中最も重い

山は3つです。

7〜8月(縦覧と意見書)、9〜10月(審議会と告示)、1〜3月(年度末)。

このうち、1〜3月にこの部署に固有の事情があります。

開発許可の完了検査が、年度末に集中します。理由は単純で、工事の完了が年度末に寄るからです。公共の工事も、民間の工事も、3月の完成を目指します。

そして、検査は現地に行かなければできません。

つまり、年度末は、告示の事務と、現地の検査が同時に来ます。

片方は机の上、もう片方は外。この2つを同じ時期に回すのが、この部署の年度末です。

この話は、民間でも通じます。期限が一斉に来る時期に、机上の作業と現地の確認を並行させる——建設でも、設備でも、同じ形の繁忙があります。

評価が見えにくくなる3つの構造

1. 成果が、告示という1行に縮む

半年かけて案を作り、協議し、縦覧し、意見書を整理し、審議会を通した。

その結果は、「◯年◯月◯日告示」という1行です。

何をどれだけやったかは、そこには残りません。

この点には、固有の事情もあります。告示の文面は、どの案件でも、ほぼ同じ形です。区域、種類、名称、面積。中身がどれだけ揉めたかは、文面からは読み取れません。だから、引き継ぎのときも、後任には「この地区はこう決まっている」としか伝わりません。なぜその線になったかは、担当者の中にしか残らない——ここが、この仕事の記録のいちばん弱いところです。

2. 効果が出るのは、数十年後

線を引き、制限を決めた結果が、街に現れるのは、建物が建て替わった後です。20年、30年先になります。

自分が担当した期間に、結果を見ることはありません。

3. 止めた案件は、記録に残らない

事前の相談で「この場所では難しい」と答えた案件は、申請として上がってきません。

つまり、どこにも数字が残りません。

しかし、実務としては、これがいちばん件数が多く、いちばん相手の役に立っています。

そして、止めた案件ほど、説明に時間がかかっています。通る案件は、要件を示せば終わります。通らない案件は、なぜ通らないのかを、根拠を示して説明する必要があります。しかも、相手はすでに時間と費用をかけていることが多い。いちばん手間のかかった仕事が、いちばん記録に残らない——この構造は、覚えておいてください。

民間に移って変わる4点

1. 日程が、法定のものから契約のものになる

行政では、期間も順序も法律で決まっていました。民間では、契約と、社内の期で決まります。

動かせる余地が増える——これは、楽になる面と、難しくなる面の両方があります。

決まっていないぶん、自分で決めて、相手と合意する必要があります。

ただし、行政の日程が完全に消えるわけではありません。許認可が絡む案件では、結局、その市の審議会と手続の日程に合わせることになります。変わるのは、その日程を「与えられるもの」として受け取るか、「読んで先回りするもの」として扱うかです。後者ができる人は、社内で案件の見通しを立てられる立場になります。

2. 「決める側」から「間に合わせる側」になる

行政では、日程を設定する側でした。民間では、行政が設定した日程に、間に合わせる側になります。

同じ日程表を見ていても、立場が逆になります。

ただし、逆算の技術はそのまま使えます。むしろ、設定する側にいたからこそ、どこに余裕がないかが分かります。

3. 成果が、告示ではなく着工や売上になる

「告示した」で終わっていたものが、「着工した」「引き渡した」「売れた」まで続きます。

自分の関わった結果が、形になるまで見られる——これは、この経歴の人がいちばん実感する変化です。

4. 相手が、住民から顧客になる

行政では、相手を選べませんでした。区域の中のすべてが対象で、反対する人にも説明します。

民間では、相手は顧客です。そして、近隣は、顧客ではないが説明が必要な相手として残ります。

この「顧客ではないが説明が必要な相手」への対応こそ、行政で毎日やっていたことです。

変わらないのは、期限から逆算することです。告示の日が、着工の日や引き渡しの日に変わるだけで、やることは同じです。

どの方向なら自分の経験が効くかは、話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。

在職中に残しておくべき記録

辞めた後では、二度と取れません。

残すものなぜ必要かどこから取れるか
都市計画区域の面積扱っていた範囲公表資料
決定・変更の件数(年度別)通した手続の量告示の記録
告示までの日程表(1件でよい)逆算の知識の証明。民間で最も求められる自分で書き出すしかない
意見書の件数と、処理の仕方利害の対立の中で通した証明審議会の資料
開発許可の審査の件数許可の側の経験量事務の記録
事前の相談の件数いちばん効くのに、誰も数えていない自分で数えるしかない
差し戻しが多かった項目申請する側に回ったときの一覧になる審査の記録
自分が変えたこと(年度別に3つ)実績欄の芯になる自分でメモするしかない

3行目、6行目、最後の行が、後から作れないものです。

とくに日程表は、案件の書類には散らばっていますが、一覧にはなっていません。

LINEで短く聞くこともできます

つまずきやすい点

1. 「審議会の前が忙しい」で終える

告示の日から、全部を逆算していたという構造を話してください。

2. 年度末の二重の繁忙を書かない

告示の事務と、現地の完了検査が同時に来ます。机上と現地の並行です。

3. 成果を「告示した」で終える

そこまでに何をどれだけ積んだかを、日程と件数で示してください。

4. 止めた案件を数えない

いちばん件数が多く、いちばん役に立っていた部分です。

5. 効果が数十年先であることを、弱みとして話す

長い時間軸で判断してきたことは、インフラや不動産の分野では強みです。

行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。

まとめ

よくある質問

残業は多いほうですか、と聞かれたらどう答えますか

波があることを、そのまま言って構いません。山は縦覧と意見書の時期、審議会の前、年度末です。ただし、「大変でした」で終えないでください。続けて、どう捌いていたかを話します。たとえば、「審議会の日程は年度の初めに決まるので、一年分の作業を先に並べて、着手日を固定していた」という形です。波があること自体は、どの会社にもあります。見られているのは、その波を見越して段取りを組めるかどうかです。

現地に出る仕事と、机の上の仕事、どちらが多いですか

担当によって違いますが、開発許可の側は現地に出ます。申請の現地の確認、工事の途中の確認、完了の検査。とくに年度末は、検査が集中します。一方、計画の側は、ほとんどが机の上の作業です。基礎調査の分析、案の作成、資料の準備、手続。この違いは、転職先を選ぶときにも効きます。現地に出る仕事を続けたいなら、用地や施工に近い方向。机の上の仕事に寄せたいなら、計画や調査の方向。方向の選び方は都市計画課から転職しやすい業界と職種に整理しました。

異動が近いのですが、何をしておくべきですか

3つあります。1つ目は、告示までの日程表を、1件でよいので日付で書き出すこと。これは民間でいちばん求められる知識で、異動すると感覚が失われます。2つ目は、事前の相談の件数と、差し戻しが多かった項目を数えること。どちらも記録に残っていないことが多いのですが、申請する側に回ったときに、そのまま使えます。3つ目は、自分が関わった決定と、その理由を一覧にすること。告示の記録には結果しか残らず、理由は担当者の中にしかありません。動くかどうかの判断は、その後で構いません。

出典

  1. 都市計画法 第20条(都市計画の告示等)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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