部署別 / 都市計画課
都市計画課出身者が面接で必ず聞かれること
都市計画課から民間に移るとき、面接でほぼ確実に来るのがこれです。
「この土地、建てられますか」
その場で、具体の場所を出されることがあります。
これは試験ではありません。本当に困っているから聞いています。
不動産も、建設も、物流も、「建てられるかどうか」で事業の可否が決まります。そして、社内にそれを判定できる人がいません。
この記事では、実際に聞かれる質問を7つ挙げて、避けたい答え方と、組み立て方を並べます。
書類の書き方は都市計画課の職務経歴書、行き先の絞り方は都市計画課から転職しやすい業界と職種に書いています。
住民の意見を聞くことは、法律に書かれています
答え方の前に、この仕事の性格を条文で押さえます。
都市計画法第16条第1項は、こう定めています。
都道府県又は市町村は、次項の規定による場合を除くほか、都市計画の案を作成しようとする場合において必要があると認めるときは、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
「住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずる」。
意見を聞くことが、案を作る段階の手続として位置づけられています。
ここが要点です。
決めてから説明するのではありません。案を作る段階で聞き、その意見を踏まえて案を作ります。
そして、案ができた後も、公告して縦覧し、意見書を受け付け、その要旨を審議会に出します。
つまり、この仕事は、二段構えで意見を扱っています。
民間の側から見ると、ここは分かりにくい部分です。
「説明会をやったのに、なぜまだ手続があるのか」「意見が出たら、計画は変わるのか」——この構造を説明できる人は、開発の現場でそのまま役に立ちます。
近隣への説明でつまずく案件は、たいてい、この順番を間違えています。
質問1:「都市計画課では、どういうお仕事をされていたんですか」
避けたい答え方
> 都市計画の決定と、開発許可の審査をしていました。
「計画書を作っていた人」で固まります。
組み立て方
扱った範囲と、件数を置いてください。
> 都市計画区域約◯ヘクタールについて、土地利用の計画と、開発許可の審査を担当していました。用途地域の変更を◯件、地区計画を◯件、案の作成から公告縦覧、意見書の整理、審議会、告示まで通しています。開発許可は年間◯件を審査して、申請の前の相談を年間◯件くらい受けていました。
最後の一文が、いちばん効きます。
「相談を受けていた」ということは、「判定していた」ということだからです。
質問2:「この土地、建てられますか」
冒頭に挙げた質問です。その場で答えられなくて構いません。
避けたい答え方
> 調べてみないと分かりません。
事実ですが、これだけだと「判定できない人」に見えます。
組み立て方
何を見れば分かるか、順番で答えてください。
> 見る順番があります。まず、都市計画区域の内か外か、市街化区域か調整区域か。調整区域なら、そもそも原則として建てられないので、例外に当たるかを見ます。市街化区域なら、次は用途地域です。何が建てられて、何が建てられないか。それから、建ぺい率、容積率、高さの制限、地区計画の有無。そのうえで、接道——道路に接していなければ建てられません。最後に、面積によって開発許可が要るかどうか。この順で見れば、可否と、必要な手続の見当は付きます。ただ、自治体ごとに運用が違う部分があるので、確認は必要です。
「順番を言える」ことが、この質問の答えです。
そして、「確認は必要」と添えることで、断定しない姿勢も伝わります。
質問3:「住民の反対があったときは、どうしていましたか」
開発の現場で、いちばん困る場面です。
避けたい答え方
> 丁寧に説明して、ご理解いただけるよう努めました。
進め方が見えません。
組み立て方
手続の構造から答えてください。
> 意見を聞くのは、決めた後ではなく、案を作る段階です。説明会や公聴会で出た意見を踏まえて、案を作ります。そのうえで、案を公告して縦覧し、意見書を受け付けます。そして、出た意見書は、消さずに、要旨を作って審議会に出します。つまり、反対があることを記録に残したまま決めるという形です。実務として大事なのは、意見の趣旨を、変えずに正確に整理することでした。同じ趣旨をまとめ、それぞれに市の考え方を付ける。「理解を得た」のではなく、「意見を記録に残して、手続を通した」というのが正確です。
「理解を得た」と言わないことが、かえって信用されます。
全員が納得することは、現実には起こらないからです。
質問4:「なぜ、その線なんですかと聞かれたら」
根拠を作れるかを見ています。
組み立て方
> 線の位置には、必ず根拠を用意します。使うのは、基礎調査のデータ(人口、土地利用の現況、建物の建築年)と、上位の計画との整合、それから既存の地区計画や、周辺の用途との連続性です。「なんとなく」では通りません。議会でも、審議会でも、同じことを聞かれます。なので、変更する区域ごとに、理由を1枚に整理した資料を作っていました。
「1枚に整理した資料」まで言えると、仕組みとして作っていた人だと伝わります。
質問5:「うちは申請する側ですが、抵抗はありませんか」
立場の反転をどう受け止めているかを見ています。
組み立て方
> 立場は完全に入れ替わると思っています。これまでは審査する側でしたが、今度は申請する側です。ただ、行政が何を見て、どこで止まるかは分かっているので、書類の作り方と、協議の順番は速くできるはずです。逆に、「前はこちら側だった」という態度では臨みません。元の職場に便宜を求めることも、するべきではないと考えています。整った申請を出すほうが、結果的に速いので。
最後の一文が効きます。
行政がいちばん困るのは、要件を確認しないまま持ち込まれる案件だからです。
質問6:「うちで、何ができると思いますか」
| 応募先 | 当てる工程 |
|---|---|
| デベロッパー・用地 | 候補地の可否の判定と、手続に要する期間の逆算 |
| 建設コンサル | 計画の手続の設計と、住民との協議の運営 |
| 設計事務所 | 法規の確認と、行政との事前の協議 |
| まちづくり | 地区計画と、地権者の合意の取り方 |
| 自治体を顧客とする企業 | 基礎調査のデータと、決定の情報の扱い |
> 御社の用地の検討でいえば、入って最初にできるのは、候補地を可否と期間で仕分けることだと思います。調整区域で例外に当たらない土地や、接道が取れない土地は、検討に入る前に外せます。逆に、価格の交渉や、地権者との売買の実務は経験がないので、そこは学ぶ側になります。
できないことを1つ添えると、できることの信用が上がります。
質問7:働き方と条件について
組み立て方
> 審議会と議会の日程に合わせて動く働き方でした。そこから逆算して、一年の山が決まります。確かめたいのは、案件の期限が、何で決まるかです。社内の期であれば、それに合わせます。
「日程から逆算して段取りを組む」は、どの職種でも評価されます。
働き方の違いは都市計画課から民間に移ると働き方と評価はどう変わるかに整理しました。
逆質問で聞いておくこと
3つに絞ってください。
1. 「候補地の検討は、どの段階から関わりますか」
仕入れの前から見るのか、決まった後の手続だけか。前者ならこの経歴が中心になります。
2. 「行政との協議は、誰が行いますか」
自分が窓口に立つのか、設計事務所に任せるのか。役割の範囲が分かります。
3. 「許認可が想定より遅れたとき、どう扱われますか」
行政の判断は、こちらでは決められません。遅れた場合の責任の置き方を、先に確かめてください。
つまずきやすい点
1. 「調べてみないと分かりません」で止める
見る順番を答えてください。それが判定の技術です。
2. 「いつなら間に合うか」を言えない
審議会の回数から逆算した週数で話してください。
3. 「理解を得た」と言う
「意見を記録に残して、手続を通した」が正確です。そのほうが信用されます。
4. 線の根拠を「上位計画に基づき」で終える
データと、整合と、連続性の3つで答えてください。
5. 立場が反転することに触れない
採用する側が心配している点です。自分から線を引いてください。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
まとめ
- 都市計画法第16条は、案を作る段階で「住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずる」と定めています
- つまり、決めてから説明するのではなく、聞いてから案を作り、そのうえでもう一度手続を踏みます
- 「この土地、建てられますか」には、見る順番(区域区分 → 用途地域 → 各種の制限 → 接道 → 開発許可の要否)で答えてください
- 「いつなら間に合うか」を週数で言えると、時期を読める人として扱いが変わります
- 反対があった場面は、「理解を得た」ではなく「意見を記録に残して手続を通した」と答えてください
- 逆質問は、①どの段階から関わるか ②協議は誰が行うか ③遅れたときの扱いの3つに絞ってください
よくある質問
具体の土地を出されて、その場で判定を間違えたらどうしますか
その場で断定しないでください。面接での正解は、「この順で見れば分かります」と手順を示し、「ただし現地と図面を確認しないと断定はできません」と添えることです。即答して外すほうが、はるかに損です。実務でも同じで、断定して外すと、会社に損害が出ます。むしろ、「断定しない線引きができる人」として見られたほうが、入ってからも信頼されます。知っていることと、確認が要ることを分けられる——これ自体が、判定の技術の一部です。
都市計画の決定に関わったことがなく、開発許可だけの担当でした
それで十分です。むしろ、民間で直接使えるのは、開発許可の側です。書くときも話すときも、審査の件数、事前の相談の件数、受付から許可までの期間、差し戻しが多かった項目——この4つを前に出してください。とくに、差し戻しが多かった項目は、申請する側に回ったときに、そのまま「先に潰しておくべき点」の一覧になります。計画の側の経験がないことを、わざわざ説明する必要はありません。
転職の理由を、どう説明すればよいですか
「判定する側から、実際に形にする側に回りたい」——この形が通ります。都市計画の仕事は、線を引き、可否を判定するところまでです。その線の内側で何が建つかは、民間が決めます。それを何年か見ていると、自分で形にしたいと思うのは自然です。注意点は、いまの仕事を下げないことです。「行政は縛るだけ」という言い方をすると、制度への理解を疑われます。そして、入ってから行政と協議するのは自分です。制度を否定する人は、その協議でつまずきます。